信州・鳥甲山
 (とりかぶとやま2037.6m)
 ニッコウキスゲが満開

 H13年7月7日(土)前夜発
  天気;快晴 
  Member.2人(夫婦)

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

登山口5:40〜(休憩7:00-10)〜白くら8:10-25〜分岐9:30〜鳥甲山山頂9:35-10:20〜(休憩11:20-35)〜赤くら11:55〜屋敷登下山口13:00-15〜(自転車10分、歩き22分、車3分で、入山登山口着13:50-55)=(車で屋敷登山口に戻り14:10着)
(登山口から下山口までの所要時間約7時間20分・・休憩含む
 林道所要時間往復で55分、ただしこれは参考にならない
 徒歩で戻った場合1時間40分だったとのこと)

【鳥甲山、R405より】右


 数日前に山の悪友から声がかかった。しかし目的地がかみ合わずなかなか決まらない。木曜日の夜になってようやく8日(日)、佐武流山に意見が一致した。それならばせっかくだからと私たちは先に行き、前日をその向かい側にある鳥甲山にあて、下山後津南駅で待ち合わせることにした。

 金曜日17時、仕事を終えた後すぐ出発。混む時間とは分かってはいたが、環八で2時間半はやはり参る。登山口まで約7時間、関越を使っても遠い。

 コースは白くら側から山頂へ、赤くらを経て屋敷側へ下る周回コースをとることにした。車の所までもどる林道歩きが長いため、自転車を積むことにした。初めは1台で一人が取りに行けばいいと思っていたが2台積めたので2台にする。これが後で幸いすることになった。

 自転車をこぐ労力を思えば反対コースの方が良かったのだが、白くら側の方は下りに適さないようであったため、屋敷の方へ自転車2台おろし、登山口へと向かった。到着は0時45分。

 前夜遅かったため起床は5時。5,6台は置けそうな駐車スペースに、4駆が1台停まっていた。主は既に出発しているようだった。天気は快晴、昨夜もっと早くに到着していれば5時頃には出たかったが、やむを得ない。私たちも支度をし、登山カードに記入して5時40分出発。その頃1台の軽トラが到着、男性2名が後続してきた。一度道を譲るが、その後休憩中に先に進んだ。

 登山道は整備され、歩きやすいが、徐々に登りがきつくなる。あそこまで行ったら休もうと言いつつ、 何回もピークが目の前に現れ、その都度通り過ぎて行った。山の形が扇子を広げたようで、その上を歩いているような感じに思えた。恐怖心をややあおる場所があるものの、気持ちのよい稜線歩きだ。両側が切り立って見晴らしがよい。振り返っては翌日歩く予定の佐武流山方面を眺める。アレが佐武流のピークだろうと思われたのはどの辺りからだったか・・・。

 細い道で、ガレた場所やしっかり固定できていない梯子、ロープの場所などあり、昭文社のエアリアマップに「登山は一方通行がのぞましい」と書かれているのが納得できた。鳥甲山で検索したとき、所要時間がエアリアマップよりはるかに皆短い事に気がついていたが、思いがけなく早い時間に白くらの標識を見たとき驚いた。私たちのペースが速いわけではない。地図の制作時は道がもっと整備されていなかったのだろうかと首を傾げる。

 白くらの場所は通りすがりの通過点にひょいとある感じだった。見通しのよい場所ではなかったので、涼しそうな場所まで少し下って休憩。

 これから行くカミソリの刃というのはどんな場所だろうかと話しながら先に進んでいく。左側には北アルプスが一望でき、遠く槍まではっきり確認できる。右側には苗場や八海山方面が望め、これらの展望に大感激!苗場方面の山頂のやや下には雲海が広がっていた。

 やがて「おー、こぇ〜(怖い)」と、先を歩く夫の声。右側が切り立っていて、吸い込まれそうだ。右にトラロープ、左の木などに掴まりながらそこを通過すると、トラロープを縛り付けてある木が根元から折れていた。思わず青くなるところだが、再び夫の「おー、こぇー(怖い)」で、そこは無事通過した安堵感、笑ってしまった。後続者もきっと左側に木などあるから大丈夫だろう、とそのまま通過。

左【山頂近辺のニッコウキスゲ】

 頂上に近づくにつれ、ニッコウキスゲが見えてきた。ヤマツツジも見頃。正式な名前は定かではないが、ハクサンチドリやウスユキソウ、アザミ、アカモノ?、グンナイフウロ(タカネグンナイフウロ?)、ウラジロヨウラク?サラサドウダン?など。勉強不足で確信持てないのが残念だが。途中ではゴゼンタチバナ、マイヅルソウなども咲いていた。

