尾瀬・燧ヶ岳
 (ひうちがたけ2356m)
  四度目の至仏山と燧ヶ岳へ。 燧ヶ岳ではシャクナゲがきれいだった。
 キヌガサソウが丁度見頃に咲いていた。 初めてナデッ窪コースを下山。

 H15年7月29日(火)
  天気;曇りのち一時雨
  Member.2人(姉と)

  【燧ヶ岳:前日尾瀬ヶ原より】右
 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

下田代十字路4:50〜分岐5:00〜柴安くら8:20-9:05〜俎くら9:25-45〜分岐10:00〜沼尻平11:55〜沼尻休憩所12:00-50〜富士見峠分岐13:35〜三平下14:00-40〜三平峠15:00〜一ノ瀬休憩所15:45-55〜大清水16:35
(所要時間約11時間45分・・休憩含む)


 今回は石原軍団ならぬ我が石原一族が集まって尾瀬に行くことになった。日頃、母を尾瀬に連れていってあげたいと夫婦で話していたのだが、私達同様山歩きを楽しんでいる姉も一緒に行くことになり、更には弟一家も加わり、全員で8名になった。足腰の弱っている母と、体の丈夫でない妹も一緒で、行動はその日によってそれぞれ分かれたが、往復や宿泊など共に行動することは思い出深いものとなるだろう。ここに兄が加わればまさに親兄弟全員集合だったのだが、今回生憎不参加だったのが残念ではあった。
 日程は混み合うのを避け(避けたつもりだったが・・・)、仕事を休んで平日に宿をとったため、日曜はウォーミングアップを兼ねて途中の榛名山掃部ヶ岳に寄り、そのあと尾瀬へと向かった。
   (一日目27日:榛名山掃部ヶ岳、二日目28日:至仏山、三日目29日:燧ヶ岳

 下山して、こうして振り返るとまた登りたくなる妙に懐かしい山だ。姉はもういいと言っていたが・・(^o^)。

左【今生の別れになるかもと記念写真】

 まだ暗いうちに起き出して、仄白く開け始めた頃、夫の見送りを受けて出発。その直前、数十名の団体2,3グループが出発していた。少し間を開けてもあの人数では追いついてしまうだろうと思っていたが会わなかった。彼等は燧ではなく尾瀬沼の方に行ったのかもしれない。装備は皆軽いナップザックだった。

左【見晴新道へ】

 姉の歩調に合わせて分岐から見晴新道へ向かったのは5時。朝食のおにぎりは前夜小屋で用意して貰った。しかし姉は、登りの途中で食べるとその後の登りが辛いと言うので水分補給のみ。くぅくぅ鳴るお腹をだましだまし登っていく。どこが見晴新道だい!と言いたくなるほど見通しのきかない登山道をひたすら登っていく。早くも姉は飽きたようだ。樹林の隙間にみえる空に騙されて、もうすぐだろうと健気に登っていく。だから私は何も言わない。その方がきっと姉にとって幸せ!(^-^)

左【ジョウシュウオニアザミ?】

 時折当たる霧雨状の冷たいものは、揺れた木から落ちるしずくのようだ。時節柄蒸し暑いその登山道もお陰で涼しく気持ちよかった。振り返ると時々樹間のガスの切れ目から尾瀬ヶ原がのぞくようになると、それも登る励みになった。至仏山のような花もなく、時期的に端境期なのか、マイヅルソウやゴゼンタチバナ、ミゾホオヅキ、ツルリンドウ等・・少ない。

左【がんばれ、がんばれ!】

 やっと山頂が見えてくると姉も張り合いが出たようだった。その頃になるとシャクナゲの花が増えてきた。間もなく見通しの良い場所に出るが、ガスがかかって尾瀬ヶ原と至仏山が見え隠れしていた。山頂まであとひと息だが、チョコレートだけ少し食べて進んだ。姉のペースは落ちてきたので心配したが、「疲れてない、大丈夫よ、足が上がらなくなっただけ」と元気な声が返ってくる。う・・・ん、それって疲れてるってことなんだけど・・・。でも休んだ方がかえって登るのが辛くなるのを懸念して、十数歩登っては立ち止まるのを繰り返しては頑張って登っていった。山頂近くでは思いがけなくハクサンフウロやシャクナゲなどがきれいに咲いていた。

左【ヤッター、柴安くら山頂】

 途中で竜宮小屋の男性に抜かれたが、無事柴安くら山頂到着。彼は1時間ほど早いコースタイムだったようだ。その後にも若いハーフの女性が脅威的な早さで山の鼻から登ってきていた。山頂にはその後にも数名登って来たが、静かな山頂だった。ガスがかかり展望の無かったのは残念だったが途中で見えたから良しとしよう。すっかりお腹が空いた私は小屋で作ってもらったおにぎり弁当をぺろりと全部平らげてしまった。長袖ブラウスと合羽も着込んでいたが、休んでいる内にすっかり寒くなって、ようやく俎くらへ。

左【柴安くらから前方の俎くらへ】

 急な下りを下りながら、昨年残雪のここを緊張して下ったのを思い出す。下りきってまた登り返すが、その俎くらの山肌にはシャクナゲの花がいくつもきれいに咲いていた。晴天ならば素晴らしい展望の俎くらだが、ここもガスで残念だった。

左【キヌガサソウと姉】

 ガスが晴れるのをしばらく待ったが駄目だったので諦めて下山。ここから私が先に行く。もしやと期待していたキヌガサソウが丁度満開で嬉しかった。ナデッ窪分岐の近くにはまだ雪渓が残っている。もちろん登山道には残っていない。

