奥多摩・雲取山〜七ツ石山〜鷹ノ巣山
(くもとりやま2017.1m〜ななついしやま1757.3m〜たかのすやま1736.6m)
 初めての単独テント泊
 雪が少ないなぁ〜と思っていたら翌日は雪♪

 H15年2/15-16(土日)
  天気;15日晴、16日雪
  Member.単独

  【ひとりのテント泊】右

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

一日目(1/15)
鴨沢7:40〜小袖乗越8:15〜水場標示9:30〜堂所〜七ツ石分岐11:23〜七ツ石分岐12:00〜ブナ坂12:15〜(昼食12:30-40)〜奥多摩小屋(テント申し込み&設営)13:20-14:05〜雲取山15:10-40〜奥多摩小屋16:20(幕営)
(所要時間約8時間40分・・休憩、テント設営含む)

二日目(1/16)
奥多摩小屋7:05〜ブナ坂7:40〜七ツ石山8:03-10〜鷹ノ巣山避難小屋10:00-10:37〜鷹ノ巣山11:15〜(稲村岩尾根)〜中日原14:05〜東日原(ひがしにっぱら)14:15
(所要時間約7時間10分・・休憩含む)


 前夜支度していたとき、夫が「四日ほど前に門扉にぶつけた足が腫れてきた」と言っていた。山行をはっきり決めたのも前夜のことで、率先して夫が言うので慌てて準備をしていたのだが、その準備をし終えた頃、言いだしたのだった。本人はたいしたことないと思っていたらしい。見れば足の甲の所が赤く、周りがむくんだように腫れていた。思わずウ・・・ン、これは無理ではないかと思ったのだが、痛くはないし、湿布をしておけば朝には治っているだろうと、ノーテンキな事をのたまう。とりあえず0時半に就寝。

 翌朝、4時15分頃家を出るので30分前に起床。ところが夫の足はやはり腫れたまま。少し迷って結局今回の山行を取りやめることにした。そこで私はどうしようか、寝不足だからこのまままた寝てしまおうかと思いつつ、すっかり支度してあるのがどうももったいない。夫は申し訳なさそうに「一人でどこか日帰りの所にでも行ってくるか?」と言ってくれるが、せっかく準備をしたことなので、一人で予定通り雲取山に行くことにした。バタバタと荷物を入れ替え、結果的には余分なものまで持っていくことになったし、装備そのものが一人用ではない。テントは二人用だし、コッヘルもそこそこ大きい。食料も減らすものは減らしたが、減らしようが無いものはそのまま持っていくことにした。かくしてザックは22〜23キロ。ウヘッ!

 一人のテント泊は初めてである。全てが二人を前提に持っている品々なのでリスクがかかるが仕方ない。たった一泊なのに、これではボッカトレだ。とにかく心配性の夫はアレ持ってけ、コレ持ってけとやかましい。何かトラブルがあったら大変だからと、必要以上に装備を完璧にしていく。だから夫と行っても重いから、一人だから軽くなるかと言えばそうでもなかった。

 これらを全て30分、いや15分程度の時間内でとにかく間に合わせ、そのまま夫に駅まで送ってもらった。ぎりぎりだったが、とにかくセーフ。もう一泊してきてもいいぞ、なんて気持ちよく送り出してくれたけど、私とて用事があるからそうもいかない、残念だが。

一日目(1/15)

 最寄り駅始発電車で行ったため車中は寒く、青梅線もがらがらで寒かった。少し寝ておこうと思っても無駄だった。

 奥多摩駅で降りる人は少なかった。私のデカ荷物に比べ、皆荷物が小さい。私は買ったばかりの70リットルザック。今回2回目だが相変わらずやたら大きく見える。でも中身が以前の50リットルザックとあまり変わらない。実際の容量は小さいのかもしれない。

 奥多摩駅で鴨沢西行き6:55発に乗る。皆座れて、空席が充分あった。鴨沢で降りたのは私を含め単独3名だった。奥多摩駅から鴨沢まで610円。

 登山者が多いからだろう、鴨沢バス停にはトイレが設置されていた。きれいでトイレットペーパーまでついていた。奥多摩駅のトイレにはペーパーまではついていない。

 トイレの左側に雲取山方面5時間と書かれている。当初は山頂泊の予定だったから、プラス2時間として7時間、14時半から遅くとも15時を見込んでいた。一人だから休憩時間は少ないだろうが、荷物が重いのでペースは上がるまい。

