三浦半島; 大楠山
(おおぐすやま)
小学生の頃遠足で登った山へ!ん十年振り・・・!

 H6年3月25日(金)当日発 ;
 Member.単独

 【コース】(=は乗り物、〜は歩き)
川崎駅12:00=(京浜急行)=横須賀中央駅12:30=(バス)=衣笠公園13:15〜大楠山山頂15:00ー20〜前田橋16:20(16:28発)=京浜逗子駅16:50

 会社に用事ができて出かけた。天気は良い。先ごろ知人から大楠山に行って見ようかと思っていると伺っていた。近い。小学生のときの遠足で歩くコースだからたいしたことはないだろう。確か24日(昨日)に行かれると言っていた。でも昨日の天気は余りよくなかった。多分今日行かれているかもしれない。時間帯はだいぶ遅いから会うこともないだろうが行ってみよう。そう思うや会社を出たあと足は京急川崎駅にまっすぐすすむ。

 久しぶりの中央駅、昔とちっとも変わっていない。通りが幾分奇麗になったかもしれない。バスを待つ間に側の京樽でお弁当を買った。かつてそこを歩けばだれかしらに出会った街。今は誰に会うこともない。でもそこにいるのがとても自然に感じ、けっしてよそよそしく思うこともない。顔、顔、顔。やはり知らない人ばかりだ。やはり私もその顔の一つになってその中へと溶け込んで行った。

 バスを降りて、衣笠公園は初めてだった。桜の名所らしく、お花見の準備をしていた。まだ固いつぼみの下で、親子の団体が座を作っていた。私もお腹が空いた。少し先へ行って誰もいない展望台の下、椅子とテーブルのある所でお弁当を広げた。海からの風が強くて竹林が揺れている。5分ほどですぐ先を急いだ。そこに年配の男性が歩いてきたので大楠山への方向を確認した。此の辺りは毎日歩いているそうで、丁寧に教えてくれた。この椎の木は天然の椎茸が採れると言ってはその木を差し示して収穫したものを見せてくれたり、この小川には蟹がいっぱいいたけれど今はいなくなってしまったとか、今はいなくなってしまったかたつむりの仲間の虫を育ててその木に離しているとか、道々途中まで一緒に歩いていった。私の平生と変わらぬスタイルを見て、あっちの方が道がきれいで歩きやすいですよと舗装された方を教えて下さったが、山道を歩いていきたいのでと、丁寧に辞してそこでお別れした。

 今もまだこんな場所があるのかと懐かしく思い乍ら歩いていくと、嬉しいくらいに昔のままの自然が残っている。西洋たんぽぽが全く見られず関東たんぽぽが満ち溢れ、そのまわりにオオイヌノフグリ、タチツボスミレが咲き乱れていた。シロダモ、スダジイと書かれた札を確かめながら行くと、名札ももらえないままのヤブニッケイがしっかりあった。先生の言われた通り、海岸に近い山にあったのだ。一枚の葉の香りを楽しみながら、尚も行くと、大きなカンアオイの葉が目に飛び込んできたのでカメラのシャッターを切った。

 よく手入れされた民家の土手には可愛いスミレ(フモトスミレだろうかツボスミレだろうかなどと思いつつ)も咲いていて、心が和む。

 カキドオシ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウなどに混じって、ヒメウズがたくさん咲いていた。

 大楠山の山頂は広々としていた。小学生のころ登ったという記憶は全く甦ってこなかった。懐かしい海を眺め、一人で写真を写す。あまりの強風に茶店に入るとぽつんと一人、おばあさんが座っていた。こんなに風が強いのは珍しいという。富士には雲がかかっていたが、姿はきれいに見える。いいところだ。こんなに近くにこんなにいいところがあった。嬉しくなった。二年前に天皇陛下が登られたそうで一緒の写真がかかっていた。ちょっと整備されすぎたその山、その小屋を後にして菜の花畑を眺めながらのんびり歩いて行った。