北ア・剱岳〜笠ヶ岳(No.1/3)
 北アルプス縦走:剱岳〜笠ヶ岳
 夏山の展望とお花見を楽しみに11日間の全テント泊! 
 早月尾根から剱岳へ、百名山7座を通り笠ヶ岳から槍見(中尾口)へ。

 H14年8月8-18日(木-日)
  天気;各日に記入
  Member.2人(夫婦)

  【剱岳:剱沢より】右


  【コ ー ス 】(コースタイムは各日に記入)
1日目(8/8木)
馬場島(ばんばじま760m)〜(早月尾根=はやつきおね)〜早月小屋(2224m)

2日目(8/9金)
早月小屋(2224m)〜剱岳(つるぎだけ2998m)〜前剱(まえつるぎorぜんけん2813m)〜一服剱(いっぷくつるぎ2618m)〜剱沢キャンプ場(つるぎさわ2510m)

3日目(8/10土)
剱沢キャンプ場(つるぎさわ2510m)〜別山乗越(べっさんのっこし約2750m)〜奥大日岳(おくだいにちだけ2605.9m)〜別山乗越(べっさんのっこし約2750m)〜剱沢キャンプ場(つるぎさわ2510m)

4日目(8/11日)
剱沢キャンプ場(つるぎさわ2510m)〜別山(べっさん2880m)〜真砂岳(まさごたけ2861m)〜富士ノ折立(ふじのおりたて2999m)〜大汝山(おおなんじさん3015m)〜雄山(おやま3003m)〜一ノ越(いちのこし2705m)〜浄土山(じょうどさん2831m)〜獅子岳(ししだけ2741m)〜ザラ峠(ざらとうげ2348m)〜五色ヶ原キャンプ場(ごしきがはら約2400m)

5日目(8/12月)
五色ヶ原キャンプ場(ごしきがはら約2400m)〜鳶山(とんびやま2616m)〜越中沢岳(えっちゅうさわだけ2591.4m)〜スゴノ頭(2431m、通過点は約2390m)〜スゴ乗越小屋(約2270m)

6日目(8/13火)
スゴ乗越小屋(約2270m)〜間山(まやま2585.2m)〜北薬師岳(きたやくしだけ2900m)〜薬師岳(やくしだけ2926.0m)〜太郎兵衛平キャンプ場(たろうべえだいら2294m)

7日目(8/14水)
太郎兵衛平キャンプ場(たろうべえだいら2294m)〜黒部五郎岳分岐(約2330m)〜薬師沢出合(2074m)〜薬師沢小屋(やくしさわごや1912m)〜アラスカ庭園(2463.9m)〜雲ノ平山荘〜雲ノ平キャンプ場(約2550m)・・テント設営後、祖母岳(そぼだけ約2560m)へ

8日目(8/15木)
雲ノ平キャンプ場(約2550m)〜祖父岳(そふだけ2825m)〜水晶岳=黒岳(すいしょうだけ=くろだけ2977.7m)〜鷲羽岳(わしばだけ2924.2m)〜三俣蓮華岳キャンプ場(約2540m)

9日目(8/16金)
三俣蓮華岳キャンプ場(約2540m)〜黒部乗越(くろべのっこし約2660m)〜黒部五郎キャンプ場(約2350m)〜黒部五郎岳(くろべごろうだけ2839.6m)〜黒部五郎キャンプ場(約2350m)

10日目(8/17土)
黒部五郎キャンプ場(約2350m)〜黒部乗越(くろべのっこし約2660m)〜三俣蓮華岳(みつまたれんげだけ2841m)〜双六岳(すごろくだけ2860m)〜双六小屋(すごろくごや約2550m)〜弓折岳(ゆみおれだけ2588.4m)〜笠ヶ岳キャンプ場15:40(約2800m)

11日目(8/18日)
笠ヶ岳キャンプ場(約2800m)〜笠ヶ岳山荘(約2810m)〜笠ヶ岳(かさがたけ2897.5m)〜槍見(中尾温泉口約990m)


