小海線沿線・天狗山〜男山
 (てんぐやま1882.1m・おとこやま1851.3m)

 山頂から360度、落葉松の錦秋がすばらしい
 そして展望も最高!
 八ヶ岳や南アルプス・富士山・秩父など一望

 H16年11月7日(日)
  天気;晴れ
  Member.3人(娘と)

右写真【男山(左)から天狗山(頭だけ見える)】


 【コ ー ス 】(〜は歩、休憩時間含む)

須玉IC===大深山遺跡駐車場(テント泊)===馬越峠6:25〜分岐7:05〜天狗山山頂7:25-40〜大深山遺跡分岐8:00〜(休憩8:40-45)〜男山山頂9:35-11:40〜天狗山山頂13:30-14:10〜馬越峠14:50===たかねの湯===須玉IC
(所要歩程時間約8時間30分くらい・・休憩計約30分及び山頂休憩計3時間含む)


 今回は娘と三人で山歩き。近頃は仕事で毎日のように遅いのだが、それでもこうしてたまには「つきあってあげる」と言ってくれるのが嬉しい。丁度この時期は八ヶ岳周辺の落葉松が色づく頃だ。今も忘れられないのは3年前の男山からの展望。これを娘にも見せてあげたいと思い行くことにした。土日休みでも土曜は用事があるというので出かけるのは夕方になった。

 中央道にのり、須玉ICを出て清里方面へと向かう。ナビに逆らって道路標識にしたがって進んでいった。夫婦だけだと話が盛り上がらないが、娘がいると(起きていればだが・・)会話に弾みが出て賑やかになる。とりとめのない話をしながら(主に聞き役で)目的地へと向かった。登山口は馬越峠だが駐車スペースは少ないので、手前の大深山遺跡の駐車場でテント泊することにした。ここは以前、別行動の山仲間が男山から天狗山に縦走したとき利用した所だった。スペースは広い。この晩は私達だけだった。

 大深山遺跡の駐車場には8時過ぎに到着し、テント設営後夕食の準備。豆乳鍋を作りながら、途中のコンビニで買ってきたビールと家から持ってきた梅酒で乾杯。食後、広々としたテントでぐっすり眠ったのだった(22時頃)。

 翌朝は5時起床。テント撤収後すぐ馬越峠へ移動した。車は数台しか置けないが、まだ一台も停まってはいなかった。これならここでテントを張っても大丈夫だったね、などと話し、それぞれ朝食をとりながら支度を済ます。

左【最初から急登だ】

 東の空が明るくなる中、登山道へと歩き出した。夫を先頭に娘、そして私が後からついていく。初めから急登なのに、明るく話し続ける娘の乱れぬ呼吸は何なんだ!朝早くから夜遅くまで仕事に出て、いつも寝不足なのにたまにつきあってくれる娘の元気なこと。山はキャリアではなく若さだと思い知るが、「でもキャリアがあると歩き方とか上手だよね」なんてフォローをいれてくれる。あぁ、この子は社会で育てられているなぁとこんな事で喜ぶ単純な母である。

左【気持ちよい尾根道】

 尾根筋に出るとしばらく緩やかな登りで、落葉した雑木林が続く。射し込む朝日が顔に柔らかく注がれている。山なればこその早起きの感触が心地よい。娘の話し声が聞こえるだけで若やいだ雰囲気だ。夫婦ではこれといって話すことも無い。娘には「いつも私の事を話したりしているの?」なんて聞かれるけれど、「それはないね^^」と答える。山では暗黙の了解で、子供の話や仕事の話はあまり話さないようにしている。ついつい気がかりなことなどが思い出され、荷物より気が重くなってしまうからだ。話すとしても笑えるような軽い話ばかり。それを聞いて「それいいね!」と娘が言っていた。頬を膨らませ、口を尖らせるほど娘はもう子供ではなくなったということか。それにしても普段、夫婦で話さなければならないことも話さなくなったなぁ・・とも思える昨今ではある。現実逃避は山から里へと紅葉前線進行中・・(落葉か・・^o^;;)。

左【コワイよぉーと言いつつピース】

 所々に岩場やヤセ尾根があり面白い。そういうところは相変わらず苦手な娘だった。今回は同ルートを下山するものだから「アァーン・・下りがコワイよぉー」と言いながら通過していた。それでも前方の天狗山を目指して徐々に高度を上げていく。慣れてくると先に行き、その姿はすぐに見えなくなった。

左【山頂はもうすぐ】

 以前御座山(おぐらやま)に登ったのは1999年のシャクナゲが咲く頃だった。その後そのままこの天狗山に来たものだから、夫はバテてリタイヤ。途中休憩しながら待っている間に、私だけ山頂までピストンしてきたのだった。休憩していたその場所から山頂までは近い。もう目の前だ。

左【天狗山山頂より男山(手前)と八ヶ岳(奥)を望む】

 山頂は狭いが360度の展望。すぐ北側に御座山が在り、目指す男山の向こうには南北に連なる八ヶ岳がきれいに見える。雪はまだ被っていなかった。左側には南アルプスの山々が並び、北岳や農鳥、間の岳辺りは山頂部分が白くなっていた。少し休んでから下っていくと登山道は途中から思いっきり左の方に向きを変えた。間違ったかと少し戻ってみるが間違ってはいない。間もなく確実にUターンして男山の方に向かっている。コメツガなどの林の中をどんどん下っていった。この時はあまり展望がない。

