今朝も起きるとマイナス2度。前日と同じでしたが夜は冷え込んだように感じました。私はそこそこ眠れましたけど(^^ゞ

 朝食は昨夜のおでんの残り汁とうどんスープを足してうどんでした。
 5時おきの6時半出発。

 横尾山荘の側の登山口から登っていきます。横尾は1615m、蝶ヶ岳は2677m。標高差1062m。

 登りはじめて間もなく、下りてくる一人の男性。ザックも持っていないし、朝のお散歩かな?と思いつつ挨拶すると、思いがけない返事が返ってきました。

 少し上で、頭を怪我した単独男性が横たわっているとのこと。しかも一晩そのままだったと言います。意識はあるとのことですが、今朝はマイナス2度、夜中はかなり寒かったはず。傍らにその男性の奥様が残り、その方はこれから山荘に知らせに行くと、急いで下りていかれました。
 私たちは一先ずそのまま登って行きました。何か手伝えることがあるかもしれません。
【ゴゼンタチバナ】

 木の間から槍ヶ岳が見えたころ、その現場に着きました。
 最初に発見されたご夫婦の奥様が側にいらっしゃいました。ザックを枕にあて、上着をかけてあげてました。最初の状態がどうだったのかはわかりませんが、登山道にすっぽりとはまったように横たわっていました。

 その年配の男性は後から知ったことですがお年は70代半ば。青白いお顔で目を閉じていました。転倒してどこかに打ちつけたのでしょうか、頭に15センチ前後のかなり深い切り傷。寒さが幸いしたものか血まみれの割りに止血しているようでした。意識はあり、お水を少し飲んだと聞きましたので、あたたかいものをとザックからブドウ糖(粉末)を出し、テルモスのお湯で溶かしてその奥さんに飲ませていただきました。「美味しい」と言って、少しずつ飲み、テルモスのカップ1杯ちかく飲まれました。

 意識があってホッとしましたが、雨や雪が降らなくて本当に良かったです。明け方は氷点下でしたから、よくぞご無事で!と思いました。

 切り傷の汚れが気になり、持っていた消毒液を出しましたが、小さな擦り傷程度ならともかく、とてもそれで対処できるような状態ではありません。傷口は大きく、患部は砂などがこびりついたまま乾燥していました。水で洗い流せるほどの量もなく、また素人が洗えるような状況ではありません。とにかく持っていた滅菌ガーゼをあて、未使用の三角巾で覆いましたが、果たしてそれでよかったのかどうか?

 寒い中で一晩過ごし、助かったのは何よりでしたし、寒かったおかげで化膿が抑えられたかもしれません。でも感染症の心配は残ると、後日お聞きしました。

 今回の件で、ファーストエイドについてもう一度考え直さなければと反省です。

 そうこうしているうちに先ほど山荘へ知らせに走ったご主人が戻り、その直ぐ後から山荘の方が救助用の装備を携えて次々に4人登ってこられました。さすがに手馴れてらして、声をかけながら名前を聞いたり、励ましたり、傷を確認したり、着々とプラスティックの大きな雪橇のような物に毛布でくるんでのせ、四方をそれぞれが持ち、私たちにお礼の挨拶までして下山されました。狭い山道、その体制で下りていくのも大変だったことと思います。

 やり取りを聞きながら、当事者は怪我をした自覚がなく、帽子が無いと気にされてました。
 もろもろの事が済んでみれば30分ほどのことでした。

 その時には後から一人の男性が登ってこられ、蝶ヶ岳へ向かう人は我らを含め5人。その一人の男性が最初に登りはじめましたが間もなくその遭難した男性のものと思われる帽子を見つけました。皆さんは横尾には戻らないと仰るので、横尾にテントを置いてきている私たちがその帽子を山荘に届けることに。


 帽子の近くには簡単な木の梯子段があり、流血の痕跡も見られました。段の下には石。しかも上部が刃のように細くなっていましたから、このあたりで落ちたか転んだかして打ちつけたものでしょうか?

