奥武蔵;武甲山〜小持山〜大持山〜武川岳
(ぶこうさん1295.4m、こもちやま1273m、おおもちやま1294.1m、たけかわだけ1051.7m)
   雪山と春山を一度に満喫!

 H12年3月12日(日)当日発・ 天気;雪のち晴 :
  Member.2人(高橋、石原)

【武川岳より武甲山を望む】右

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)
生川(518m)7:10〜表参道登山口(880m)7:35〜武甲山直下の分岐9:00〜武甲山(1295.4m)9:05-35〜シラジクボ(1070m)9:57〜浦山口分岐10:43〜小持山(1273m)10:45〜展望の良い筈のピーク11:20-30〜大持山(1294.1m)11:47〜分岐11:55〜妻坂峠(839m)12:45〜武川岳13:25-45〜妻坂峠14:10〜生川14:50

(所要時間約7時間40分・・休憩含む)

 3/11(土)伊豆ヶ岳、12(日)武甲山〜武川岳に行ってきました。
 奥武蔵に足を踏み入れたのは今回が初めてでした。通い慣れた奥多摩を反対側から見てみたいと常々思っていましたので、それを目にしたときは感慨深いものがありました。奥多摩同様植林が多く、低山の連なりは開放的で、未知だった世界は急に身近になった気がします。
 伊豆ヶ岳は雪もなく、マンサクが満開ですっかり春!軽アイゼンを持ってきたのは失敗だったと笑っていたら、翌日の武甲山は一転して雪になってしまいました。


 前日の伊豆ヶ岳に引き続き、武甲山から大持山、行ければ武川岳までという欲張りなプランで行った。前日のリーダーは別の山行予定が入っていたためこの日は高橋さんと二人。しかしアドバイスをしていただいたので、計画に安心感をもてた。

 前夜は高橋さんにお世話になったため出発は早くすることが出来た。夜中の内に雨が降って翌日は上がってくると聞いていたが、6時に雨は降っていなかった。しかしフロントガラスに雨がポツポツあたりだし、目的地に近づくほどに完全な雨となった。「(いつも)こういう日は登りますか」と尋ねると「登らないですね、でも折角だから行ってみましょう」と返事があった。「無理そうなら引き返しましょう」ということで予定通り生川(うぶかわ)へ。昨日丸山鉱泉に行くときにも山肌を削られた武甲山の姿を見ていたので、「ガスっているせいか今日は武甲山が白っぽいですねぇ」と何気に話していた。

 ところが驚いたことに生川(表参道一丁目)に着く頃には雨が雪に変わった。白く見えていたのはガスではなく一面の雪だったのだ。雨よりは雪の方が良い、と気をよくして駐車した後、車止めをし、雨合羽を着てから表参道を歩き出した。昨日の伊豆ヶ岳では全く必要なかった軽アイゼンも、今日はもしかしたら使うかも知れない、と思ったら高橋さんは置いてきたという。ここでも又無理なら引き返そうを合い言葉に行ってみる。

 表参道とはいえ、思い描いたような華やかさ?はまったくなかった。マスの養殖場(釣り場)を通り、設置してある登山届けに記入し、車1台通れるような林道を行くともう静かな山の中だ。間もなく登山道の分岐になり、そちらへと進む。所々何丁目という石標が立てられているが、数字はバラバラに飛んでいるので気にせず登ることにする。ここもまた植林で見通しはきかない。今日は先行者はいないようだ。積雪は段々と厚くなり、新雪を踏みしめていくのは気持ちがいい。それにしても今の時期残雪でなく、全くの新雪を踏めるなんて、と驚くと共にラッキーだった。まるで初冬の山を歩いているようだ。関東はこんな思わぬプレゼントがあるから又面白い。樹林が切れて、きっと展望の良いところもあったのだろうが、ガスで展望はまったく望めなかった。展望は駄目でも今回は雪山を楽しもう!

