北海道・ニペソツ山
(にぺそつやま 2012.7m)
天気に恵まれ最高の展望に恵まれた!
大雪の山並みが一望、360度の展望、北海道は大きいと実感できる山頂!
ナキウサギを見ることができた。そして早くも秋の花が咲き始めている・・
 H17年8月12-13日(金土)
  天気;快晴
  Member.2人(夫婦)

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む) 
1日目:杉沢出合13:25〜天狗のコル16:05(テント泊)

2日目:天狗のコル4:03〜前天狗岳5:22-38〜ニペソツ山7:07-53〜前天狗岳9:16-37〜天狗のコル10:25-50〜杉沢出合12:15


8/8-11 幌尻岳
8/15 アポイ岳

【ニペソツ山:天狗岳より】

【一日目】
 前日に幌尻岳を下山して、その日は糠平湖近くのホテルに宿泊した。奮発して一番高い12000円の部屋にしたが、なんとクーラーが無く(扇風機はあった)、寝苦しい夜だった。その上夕食後部屋に戻ると敷かれた布団の側に虫がいっぱい!慌ててフロントに電話して駆除してもらうという一幕があった。羽虫が大量発生したとかで、隣の棟も多かったという。普段はそんなことないのだろうが、今回は災難だった。

 この日は予備日としてあったのでゆっくり休み、朝はのんびり起床。それでも6時には起きて、入浴後食事(極楽じゃ〜♪)

【糠平湖のタウシュベツ橋梁】

 近くの散策を楽しもうかと宿精算後出発。途中のウペペサンケ山登山口を見つけ、未練を残しつつ糠平湖のめがね橋を見に行った。今は廃線になっている旧士幌線の名残の橋げただそうだ。見たのはタウシュベツ川橋梁と言い、アーチ橋なので別名めがね橋と呼ばれているらしい。他にもいつくか残されているようだ。


【ニペソツ山が見える】

 そのタウシュベツ川橋梁のところから明日日帰りで登る予定のニペソツ山がきれいに見えた。このときはまだその(日帰りの)つもりだったのだが、その後近くの三股山荘(ログハウスの感じの良い美味しいお店)でこの後どうしようか?なんて相談しているうちに、意見は分かれてしまった。私は熊を気にしつつ山中に長くいるよりは、日帰りできるなら日帰りにして、軽い荷物で楽に歩きたい。一方夫は一度に沢山歩きたくないとテント泊を望む。意見が分かれ、予備日を休息日に充てるつもりでもやはり近くの低山(三国山)に登ろうかなんてことになってしまうものだから、それなら今日のうちにニペソツに登ろうということになってしまった。あ〜ぁ、また重いザックだ・・・。それでも幌尻岳よりは軽いからいいか・・、重くても15〜16キロくらいだろう。

【登山口】

 途中の鉄道資料館で水を戴き登山口へ。登山口には車が数台停まっており、沢の側で若者数名がテントを張っていた。明日登るのかと思っていたら、私たちが出発する頃には撤収していた。もう登ってきた後だったそうだ。

 天気は良かった。空がとてもきれいだ。徒渉はないが、沢があるせいか天気がいい割に涼風があって気持ちよかった。登り始めると下山者に次々出会う。4時半ごろに登ってもう下りてきたというおじいさんグループもいた。そんなに早く行ってこれる山なんだ・・・・

 登山道は歩きやすい。多くの人に登られている人気の山だと分かる。
 途中、犬を連れた家族連れとすれ違った。最初犬と鉢合わせしたものだから、お互いびっくりして、夫思わず「キツネかと思ったよ・・・・」と。犬もびっくりして少し戻ってしまったようだが夫を見て「あぁ、びっくりした!熊だと思ったよ〜・・・」と思ったかどうか・・。

 小天狗岳に近づくと大きな岩に阻まれたような所が一箇所あるが気をつけて行けば大丈夫だ。上に行かなくても下から回りこめる(帰りはそちらから通った)。

【前天狗岳:小天狗のコル手前で】

 やがて前天狗岳が見えてくる。青空の下くっきりきれいだ。小天狗を捲く形で少し下り天狗のコルへ。テン場到着(2,3張りは張れそうだが少し斜面で石がゴロゴロしているため一張りくらいがよさそうだ)。テント装備で休みながらゆっくり登ってコースタイムの3時間はかからなかった。三股山荘の奥さんが2時間で行くと言っていたがなるほどと納得。

 誰もいないテン場の夜。月夜がきれいだった。

【二日目】

 朝3時起床。朝食を済ませ、テントはそのままにして4時出発。ガスは無く天気が良い。前天狗岳もきれいに見える。少し薄暗いので鈴を鳴らしながらいく。少し下ったところにも一張り分のテン場があった。

