奥多摩・雲取山(くもとりやま2017.1m)
 上の方の黄葉、紅葉は早くも散っていました。
1600mより下はきれいな所がありましたが例年に比べ、今年はイマイチのようでした。

 H16年10月27-28日(水-木)
  天気;快晴
  Member.3人(佐藤、木村、石原)

  【コ ー ス 】(コースタイムは各日に記入)
1日目(10/27水)
秩父鉄道三峰口駅=(バス)=大輪バス停〜(徒歩)〜三峰山ロープウェイ大輪駅===山頂駅(1090m)〜三峰神社〜登山口〜妙法ヶ岳分岐〜炭焼平〜地蔵峠〜霧藻ヶ峰〜霧藻ヶ峰休憩所〜お清平〜前白岩山〜白岩小屋〜白岩山〜芋ノ木ドッケ〜大ダワ〜雲取山荘(テント泊)

2日目(10/28木)
雲取山荘〜雲取山(くもとりやま2017.1m)〜小雲取山〜雲取奥多摩小屋〜七ツ石山(ななついしやま1757.3m)〜鷹ノ巣山避難小屋〜鷹ノ巣山(たかのすやま1736.6m)〜水根山〜六ツ石山分岐〜六ツ石山(むついしやま1478.8m)〜三ノ木戸山(さのきどやま)分岐〜林道〜氷川大橋〜もえぎの湯〜奥多摩駅
             
写真【雲取山:七ツ石山より】

1日目(10/27水)三峰口から雲取山荘まで

天気:晴のち曇り
コースタイム:秩父鉄道三峰口駅8:50発=(バス)=大輪バス停9:04着〜(徒歩)〜三峰山ロープウェイ乗り場9:15発=山頂駅(1090m)9:25頃着ー9:35出発〜三峰神社〜登山口9:55〜妙法ヶ岳分岐(休憩)10:15-25〜炭焼平(妙法ヶ岳分岐)10:45〜地蔵峠11:18〜霧藻ヶ峰11:25-35〜秩父宮レリーフ、霧藻ヶ峰休憩所11:40〜お清平11:55〜見返り地蔵12:10〜前白岩山12:50〜白岩小屋13:40〜白岩山14:05〜芋ノ木ドッケ14:15〜大ダワ15:00〜雲取山荘(テント泊)15:25
(山頂駅より所要時間約5時間50分くらい・・休憩含む)

 悪天候や雑事で山行がままならずテンションが下がり気味だった。それが今回の山行で一気に息を吹き返した。いつもながらメンバーに恵まれていることと平日&晴天であったこと全て揃ったのがラッキーだった。 計画の全てをしてくれたリーダーののんちゃん、そして重たい荷物を厭わないお二人、そしてその元気な体力に精一杯ついていく年嵩の私。かくして今回は「うたげトリオ(時にはうたげカルテット、又はうたげクィンテットとなるが・・)」の奏でる素晴らしい雲取山山行となった。

 今回のように当日発の一泊山行はこのメンバーでは初めてだったが前日は雨、その上私用で外出していたためいくらか気ぜわしかった。事前に山支度はしてあったが、天気予報を気にしつつ帰宅後にリーダーのGoサインをメールでチェックしてから最終準備を済ませた。若きリーダーの配慮か、どうみても共同装備は私が一番軽い。有り難くお言葉に甘えて極力軽量化につとめる(^-^;

 当日は予想以上に天気が良くなった。最寄り駅で乗った電車には既にのんちゃんが乗車しており、池袋での乗換もウロウロすることなく安心してついていく。出勤する人も歩き始めている通用口では寝ころんでいるホームレスの人が大勢いて異様な光景だ。そして酔っぱらいの怒声にビクビクしながらも見事にすり抜けて行く早足のリーダーの後を私も必死についていく。が、たちまち距離があく・・・。

左【渓流と紅葉:登竜橋から】

 池袋で先に着いていたmidoriさんと合流。全席指定の西武秩父線レッドアロー号は快適だった。平日で乗客が少ないこともあり、互いに向き合っておしゃべりしながらは楽しい。特急料金620円は安いと思ったが、行楽シーズンの 土日などは混み合って大変なのかも知れない。武甲山を懐かしく眺めつつ終点西武秩父駅へ。秩父線のお花畑駅への乗換は少し歩くが、途中の商店街はお土産やさんが多く興味をひいた。反対コースなら下山時にゆっくり買い物でも出来たのだが残念。秩父線も空いており、のどかな乗り心地だ。終点の三峰口駅で下車、バス(¥300)に乗り換える。大輪で下車し、ロープウェー乗り場まで少し歩くが、ここでもお土産やさんなど並んでいた。朱塗りの登竜橋からの渓流の眺めは素晴らしい。紅葉も始まっている。きれいな渓流と紅葉を眺めながらさらにロープウェー(¥950)に乗り継いでいくが、まるでテレビの中に出てくる 小さな旅。平日ゆえの静けさに満ち足りた気分だ。