 山頂に近づいたと思われた頃、丸木で整備された階段になった。階段はつらい。しかし雪がついていた為、かえってその階段やロープが有り難かった。尾根上に出ると分岐だった。山頂へ向かうと5分ほどで御岳神社があった。登山の無事を祈り、その後左から裏手へまわってみた。武甲山の山頂展望台があった。フェンスで遮られ山頂の風情は感じられない。残念というか幸運というか、山頂からの展望も又得られなかった。採掘で削られた山肌や作業場もガスに包まれ、見える範囲といえばきれいに雪化粧をしている。昨日眺めた武甲山は堂々と格好が良かった。 削られていなければ尚姿が良かったことだろう。でもいまさら元には戻らない。生活の恩恵にあずかっていることを思えば、感謝して歩かせてもらおうと思った。

左【武川岳が見えてきた】

 下山し始めると初めて登山者パーティ(8名)に出会った。こんな日に登る物好きは他にいまいと思っていたがやはりいるものだ。でも「バージンスノーはいただきよ」などと二人でふざけながら再び分岐へ戻りシラジクボへと向かった。そこでエスケープするか先に進むか判断することにしたが、アイゼンなしでも大丈夫そうだったので先に進むことにした。山頂や尾根の積雪は4、5センチから多いところで6、7センチ。さすがに斜度がきついとズズーッと滑る。後続の高橋さんを不安にさせたものか、安心させたものか、とにかく楽しかった。落葉樹林帯が尾根道の両サイドに広がって続き、霧氷がとても素晴らしい。

 浦山口への分岐を過ぎて登り切ったところは標識はなかったが小持山のようだった。展望もないので通過する。小持山と大持山の間に展望の良い小ピークがあるというので楽しみにしていたが、今回は残念だった。しかしその場所はすぐ分かった。倒木が座り易そうに置いてあったので、折角だから休憩し、展望の得られない好展望場の雰囲気を味わう。そこで先程会った8名パーティが追いついてきた。早い。そこで無垢の新雪を譲り、私達が後からついていくことになった。初めて踏み跡を辿ることになった。8名のトレースがつくとやはり楽だ。

 途中「見えてきましたよ」と高橋さんの声がし、顔をあげるとガスが流れ、まわりの山が少し見えていた。顔にあたる冷たさが心地よかった雪もいつしかやんでおり、ここでおおいに満足してしまう。間もなく大持山につき、ここで先行の8名パーティは休憩をとるようだった。ここで再び私達が前に出る。今まで先頭を嫌がっていた高橋さんにも新雪を踏む楽しさを味わってもらおうと、先に行ってもらうことにする。はじめは尻込みしていたが、歩き始めると後ろからみても楽しそうに感じられた。分岐で妻坂峠へと進路をとるが、この雪道の下りは下がるほどに急勾配となり、脹ら脛が少しパンパンになってしまった(結局、アイゼンは未使用)。空は明るくなり樹氷もやがて消えた。

 妻坂峠に着き、いままで見おろしていた武川岳は大きく見上げるようになった。時間はまだ充分ある。待っていると言う高橋さんに、一緒にゆっくり登ろうと誘って、予定通り武川岳をピストンすることにした。こちらは南西の斜面で丁度西日があたっていた。標高が200M以上低いせいもあってか今まで歩いた雪山の雰囲気とはガラリと変わり、雪解けの春山になっていた。ふかふかの土の匂いが春を感じさせる。カタクリはまだ葉も出ていなかったがやがてこの辺りを埋め尽くすのだろう。疲れた足を揉みほぐすように休み休みゆっくり登りながら、ときどき武甲山から歩いてきたルートを振り返るのは、何とも言えず幸せな気分にさせてくれた。急登を登り切ると山頂まで気持ちの良い雑木林が続いている。

 武川岳山頂は広く開放的だ。すっかり天気が回復し、ここからも奥多摩の山並みを眺めることができた。今回の山行目的は伊豆ヶ岳同様、ここでも叶えられた。歩いたルートと奥多摩の風景を堪能し心置きなく妻坂峠まで戻ることにする。山頂で新たに3名パーティと単独行者に会ったが、下りはじめるとすぐ、またさっきの8名パーティに遭遇、足並みの揃った良いパーティだと思った。

 妻坂峠から生川まで下りる間に登山道が崩落している場所が一カ所あるので注意が必要。少し下って赤テープに従いながら崩落場所の先に続く登山道にもどる。地図(1992年)にない林道があってビックリしたが、その林道を横切って横瀬方面へとそのまま下っていけば、生川にでる。その辺りの雪ももう消えていた。

 2日間にかけて歩いた伊豆ヶ岳、武甲山から妻坂峠、武川岳だったが、それぞれ思いがけなく異なる気象条件で体験し、奥武蔵の山を充分満喫してきた。