大峰山脈 ;
   釈迦ヶ岳〜八経ヶ岳〜弥山〜 行者還岳〜大普賢岳〜和佐又山

 (しゃかがたけ〜はっきょうがたけ〜みせん〜ぎょうじゃがえりだけ〜だいふげんだけ〜わさまたやま)
 夫婦で大峰山脈を歩いてきた。水場はかれているところもあり、キャンプ適地と地図に書かれている場所は広くないので注意が必要。幸いすいていたのでテントを張るのは楽だった。ただ、張れそうな場所は他にも数カ所ありそう。
 山上ヶ岳から縦走してくる男性数人と奧駈修行の人たちには出会ったが、私達と同じコースを縦走する人とは会わなかった。それぞれの山をピストンする人は多く、弥山から釈迦ヶ岳まで行く人はかなりいた。それ以外は静かな山歩きが楽しめた。
 コースタイムは亀足の兎休みで1時間毎に10分以上の休憩をとっている。テント2泊なのでザックは一人17〜20キロ位。

 H11年5月2日(日)〜4日(火) ; Member.2名(夫婦)


【八経ヶ岳】右
 釈迦ヶ岳より望む

【コース】
一日目:5月2日(日)晴れ
前鬼(ぜんき)ゲート6:45〜小屋(小仲坊)7:20〜二つ石8:50〜分岐(太古辻)10:00-15〜深山(じんせん)10:40〜釈迦ヶ岳(1799.6m)11:50-12:40〜孔雀岳(1779m)14:10〜水場(鳥の水)14:30-45〜仏生ヶ岳〜小屋跡(楊子ヶ宿跡)泊16:00

二日目:5月3日(月)晴れ
テン場5:00〜八経ヶ岳(はっきょうがたけ1914.9m)8:25-40〜弥山(みせん1819m)9:05-40〜トンネル西口分岐11:25〜避難小屋11:55-12:35〜行者還小屋13:45-14:00〜分岐14:30〜行者還岳(ぎょうじゃがえりだけ1546.2m)14:37-55〜無双洞分岐15:50〜七曜岳(ひちようだけ1584m)15:55〜テン場16:15

三日目:5月4日(火)雨
テン場5:15〜国見岳〜弥勒岳〜大普賢岳(1779.9m)6:55-7:10〜笙ノ窟8:25-50〜分岐9:20〜和佐又山(1344m)9:35-40〜和佐又ヒュッテ10:00



【一日目】

 和佐又キャンプ場に車を置き、積んでいったバイクで前鬼ゲートまで行く。和佐又キャンプ場は車1台1日500円、一泊一人500円。ヒュッテは通年営業のようだが金額等分からない。テントも一張りいくらかかかるようだが私達は車中泊とする。トイレが使え、お風呂(300円)に入れるのが有り難い。近くに(車で15分ほど)割引の250円で入れるお風呂もあるそうだ。

 前鬼の辺りは新緑がとても美しい。吊り橋を渡り、小仲(おなか)坊の前を通る。宿坊は開け放たれ、畳敷きの広々とした部屋が見える。居心地良さそうだ。4000円と書かれてあった。素泊まりだろうか?未確認。二つ岩を通り抜け、太古辻に着くとミヤコザサがひろがりとても気持ちよい。木々は芽吹きがまだだが通り抜ける薫風もさわやかだ。深山には小屋もありキャンプ適地とあるが、水場は残念ながらやや泥水のようだと聞いた。ここに荷物を置いて釈迦をピストンする人も多い。

 釈迦ヶ岳山頂は素晴らしい展望。地図や周りの人たちの言葉から山座同定、あれが明日行く八経ヶ岳かと眺める。七面山の名もいつか聞いたような。ここもマンサクの花が目につく。

 孔雀岳を巻き、水場(鳥の水)で休憩。途中の情報で得たとおり、タラッタラッと滴が垂れる程度。水は持っていたが念のため休んでいる間カップを置いておいた。15分くらい休んでいる間に500ccくらいはたまったろうか。これが後から思わぬ役に立つことになろうとは。

 仏生ヶ岳も巻き、時間的にはじめのテン場にしようと決め、小屋跡のキャンプ地にテントを張る。先に男性一人張っていたが、水がコップ1杯分しか残っていなくて困っているので分けて欲しいという。鳥の水でささやかでも得た水があったため、安心して少し多めに分けてあげられた。水で苦労した昨年の越後三山での教訓は生かされたし、その時受けた恩を少しでも返せたような気がした。

 ラジオの天気予報で3日夜から崩れると言っていたため、明朝は早立ちし、ペースにより、宿泊予定の行者還小屋で後の予定を決めようということになった。食後寝酒(Shin Lu Cyu)を飲んで、18時前就寝。


【二日目】

 3時半起床。食事、テントの片づけを済ませ、明るくなるのを待って出発。いきなり斜面が崩れたような要注意箇所があるが気をつけてクリア。先のキャンプ地にテント泊した人にぼちぼち出会う。殆どが空身で釈迦ヶ岳ピストンのようだった。ミヤコザサとコバイケイソウがでている稜線だがテン場になりそうな場所はいくつかある。倒木がやたら多いのと、釈迦ピストンの人と行き会うため待ち時間と情報交換(水場、テン場、注意点)のため、思わぬ時間がかかる。オオヤマレンゲを鹿から守るための柵があり、通過の際は戸締まりが必要だ。

