南ア・北岳(前編) 
(クリック地図) (きただけ3192.4m)
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 いわずと知れた日本第二位の標高をもつ北岳に行ってきました。目的はキタダケソウ。古い時代から咲いている特産種と聞いていましたが、残雪の高地に咲き、時期も梅雨時となれば、なかなか足を向けることができませんでした。思いはいつか叶うもの、思い切って行った甲斐がありました。見事に満開のキタダケソウに出会えました。
H19年6月30日〜7月2日(土〜月)
  天気;曇り時々晴れ、一時雨(最終日雨)
  Member.2人

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む) 

1日目:芦安市営駐車場5:40=バス=夜叉神峠で停滞=バス=広河原(1510m)7:40-7:50〜白根御池小屋(2236m)11:00-20〜小太郎尾根分岐(2840m)14:35〜肩の小屋(3000m)15:15到着、テント泊

2日目:肩の小屋6:45〜北岳山頂(3192.4m)7:20-23〜キタダケソウ自生地7:40-11:00〜北岳山頂11:30-12:00〜肩の小屋12:25-45〜小太郎尾根〜肩の小屋16:20着、テント泊
 
3日目:肩の小屋5:15〜小太郎尾根分岐5:32〜白根御池小屋7:00-35〜広河原山荘9:20(乗合タクシー11:00発)=芦安市営駐車場12:45着
↑ 北岳:広河原登山口より
 標高日本第二位の北岳!sanaeは今回三回目になりますが、トシちゃんは学生の時登って以来約40年ぶり二回目。思い入れがあるのでしょうか、稜線でゆっくり楽しみたいというのが希望で、珍しく平日の月曜に仕事を休ませていただき二泊三日の山行になりました。それでもこの梅雨時のことですから予定は臨機応変、天候によっては一泊で下山のつもりで行きました。結果は予定通り二泊三日となりました。

なぜにこの梅雨空にといえば、目的は特産種のキタダケソウ!まだ見たことがなく、いつかおめもじしたいものと思っていたのでした。それにしても出発前からトラブル、ハプニング、いろいろなことが続出で思い出盛りだくさんの楽しい山行になりました。

 前夜出発し、深夜0時20分頃芦安の市営駐車場に到着。自宅からは3時間ほど。

 5:10始発のバスに間に合わせるべく目覚ましを4時に合わせますがまたもや寝坊^_^; すでに4時半を回ってます。準備がありますので30分後の次のバスに変更です。到着時のガラガラだった駐車場は既に満杯(5:20)。

 当然臨時バスが出るのだろうと思っていたのですが甘かった!トシちゃんは幸い座ることが出来ましたが、あのくねくねとした南アルプス林道を、満員のバスに立ったまま揺られていくことになったのでした。

 バス乗り場で乗合タクシーに乗らないかと声をかけられ、料金100円の違い(バス1000円、タクシー1100円)に迷った一瞬に別の人がタクシー客となってしまったことを悔やんでももう遅い・・・^_^;
 そして出発するや走り出した最初の登りで力が足りずシフトダウンしようとしたようでした。重かったせいか、クラッチが焼けるから・・と、再度やり直すため、後ろ向きのまま又下がって行きます。このバス大丈夫か・・・^_^;

 揺られること約20分、夜叉神峠口で次の異変がありました。なんと落石(土砂崩れ?)とかで通行止め。この日は開山祭で、この夜叉神峠口から広河原まで入れる初日でした。なのに始発のバスもここで足止めになっています。ということは、寝坊のミスはここで帳消し?

 いつ動くか分からない中、皆それぞれにバスの外へ出て、休憩したり様子を窺ったりしています。手持ち無沙汰だったので私も前方に様子を見に行ってみました。と、その時、後ろから腕にトントンとされ、振り向くや「ブログ見てます〜」とにこやかに声をかけられました。もうびっくりです。

 “三脚マンと弱力女の登山日記”の爽やかな若いご夫婦でした。

 最近TiCAさんと平ヶ岳で遭遇したということで知ったばかりでしたが、ブログの力は偉大ですね〜、短時間の間に次から次へと話題が続き、すっかり盛り上がってしまいました(^^♪ 聞けばかつては我が家の身近な所に住んでいらしたこともあったそうで・・・世間は狭いものです。

 待つ間には広河原行きをキャンセルする人もいました。私たちも鳳凰に変更しようかと冗談が出たくらいです。北岳には何回も来ているという三脚マンさんと弱力女さんは以前にも通行止めに遭ったことがあるそうで、その時の話なども面白く、「え〜っ?三脚マンさんが来ると通行止めになるのぉ〜?」とトシちゃんのツッコミが入ります(笑)