 前天狗岳目指して登っていくと、周囲の山々がきれいに見え、雲海が広がっていた。天気はいいが、下界はガスがかかり曇りなのかもしれない。

 笹やハイマツ帯を過ぎると岩場(といっても大きな岩ではない)が広がり、植生保護のためかロープが張られ、整備された登山道となっていた。

【日の出と雲海】

 雲海の上へ朝日が昇りとてもきれいだ。

 西の視界も開け、黒岳からトムラウシまで大雪の山並みが見えてくる。数年前に歩いているだけに感慨ひとしおだ。まだ残雪がかなり残っており、朝日を受け輝いて見える。

 歩いているニペソツ山も歩いている夫の顔も朝日があたっている。感動的な朝日の中にいて、このときばかりは昨日のうちにテン場まで登っておいて良かったと思うのだった。

 途中で夜露に濡れた合羽を脱ぎさらに登って行くと前天狗のテン場があった。平らで居心地よさそうなテン場だが一張り〜二張りくらい。突然、前を歩いている夫の「おぉ〜!」という声。ニペソツ山が目の前に現れた。最初はそれが目指すニペソツ山とは思えなかった。もっと大変な山だと思っていたものだから、「えっ?まだ先じゃないの?」と思ったのだ。意外にも近くにその雄姿を見てちょっと拍子抜け。

【ニペソツ山:前天狗岳より】

 前天狗岳で少し休憩。そこにはトイレブースがあり中はとてもきれいに使われていた。以前使ったことがあるが安心な上にきれいなので快適だった。このときも携帯トイレを持っていたがそこでは結局使わなかった。使用済みの携帯トイレは登山口のトイレの側に回収ボックスがあるので、そこに入れていくようになっている。

 前天狗からの展望も素晴らしい。大雪山系とニペソツ山、そして十勝の山並み。ニペソツ山は天狗岳で隠れるほどかと思っていたら、天狗岳を圧倒するほど大きな山だった。


【ニペソツ山と手前の天狗岳:天狗平より】 【天狗岳を捲いていく】

 天狗岳のピークを捲いて、一旦かなり下がる。登り返しが大変かなと思ったが、前方に大きなニペソツ山を眺めながら歩いていくのは楽しい。まだ誰もいない。静かな山・・

【切り立った東壁の際を通る】

 一部東壁の切り立って、足を滑らせたら危ない所もあるので足元を見ながら注意して歩いていく。そこではトリカブトがもう咲いていた。今年初めて見る。

 山頂近くの岩場でナキウサギを見た。今までにも鳴き声は聞こえていたが、姿を見たのは今回初めてだった。小さい上に離れた場所で動き回っていたので残念ながら写真は撮れなかった。ここの登山道は前天狗岳からみると大変な所を通るように見えるが登山道は安心して歩ける。岩場の裏手に廻るとピークはもう目の前だ。

【ニペソツ山山頂で】

 ピークに立ち、山頂独占と思っていたら、近くまで1人の男性が来ていた。登山口を4時20分に出てきたという。2時間50分で登って来た事になる(昭文社のエアリアマップ2003年では登山口から山頂まで7時間)。超速い!私たちはテン場から写真を撮ったり休んだりしながら登って来て3時間だ(昭文社のエアリアマップでは4時間)。自衛隊の方だそうだがさすが!

 山頂からの展望は聞きしに勝る。大雪を富良野から黒岳まで、つまり端から端まで一望。360度の展望だ。雄大な大地のこれだけの展望を、このニペソツ山からは見渡せる。幌尻岳はかすかに見え、眼下は雲海で人工物は何一つ見えない。静かな山頂でいつまでもそこで眺めていたかったが、続いてまた一人登って来たのでそれを機に下りることにした。

【山頂からの展望:富良野岳(左)からトムラウシ】 【山頂からの展望:石狩岳(右)と大雪山黒岳方面(左奥)】
【山頂からの展望:ウペペサンケ山】 【山頂からの展望:歩いてきた稜線を振り返る

 ガレた登山道なのでストックを出し慎重に下りていく。しかし案ずるほど大変ではなかった。しばしナキウサギを眺めている間に自衛官の人は足早に下山していった。天狗岳の登り返し、前天狗岳への登り返しがあったが夫にしては珍しく、休憩せずに前天狗岳まで歩いてしまった。何人かの人とすれ違いその度にナキウサギのいたところを教えている。

 前天狗岳は数グループで賑わっていた。私たちもゆっくりここで休憩。周囲の人たち(地元北海道の人達)からは、テント泊と知るや「熊、怖くないですか?」と言われた。地元の人たちのほうが怖さを知っているのかもしれない。すると即夫が反応した。私を指しながら「こっちの方が怖いですから・・・・」と。爆笑されたのは言うまでもない。フン!

 ここからはメールの送受信ができた。

 このあと天狗のコルへ戻り、テント撤収して一気に下った。沢水で汗を拭く。冷たくて気持ちよかった。

 翌日は二日かけて石狩岳の予定だったが夫が疲れたと言う。ニペソツ山の隣の山で、眺めは似たようなものだろうし、このニペソツ山登頂で満足だろうという。北海道にはもうなかなか来られないだろうが取りやめることにした。

 あとは余裕があれば登りたいと思っていたアポイ岳へ観光しながらゆっくりと向かうことにする。

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