小海線沿線、信州川上・男山
(おとこやま1861.3m)
 360度の素晴らしい大パノラマと見事な霧氷

 H13年11月4日(日)前夜発
  天気;晴れ
  Member.2人(夫婦)

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

広瀬側登山口8:00〜男山山頂9:55-11:15〜分岐11:25〜広瀬側登山口12:40
(所要時間約4時間40分・・休憩含む)

  【西側から見た男山】右


(注)今回正式な登山道を通っていないようなので、ノーマルなタイムではありませんが、参考程度にしていただければ幸いです。

 以前天狗山には登ったのだが、時間が足りず、男山までは行くことができなかった。それで今回は近くに来ていることだし、せっかくだから是非登りたかった。夫は棒道だけのつもりだったので、「え〜っ・・・」と絶句。しかし 前日の雨が残ると思って、棒道のハイキングだけにしようとした。それならばと棒道に詳しい多賀さんのペンションに泊まりたいと思い、電話をしてみた。突然のことで、食事の用意が出来ないというので残念ながら断念。仕方ない。朝の天気の具合で判断することにし、前夜のうちに男山登山口へと向かった。

左【男山登山口(広瀬側)】

 信濃川上駅の前を通り、黒沢橋を渡る。そして数メートル先の男橋を渡れば、登山口は間もなくのはず。車のスピードを落として暗闇の中、目をこらすが、それとおぼしき場所がない。峠で引き返そうと思ったが、そのまま麓まで行ってみる。やはりない。もう一度戻ろうと方向転換を仕掛けたところで、男山と書かれた標識が目に入った。たしか広瀬橋という場所だったと思う。こちらからも登れるのかと思ってその指し示す方に行ったが、まるで民家の軒先を通るような道で、走らせながらも不安だった。そして小海線の踏切を渡り、舗装された林道を道なりに登っていくと、再び「男山」と書かれた標識。そちらへ進み、なおも道なりに登っていくと、突然、やや道幅の広い場所に出た。 男山の登山口だった。18時半頃着。

 昨夜の寝不足もあって、夫は早々に寝てしまった。まだ早いし夜中に目覚めるのも嫌だと起きていたが、私もやはり睡魔には勝てず就寝。7時半頃には寝てしまった。 疲れていたのでぐっすり眠れた。

 雨は明け方まで降っていた。雨音がしなくなると外が気になった。6時にはすっかり上がっていた。八ヶ岳が真っ白になっていてびっくり。昨夜の雨は八ヶ岳では雪になったようだ。 朝食はうどんを作ってゆっくり食事、のんびり準備した。

 支度して外に出ると昨日より寒く感じる。雨上がりなのでスパッツも着けて出発。ここからは未舗装となる。すぐ、直進と左折の林道があるが、直進の先に進むと畑になっているので、登山道は左折する方へと進む。林道は深い轍やら、段差があって、四駆でもここを通るのは厳しそうだ。前方の男山を目指して登っていくが、果たしてこの道でいいのかと半信半疑。間もなく男山の標識を見てホッとする。

 次にまたも分岐があり、どちらへ行けばよいか迷った。男山・広瀬駅と書かれた板は無造作に置かれているだけだった。右へ行くのか迷ったが、ここも直進することにした。 何しろ資料不足!広瀬側からの登山道が地図に出ていないので分からない。気楽に短時間で登れる山だと思っていたのだが、思わぬ展開になってしまった。目的の山頂が目の前に見えるのが救いだ。

左【霧氷】

 3回目、又分岐だが、直進はススキが繁っていたので道なりに右へとカーブした(下山の時は、このススキの方の道を下りてきた)。なおも林道は続くが途中から不鮮明な登山道になってしまった。男山は目の前だ。急に「あれは何だ?」と、夫の声。まるで満開の桜のように、山頂周辺は真っ白になっていた。霧氷だ。昨夜の雨が今日は気温が急激に下がったために、見事な霧氷となっていた。素晴らしい眺めだった。それにしても、どこをどう行けばよいか分からない。さっきの分岐を右へ行けばよかったのか?しばらくは尾根と尾根の間を行ってみた。その後、ともかく左側のとりつきやすい尾根の方に登ってみる。尾根はいくらか歩きやすい。雑木林の樹林帯は既に落葉し、カサコソと踏みしめながら進む。これが登山道となっているものか確信は持てなかった。