 歩き始めて間もなく左へと鋭角に登っていく。塀にうっすら雲取と書かれていたが、ここが少し分かりにくい。先行している登山者の姿が見えたのでホッとして進む。ここを下山路にとったのは大分以前(1993年11月)のことで、すっかり忘れている。もう10年も前になる。もっともこの近くにはその後もいろいろと登ってはいるが。

左【雪がない。気持の良い雑木林】

 このコースは緩やかな登山道で歩きやすい(下りはやたら長かったという記憶がある)。そして2月というのに雪がない。今回迷ったあげく、用心のためにとわかんまでもってきたのに結局使用せず。時々アイスバーンになっていたが、アイゼンをつけず気をつけて登っていく。しかし3時間くらい歩いた頃だったろうか、下山者とすれ違い、ここはツルツルだからアイゼンをつけた方が良いと言われた。10分くらい行けば後はいらないと言われたので、それならつけなくてもいいか・・・と安易にそのまま行った。が、やっぱり滑る。荷物が重い分少しでも滑れば不安定になるので慌ててつけた。わずか数分のその間だけ通り過ぎてから外し、ザックの後ろにぶら下げておいた。しかしこの日、登りで使うことはなかった。

 ここは下の方は杉の植林で、花粉症の私は3,4月は歩きたくないなと思った。でも上に行くほどにブナ林が広がって気持ちのいい空間だ。新緑の頃もいいだろう。そして紅葉の時期も。

左【ようやく雪道が】

 七ツ石山への分岐を二箇所通り過ぎて間もなく、いままではたまにあった雪道が、次第に多くなっていった。しかしすっかりトレースされ、でこぼこもなかった。アイスバーンもなく、暖かい日射しの中、気持ちよかった。夫も来れたらよかったのに・・。

 奥多摩の山並みは遠くが少し霞んではいたが、展望は良かった。三頭山が見え、やがて飛竜山も見えてくる。細かく山座同定をするゆとりはなかったが、これとはっきり分かる山が認識出来るのは嬉しい。

 それにしても重い荷でペースがあがらない。時間はある、のんびり楽しんで行こうと気持ちを切りかえた。とはいうもののブナ坂になかなか着かない。とても遠く感じられた。お腹がすいてももうすぐ着くだろうと、亀足で先へ先へと進んだ。

左【飛竜山:ブナ坂と奥多摩小屋の間より】

 ようやく石尾根上に到着。ブナ坂だ。ブナ坂から一息登ったところは展望が良かったので、そこでやっと昼食。サンドイッチとジュースがたまらなく美味しかった。落葉松の木も多い。これもまた新緑が楽しみ。黄金色の時期もきれいだろう。

  ずっと、歩きながら疲れた体で今夜の幕営をどこにするか考えていた。山頂の避難小屋か、テント泊の予定だったが、翌日は曇りの予報で展望が怪しい。同じ所を通るなら、先にテント設営した方が楽だ。その時間はまだある。ということで決定。荷物が軽くなるという魅力に抗えず、迷わず奥多摩小屋で申し込み。400円だった。この近くにヘリポートがあるが、その場所でなければどこでも良いといわれた。トイレからあまり離れていないところにした(トイレは小屋の外で三つ。一つは女性用になっており、きれいに使われていた)。

左【雲取山山頂へ】

 雪の上をならし、テント設営。設営後山頂へ向け出発。この時14時を過ぎており、びっくり。 思ったより時間がかかった。荷が軽いといっても、やはり疲れた体に登りは辛かった。アップダウンがあるのでここではストックを使用。ようやく山頂の避難小屋が見えた時は嬉しかった。まだはるか先だが、山頂へ向けて歩く人たちの足どりも重そうに見える。何回も休み休み登っている。皆同じなのだ。スキーをしようとしている人の側を通り抜け、しばらくなだらかな稜線を行く。私も山頂避難小屋直前の登りがきつかった。

