奥多摩;高水三山
(たかみずさんざん)
今回の目的は下山後のお楽しみ?

 H5年11月5日(金)当日発 ;
 Member.計2名

 【コース】(=は乗り物、〜は歩き)
立川8:18発=軍畑駅9:05〜高源寺9:35〜高水山(759m)10:55〜岩茸石山(793.3m)11:25-12:20〜惣岳山(756m)〜沢井駅(澤乃井酒造で休憩)14:10-16:00迄16:36発=立川駅17:42発


 連日のお天気に誘発されて高水三山に行ってきた。久しぶりに友人を誘って。此処に登るのは去年の九月以来になる。平日にしては珍しく、駅では思った以上の大勢の人たちが降りた。その軍畑(いくさばた)駅前でついつられて私達もあんぱんを買い、早速ビデ オを回しながら出発。一度登った山に又来るというのもいいものだ。記憶をたどって行くと、ひとつずつ懐かしく思い出されてきた。

 舗装道を過ぎてさて登山口に立った時、「あぁ−、もう登りたくない〜」という友人の悲愴な声!そこで一休みしていた先客の人たちはポカンと呆気にとられていたっけ。

 水の流れる堀のむこう側に紫色のセキヤノアキチョウジだろうと思われる花が咲いていた。間近に見られなかったのが残念だったが多分そうだと思う。この先もそうだがこのように私の記憶はどうも頼りない。

 予報通り気温が上がり暑くなっていたが、杉などの針葉樹が多かったお陰で涼しくて気持ち良かった。という訳で紅葉はあまり見られず残念だったけれど。二回目となると余裕を以て周りを眺められるような気がする。高源寺はなぜか記憶に残っていなかった。山頂近くになると高水不動という古い立派なお社があり、そこの紅葉は見事だった。ここはよく憶えている。真っ赤なもみじ、黄色のミズナラやリョウブなどの揺れる葉っぱに、さしこむ太陽の光線が跳び跳ねていた。キラキラ輝く樹を見上げると尾根伝いに青い空が見える。そこまで行くと思ったとおり奥多摩の山々が見える。地図で確認しなかったが御岳、日の出山、大岳、御前山などが、一望の下に見渡せていたはずだ。久しぶりの奥多摩、我が山登りのスタ−トの山々。故郷に帰ってきたような安心感を感じる。またそのひとつひとつを時期を変えて登ってみようと思った。

 ここから山頂はもう近い。ふぅふぅ言いながらにこにこ登る友人に焦点を合わせ、その姿をビデオにおさめるのだが、いつカメラを向けても絵になる。タレント性はバッチリ?!。クロモジを見つけ、手折ってその香りを楽しんでみる。山頂は見晴らしがよくなかったのを思い出していたのでそのまま通過した。ひとまず下る訳だが、この高水の下りがちょっと注意を要する。               

 そして次なる岩茸石山(いわたけいしやま)へ向かう。ここの登りが一番きついが距離はたいしてない。がんばれ、がんばれと友人に声援を送り、ここもあっという間に着いてしまった。既に数人のグル−プが昼食をとっていた。私達も用意してきたラ−メンを作ろうとガスでお湯を沸かし始めた。山頂はみるみる後続の人たちで埋まりその視線は否応なく私達のお鍋に集まった。今日は思いの外暑かったのでラ−メンは失敗したかなと二人で笑ってしまった。前方に棒の折山(棒の嶺)を眺めながらの食事は格別だった。ここも感慨深く見つめてしまった。大勢いる山頂の中でも一際賑やかに我々二人はその時間を楽しんだ。

 そのまま棒の嶺の方へ行きたいなと一瞬よぎったが、すぐ吾にもどってコ−スは予定どおり惣岳山(そうがくやま)へと向かった。まもなく先行していた年配の御婦人方が、横木に雀のごとく並ぶ姿が目に入った。惣岳直登の前の一休みだった訳だが、惣岳と思わず、私は脇のまき道の方を進んでしまった。そういえば前回も惣岳の山頂の記憶はない。同じミスをしてしまったのは残念。本によれば、そこの視界はあまりよくないとあるから「まっ、いいか」という事にした。

 沢井駅方面へと道をとったら友人がカンアオイにいちはやく気が付いた。花も咲いていた。このカンアオイを初めて見たのもやはり彼女と行った、日の出山の下山の時の事。またこうして出会えて嬉しかった。ツルリンドウも一輪、とってもきれいに咲いていて、これも彼女が見つけた。花との出会いがあまりなかっただけにこの一輪は際立った。二人とも記念写真を写して何となく嬉しい気分で歩きだした。「鳥が鳴いてるね、あれっ違うのもいるよ」という友人の声にその方へと目をやった。途端にツルッ、ドッス−ンと見事に尻餅。「大丈夫?」と彼女が心配してくれたのは、私の持ってるビデオカメラだった!?。かくして、ただならぬ私のビデオの生傷に、彼女も納得してくれた次第。とにかくうかつだった。

 沢井駅方面に向かう道が途中から二手に分かれた。さてどうしたものか、地図にこんな道は出ていない。左へ行けば多分駅に近いだろう、右に行けば少し秋川渓谷を楽しみながら沢井駅の方に行く事ができるだろうと予想をつけて、少しでも早く駅に辿り着こうと左の道を選んだ。勘は的中。14時10分駅に到着、そのまま帰れば予定より早く家に着く。しかし、しかし…澤乃井酒造のあの野外ガ−デンが…、そして友人のあの訴えるような眼差しが…、そして、そしてこの喉の渇きが…。然るべくして足はそちらへと向いたのであった。

 とにかくその喉ごしは最高だった。暑かったこと、早めに下山できたことがその美味しさを増してくれていた。渓流と緑と紅葉(少なかったけど)という、自然のキャンバスの中に溶け込んで、会話も弾み充分堪能できた。周りのテ−ブルの人たちはみんな疲れ切った顔をして、元気なのは子供だけ。私達は二人だけだったにもかかわらず、そして下山してきたばかりで疲れているはずなのに、まるでそこだけ太陽がさんさんと降り注いでいるように陽気だった。彼女の天真爛漫な性格の為せる技なのだろう。

 二時間ほどゆっくりして(思ったよりゆっくりしてしまった)帰路に着く。友人のお約束の七時には間に合った。本日は25,000歩。

        “奥多摩の緑豊かに霜月の山並み眺む青梅線の窓”
       “息荒く登りし友の揺れる身に笑い溢れん顔と足もと”
      “山頂のざわめきを背に昼とれば棒の折目にうましうましと”