 想像ですので、どういう状況だったかわかりません。断片的に、途中で懐中電灯の電池を交換したとか、その前にも転んでいたとか、いくつかお聞きしましたが、単独の怖さを改めて感じた出来事でした。

青空の下に槍ヶ岳と周辺の山並みが広がって
見える場所がありました。



 槍見台。登ってきて最初の休憩スポットかもしれません。私たちはまだ歩き始めたばかりでしたので、槍を眺めながらそのまま通過します

蝶ヶ岳の登りはほとんどがコメツガなどの針葉樹
ほとんど見晴らしが無い中、ここも貴重な槍ヶ岳展望スポット。


 コメツガの根元の方にはナナカマドの葉が色づいていました。
 この日も天気がよく、コメツガの樹林帯の足元にも太陽の光が降り注いで気持ちのいい一日でした。

 木には黄色く登山道を示すマーク。
 雪が深くなると登山道を見失うかもしれないな・・・なんて思いながら登っていきますが・・

 無雪期ならば黄色い○マークあり、ロープあり、間違えようがありません。これが無かったら見回す限り登山道が広がりそうな山容、道迷いが増えてしまいそうです。夏は足元にどんな花を見せてくれるのでしょう。

森林限界を越えるとド〜ンと穂高から槍一望


もちろん、乗鞍岳や雲海に覗く御嶽山も見えます。


穂高の山並みの手前には
昨日登った屏風。
耳も頭もしっかり見えます。


気持ちいい眺め、
気候も穏かでした。


稜線に出ました。
左に行けば三角点、右へ行けば蝶ヶ岳山頂


最初に左の三角点を目指します。
分岐から緩やかな登りで10分ほど。

三角点は登山道から少し外れていますので
知らずに通過してしまう人もいました。


中央奥に富士山。
その左側に八ヶ岳、右側に南アルプス


 穂高と反対方向には浅間山、左側は高妻とかでしょうか?

360度展望
(山頂と言っていますが三角点から)


北側には常念岳
常念の手前の三角ピークは蝶槍


再び分岐に戻り蝶ヶ岳最高点へ向かいます。
展望指示盤の場所から蝶ヶ岳ヒュッテ、その向こうに山頂。


東側に安曇野
右奥が浅間山のようです。

晴れていればあちらからは
常念岳が象徴のように見えましたっけ!


山頂に着いたら救助でご一緒したご夫婦が
ちょうど長塀尾根の方に下山するところでした。

登りでは先に行ってもらった後、
追いつくことも無く、ここでバッタリでした。
三角点には寄らなかったそうです。

お疲れ様でしたと互いにねぎらい、しばし歓談。
その奥様に写していただきました。



二人で気がついたことがありました。
前回、このピーク踏んでない・・・

蝶ヶ岳ヒュッテの前で一休みし、そのまま
三俣へ下ってしまいました。
蝶ヶ岳は2回目ですが、初めてのピークです(^^ゞ

北側。さっきまでいた三角点方向を振り返ります。
ここからも後ろ立山が見えます。
鷲羽岳や水晶岳のようです♪


キレットに丁度橋渡しのように見える雲がポッカリ♪


コンパクトにまとめましたが乗鞍岳の方から常念岳までのパノラマ


 長塀尾根から周回する時間があれば・・・と確認しましたが横尾から上高地の時間を考えると厳しそうです。同ルートを戻ることにしました。

 ここでトシちゃん、「一人で長塀尾根を回ってきたら?先にテント干して待ってるから・・・」って、ア〜タ、さっき単独は怖いって言っていたばかりでしょ(~_~;)
 最後の眺めだから・・・とこの後も何度も写す被写体。この眺めは絵になります。残雪期は最高にきれいでした。




これより樹林帯にはいります。



 登りでも見た眺めですが何度でも名残惜しい・・・
 槍見台。

 もう一度槍見台からの眺め♪
 朝のことを思い出しながら下山しました。

 このあとトシちゃんはテント場へ行き、私は横尾山荘へ帽子を届けに行きました。

 無事に松本の病院へと搬送、入院されたと伺いました。その後その帽子も無事にお手元に届いたと連絡がありました。

 感染症が心配というもののお元気を回復されて安心しました。
 ところが、穏かでなくなったのは我らです!