 今回、まだ行っていない領域で、少しでも早めに登っておきたい剱岳、立山がまず頭に浮かんだ。それがまさか、十数日の山行計画に発展するとは・・・。それが、他ならぬ相棒、夫の発案なのだからオドロキ。計画の詳細はいつのまにか夫が骨組みを立てていた。なんと、早月尾根から登るぅ〜??並みのザックの重さじゃないんだよ!しかし、剱は登る前からやや腰が引けるような、私にとっては手強い、緊張を要する山。出来るだけ先にクリアしたい。それにしても行けるかな〜・・・ちょっとドキドキ。なのに夫は涼しい顔。自信?大変さをあまり自覚していないようだ。

 コースタイムは無理をしないようにして、早め出発、早め着で、北アルプスの展望とお花見をゆっくり楽しもう!行く前は、青空の楽しい稜線歩きをイメージして、具体的にプランをかためていった。いざというときのエスケープルートもチェック。往復高速バス利用を前提に、とりあえず往きの池袋駅発(23:05発)富山駅行き(5:50着)を予約(西武バス7340円/一人)。

【今回の装備=初日各25-26キロ、二日目以降は23-24キロ以下】
夫=二人用テント(ゴアテックス)、ザイル9ミリ30m1本、ラジオ(短波つき)、携帯(docomo)、ガスヘッド、ガスカートリッジ250×3個、シュラフ、シュラフカバー、銀マット、エアーマット、ヘッドランプ(LED)、予備電池単三4本(ラジオ用)・単四3本(LED用)、雨具、ザックカバー、帽子、軍手2双、着替え(Tシャツ・長袖・下着・靴下)、ナイフ、ライター、煙草?個、トイレットペーパー、私物袋(大耐水袋)、シュリンゲ2本、カラビナ2個、地図(エアリア)2枚、救急用品、テレカ、テルモス、サングラス、ストック1本、ウエストバック、携帯ナップザック、食料(2-3日分+行動食)、水分(初日5リットル、二日目以降各2リットル〜2.5リットル)、バンダナ、タオル、サンダル、洗濯ばさみ1、歯ブラシ、財布、ビニールテープ(黄色、迷ったときなど用)、ガムテープ(テルモスに巻き付けてある)、針金(ステンレス、15センチくらいに切ったもの数本)、ホイッスル、熊鈴(未使用)、気温計(キーホルダー)、携帯ライト(LED、キーホルダー)、ポリ袋大中小各種数枚(新しいもの) 、予備の靴ひも、日焼け止め(未使用)

妻=ガスヘッド、ガスカートリッジ250×3個、コッヘル2、メンコ2、箸、スプーン類、無線機、携帯(docomo)、デジカメ、医療品、シュラフ、シュラフカバー、銀マット、エアーマット、ヘッドランプ(LED)、予備電池単三12本(無線機用、デジカメ用)・単四3本(LED用)、雨具、ザックカバー、帽子、軍手2双、着替え(ズボン、Tシャツ・長袖・下着・靴下)、ナイフ、ライター、マッチ、トイレットペーパー、私物袋(大耐水袋)、シュリンゲ4本、カラビナ3個、地形図(2万5千図)5枚、コンパス、筆記用具、救急用品、濡れティッシュ(ボディ用含む)、テレカ、保険証、テルモス、サングラス、ストック1本、ウエストバック、食料(ほとんど+行動食)、水(初日5リットル、二日目以降各2リットル〜2.5リットル)、バンダナ、ガーゼタオル2本、タオル1本、サンダル、洗濯ばさみ2、輪ゴム、歯ブラシ、財布、ホイッスル、熊鈴(未使用)、気温計(キーホルダー)、携帯ライト(LED、キーホルダー)、ポリ袋大中小各種数枚(新しいもの) 、予備の靴ひも、日焼け止め、リップクリーム