 ロープウェーに乗り合わせたのは私達の他に妙法ヶ岳ピストンという女性一人だけ。乗務員の方にまず鈴は持っていますか?と尋ねられた。もちろん持っている。熊は出ますか?と聞くと「出たとは聞きませんねぇ・・」というお返事。山頂駅のトイレはお社?と思えるくらい綺麗で立派な造りだ。乗務員の方がご親切にこれから歩く雲取山方面の山並みを説明してくれた。今年の紅葉は例年に比べイマイチだという。雲取山はかすかにガスがかかっていたが、空は晴れてきていた。気持ちよく歩き出す。

左【登山道】

 三峰神社の大きな白い鳥居を潜り、誰もいない茶店やお土産やさんを通過。まだなんとなく観光気分でキョロキョロ、ウキウキ。しかし登山道に入り、緩やかな登りから少しずつ傾斜がついていくと現実に引き戻される。背中を引っ張られながら逆らうように登っていく私はトップののんちゃんに少しずつ引き離され、いつもは元気の良いmidoriさんもザックの重さと寝不足で辛そうだ。途中でmidoriさんがトップに入れ替わり、レーションをこまめにとるようにして、登っていった。それでも均等で順調なペース配分は立派だ。私は計量を忘れたが、midoriさんは14キロという。テントを持っているのんちゃんはもう少し重いのだろうに何という軽いフットワーク!

左【和名倉山が見えてきた】

 三峰とは妙法ヶ岳、白岩山、雲取山を指すそうだ。そうなると通過地点から外れた妙法ヶ岳にも立ち寄りたくなるが、今回は無理と諦め先に進む。登山道はよく整備され歩きやすい。標識なども最近造り替えられたものか綺麗でしっかりしており分かり易い。地蔵峠をひと登りすると展望が開け西側に和名倉山が見えてくる。かつてその和名倉山からこの三峰山の稜線を眺めていつかは歩きたいと思ったのだ。そして今歩いている。こういう時は何とも嬉しく感じられる。

左【霧藻ヶ峰休憩所の前で】

 その展望場を下っていくと岩壁の上部に秩父宮のレリーフが埋め込まれておりその大きさにびっくりした。そこを通過すると霧藻ヶ峰休憩所だ。見事な紅葉に思わず声をあげた。足下に広がった鮮やかな赤いモミジの絨毯がとっても綺麗だった。霧藻ヶ峰休憩所を過ぎ、少し下るとお清平で、ここも地蔵峠同様太陽寺への分岐になっている。尾根道を登り、一度登り切ったところがみかえり地蔵、ご期待に応えて振り返る。あ〜ぁ!橋をつけてくれればいいのに・・

左【お清平からみかえり地蔵への登り】

 途中で休憩中の二人の男性と出会った。三条の湯から三峰口へ下るという。この日出会ったのはこの人たちだけだった。白岩山へは簡単に届かず、その前に前白岩の肩、前白岩山を経て行く。その都度和名倉山の稜線が眺められるが、急登を登り切って前白岩山に着くとその眺めに殊更心癒される。一休みしてから先へと進んでいった。ツガやシラビソの原生林と展望、そして人と出会わぬ静かな山道は気持ちいい。午後になると曇ってきたが、風はなく雨の心配もないのは有り難かった。しかし気温はどんどん下がっているようで、さすがに半袖では寒くなってきた。手が冷たくなり、手袋もこのシーズン初めて使用。後から聞けばこの秋一番の冷え込みだという。これからは常にそうなっていくのだ。どんどん寒くなる。そして寒がりの筈なのに何故かウキウキしてくる。冬山も楽しみだ。

 前白岩山を少し下りながら進んでいくと白岩小屋が見えてくる。小屋番さんが一生懸命薪割りをしていた。大人数を収容できる立派な雲取山荘が出来ても、こういう小さな小屋が良くて泊まる人も多いのかもしれない。通年営業ではないので要注意。私達はテントだから挨拶して通過する。水場は5分ほど下ったところにあるそうだ。

 白岩山山頂は樹林に囲まれていた。展望は良くないが広々としてテーブルもあり居心地良さそうだ。休憩していると寒くなるので早々に先に行く。少し下って行くと芋ノ木ドッケになる。ここは長沢背稜への分岐でもある。「ドッケって何ですか」と唐突にのんちゃんから聞かれる。えーっと何だっけ。何とかの頭みたいなもんですかねぇ〜!ムニャムニャ・・。果たして立派な看板にはちゃんと説明が書かれていたのであった。ドッケとは「突起」がなまった言葉です、と。なるほど!そういえば以前調べたはずなのにこれがすっかり忘れている^^;さて今度はいつまで憶えていられるだろう?情けなや・・。ちなみに芋ノ木とは天ぷらにすると美味しいコシアブラのことで、コシアブラの木の多い尖った峰につけられた地名だそうだ。ということは左手に聳えているのが本物の芋ノ木ドッケなのだろうが、私達は当然しっかりつけられている捲き道を行く。