左【小さい子はちょっと無理かな?】

 ほぼ下りきったところに大深山遺跡方面へのルートが左下に向かっていた。そちらの方がしっかりしていてうっかり娘が行きかけてしまった。左に行かず、そのまままっすぐ尾根沿いへと進む。国土調査補助三角点を通過してからもう一度大深山遺跡への分岐があった。この先の男山山頂で後から来た人が、このいずれかのルートを登ってきたそうで、その登山道はあまり歩かれていないようだと言っていた。その分岐には、岩場があり危険なので父兄などの引率者なしの小学生以下は遠慮するようにと立て看板があった。たしかにちょこちょこ岩場があり、ロープのあるところもあった。

左【気持ちの良い稜線】

 再び落葉した林の尾根伝いを緩やかに登っていく。気持ちいいが、この緩やかな登りが案外きつく感じるところもある。相変わらず岩場ありヤセ尾根ありだが、展望が良く気持ちの良い稜線だ。雨やガスの出ているときは歩いても面白くないだろうし歩きたくもない。

左【男山:マック?】

 前方に見えているMマークの山頂!男山だ。「マックが食べたくなった」と娘が言う(^o^)。以前登った広瀬側の分岐に気付かず(復路わかった)、川上側からの分岐を通過してひと登りすれば男山山頂だ。娘が一番乗り。まだ誰もいなかった。この山ももちろん360度の好展望。ここから山麓の落葉松を見たくて来たのだ。落葉松の錦秋、かすかに靄って前回ほどではなかったが、今回も見事な眺めだった。南側の奥秩父瑞牆山の右側に冠雪した富士山が見えた(30分ほど後には雲で見えなくなってしまった)。一週間ほど前のスッキリしたお天気だったら最高だったかもしれない。娘は落葉松よりも富士山を見て満足していた。さぁ!山頂ではゆっくりしよう!静かな山頂で思う存分この眺望を堪能しよう!と、ザックをおろした。

左【山頂で2時間のんびり!】

 山頂は風もなく、日射しが暖かかった。山頂からののんびり展望が目的だったので、食事をしながら2時間たっぷりいた。こんなに長くいるのは珍しい。ポカポカ陽気に娘はそのうち銀マットを敷いてスヤスヤ眠ってしまった。その間に山頂は徐々に人が増え賑わってきていたが、富士山を見ることができたのは私達だけだった。この山頂には時々訪れたいと思う。秋良し、シャクナゲの咲く頃も良さそうだ。今回霧氷を見ることはできなかったが、それもまた趣があったっけ。

左【下りも楽しい♪】

 充分堪能してから同ルートを下山。面白いコースだったので二度歩いても苦にならない。同じ道が二度美味しいと思える登山道だ。岩場の下りが苦手な娘はイヤだなぁと言っていたが、往生すると可笑しそうに笑いながらむしろ面白がっていたようだ。

左【下りも楽しい♪♪】

 天狗山に登り返しているとき、山頂の方から声が聞こえてきた。いままで登山道では誰にも出会わず気分良く静かな散策を楽しんでいたのだが・・・^^;。

 後ろを歩いている夫の姿が途中から見えなくなった。山頂から数名がロープを伝って下りてくる間も急がず待っていたのだがなかなか来ない。ひとまず人の途切れたところで一旦登り、ご来光を、いや夫の頭の見えるのを待っていた。そこはもう天狗山山頂まで1分とかからぬ場所だったが、いくらか下の見通しが利く。娘と話しながら待っていたがあまりに遅いので、様子を見に行こうとしたら私の携帯が鳴った。「落ちた?」と思わず声を出して電話に出ると切れてしまった。かけ直そうとしている間に娘の方の携帯と繋がった。腕時計を無くしているのに気付いて、休憩した所まで戻ったという。そこまでは腕時計をしていたというのだが、戻る間見つからなかったそうだ。ひとまず安心して山頂で待つことにした。

 山頂で単独の人としばらく話していたが、まもなくその人は下山していった。二人になると娘はまた眠ってしまった。最初から天狗山山頂でロング休憩をとろうと思っていたが、思わぬハプニングで40分以上時間を潰しただろうか。ようやく山頂に着いた夫が捜した様子を、息づかいの荒いまま話すので娘と思わず笑ってしまった。結局時計は見つからなかったそうだ。山頂で夫が一休みしたあと、下山。あとは下るだけだ・・とホッとした声で今度は夫が先頭を行く。

 馬越峠に戻ると朝と同じ、我が家の車一台が停まっていただけだった。男山から下山した人達の車はもうタクシーで回収しに来たようだ。山頂にいたとき「一緒に下山して回収しませんか?」と声を掛けて貰ったのだが、「時間はあることだし、歩いて戻るから」とお礼を言ってからお断りした。面白いコースだったので、同ルートを戻ることはイヤではなかった。いつもならそのまま下りたいところだが、今回はむしろ楽しかった。

 車に乗って峠を下り、見通しの良いところでもう一度写真を撮ってから温泉へ。たかねの湯に寄って、食事をしてから須玉ICに入った。渋滞30キロ!帰宅は22時半頃になった。