メニューは各日の記録の末尾に記載。食材は主食フリーズドライの山菜おこわ、小豆おこわ、ワンクイック白めし(白米)、蕎麦(乾麺・・洗うときのネット袋必要、ザルの代わり)、インスタントラーメン味噌味としょうゆ味+チキンラーメン(無印良品で)、サラスパ、ミニうどん、副食はレトルトミートソース、レトルトカレー、レトルト丼もの、海藻サラダ、海草ジャコ入りサラダ、麻婆春雨、袋入りシーチキン。調味料は砂糖、塩、油、しょうゆ、酢豚の素、めんつゆ(液体と粉末それぞれ小袋入り、土産品についていたもの)、だしの素、ワサビ、おかか(小袋入り)。飲み物はインスタントみそ汁、コーンスープ(粉末)、キムチスープ(ドライ)、お茶セット(粉末コーヒー、粉末ココア、粉末緑茶、粉末ほうじ茶、煮出し用小袋入りウーロン茶、自家製梅酒500cc、ポカリスエット粉末6袋一日二分の一袋使用)。他に焼き海苔、お茶づけ海苔、ドライフーズのわけぎ(小袋で分かれている)、小分になっている蜂蜜。ソーセージ、サラミ、チーズは行動食と兼用。他に嗜好品としてオレンジゼリーの素(粉末)とババロアの素。ババロア用に牛乳1パック(常温保存可能品250cc)。野菜はキャベツ半分(中心の芯だけくり抜いていく)、タマネギ2個、人参半分、ピーマン2個、ナス1個・・・新聞に包んでポリ袋に入れる、10日間保存でき、全て食べられた、涼しかったからだと思う)。etc

行動食はサンドイッチ(初日用)、パン、チーズ入りクラッカー、チーズ、ドライフルーツ入りクラッカー、チーズナッツ付きおかき、柿ピー、黒砂糖、パイナップル味の飴、c&cレモン飴、都昆布、梅干し、みかん1ネット(往きのバス内で食べようと思ったのが残ったため)、レモン1個(山行後半スライスして蜂蜜漬け)、こんにゃくゼリー(家にあった残り物少し)、ドライプラム、フルーツチーズ(ブルーベリー)、チーズ入りタラ薫製、食べる煮干し、etc


早月尾根を行く・・・

1日目(8/8木)快晴
馬場島7:30〜登山口7:35〜1600m11:35〜1920.7m13:35〜2224m16:05〜早月小屋〜夫迎え〜2224m17:50〜早月小屋17:55(テント泊)
(所要時間約10時間25分・・休憩含む)

 富山駅到着当日は少し早めに着いたため、一本前の富山地方鉄道、宇奈月温泉行き(5:42発)に乗車。上市駅で下車。ここで単独の若い女性と一緒になり、駅で朝食や水補給をすませた後、タクシー相乗りで一緒に馬場島へと向かった。剱はここ2,3日曇っていて、この日は久しぶりの快晴だそうで、よく見えた。タクシー料金6870円。富山駅でみたあのザックの人たちは殆どが室堂または他へ行ったのだろう。想像以上に早月尾根を行く人は少ない。これを物好きというのだそうな。

  左【試練と憧れ】

 馬場島からは亀足の私たちがひとまず先行する。もちろん、すぐに彼女に抜かれ、そのあと登ってきた男女二人連れや男性二人にも先を譲る。気温は登り始めで既に22度。とっても暑かった。その上大きな蚊やブヨもいて、出ている素肌を遠慮無く刺してくる。

 ゆっくり登ろうと言いつつ、案の定夫のペースが遅い。先に行ってテン場を確保しておいてと言われ、私が先行する。しかし今回それぞれが25-26キロの荷物、私も登るのが辛かった。1時間に1本の休憩が50分ごと、40分、30分毎となり、そのたびに夫はまだ来ないかと、私の休む時間が長くなってきた。休む間にスーッと、睡魔が襲ってくる。昨夜の夜行高速バスでは眠りが浅かったからだろう。そう言えば夫は通路側に座っていたため、トイレ(そのバスはトイレ付きだった)に行く人が通るたびに衣類など手に触れてきて起こされたという。私たちの席は最後尾でトイレの前だった。それで寝不足だと言っていたっけ・・・。この長期休暇を取るために連日仕事で追われてもいたしなぁ・・・でもサ、バテるのは今日に限った事じゃないし・・・(_ _;;、結局フォローになってない(^o^) ということで、私は少し目を閉じて、また先に進むというのを繰り返した。