 ほぼ平坦な道をトコトコ行くと大ダワだ。山と山の間の鞍部をタワあるいはタルミと呼ぶ・・と、これも説明書きにあった。日原方面から大ダワ林道の登山口まで車で来れば雲取山までは3時間半で行けるのだ。後山林道からも同じくらいで山頂に行ける。私達には遠く二日がかりと思える山だがこのように短時間で登れるコースもある。しかし車で来るのも時間がかかるが・・

左【やっと山荘に到着、テン場は右に見える場所】

 大ダワからは右に男坂、左に女坂があり、楽そうな女坂を行くことにした。しかしこの辺までくると30分といえど山荘までが遠く感じられた。右手に小屋が見えたと思ったらステキな名前の旧雲取ヒュッテ!ガクッ・・・とくる。蜃気楼ではないが、チョットした隙間の茶色いモミジの葉っぱが山荘の屋根に見えたりする。本物の雲取山荘が確認できたときは嬉しかった。ワーイ!ビールだ!すき焼きだ!

左【大きい雲取山荘】

 手前にあるテント場を物色しながら先ずは山荘へ行き申し込む。4,5年前に出来たらしい山荘を初めて目にし、聞いていたとはいえその立派さに驚いた。布団は全部羽毛だとか聞いていたのでいつか泊まってみたいなと思っていたが、この日の泊まり客はどうやらテント泊の我ら三人だけの様子。閑散として寂しげだ。向かいに立っているトイレは女性用は二つしかないが水洗できれい。靴を脱がねばならないし、夏など混雑時はさぞや大変だろう。雲取山荘は通年営業、300名収容、一泊二食7500円。テン場一人300円。ビール350ml缶500円。ワイン大2000円(小1000円)。水は無料。

左【すき焼きです】

 テント設営後夕飯食当のmidoriさんが準備を始め、私達は買い出しに。寒い、寒いと言いながらビールとワインを買い込むのであった。豪華な食材のすき焼き鍋は最高でした。これじゃ重かったよね、midoriさん、ありがとう!とっても美味しかったです!

 7時には就寝。



2日目(10/28木)雲取山から石尾根を経て奥多摩駅へ

天気:快晴
コースタイム:雲取山荘5:55〜雲取山(くもとりやま2017.1m)6:25-40〜小雲取山〜雲取奥多摩小屋7:20〜七ツ石山(ななついしやま1757.3m)8:05-15〜鷹ノ巣山避難小屋9:45-55〜鷹ノ巣山(たかのすやま1736.6m)10:20-45〜水根山〜六ツ石山分岐12:00〜六ツ石山(むついしやま1478.8m)12:05-10〜六ツ石山分岐12:15〜三ノ木戸山(さのきどやま)分岐12:40-45〜林道13:45〜氷川大橋14:20〜もえぎの湯〜奥多摩駅
(所要時間約8時間半くらい・・休憩含む)

 冷え込むというので起床時間を4時に変更。山頂でのご来光は諦めて明るくなってから出発することにした。しかし起きてみるとそれほど寒くはなかった。空には星と月が明るく輝き、東の空は次第に明るくなっていった。朝食の食当は私。熱い具だくさんのおうどんで温まる。

 テント撤収後山荘に寄ると、私達の為に大きなやかんで飲み水を用意してあり、メモまで添えられていた。前夜もらった分で充分だったのだがその心遣いに嬉しくなった。のんちゃんが空き缶返却の袋にお礼のメモを残し、予定の6時前に山頂へと向かった。

 山荘を過ぎると田部重治のレリーフがある。右(西側)は三条ダルミ、左(東側)は小雲取山の手前に出る捲き道があるが、私達はもちろん真ん中の山頂ルートを行く。とはいえ道はあっちこっちに広がっている。昨日に引き続きmidoriさんが先頭を行くが、この日は朝から調子よくペースが早い。もっとのんびり行こうよと言った私がこの日は先頭になった。足下にはシモバシラがあり、サクサクと踏む楽しさを無邪気に味わうが、夫はこれを良しとしない。後から来る人だって綺麗なのを見たいのだから壊したらいけないというのが彼の主張だ。この話を披露したら二人が面白がってしばらく会話が盛り上がった。