 写真やデジカメで写したりしながら花の中をゆっくりと山頂に向かっていくのはとても気持ちよくて嬉しかった。分岐から山頂までの距離もあっという間だった。山頂は低木で囲まれ、やや視界が遮られるものの、立ち上がればやはり北アルプスも上越の山々も見渡せる。既に先着一人すっかりくつろいでいた。同じ登山口から登った先行者だった。同ルートでも共通した思いと山頂の展望、恵まれた天気などで思わず話しが盛り上がる。横浜の方で、我が家に近い所に住み、年齢も夫と一つしか違わず、思わぬ方に話しは展開していった。山歩きはまだ4年ほどでその間毎週のように歩いているそうだが、きっかけはリハビリだったという。背骨の圧迫骨折だったということだったが、すでに30キロのザックを背負って北アルプスを7泊8日で歩いているというから凄い。

 30分ほどして、後続の男性二人がやってきた。年輩の男性と若い男性の二人で、年輩の方は地元の人らしく、ここの山頂の標識を持ち上げたお一人だという。一同感謝のお礼を言って、その時のお話など少し伺った。

 間もなく先に下山することにし、私もザックの脇にくくりつけてあるストックを使うことにした。準備している間に先着の男性が先に下っていった。膝を痛めているから下りはゆっくりで・・・と言っていたが、私たちが追いつくことは無かった。しかし後ほど思いがけず温かい人情に触れることになる。

 下山直後は展望の良さを味わえると思ったが少しずつガスがかかってきた。足下に注意しながら下りていくと若葉の綺麗な樹林帯になり、展望は利かなくなってきた。同じパーティかどうか分からないが、途中で登ってくる登山者数名に出会った。他にはもう出会うことはなく、静かな山行であった。しかしこちらからの登りもまた大変だ。何より下るのに気を遣う急坂だ。近頃使い始めたストックが大いに威力を発揮する。

 赤くらまでの距離が長く感じられた。下りではいつも休む回数が少ないのだが、今回は急な下りで足を痛めてはいけないと思い、早めに小休止。気温が上がったのか、風もなく蒸し暑くなってきていた。再び歩き出し、赤くらの標識を見逃して、先に進んでいるのだろうと思っていた頃赤くらの標識が現れた。ひょっとして、これから目の前の山を越えるのか?と思わずギクッ!しかしそこから登山道の角度が変わり更に急な下り坂になった。うーむ・・・ここは屋敷山鞍部ではないのか?高度計を持っていないため確認できないのだが、疑問が残ったままぐんぐんと下りていった。もう一回休んで後は一気に下る。やはり思った以上に早い時間に登下山口に到着、通常の登山口と思われる場所より少し位置がずれていた。前夜登山口を確認したとき草が両サイドにせまって、これが登山道?と思ったのだが、なぜかその少し先の石塀の切れたところから迂回路が出来ていたわけだ。これではこちらから登る人には分かりにくいだろう。

 林道に着いてホッとし、流れ落ちる沢水で顔を洗いひとまずさっぱりする。右に行きちいさな新しいトンネルをくぐったところに林道の分岐がある。そこに置いた自転車を用意し、出発しようとしたら夫のMTBがパンク。昨日ぱんぱんに空気を入れたのがいけなかったのか、暑かったからか、老朽していたゆえか、とにかく私のママチャリ1台で車を取りに行ってくることになった。誰が行くか・・・あ〜わたしですか・・・

 しゃーない、じゃぁ行って来ますか・・・颯爽と?気持ちよく冷たい風を受けて走ったのは約10分。ギヤをローにして登り始めたがさすがに長くは続かない。歩き、平坦と思われるところで何度か乗るが、やはり登りは登り、ちっとも進まない。諦めて引いて歩き出した。既に汗びっしょりだ。歩き出してから20分ちょっと行ったところで前方から来た車がハザードを出して止まった。もしやと思ったら案の定、山頂で会った横浜の男性だった。山頂で、自転車の事は話してあったのだが、ほとんどが登りになるこの林道を大変と思って迎えに来てくれたのだった。感謝、感謝、お気持ちがとてもありがたかった。自転車をそこに置いて、遠慮なく乗せていただいた。車に乗ってしまえばホンの数分だが歩けばそこそこある距離だった。

 その男性は駐車場で荷物を片づけた後この日の内に帰宅するということで帰っていった。また出会う機会があるだろうか?その後、車で途中置いた自転車を回収しながら屋敷へ戻り、荷物を積み込んでから切明温泉、雄川閣(ゆうせんかく)へ。300円、シャンプーリンス、ボディシャンプー、ドライヤー等あり。露天風呂あり、ただし離れているので着替え直す。

 温泉を出た後、津南駅へ。明日の佐武流山へ一緒に行く山仲間を迎えに行く。