中央線沿線; 扇山〜百蔵山
(おうぎやま〜ももくらやま)
冬枯れの山へ

 H6年1月27日(木)当日発 ;
 Member.計5名

 コース
四方津駅7:53発=(マイクロバス)=犬目(510m)〜犬嶋神社入口8:18〜犬嶋神社8:35-40〜稜線(840m)9:45〜扇山(1137.8m)10:20-11:15〜大久保山(1109m)〜コタラ山(849m)12:50-13:00〜百蔵山(1003.4m)13:45-14:00〜猿橋駅15:55


 急遽決まった登山だった。にもかかわらず、総勢五人という嬉しい山歩きとなった。

 立川駅で合流、初対面のメンバーもおり挨拶を交す。

 立川発の車内で、あと一人、待っていたが…ン?アレレ…?。待つ間とうとう間に合わなかった。こんなことは初めてだった。心配しつつ最終駅の四方津駅で待つ事とする。幸い次の電車で無事到着。ダイヤが変わっていたそうでさぞ慌てられたことだろう。ご本人しきりと恐縮(こんなこともありますね。今年は失敗談特集でも組みましょうか?NG集を!)。

 当初タクシーの予定だったが全く待機していなかった。結局午前1本しかないマイクロバスに乗る。狭い道、そして私たちの他に乗客は一人、なる程とそのマイクロであるゆえんを納得。途中から貸切となったそのバスの運転手さんは「扇山に登るのですか?」と尋ねた上で、「迂回するから」と終点を通りすぎて、登山口に近いその先までそのまま乗せて行ってくれた。山を愛する人に悪い人はいないというのが私の持論だが、山まで運んでくれる運転手さんも一様に親切だ。些細なことかもしれないが、こんなふうに人のあったかさを感じると、それだけでもアア来て良かったなと思う。

 お陰で味気ない舗装道を短縮出来、犬嶋神社の赤い鳥居をくぐって足取りも軽く登山道へと進んだ。ウオーミングアップに丁度良い緩やかなスロープ。サルトリイバラの赤い実がちょっと残っていて、数少ない冬の中の彩りに目を細める。葉の先の方にしか鋸歯がないというアラカシ、そしてオオバノイノモトソウ、ヤマイタチ、イヌツゲ、ミツマタと眺めながら、時折聞こえてくるヤマガラやシジュウガラ、イカル、ヒガラのさえずりに耳を傾ける。もちろんメンバーの解説付きで。自分で聞き分けられないのが残念だ。憶えようと、姿.鳴き声をビデオに収めようとするのだが、なかなか難しい。

 道に落ちている枯れ葉だけど茎を折って離すと糸を引くのがよくわかるミズキ、ツルウメモドキの赤い実、細長い葉で鋸歯が痛いほどに細く長いクヌギ(檪…キヘンに楽しいと書く。後から出てくる栗の葉と良く似ている)、ドライフラワーのようなコゴメウツギ・コウヤボウキ・ヤマドコロは枯れて尚、それなりの美しさを残している。木肌いっぱいにびっしり植わったカワラダケ(サルノコシカケはこれが大きくなったものだそうだ。乾燥椎茸のようにカラカラ)、実を地表に残したまま根付いていたドングリ(可愛かった)、そして何より驚いたのはシュンランが花芽を付けていたことと、イチヤクソウの葉がたくさんあったこと。是非花を見てみたい。

 稜線に近づくにつれ雪が現われてきた。ウサギなのかキツネなのか動物の足跡がついている。今回は大勢いるから川乗山の時のような不安はない。

 そして山頂。思いがけないほどの近さだった。私は丁度1年ぶりだ。あの時は鳥沢駅からだったからかなり歩いた。素晴しかった富士の眺め、一年前の記憶がよみがえってくる。今回も青空の中にはっきりと良く見えた。富士の側面に雲が掛かっているように見えたがあれは、表面の雪が舞い上がっていたのだろうか。富士が少し太って見えた。風があって冷たかったが、窪みで富士を眺めながら早めの昼食。大勢で食べると美味しい。

 下山すると間もなく中年グループと行き会った。百蔵山からだという。一人がビデオを持っていた。この頃たまに見かける。親しみを感じるがあちらは年配、なかなか進んでいる。

 滑りそうで怖かったため、アイゼンを着装。いっとき鞍部になったときは心配なくて、百蔵山とその背後に端然とそびえている富士を見比べながら気持ち良く歩いていた。周りの枯れたヤマドコロ・オケラなど見たり、メンバーの説明を聞いたりして、皆でのんきに進む。

 最初の登りが一段落したコタラ山の直下辺りで一休み。此処から権現山が良く見えた。スーッと目はそちらに吸い寄せられる。青い空、白い雲、その中に東へ用竹、西へ麻生山方面に繋がる稜線。そしてやはり権現の山頂に目を止める。あそこから眺めた南アルプスの白い山々、奥多摩の山並み、とっても素晴しかった。苦しかったけれどそれだけに心に残る。そんな思いを残して再び百蔵山に向かった。

 ところが登りになった途端、予想もしなかった程の急登になった。しかも積雪。アイゼンがなかったらもっときつかっただろう。一人だけアイゼンを持っていなくて気の毒だった。少しでも先に頂上に出て、先に着いた人のアイゼンを借りて届けようと下りたが、もう近くまで登って来られていた。そのエネルギーに内心驚いた。

 山頂で小休止。ここの富士も眺めは良かった。疲れを癒して南の猿橋へとコースをとる。南面で雪が無くなった為、まもなくアイゼンを外した(Mさんは眼鏡も外してここで忘れてしまった。少し下った後、幸い早めに気付いたのでよかった。これもNG集?)。軽アイゼンだったが外せばやはり歩きやすい。石が多くて参ったが。木立のすき間から日が射し込み、その明るさが気持ち良かった。

 下山すると麓にもうオオイヌノフグリが咲いていた。途中で乾杯。猿橋駅には意外にも予定より30分以上早く到着。上出来だった。今回は27,000歩。

        “登るほど高く遠きに富士離る近寄り難し気品をもちて”

        “追憶の権現吾の目にさやか山頂包む空の碧さに”