北海道・白雲山〜天望山
(はくうんざん1187m〜てんぼうざん1173m)
 火口湖、然別湖の湖畔に立つ山です。ここでナキウサギを初めてみました。
 鳴き声も可愛かったですよ。今回のヒット!最高な気分でした。とてもいい山です。

2003年8月北海道の山旅
(8日:利尻山、9日:礼文岳、11日:斜里岳、12-13日:羅臼岳、14日:雌阿寒岳ー阿寒冨士
 15日:摩周岳、16日:雄阿寒岳、17日:白雲山ー天望山、18日:八剣山
 H15年8月17日(日)
  天気;晴
  Member.2人(夫婦)

  【左:天望山(唇山)、右:白雲山】右
 【コ ー ス 】
(捻挫していたのでタイムは参考になりませんが)

登山口5:30〜白雲山山頂7:05-55〜コル8:30〜天望山9:10-50〜東雲湖10:45-11:15〜然別湖畔(旧船着き場)?〜登山口12:35
(所要時間約7時間5分・・休憩含む)


 前日に雄阿寒岳山頂で会った札幌在住の人から良い山だと聞いた山だった。登る予定だった幌尻岳は、台風や大雨で登山道と林道が寸断され、かなり増水してツアーの20数名が自衛隊のヘリで救出されるという遭難があったばかりだった。その為幌尻岳は中止。のんびりモードに入っていた私達は、私の足の捻挫も重なって、すっかり観光気分。

 札幌方面に向かう途中で、距離的にも丁度良いと思い急遽寄ってみたのだが、ここが大ヒット!思いがけなくナキウサギを初めて見ることができた。

 然別湖は大雪山国立公園の南東端に位置する。然別湖畔温泉に並ぶ数件の近代的なホテルやお土産やさんにはびっくりした。そこだけ賑わって、湖面にボートや観光船が入っている割には湖畔周辺が自然のまま残されているようだった。お陰でトイレなどもしっかり設置されていてありがたい。

 山の地図は用意していなかったが、幸い持ってきた薄いガイドブックに載っていたのでそれをザックに入れて湖畔の登山口から登っていった。歩き始めて間もなく、湖畔をまわる道との分岐になり、白雲山への登り道へと向かった。帰りはこの湖畔沿いのハイキング道を戻ってくることになるとは思っていなかった(^-^;)。この時私はまだ、湖畔沿いは舗装道だと思いこんでいたのだ。

 登り始めて、針葉樹の林は心地よく、もう少し時期が早ければ林床にはゴゼンタチバナ、ツバメオモトなどの花が沢山見られたようだ。

左【気持の良い登山道】

 捻挫がまだ治っていないので(当たり前か・・^-^;;)、私がゆっくりと先を行く。この日も静かな山行で、白雲山では若い男女の二人に出会っただけだった。登山道は笹が最近刈り払いされたようで整備されていた。上に行くほどにいろいろ花もまだ咲いており、久々の太陽が木々の揺れる葉に光り輝いていた。しばらくは然別湖もガスで隠れて見えなかったが、空は明るく、歩いている私達がスポットライトを浴びているようだった。気持の良い散策で、尾根の方はダケカンバの林と一面のチシマザサ?が美しい。

左【山頂は一変して岩山】

 回り込むようにして山頂に近づくと、今までの歩きやすい登山道は一変、大きな岩だらけの山となった。その意外性が面白い。先行して先に山頂に到着していた男性から「お疲れ様」と声がかかる。その男性と山座同定などして一緒に話していると、連れの女性が「今ナキウサギを見た」と言う。ウワァー!見たかったなと残念に思いつつ、彼等を見送った後も私達はのんびりとくつろいでいた。すると声だけ聞こえていたナキウサギがひょっこり姿を現した。ラッキー!!大雪では会えなかったナキウサギにここで出会えるとは思っていなかっただけに大感激。10Mくらい離れた場所にいたので写真にはきれいに写ってはいなかったが、かなり長いことそこに居た。

左【この中にナキウサギが・・^-^;】

 ナキウサギだけでなく、そこからは大雪山系も眺められ、三年前の縦走を甦らせてくれた。あの辺りには未踏の山、登りたい山がまだまだ沢山ある。なかなか魅惑的な眺めであった。

 立ち去りがたく、ナキウサギがいなくなるまでそこに居たのだが、その間にはシマリスが岩場を走り抜け、蝶も何種類か飛んでいた。いいな!こんな山行!思いがけなくのどかなひとときを過ごし、良い思いをした。夫もご満悦であった。

 白雲山を下り、然別湖と天望山の分岐のコルに着くと、4人のパーティが休憩していた。ここから先に白雲山をピストンし、そのあと天望山へ行くという。ここから天望山へも私達だけの静かな歩きだった。コルからの登りは白雲山のように笹の刈り払いがされておらず、いきなりの藪こぎ状態ではあったが、岩山ではなく、登山道のまま山頂に着いた。

左【天望山山頂より】

 天望山の山頂も展望は良かった。正面に温泉の建物が見え、然別湖の眺めや遠望が楽しめる。天気が良いというのはそれだけでその山を何倍にも素晴らしいものに感じさせてくれる。カップラーメンを作り、ここでものんびりと山頂展望をじっくり味わった。側にはトンボが飛んでいた。天望山は別名唇山とも呼ばれているそうだ。温泉方面からその形に見えるのだろう。下山したら確認してみよう。

 天望山を下り今度は東雲湖(しののめこ)へと向かった。白雲山で会った男性の話では三大秘湖のひとつだという。さてあとの二つは?分からない・・・。

左【東雲湖】

 東雲湖に着くと少し賑やかになった。最初はガスで隠れていたが、少し待っているときれいに晴れてきた。まるで、カーテンを開けられたような見事な演出!展望場からの眺めは素晴らしい。行ったことはないが、スイスの風景を思わせる。畔まで下りていくと、湖面には植物が茂っていた。きれいな湖面を想像していたのでこれにはちょっと驚いた。展望場に戻るとここでもナキウサギの声が聞こえていた。でも人の多いのが分かっているのか、しばらく居たが姿はついに見せなかった。

 ここから然別湖へ向かうが、東雲湖へと向かう人とのすれ違いが多くなった。ガイドブックには湖畔に出れば船着き場があって、そこから船に乗れると書いてあったが、現在はこちらの船着き場から乗ることは出来ないことになったそうだ。殆どが湖畔の温泉または登山口まで車で来て、湖畔沿いの散策道を歩いてくる人だったが、中には温泉のボート乗り場から手こぎのボートで渡って来ている人もいた。湖面がガスっていたらこわいが、見通しの良い天候ならば気持ちよさそうだ。

 私達はもちろん、湖畔沿いを歩いて帰る。湖面からは少し離れるが、木立の中、ずっと湖を眺めながら渡ってくる風を受けての散策は気持ちが良かった。湖を取り囲む山裾にそって歩くのだから、距離は長かった。ツバメオモトの青い実がいっぱい・・・、自然が沢山残っている。

 湖畔の廃屋が目にはいると登山口は近い。充実した山行だった。このあと車で移動中、車道にいるキタキツネにも出会った。