 どのくらい停車していたでしょうか、間もなくバスは動き始めました。夜叉神から広河原まではまだ40分かかります。ずっと立ったまま、床やザックの上に座るスペースさえありません。

 たまたま側に座っていた男性が山梨百名山を踏破(【山梨百名山と踏破の記録と写真】)されたということでしたが、最近歩いている山が似通っていたため、話していたらあっという間に広河原に着いてしまいました。定刻より約1時間遅れでした(先発のバスは1時間半遅れ)。

 ここで再び三脚マンさんたちとおしゃべり(お二人も座れなかったそうです)。話はつきませんが、こちらデカザックなので、お二人が用意している間に先行することにします。お若いですからすぐに後から追いついてくることでしょう・・・と思ったらコースが違ったのでした^_^;

 「また山の上でネ〜(^o^)/」

7:50
 予定より約1時間後の出発です。

 前方の空は青空。

 ゲートを過ぎれば左にすぐ北岳への入口。案内図を見ているのはインドの方です。テント場で隣りになったのですが、背負っている緑の袋がテント。大きくて重そうでした。はじめのうちは片言の日本語で話しながら前後して登って行きましたが、彼らは20〜30分毎に休むのでなかなか進みません。いつしか離れてしまいました。一緒に歩いていた単独のインドの方もこの3人と一緒に歩いていましたが、とうとう先に行ってしまいました(最初は4人グループかと思ったのですが、全く違ったようでした。単独の方は肩の小屋泊まりでした)。

 北岳。青空と雲、微妙です。

 吊り橋を渡り、広河原山荘に予め作成してきた登山計画書を提出し、そのまま登山道へ。しばらくは数珠繋ぎ状態が続きます。どんどん道を譲り、私たちはのんびりと登って行きます。

 20分ほどで分岐。殆どの人は大樺沢(おおかんばさわ)の方へ向かいます。私も以前はそちらへ進みましたが、今回は初めて右の尾根道へ。途端に人が少なくなりました。

 今回は肩の小屋に事前に電話で確認し、6爪軽アイゼンとストックにしました。ピッケルは持ってきていません。



 緑がとてもきれいです。下草にはマイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、カニコウモリ、エンレイソウ・・・ワサワサと咲いています。お花はまだ咲き始めなので、これからどんどん咲いてくるでしょう。

【↑ マイヅルソウ】

【↑ ゴゼンタチバナ】

 梯子段が多いルートです。

 人気の山、登山道はさすがによく整備されています。

 ザックは今回二泊三日の装備でお互い22〜23キロくらいですが、まだこんなことをしている余裕が(笑)・・・今のウチですが^_^;

 共同装備は
 トシちゃん=テント、ガス2、ガスヘッド、銀マット、お助けロープ、ラジオ、テルモス、水(飲物以外1L)

 sanae=ツェルト、コッヘル、食料3日分プラス予備食、ガス1、ガスヘッド、銀マット

 行動食は各自。飲物は各2L。

【↑ カニコウモリ】

【↑ エンレイソウ】

 殆どの人が大樺沢に向かったようで、思いがけないほど静かなルートでした。

 2250mほどまで登りつめれば後は小さいアップダウンを繰り返しながらトラバース気味に御池小屋へ向かいます。残雪期は大樺沢コースの方がいいのかも。

 途中、冷たくて気持ちのいい沢を横切ります。水が美味しかった〜♪

 登山道沿いにはニリンソウやズダヤクシュもたくさん咲いています。

11:00
 少し下り加減の道になると御池小屋。数名休んでいました。小屋の周りにはシナノキンバイでしょうか、とてもきれいでした。卵の黄身のような濃い橙色で目をひきます。

 数年前に大雪で潰された御池小屋はとてもきれいに変わっていました。まだ新しい木の匂いがします。ガラス越しに見える室内には早くも今夜の宿泊者のための布団が整然と並んでました。きれいで気持ち良さそう。大の字になってゴロンとしたくなります(^^ゞ

 空いていれば快適でしょうが、シーズンになるとかなり混みあうのでしょう。泊まってみたい気持ちと敬遠したい気持ちが入り混じります(^^ゞ

11:20
 20分ほど休憩して出発。八本歯の方は残念ながらガスっています。

 御池を左に見てそのまままっすぐ進めば二俣で、大樺沢コースと合流し、右俣コースや八本歯のコルへのコースへと続きます。

 この日の時点で八本歯の方は残雪が多く、ピッケルとアイゼンが必要と書いてありました。右俣コースもアイゼンは必要ですが、着けずに歩いていた人もいらしたそうです。慣れた人なのでしょうか。