 なかなか来ない夫を待っているよりは、はっきりしているルートでもあるし、とにかく先に行こうと進まぬ足を前に出す。ただひたすら急な登りを行くだけ。時折吹く冷たい風が何より嬉しい。そして稜線の両脇に眺められる山稜に慰められる。左に赤谷山の連なり、そして剱へとのびる北方稜線バリエーションルートが見え、凄いなぁと思いながら眺めていた。右に目をやればそこは二日後に行く予定の奥大日岳の稜線が見える。初日からこうして素晴らしい展望を楽しめて最高だった。

 行けども行けども着かぬ目的地。左に池を見ながらしばらく行くとロープが出てきた。疲れ果てた体にロープ・・・とガッカリだったがなんとかよじ登る。あとは惰性で歩き、やっと早月小屋の見えるピークに着いた。もう目と鼻の先だった。ホッとしてそこからの剱などデジカメに写し、小屋へは夫と行こうとしばらくそこで時間を潰していた。なかなか来ないので、一度途中まで迎えがてら空身で下りていった。しかし、また夫のザックを全て背負う元気は無かったのでひとまず元の場所に戻った。待つこと?分。あっ、来た!「ここよ〜・・・???」赤いザックに思わず声をかけてしまったが、違う人だった。その人、登ってきて曰く「旦那さんは相当ばてているようで、少し昼寝してから来ると言ってました」ガァ〜ン!よく聞けば1920.7mP辺りでの事だそうだ。そこから通常1時間10分のコースタイムだが私は夫を待ちながら、2時間半もかけて登ってきている。それほど、ここを歩くのが辛かったのだ。とにかく迎えに行かなくてはならない。この時の気持ちは何と言ってよいか・

 ひとまず小屋へ行き、管理人さんに挨拶し、ザックの中身を置かせてもらった。「そんな荷物で来たのかぁ、つえーなぁ(強いなぁ)」とあきれられた。(そんなことないっす!もうバテバテのボロボロ・・・)「1920でばてるとここまでがつれ〜んだよ(辛いんだよ)」という管理人さんのあったか〜い言葉を聞きながら、目に入った果汁100%のオレンジジュースを買い、合羽、飲み物、行動食と共に空にしたザックに入れて、再び戻って行った。

  左【やっと着いたぁ〜、ばんざ〜い】

 急いで下り、20分ほど行ったところで夫に出会った。ちょうど池の所を通過したところだった。思ったよりこちらに来ていたのでホッとした。渡したオレンジジュースでいくらか元気が出たようだった。夫のザックの中身をいくつかこちらに移し、再び登っていった。そこから1時間ほどかかっただろうか。再び小屋の見えるピークに着いたときは心底ホッとした。

 小屋の管理人さん共々、明るい内に着いて良かったと話ながらテン場の申し込み(時間によっては小屋泊に変更しようと思っていた)。テン場一人500円(これは今回のテン場全て同じだった)。テン場のテントは全部で3張りで、充分余裕があった。今回水は担ぎ上げたが、天然水2リットル700円で買える。ビール(レギュラー)は500円、オレンジジュース300円。

 食事:昼 サンドイッチ&牛乳、他随時行動食
    夜 スパゲティ(茄子入りミートソース味)


剱岳はスリル満点

2日目(8/9金)曇り時々雨
早月小屋4:40〜2614m6:53〜剱岳10:15-50〜前剱12:45-13:00〜一服剱14:00-10〜剣山荘14:30〜剱沢キャンプ場15:25(テント泊)
(所要時間約10時間45分・・休憩含む)

 初日からバテタので一日停滞してゆっくり体を休めようと提案したのだが、一晩眠れば大丈夫と夫が言うので、それでは涼しい内にと、早立ちする事にする。

 ヘッデンつけて出発の用意をしているとき、空は朝焼け、星は無かった。天気はあまりよくなさそうだ。しかし雨もなく、いきなりの登りを振り返ると富山湾が見渡せる。街の明かりがきれいに見えた。しかし途中から雨。剱の岩場がどうなのかという心配より、むしろ展望がなくても暑いよりは良いという昨日の述懐が、まず安心感をもたらす。