 テント場に戻ると水の蓋が開いていて中が少し濡れていたとむくれてます。たいしたことじゃないのにナゼにそんなことで怒るかな〜。私のせいとは限らないのにサ!すぐ怒り直球なんだから・・・・

 悲しみに沈むデカザック(;.;)

 テント場はすっかり静かになっていました。


 蝶ヶ岳山頂は相変わらず青空が広がっています。
 横尾大橋のまわりも静かになりました。

 この木も間もなく黄葉。
 テント撤収を終えて。出発は午後2時半。駐車場行きは5時、新島々行き?は6時最終だそうですが、このシーズンですから増発もあるでしょう・・・なんて普通に歩いて行くつもりでしたが、思わぬ起爆剤が注入されてしまいました。

 食料が減ったとはいえ、またまたデカザック。早く歩けるわけがありません。でも気がつけば前に歩いている人を次々ゴボウ抜き。

 徳沢でザックを置いて水分を補給しながらトシちゃんを待っていると、チラリと一瞥して行ってしまいました。 < 無視か〜い!
 またもや起爆剤を注入して貰い?前にいる人をドンドコ追い抜いていきます。

 明神、写真だけ写して通過。


 明神岳、これを写したのはトシちゃん。へぇ〜と冷ややかなワタシ^_^; 帰りはこれだけだったよね〜
 休まず歩き続けて疲れた・・・。さすがに最後の方は抜かれてました^_^;

 河童橋も人が少なくなっていました。

 バスターミナルへはあと少し・・・と思っていたら、いきなり長蛇の列。沢渡駐車場行き最後尾のプラカード。え〜っ!?こんなに並んでいるの?それでも30分待ちくらい。1時間前は1時間以上並んでいたそうです。

 なかなか来なかったトシちゃん、ようやく4,5メートル後ろにつきました。

 ここまで横尾から2時間でした^_^; 


 沢渡温泉は混んでいそうだと通過(気づいた時は通過してました^_^;)。白骨温泉に向かうつもりが乗鞍方面になり、途中で見つけた白樺の庄という宿で外来入浴(500円) どちらも貸しきり状態で極楽気分。良いお湯でした♪

 外はまだまんまるお月様でした♪
 お風呂から出ればお腹が空きます。早々に近くのお店へ。Abbey Road(アビーロード)という、最初は何屋さん?という感じでしたけど中は和洋食屋さんのメニューでした。

 とんかつ定食にしたら、山帰りに嬉しいボリューム満点。下山後二人前はいっちゃうヨ〜なワタシですら全部は食べきれず、トシちゃんに食べて貰いました。もっとも生ビいっちゃいましたけどね、私だけ^_^;

 お店の方(女性)も昔は山に登っておられたそうで、話が盛り上がってしまいました。
 途中のPAで仮眠してETC割利用。無事に帰宅です。終わりよければ全て良し!ですかね^_^;
 

北ア:涸沢〜蝶ヶ岳(3日目:横尾〜蝶ヶ岳〜横尾〜上高地)
(からさわ2309mクリック地図 〜びょうぶのみみ2565.4mクリック地図〜ちょうがたけ2677mクリック地図

 横尾から蝶ヶ岳、長塀山(ながかべやま)と周回コースをとろうとしましたが、前日涸沢周回で充分満足した我らは蝶ヶ岳すら、登らなくていっか〜のノリの悪さになっていました(笑) でも朝発を遅めにしてゆっくりとピストンしてこようと出発したのですが思わぬ出来事に遭遇。その後予定通りの山行で晴天の山頂展望素晴らしかったです。
 H20年10月11-13日(土〜月)
  天気;快晴
  Member.2人(トシちゃん&sanae)

【コ ー ス】(〜は歩、休憩含む。・・・時間は所要時間) 
1日目:沢渡p⇒上高地バスターミナル8:30〜明神9:28-35〜徳沢10:25-35〜横尾キャンプ場11:28(テント泊)・・・3時間

2日目:横尾キャンプ場4:25〜本谷橋5:30〜涸沢に約3時間(小屋分岐7:15〜ヒュッテ7:26-30〜小屋7:50-10:00〜ヒュッテパノラマ分岐10:25)〜屏風のコル11:30〜遭遇11:40(20分くらい立ち話)〜屏風の耳12:14-13:28〜サイの河原13:40?〜屏風のコル13:56〜横尾キャンプ場16:35・・・約12時間

3日目:横尾キャンプ場6:32〜(遭遇6:55〜7:25頃)〜横尾分岐9:50〜三角点9:58-10:16〜分岐〜山頂(最高地点)10:50-11:30〜分岐11:50〜横尾キャンプ場13:20-14:25(テント撤収)〜徳沢15:10〜明神15:52〜河童橋16:30〜バスターミナル(約30分待ち)17:00頃発⇒沢渡p・・・約10時間

↑ 蝶ヶ岳山頂