 やがて、稜線間近になった尾根の前方は岩の壁となった。さすがにここは直登できない。また、尾根の右手に下り、稜線の低いところを目指して進んだ。腐葉土の豊かな斜面は柔らかく、石ころもあって、斜度のあるそこは歩きにくかった。しかし、まったく歩かれていないわけでもないらしい。上へ行くにしたがって、登山道らしきものが現れてきた。川上側の方が一般的になって、こちらは廃道のようになってしまったのかも知れない。

左【天狗山と霧氷、男山より】

 朝の西側斜面は日があたらないお陰で、いつまでも霧氷が素晴らしかった。何回も立ち止まり、写真を撮りながら登って行った。川上駅側からではこの光景は見られなかったことだろう。幸いだった。湿気が多いのか、苔むした登山道で、シャクナゲの木が多い。秩父の山を思い出す。近くの御座山(おぐらさん)もシャクナゲで有名だが、この辺りはシャクナゲの木が多いのだろう。キィーンと張りつめた空気の冷たさが、冬を思わせてくれて、たまらなく嬉しい。ゾクゾクしてくる。

 天狗山と男山の縦走路、稜線に出て、ようやく歩きやすい登山道となった。陽もあたって気持ちがよい。間もなく川上側からのルートと合流して、少し急登になるが、それを一気に登れば山頂だ。思わぬ近さに富士山があった。

左【男山山頂】

 山頂にはだれもいなかった。そして360度の大パノラマに一瞬声も出ない。一呼吸おいて、感激の声。素晴らしい。西に八ヶ岳の全景。昨日とはうって変わってその山頂は雪景色になっている。南に向かって南アルプス、そして大きな富士山、その側に瑞牆山、金峰山が分かりやすい。甲武信岳、雲取山だろう、奥多摩への山並みが続いている。東は天狗山、御座山の向こうに秩父の山々、その北に荒船、妙義など上州の山、真北に浅間山があった。浅間山が一番白くなっているように見えた。昨日の茂来山も展望は良かったが、この男山からの展望はさらに素晴らしい。北の山々は雪で白く、南と東の山々は霧氷(おそらく)で輝いている。裾野はぐるりと黄金色だ。この辺りは落葉松が多いのだろうか、おしなべて黄金色に統一されている。そのおかげで山の形が浮き上がってとてもきれいだ。まるで立体地図の模型を見ているようだった。

 見飽きぬ景色に見とれていると、私たちと同年齢くらいの男女二人連れが登ってきた。清水の方だそうで、この感激を互いに楽しむ。そして、みかんを二ついただいた。持っていたので断ったが、静岡のみかんは美味しいですよと言われ有り難く頂戴した。お礼にお菓子を差し上げた。昨日と言い、今日と言い、なんと情のある出会いだったのだろうと、嬉しくなってしまった。一期一会、楽しいものだ。そのお二人は、川上側から登ってきたそうだ。車は登山口の近くに置いてきたという。登山口の事を聞くと、やはり標識はないそうで、分かりにくいとのこと。黒沢橋を渡った後、墓地の前を通過すると、左にアパートのような建物がある。その反対側の右手に軽自動車くらいだったら通れそうな林道入口があり、そこが男山登山口となるそうだ。しかし、未舗装の林道で、車が通るにしても悪路のようだ。下山後、その入口を確認してきたが、確かに標識もない。なるほど登山口とは気がつかない。駐車場もないので路駐になるのだろう。でもいつかまた、ここから登りたいものだ。

 山頂ではときおり冷たい風が吹いてきたが、風がないときは日射しが暖かかった。温かいココアを飲みながら、長いこと山頂からの展望を満喫した。見飽きぬ風景に名残は尽きなかったが、お二人に挨拶し、同ルートを下山することにする。

左【登山口林道より男山を望む】

 登ってきたコース、稜線から西側へ下る道は、やはり間違いない。ただ、あまり歩かれていないので下りにとってもやがて鮮明な登山道ではなくなった。しかしもう、勝手が分かっているので、どんどんと下っていった。下ればアッという間だが、微妙に少しずれたようで、どうも登りの道とは違った。いつのまにか林道歩きになった。かつてはしっかりした登山道であったようだ。その先は、案の定、結局登りの時通らなかったすすきの伸びている林道へと出た。時間があればもう一度、違う林道から行けるか確認だけでもしてみたかったが、このあと棒道に行く予定だったのでパス。もっとも時間があっても夫は行くまいが・・・。林道へ出れば登山口までは近い。

このあと八ヶ岳山麓の棒道へ。