 背後に時々釈迦ヶ岳を振り返るが、明星ヶ岳の辺りでその姿が見えなくなり、まだ雪の残る樹林帯(アイゼンの必要なし)でいつしか見失っていた八経ヶ岳山頂へのルートを辿っていくとアッという間に山頂に着いた。大峰山脈の最高峰、別名八剣山とも仏経ヶ岳とも呼ばれているそうな。ここも展望がよく、大台ヶ原が良く見える。充分堪能の後、弥山へ下る。

 弥山小屋はとても大きかった。昨夜は200名泊まったそうだ。弥山山頂は鳥居をくぐった先にある。立派なお社が建っているのでそこかなと思いつつそこから引き返す。途中水場があると聞いたが分からなかったので、小屋で分けてもらう。1リットル100円だった。ついでにビールも調達。水場はどうやら天ノ川方面へ少し行けばあるようだが先を急いでいたので確認はしていない。

 行者還岳に向かうにはまず弥山をかなり下る。その頃は登ってくる人が数珠繋ぎで、待つのに時間がかかった。行者還岳への分岐に気がつかなかったのではと、心配になるくらい下って、平坦な道になると気持ちの良い森が広がる。トンネル西口への分岐を過ぎた辺りからまた静かな山歩きが戻ってきた。すぐの避難小屋の側で昼食。小屋は屋根がついているものの、窓や扉は無くなっており、壊滅寸前。まだ先があるというのにここでビールで乾杯。

 一缶で酔っぱらったと言いながら相変わらず気持ちの良い稜線を行く。白や紫の小さいスミレが足下に広がり、ネコノメソウやトリカブトの葉もいっぱい現れる。広葉樹が多く新緑や紅葉の時期は素晴らしいだろう。行者還小屋の近くに鉄塔があり、目印になる。小屋は開いていた。5メートル程だろうか、下ると水場がある。小屋の前でひと休みして先に行くことにするが、のんびり歩けた山道はここまで。

 急な梯子を昇って行くことになる。雨の時はイヤだなと思いつつ、今日のうちに行けるところまで行こうと選択して良かったと思う。分岐でザックを置き、空身で行者還岳をピストンする。山頂はシャクナゲの木が沢山ある。満開の時は綺麗だろう。展望台が左側にあり、山頂部にガスのかかった八経ヶ岳が見えた。釈迦ヶ岳は晴れていても仏生ヶ岳の陰になって見えないのでないだろうか。

 階段やちょっとした鎖場を通過して今夜のテン場を求め、とりあえず七曜岳の先を目指す。4時過ぎに良さそうなところを見つけ設営。雨が降っても大丈夫なように整え、天気予報を聞きながら夕食。どうやら翌日は朝から降るものの、本降りは午後になるようだ。少しホッとし、今夜も二人で軽く寝酒を飲んで7時頃就寝。


左 【マンサク】

【三日目】

 夜中時折雨音がしたが、明け方も降ったり止んだりだった。今朝も3時半起床。食事と用意を整え、雨の上がっているときにテントをたたみ、5時15分出発。

 エアリアマップで国見岳の危険個所マークが気になったが、ここかな?ここかな?と思っているうちに通過してしまった。雨はしとしと降っているので滑らないように注意するが、かえって土へのしめりかげんが丁度良いようだった。途中のテン場で反対方向へ行くという外人の男性一人に会ったが、他には誰にも出会わず、静かな歩きだった。

 大普賢岳の山頂手前では、直登する道と少し巻いて登る道とがあった。私達は直登したが、巻いた方が楽なのかも知れない。山頂は展望が望めず残念だった。雨の中咲くマンサクの花がここでも目についた。昨日歩きながら垣間みた山上ヶ岳が、晴れていればここで目の前に大きく見えるはずだ。禁断の山は目の毒とばかり、私の視界から隠してしまったのだろうか。

 やたらに多い鉄梯子を何回も下りながら「今日は雨だから登る人もいないのだろう、すれ違いがなくてよかった」と話していたら、小普賢岳で夫婦連れに出会った。さらに数名のパーティとも出会い、そこで一人の男性から「あれ?大峰山(山上ヶ岳)には行かないのですか?」と言われた。雨で合羽姿の私を見て、「その格好なら分からない、行ってまえばいいんだよ」と、寝てる子を覚ますようなことを言う。思わず引き返したくなったがやはり無駄骨になりそうだ。ここはおとなしく帰ろう。そして今度は25名のツアー登山と行き会った。弥山まで行くという。こんな天気に大変だと思いながら、年齢もザックの大きさも随分と差のあるその一団を見送った。

 笙ノ窟は洞穴になっていて、祭壇のようなものが祭ってある。内側の苔から水が滴り落ちてたまるようになっており、手を濯ぐのに丁度良い。雨をしのいで休憩する。この後は山道をのんびり下り、最後の登り和佐又山に行った後、ヒュッテに下りる。

 ヒュッテに挨拶し、車まで戻ってそのまま前鬼までバイクを取りに行き、R169を戻って入之波(しおのは)温泉へ。つきあたりの入之波温泉は駐車場が道路上にもいっぱいで入れず、少し戻って入之波温泉五色湯の方に行く。ここは駐車場が綺麗に整備され、運良く停まれた。建物もきれいだったので高いかなと思ったら一人500円だった(シャンプーリンス、ボディシャンプー、ドライヤー付き)。浴室はそれ程広くはないが、きれいだ。女湯だけ露天風呂があるようだった。食事もできる。

 天気は明日には回復しそうだったので、ロープウェイを利用した軽い山(伊吹山か御在所岳)に寄ってから帰ろうか迷ったが、渋滞と長旅が心配で結局帰路をとった。