左【雲取山山頂で】

 ようやく登頂。でも以前来たときの印象と違うと思ったら、小屋の裏手の方に高いピークがある。ザックを置いたまま行ってみる。やはりそっちが山頂だった。娘たちと来た見覚えのある山頂だ。変わっていない。変わっているのはあたりが雪景色だということ。三ツ峠山は分かったが、その側に見えるはずの富士山は残念ながら見えなかった。

 写真を写してからザックの所に戻って温かいコーヒーを飲みながら、無事到着の電話をしようと思ったら圏外。この後避難小屋の中を見に行った。きれいで広かった。まだ混んではいなかったが、私が下山する頃ぞくぞくと登ってきていた。雲取山荘に行く人もいるだろうが、翌日聞いた話ではいっぱいだったとの事だった。

左【七ツ石山、鷹ノ巣山方面:雲取山より】

 下りは安心して早く下りるためにアイゼンを装着。登ってくる人を脇で何回か待ちながら、快調に下りていく。スキーをしている人は2人ほど。雪が少なくて、ようやくできるのはこのあたりだけ。それでも出来て良かったねと声を掛けて通過。

 テン場にもどり、水場に行った。5分と書いてあった。水場までの雪は除雪されていた。凍結を注意しながら下ったが、それでも5分で行けた。水はたっぷり出ていた。コッヘルに水を入れたのでこぼさないようにゆっくりテン場に戻るが10分とかからない。テン場の側にいる人の声で指している方を見ると、うっすらと富士山の山頂部分が見えた。よく気がついたと思うほどだったが。

 この後テントの中を整理して夕食。夫がいればもっと豪華だったのだがほとんど家に置いてきてしまったので簡単なレトルトの牛丼。野菜は選り分ける間がなく、そのまま持ってきてしまったが、結果的には殆ど持ち帰ることになった。テントの中は広く使えて快適。こうなると重くても2人用で良かったと思ってしまう。寂しいとか不安な気持ちはなかったが、一人でいるのがヘンな感じだった。携帯はやはり圏外。

 19時頃就寝。その頃はまだ星も月も出ていた。

二日目(1/16)

 6時頃には出発しようと思ったのに、夜中に目覚めてしまったお陰で明け方寝過ごしてしまい、起床が6時頃。それでもテント撤収までに約1時間、7時頃には出発できた。遠望は霞んでいるが、今のところ奥多摩の山並みはきれいに見える。気温は零度。曇りの予報だったが・・・。後から聞いた話では、この頃雲取山山頂は既に雪が降っていたそうだ。

 そうとは知らない私は昨日の暑さに辟易し、雪も少ないだろうからとスパッツもつけなかった。それでも朝の内は雪面がガリガリだろうと思いアイゼンはつけた。今回持っていったのは12爪。

 ブナ坂に下り、七ツ石山に登る。息が上がらないようにゆっくり登っていった。しかしザックの重さが応える。昨年の夏、これでよく北ア縦走が出来たものだ。これより5割増に近い目方だったのに。

左【前方の七ツ石山に向かって】

 七ツ石山山頂ではしばし展望を楽しむ。すると雪がチラチラ舞ってきた。この時は雲取山山頂が既に雪だとはまだ知らなかったが、奥多摩小屋に天幕してこうして朝の展望を楽しめただけでもラッキーだった。そして鴨沢には下りず、このまま石尾根を行くことにした。その後は鷹ノ巣山の麓まで巻き道を行った。広葉樹、落葉松が多く、尾根道も楽しそうだったが、そちらはわずかな足跡しかなかった。石尾根は長丁場なので今回はパス。殆どは巻き道を通っており、トレースはしっかりついていた。鷹ノ巣山だけは登ろうと思っていた。千本ツツジのヤマツツジもきれいな時期に見たいものだ。

左【鷹ノ巣避難小屋】

 巻き道を歩いている間に雪が本降りになってきた。曇りの予報だったのに山は雪か・・。それとも前線が早まってきたものか。鷹ノ巣山の山頂が見えてきた頃、合羽を着た。少し休んでから先に行くと二人連れの男性が追いついてきた。先に譲って間もなく鷹ノ巣避難小屋に到着。ここもきれいな小屋だ。アイゼンをつけていたので中には入らなかったが、以前の記憶では中の広さは雲取山避難小屋よりは狭かったと思うが、避難小屋としては充分だったと思う。