左【山頂で】

 こうしてゆっくり登り標準タイムで山頂へ。見慣れた山頂には先客の男性一人がいた。すでに日は登り、正面に冠雪しているきれいな富士山、まわりは雲海が広がっていた。雲取山はこれで三回目だが展望にはいつも恵まれている。日影になっている樹林帯はうっすらと白い、樹氷だ。山頂に設置されている展望図の上などにそれが少しパラパラと散らばっていた。しばらく堪能してから避難小屋の方へまわり、そこでも富士山や奥多摩の山並み、南アルプスを眺め山頂をあとにした。この日は石尾根を奥多摩駅まで歩く長丁場だ。歩いたことのあるルートだが雲取山山頂から通して歩くのは初めてだ。十数年以上前に歩いた鷹ノ巣山からの石尾根は、ザックが軽かったにも関わらず長く辛く感じたものだった。こうして年輪を重ねているのに衰えを知らぬ?このパワーアップ!人間って常に成長するものなのね!<子供達に怖ろしいと言われそう・・^^;「いつまで子供に心配かけるの!」とも言われているけれど・・(^-^;;;

左【富士山:山頂よりズーム】

 小雲取山を経て奥多摩小屋へと下る。この小雲取山はいつも知らぬ間に通り過ぎてしまう。奥多摩小屋は昨年の2月に単独で登ったときのテン場だ。その時の情景を昨日のことのように思い出す。ここからの富士山も素晴らしい。テン場のそばにはヘリポートがある。

左【青空に映えて】

 鴨沢への分岐のブナ坂から七ツ石山へ。この山頂も展望が良い。私達の他は人ひとり見えない山頂でレーションを食べながら、ここでもゆっくり眺めていた。雲取山山頂から歩いてきた道のりも一望できて嬉しい。七ツ石山を下りてからはずっと捲き道を行った。標高1600m辺りの紅葉はまだきれいだ。あまりの天気の良さに、なだらかな尾根伝いに惹かれて日陰名栗峰の手前から稜線へと行ってみた。穏やかな日射しもなだらかな稜線も気持ちよく富士山を右手に三人並んでおしゃべりしながら歩いていった。しかしそのうちに雲海だった雲があがってきて富士山の姿を隠していった。

左【鷹ノ巣山避難小屋前のベンチで】

 最後に一気に登って一気に下ると鷹ノ巣山避難小屋が見えてくる。ベンチで小休止してから鷹ノ巣山へ。ここの登りは30分ほどだが少々きつい。しかしこの鷹ノ巣山も奥多摩では好きな山の一つだから捲く気にはならない。のんちゃんもmidoriさんも登る気満々だ。

 山頂に立つとホッとした。ここもまだ誰もいない。ここから奥多摩への道のりもまだ長いのだが、何となく大仕事を終えたような安堵感!ひとまずゆっくりとお食事タイム。しかし富士山はすっかり雲に隠れてしまった。それでも富士山の方に向かって座っていると時々山頂が見え隠れしていた。この山にも何回か登っているが、山頂から富士山がきれいに見えたことは無かったような気がする。私の場合、鷹ノ巣山と富士山はどうも相性がよくない。それでも今回は朝からずっと眺めてきたからもう充分満足だった。

左【水根山辺りの紅葉】

 鷹ノ巣山から奥多摩駅までは約4時間。3時前には着くだろう。水根山、城山のピークは意識せぬままに通過し、尾根をほぼ90度に右へ下るときになって、ん?これでいいの?分岐を見落とさなかった?と思わず二人に確認。いきなり木の根っこを頼りの登山道に変わってぐんぐん下り、不安になったがまもなく捲き道と合流して安心した。十数年前に歩いた記憶など、とうの昔に飛んでいる。改めて地図を眺め、なるほどここか!と納得するのだった。5万図のエアリアマップではやはり地形を読むのは難しい。しっかり地形図を持ち歩くmidoriさんはエライ!

 六ツ石山分岐に荷物を置き、5分ほどの山頂までピストン。途中立ち枯れたマルバダケブキが印象的だった。山頂は広くテン場として使っていたような跡があった。鷹ノ巣山から250m程下がっているので雲取山はその陰に隠れて見えなくなっていた。鷹ノ巣山方向の左側には大菩薩嶺が見える。その向こうには南アルプスの山並みも見えるのだろうが、雲が上がってきていたので確認はできなかった。

左【リンドウ】

 分岐に戻って再び下る。三ノ木戸の分岐で最後の小休止をとり、その後は10分短い南側のルートを通って林道へ出た。その辺りでようやくリンドウやリュウノウギク、ノコンギクなどが少しだけ咲いていた。林道は思ったより長く感じた。地図を確認しながらもえぎの湯(750円)の方へ向かい、二日分の汗を流してから軽く反省会?。反省というよりはメンバーと天候に恵まれ充分満ち足りた思い出に残る山行になった。