  左【岩場、まだ序の口】

 こちらのルートはお花がいっぱいでとてもきれいだった。雨であまり写真は撮れなかったが濡れた花々は尚いっそう美しい。ミヤマオダマキ、トウヤクリンドウ、タテヤマリンドウ、ウサギギク、マツムシソウ・・・

 2800m辺りで雨が強くなってきた。そこで私たちより先に早立ちしていた小屋泊のご夫婦が下山してきた。雨で展望は望めなかったそうだ。「この先に鎖場がありますよ」と聞き、またそろそろと亀の歩みを始めると、岩場に変わり、言われたとおりあっちにもこっちにも鎖場が現れてきた。早月側だって、タテバイ、ヨコバイじゃないか・・・それにしてもスリル満点だ。

  左【剱岳山頂で】

 やっと着いた山頂。残念ながら展望は望めなかったが、雨はやんでいた。それだけでもラッキー。ガスが流れていたので少しでも晴れないかと待ったが無理のようだったので、昼のパンを食べてから下山。登山者は少なかった。その中でも若い人の方が多かったが、みな室堂側から来ているようで、殆どがナッブザック程度だった。夫曰く「やっぱりケーブルやロープウェイなど乗り物に乗れるところは乗って来なきゃなぁ・・」(今さら遅いよ、もぅ・・・(_ _; )

  左【梯子を下って】

 いよいよ剱沢に向けて、カニのヨコバイだ。情報ではかなりしっかりした鎖が付いているということで、やや安心。慎重に渡る夫のあとをついていった。登山者が少なくて幸いだった。難なく無事通過して、その後も慎重に下っていく。荷物が重いため気を抜けない。一瞬ヒヤッとしたのは梯子の所だった。身軽でないだけに、最初の一歩がかけにくかった。そこも通過して下りるとトイレがあり、その側でクライミング装備の数名がいた。あとから下ってくる若者たちに先に行ってもらう間、登りのカニのタテバイを見ていた。室堂方面から登るとき、登りと下りが一方通行になっているのだ。登りはタテバイを通り、下りはヨコバイを通る。そのため私たちはタテバイを通らない。ほぅ〜、こんな所を登るのかぁ・・・すごいな・・・。見ていると、ガイドツアーらしく、先に登った男性が、登ってくる年輩の女性に一生懸命指示をしていた。女性たちは身軽で荷物を持っていない人もいた。手段はどうあれ、登るのも人それぞれだ。

 朝登るときにも遭ったが、下る間にも雷鳥と遭遇。敵から身を守るため、動きの鈍い雷鳥が行動するのは悪天候の時だそうで、この日はまさにそんな一日。ガスってはいたが、雨は既に止んでいた。花など写真を撮りながら相変わらず亀足で下山。

 前剱で休んでいると、年輩のグループが登ってきた。午後1時頃、時間的に遅いなと思いつつ、私たちは下山。

  左【雪渓を渡る】

 一服剱まで来て、剣山荘や剱沢が眼下に見えてくるとひとまずホッとする。そこから剣山荘は下りで近かったが、剱沢までは緩やかな登りで、疲れている私たちの体には辛い距離だった。途中雪渓を渡り、重い体を引きずるように剱沢小屋へ。ところがテン場の申し込みは向かい側の野営場管理所の方だった。管理の行き届いたところはどこでもそうだが、ここも前泊、翌泊の場所や装備内容など記入させられる。山行日程や食料、装備など書き込むとそこのバイト君(多分)が「スゲェー・・」。

 剱沢キャンプ場は申し込んだ時点でキーホルダーが一人一個もらえる。オコジョの絵の入った皮で可愛い。水は豊富で自由に使え、無料。トイレは消毒の匂いが強いが清潔。一泊でも連泊でも一人500円。ちなみに今回ここだけは連泊、ラッキ〜!