 後からも続々やってきて、それぞれにアイゼンを外し、ラーメンを作ったりして大休憩モード。私は少しだけ休んで先に行きかけたが、合羽の下を履いていなかったので、ここで履いたり少しレーションを口にしたり、結局少し多めに休憩。そこには7,8人いただろうか、皆荷物は小さかった。皆それぞれに話しを交わす。同じ環境に身をおいて決まり切った会話だが、自然に話せるのが山歩きの面白いところだ。どこから来たかに始まって、これからどっちへ行くかと言いつつ地図をのぞき込んだり。その間にも雪は降り続き止みそうな雰囲気はない。殆どの人が石尾根を行くようだったが、その割に皆のんびりしている。時間はまだ充分あった。しかし私の足では時間がかかる。足の底が痛くなってきたのも気になった(帰宅して見ると、マメができていた)。今回の重登山靴には靴下がちょっと薄かったのかもしれない。

 ひとまず先に行くことにした。私は山頂を目指す。ここは急登だ。重い荷物が恨めしかった。しかしこんな天気の急変も想定しているからこその装備。安心感がある。山頂を目指す新しい踏み跡は一人だけあった。この天気だからここも捲いている人が多いのだろう。ゆっくり登っているのだが、後ろから来る人はまだいない。やはり捲いたものか。山頂近くでダブルストックを操り軽快に下りてくる男性一人と出会っただけだった。

左【鷹ノ巣山頂】

 ようやく着いた山頂は残念ながら展望がない。ここから雲取山を見るのを楽しみにしていたのだが・・。辺りはすっかりガスの中。思えば鷹ノ巣山は何回か来ているが、いつもすっきりとした展望に恵まれない。

 ここで石尾根を行く気は消滅。展望が無い中を一人で歩くよりはここから下山しよう。踏み跡がしっかりしているのを確認し、稲村岩尾根を下山することに決定。但しこのルートはエスケープルートとして計画書には入れてなかった。何回か登り下りも経験しているので大丈夫だろうとは思ったが、もしルートを誤って帰宅できなかったら、遭難対策は遅れるだろう。このルートでは全く人に会わなかっただけにそんなことをふと思ったが、不安はなかった。一、二箇所分かりにくいところはあったが、杞憂に済んで幸いだった。

左【稲村岩尾根の雑木林を行く】

 葉を落とした木々が寒そうに思えるくらい雪は降り続き、登山道もすっかり新雪に覆われていた。こうなるとアイゼンは団子になりやすい。外そうか迷うところだ。しかしここは北斜面、新雪の下にはアイスバーンもあるだろう。しかもずっと急だ。結局滑りやすいため外さずに、ストックで落としながら下りていった。バスの時間はまったく調べてなかったが、時間があればラーメンでも作って食べていよう。

 下りきって再び登りになるのが辛いところだ。さすがに足が重くなった。道路に出てようやくホッとする。目の前に中日原バス停があるが、この先の東日原まで行かないとバスに乗れない。ここも雨に変わらず依然として雪が降り続いていた。バス停は屋根があり椅子もある。側にはトイレもある。到着は14時ちょっと過ぎ。先にバスの時間を見ると前のバスは13時30分、次は14時50分発だ。ラーメンが食べられる♪

 ところが着替えたりアイゼンを洗ったりした後、ラーメンを作っているときにバスが来た。14時35分・・・わぉ!ラーメンがまだ出来上がっていない。運転手さんに時間の確認をして、急いで荷物の整理をし、その間に出来上がったラーメンを食べた。「寒いからドアを閉めておきますよ、まだ発車しませんから」とマイクを通しての声に恐縮。

 乗客は終点の奥多摩駅まで私一人だった。貸し切りだ。バス代450円、大荷物代はとられなかった。奥多摩駅も相変わらず雪が降り続き、携帯をチェックすると夫から心配する留守電が入っていた。娘も心配して何回か電話してきたようだ。乗り換えの立川駅でそれぞれに下山の連絡をいれた。