 私たちは草スベリコースへ。雪渓が見えます。

 途中八本歯の方を見ると青空も見えますが、やはりガスがかかっています。

 雪渓の脇を登って行きます。サンカヨウもけっこう咲いています。

 振り返ると眼下に先ほどまでいた御池が見え、目線の向こうには鳳凰三山がカッコ良く聳えています。アチラから眺める北岳もまた、堂々として素晴らしい眺めのはずですが、山頂方向はこの日見えていないのでしょう。

 夏道をいきます。



【↑ キバナノコマノツメ】

【↑ シナノキンバイ】

【↑ ハクサンハタザオ】

【↑ サンカヨウ】

 広河原から肩の小屋までは約1500m登ります。御池小屋までで約半分登ってきましたが、まだまだ急登が続きます。

 八本歯のコルへ向かう人の姿が小さく見えていました。かなり急です。まだ歩いたことがありません。

 こちらのコースは春♪小さな桜が咲いています。なんと言う桜でしょう?

【↑ ・・・サクラ】

【↑ ・・・サクラ】

【↑ ハクサンチドリ】
 群生しているキバナノコマノツメの中に一本だけハクサンチドリ。残念ながらボケてしまいました。



 登山道に横たわっている木の上で一休み。

14:00
 賑やかな声が聞こえてきたと思ったら、右俣コースとの合流地点でした。標高約2750m。

 イワカガミ。小さいのでコイワカガミでしょうか?よく分かりませんが、濃いピンクです。

 稜線が近くなりました。

 足元を見ながら歩いていると、紫色の石がたくさん目につきます。

【↑ ショウジョウバカマ】
 雪渓が見えてきました。

 雪渓にとりつきます。小太郎尾根の手前、短い距離でした。

 踏み跡がしっかりついているのでアイゼンとストックは出しませんでしたが、まだかなり残っています。二日後、下山する頃にはやや少なくなっているようでしたので、日々早いペースで融けているのでしょう。




14:35
 小太郎尾根分岐着(2840m)。小太郎山の半分はガスの中。

 分岐で小休止します。

 中央の石の上にイワヒバリ。

 此処まで来ればあと一息です。ゆっくりとお花を眺めながら進みます。



【↑ キバナシャクナゲが群生】

【↑ ハクサンイチゲ】

【↑ ミヤマキンバイ】

【↑ チシマアマナ】
 他にもオヤマノエンドウやイワベンケイ、イワウメ・・・・いろいろ咲いているもの、咲き始めているものがありました。

15:15
 テント場に到着。

 着いたらやっぱりコレでしょう♪小屋で買えるのですが、前夜飲もうと持ってきたビール、結局飲まなかったので持ち上げてしまいました。一缶だけですが(^^ゞ

 二人で分け合い・・・って、殆どsanaeが・・・(笑)
飲みながら、先ずはテント設営。喉が渇いていたので美味しかった〜!

 我が家が出来上がるとホッとします。

 懐かしい肩の小屋。ちっとも変わっていません。

 テント場一人500円。水は1L100円。ビールはいくらなのかな?あっという間に寒くなったので補給は無しでした(^^ゞ

 予定より出発が遅くなりましたし、上はガスガスでしたのでこの日の行動はこれまで。今度は我が家の梅酒をお湯割りにして飲みながら、さっさと夕食の支度にとりかかることにします。

 ところでこのステンレスクッカーですが、昨夜急遽ドンキで買ってきたものです。当日支度している時、いつものチタンクッカーが見当たりません。アルミの軽いのも、小さめのステンレスクッカーもありません。いくら捜しても無いのです(泣)先月初めに飛竜で使ったのが最後ですが、どこで無くしたものか、この日まで全く気付かぬオマヌケ^_^;

 山道具屋さんに行く時間が無かったので、とにかく殆ど使っていないアウトドア用鍋を一つ持ち、近くのドンキに寄ってみることに。あったのがこの一種類、1,4キロ(重っ!)。フライパンも含め、チタンの倍以上です。レギュラー2缶余分に持てたナ・・・

 メニューは具沢山のパスタ(好みの味付けにできるので最近多いです)、トマト、キュウリ、豚角煮(温めるだけ)、柿ピー、梅酒お湯割り。

 ウ〜ン、満足!♪


 早めに就寝。翌日へ続きます。いよいよ期待のキタダケソウですが、この夜は雨でした。