 夕方はガスがとれて剱がきれいに見えていた。感激。

 食事:朝 前夜残りのスパゲティ(温めて)
    昼 パン、他随時行動食
    夜 レトルトカレー


奥大日岳はハイキング気分♪

3日目(8/10土)晴一時雨
剱沢キャンプ場5:50〜別山乗越6:35〜奥大日岳8:50-9:15〜別山乗越11:50-55〜剱沢キャンプ場12:20(テント連泊)
(所要時間約6時間30分・・休憩含む)

 剱沢キャンプ場にこの日も連泊。奥大日岳にピストンの予定。しかし夫は休養すると言うので一人で奥大日岳へ。夜の雨音と、全身の筋肉痛で、私もあまり眠れず、行くかどうか迷ったが、結局行った。この日は天気が良く、展望もまあまあで、行ってよかった。その間に夫がTシャツと靴下など洗ってくれていた(おじいさんは川へ洗濯に、おばあさんは山へ遊びに行きましたとサ♪)。日帰り装備だったので昨日、一昨日の二日間と思えばとっても楽。前に小屋泊まりの数名パーティがいたし朝の歩き出しだったので、別山乗越まではゆっくりペース。天気は良かったが、当初剱や立山山頂方面はガスがかかっていた。乗越から奥大日岳方向を眺めるとこちらも山頂はガスがかかっていた。

  左【早月尾根と剱岳】

 行く方向を見ると一度かなり下る。ということは帰り又ここを登ってくるということ。辛いな〜・・・でも奥大日岳にのびる山道はハイキング気分で歩けそうでなかなか魅力的。左手眼下には室堂が一望できる。ちょうど一年前、夫と一緒に母を伴って歩いたところだ。山道の両脇は色とりどりのお花でいっぱいだった。歩いていて楽しい。

 やがて右手に剱岳が全景を現してくる。そして初日に歩いた早月尾根、よく歩いたものだ。この風景夫に見せたいと思った。往きはあまり人にも会わず静かな歩きだった。

  左【奥大日岳山頂で】

 写真を撮ったり、お花を眺めたりしながら歩いたにも関わらず、山頂には思ったより早く到着。山頂からは富山湾と能登半島、富山平野が見渡せる。青空と青い海、気持ちがよい。能登半島へも若い頃一人で周遊したのを懐かしく思い出す。富山湾から左側(西)に目を移すと奥大日岳稜線上の大日岳、大日小屋が見える。そのまま左(南西)に目を向けると気になる山が目に入った。側にいた人に聞くと、鍬崎山だという。今NHK大河ドラマでやっている『利家とまつ』でも出てくるそうだが、その頃の武将の埋蔵金がいまなお眠っているという。

 ゆっくりしたあと下山。下山時はお花の撮影モード。このころになって、登ってくる人が多く、道を譲ることしばしば。立山山頂のガスが晴れたとき、展望の良いところで明日の予定の立山全景を地図と見比べて観察。けっこう大変そうだ。

 雷鳥沢分岐まで下ったときには遠い山上に見えた乗越の剱御前小舎だったが、緩やかな傾斜を登っていく内にどんどん近づいてくる。しかし途中でザーッと雨が降ってきた。合羽の上だけ着た。歩いているとこちらの静けさに比べ、雷鳥坂は室堂から乗越へ 目指す人の行列だった。

 乗越の剱御前小舎には公衆電話があったので、子供に予定通りであると無事を知らせた。こちらが気にかけるほど心配もしていないようだが・・・。ここの公衆電話は昼間はテレカが使えず、コインを使う。山ではテレカが定説だったので意外であった。

 予定よりかなり早い時間にテン場到着。「ただいま」・・夫はテントで寝ていた。ゆっくり休めたようであった。剱岳の眺めも最高で、ここでの連泊は正解だったようだ。私はお腹が空いていたのでインスタントラーメンを作って食べた。最高に美味しかった。

 剱沢のキャンプ場には若い人がけっこう多かった。もっとも中高年は小屋泊が多いのだが、どこへ行っても若い人が少ない中で、やはり剱岳ならではの風景かなとちょっと嬉しく思ったりした。

 食事:朝 野菜入りラーメン(キャベツ、人参、タマネギ、ピーマン)
    昼 パン・キムチスープ(夫)、パン・ラーメン(妻)、他随時行動食
    夜 レトルト丼物、みそ汁

 つづき(No.2へ)