左【ナデッ窪:気をつけて・・】

 ナデッ窪コースは私も初めてだった。エアリアマップには「大きな岩がゴロゴロした急坂つづく」と書いてあり気後れしていたのだが、ダラダラ歩きの長英新道より一気に下りたいという姉のリクエストだった。もう一つ、沼尻でお蕎麦を食べるのも姉の希望だったのだが今年は休業中とのこと。私もいつかは食べたいと思っていたから残念だった。

左【ナデッ窪から尾瀬沼】

 確かに岩がゴロゴロしていたが、石が濡れていなければ比較的気楽に下りられる。慎重に下りてくる姉を時々待ちながら下山していると、途中タケシマランを見つけた。ここもお花が少なかったので、これは嬉しかった。やがて垣間見えてくる尾瀬沼を眺めながら、もうすぐだと思ったが、意外やなかなか辿り着かない。

左【タケシマラン】

 母達のペースがどうなのか気になったが、携帯が圏外なので連絡をとることは出来なかった。咲き終えた水芭蕉の湿原が出てくると間もなく沼尻平だった。広がる湿原に木道が尾瀬沼の方にすっとのびている。沼尻休憩所の周りはニッコウキスゲがきれいに咲いており、人も多かった。朝見た団体さんかな?私達がそこについた頃には出発したようで、いくらか空いていた。

左【沼尻平】

 尾瀬のトイレはチップ制になっている。尾瀬ヶ原は100円だったがここは200円だった。ここも洋式水洗できれい。

 休憩所で文字通り休憩。大福120円、ドーナツ150円、コーヒー350円。どれも美味しかったし、安いと思った。ここでお土産に手拭いを買った姉が「宅急便は頼めるの?」と聞いている。店のお兄ちゃん、思わず目が点!私も思わず吹き出した。「宅急便の事を聞かれたのは後にも先にもお客さん(姉のこと)だけでしょう・・・(-.-; 」

 休憩所から眺める沼の風景はとても良かった。なぜか写真を撮り損ねたが・・・。湖面から吹いてくる涼風も心地よく、つい時間を忘れてしまうほどだった。

 そして三平峠へ出発。途中富士見平への分岐があるが、当初姉はここを行ってみたいようだった。しかし時間的に無理なので今回は見送り。そのうち雨となった。

 沼の対岸は霞んで見えなくなった。手前の湖畔(沼畔?)を眺めながら木道をひたすら歩くだけだが、その静けさは嫌いではない。雨の中やってくる人も何人かいたが、気になるのはそれぞれ十分な雨具を着けている人が少ないことだった。ビニール合羽を着ている人はまだ良い方だ。傘をさすのも尾瀬ならば用が足りるだろうからまぁいいかもしれない。でも透明の45Lポリ袋で足を覆ったりザックにかけたりしている人がいるのには驚いた。山荘の人が見かねて「合羽がありますよ」と声をかけてもいらないと言う(合羽の値段は知らないが、ビニール傘は300円で売っていた。安い)。翌日も雨の予報だけれど、もし風が強ければひとたまりもないだろうに・・。もちろんスパッツとて着けているわけではない。そんな人が何人かいた。そして午後2時をとっくに過ぎているというのに雨の中これから温泉小屋に行くという年輩のご夫婦。単純に計算しても3時間以上かかる。目が悪いんですよと笑っていたけれど、無事に明るい内辿り着いたのだろうか?

左【三平下】

 三平下に着いたとき、私達も予定より時間がかかっていた。休憩時間をとりすぎている。ピットでの燃料補給に時間がかかりすぎているのだ。携帯はまだ繋がらないから夫達と連絡がとれない。それでも三平峠まで登れば大清水までは後2時間程・・。

左【ここも木道と階段ばかり・・】

 さて、三平峠から一ノ瀬休憩所までの登山道は殆ど木道と木の階段で整備されていた。いつの間に?と、これもびっくりだった。木道に慣れていない姉は雨で濡れているから尚更慎重に歩いている。これだけ造るのはさぞや大変だったことと思う。費用もかかっていることだろう。でも自然の道が殆ど無くなってしまったのはガッカリだった。登山道のままでも滑りやすかったのかもしれないがオーバーユースゆえの選択だろうか。

左【一ノ瀬休憩所】

 やっと一ノ瀬休憩所に着いて、そこから長い林道になる。少し休んでそのまま通過しようとしたら「氷ちょうだ〜い」と姉の声。え?また食べるんかい(@.@)と思いつつ、美味しそうに食べるどら焼きを私もひとつ買ってしまった(^-^;;

 とりあえず、ここまでくれば心配ないだろうからと、どら焼きを食べながら私だけ先に行くことにした。とにかく夫達と連絡をとらなければ・・。急ぎ足で行き、それでもヤマオダマキなど見つけると写真を撮ったりした。ヨツバヒヨドリやウバユリなども咲いていた。途中で先行のご夫婦を抜き、ふと思いついて携帯を開いてみると、圏外ではなかった。そして電話は繋がった。もっと早く気がつけば良かった・・

左【大清水に到着】

 夫は母と昼頃には着いたという。弟たちも少し前に到着しているという。ようやく連絡がついて、互いにほっと一安心。大清水まで迎えに来てくれることになった。立ち止まって留守電を聞いたりメールをチェックしていると姉の呼ぶ声が聞こえてびっくり。姉も急ぎ足で追いついてきて、一緒に大清水へ。そこからは近かった。少し待っていると車がやってきた。

 全員車に乗り合わせると、それぞれのコースの話で車中賑やかになった。三条の滝まで行った弟と甥、妹と姪は尾瀬ヶ原散策、そして母達は母が思いの外元気に早く歩けたと、それぞれが楽しそうであった。笑いながら「山なんかもう行かないよ」と言いつつ熊鈴を捜している弟!その顔はもう、山にはまったと言っている。