奥多摩; 鷹ノ巣山
(たかのすやま)
トレーニング登山で歩いたけれど、あいにくの雨!

 H6年7月6日(水)当日発 ;
 Member.計3名

 【コース】(=は乗り物、〜は歩き)
立川駅6:54発=奥多摩駅8:10発=(バス)=中日原8:36〜稲村岩(880m)9:40〜ヒルメシクイノタワ12:00-40〜鷹ノ巣山山頂(1736.6m)13:10-15〜分岐13:30〜水根(530m)16:14発(バス)=奥多摩駅16:46発=立川駅17:53


 先生と出会った思い出の山に再びこうして登ってきた。2年前(正確には1年9ヵ月前)の奇遇を思いだしながら、一足踏むごとにその時の情景が昨日の事のように思い起こされる。

 [回想:バス停から降り、その時初めて口を聞いたこと(もち論既に青梅線の車内に座ってらした時から覚えているが)、舗道から降りていく道筋で次々花の名を口にされる姿にとても驚いたこと、セキヤノアキチョウジを必死に覚えたこと、せっかくの機会に迷惑を顧みずその後を離れまいと一生懸命ついていった事、横から口をはさんで尋ねてもいやな顔一つせず気持ちよく親切に教えて下さったこと、休憩中抜きつ抜かれつしながら歩いたこと、山頂でアキノキリンソウが奇麗に咲いていたこと、一緒に写真を撮りその後は奥多摩駅まで同道、調子に乗っていろいろ聞いたものだから、そのお陰で予定以上の時間がかかってしまったこと等々。この頃はまだビデオを持ち歩いていなかったが、かなり鮮明に覚えている。それだけ先生の印象が強かったのだろう。 ]

 そして、初めは遠慮しつつ、やがて遠慮なく先生と歩くようになり、今や旧知の如くおつきあいさせていただいている。余程フィーリングが合ったのだろうか。山の花の名などほとんど知らなかった私だが、先生に次々と丁寧に何回も教えていただいたお陰でこの2年足らずの間に、私は驚くほどの急成長をした。

 そのスタートの山、此処鷹ノ巣山の急勾配を、今回は北岳登頂のトレーニングの場として登った。登りはじめの時、ギンバイソウが白い花をつけていて、初めて見るそれに感嘆したが、梅雨の終わりかかった時期のこの蒸し暑い中、他に慰めてくれる花も少ない。時々は上を見上げ、ホウノキの大木、ブナやカエデに目をやる。大きく息を吸い込み一息つき、また登る。何回か繰り返しては休憩し、進む。ところがどうやら前回と同じ12時には山頂に着きそうもない。体力を回復させることが先決と、山頂30分ほど手前のヒルメシクイノタワで昼食をとってしまうことにした。しかし、食べられない。私にとってもこんなことは珍しい。先生の持ってきて下さったメロンのなんと美味しかったことか。食事らしい食事は出来なかったがこれで元気が出た。

 気を取り直して山頂目指したが今度は雨が降ってきた。しかも強い降りだ。山頂では空の底が抜けたような雨。今回も視界は望めず、写真も写してはみたものの前回同様定かではない。 

 先に食事を済ませて良かったと思いながらすぐ下山した。あまりの強い降りに、ちょっと危険箇所もあるという水根方面をやめて、このまま一度歩いたことのある奥多摩駅方面のコースに変更しようかと思ったが、分岐点に着く前に小やみになったので、当初の予定通り水根へと足を向けた。はじめはふかふかした落葉樹が足元にやさしくとても歩きやすかった。こちらなら先生の言われるように落雷の心配も少ないとほっとした気持ちで歩いていた。しかし、途中からやはり滑りやすいところが数ヵ所あり、目の前で先生が足を滑らせたときはひやーっとした。幸い大事にはいたらず良かったが、雨がほとんど止んでいたのが救いだったかもしれない。

 登りで苦戦したにもかかわらず、下りは順調で、水根バス停には想像以上に早く着いた。なだらかな勾配をもどかしく思い乍らも、それだからこそ雨に濡れたキツリフネの美しさをじっくり見るゆとりさえあって。

 いつか時間があったら水根からも一度登って見たいものだ。水音を聴きながら、ここならまた初夏などがいいかもしれない。

 バス停ではタイミング良くバスが来て、ラッキーだった。久しぶりの奥多摩駅での乾杯…本当に久しぶりだった。

     “鷹ノ巣に雨音高く過ぎ去ればバイカツツジの白く滴る”

     “今日の日は更なる山に登らんと鍛えし我らにキツリフネ咲く”