越後;  苗場山〜小松原湿原
 (なえばさん2145.3m)
 苗場山〜小松原湿原のMMLオフミに参加。当初一人で出かける予定だったが、往復一人の運転では辛いと思い、夫を引っぱり出した。約11時間というロングコース。無事にみんなと一緒に完歩できてほっとする。小松原湿原は白いワタスゲのシーズン。苗場山頂湿原とがらりと変わった風景で、両方楽しめて良かった。雨も、ダートなロングコースも、薮こぎも、終わってみれば心地よい充実感に満たされる。

 H11年7月4日(日) ・ 雨一時曇り
   Member.8人(吉田、南雲、岡本、熊坂、川田、Y、石原夫婦)
   日陰山で風穴よりピストンの2名(高橋(貴)、鈴木(誠))合流
   3名(庄司夫妻、香田)は前夜祭のみ(オフミ前日、苗場PH)


【苗場山山頂】右

【コース】
(途中の休憩時間含む 。=は車の移動。〜は歩)
小赤沢三合目4:00発〜五合目4:50〜水場5:10-25(朝食)〜苗場山(2145.3m)山頂6:55-7:05〜雷清水7:45-50〜神楽ヶ峰(2029.6m)8:10-15〜分岐8:25〜霧ノ塔(1993.6m)9:45-10:05〜日陰山(1860m)10:55-11:10〜小松原避難小屋11:55-12:30〜中ノ代(分岐1512m)13:10-20〜金城山(1353.8m)14:10-35〜風穴駐車場15:45
=小赤沢登山口=逆巻温泉=食事=塩沢石打IC ? =練馬IC ?=武蔵中原駅23:45=自宅着24:00

 (登山所要時間 11時間45分)


《プロローグ》
 苗場オフミで小松原コース登山口の風穴駐車場に集合6時。予定より早く、3時に到着。車中で少し寝ている間に吉田さんと川田さんが来ていた。吉田さんは小赤沢三合目登山口の下見に行っていたという。次々と集まる間に吉田さんの携帯に加藤@ミ〜ハ〜登山隊さんから連絡が入っていた。思いがけなくお会いすることになる。全員集合後、車を3台残し、4台に分乗して小赤沢の宿へ立ち寄りご対面。にこやかな加藤さんと謎の鴉天狗殿に初めてお目にかかる。束の間ではあったがちょっと楽しい出来事だった。そして小赤沢三合目登山口へ。駐車場は10台以上入りそうだ。きれいな簡易水洗トイレがあり、有り難い。みんなでテントとタープをセッティング。吉田さんが用意してきてくれた豚汁をつくり、テント内で宴会。初対面の人が多い中で、初めてという気がしない気安さがあった。時間はアッという間に過ぎたが、明朝は早いため、9時にはお開きとなった。《end》

 当日は朝3時起床、4時出発。ロングコースという事を念頭においているため、皆の行動は機敏だ。正確に予定通り進む。夏至が過ぎて既に、4時ではまだ暗い。雨のため皆合羽を着用、ヘッデンをつけて、SLの南雲さんを先頭、最後尾にはCLの吉田さんがついて出発。私は中程に入る。ややペースが早い。ということで、一本とった後は全体に少々ペースダウン。辺りはようやく明るくなってくる。

 五合目は通過、六合目手前の水場で2回目の休憩。それぞれ朝食をとる。マイヅルソウやゴゼンタチバナ、イワカガミが寝起きの目に優しい。
 水場を過ぎると久々にみるキヌガサソウ。他にも沢山の花を見るが、それより、雨でどろんこの山道では、転ばないように歩くので必死だ。さすが百名山、登山道はとてもよく整備されている。もちろん展望は全く望めないが、岡本さんや吉田さんの解説でコースの様子がよく分かる。

 山頂の一角、湿原に到着するとひとまずほっとする。小休止して、今度は木道をひたすら辿っていく。底のすり減った登山靴なので、滑らないようにと気を遣う。ヒメシャクナゲやショウジョウバカマ、チングルマ、イワイチョウ等が咲いている。

 この山頂の広い湿原になんと、まだ雪渓も残っていた。前回の昨年10月に続き今回も山頂からの展望が望めないのは残念だが、雨に濡れた湿原の花はどれも生き生きしている。

 新しい苗場山頂ヒュッテの前を通過し、遊仙閣の小屋の側を通って山頂の三角点に到着。みんなで記念写真を撮り、小休止した後、寒いので先に進むことにする。ここでまだ7時。小屋泊の人たちが行動し始める時間帯で、数パーティと行き合った。山頂を過ぎてなお湿原が続くが、改めて休むような場所がない。その辺りの花は少ない上に、じっとしているのが寒かったのでそのまま神楽ヶ峰に向かった。

 風景が見えず、ただ足下だけを見ながら歩くというのはその辺りの印象も薄れる。山の話などしたり、聞いたり、足下の花を眺めながら、といったところか。「もう少し行けば雷清水!」と声が聞こえたとき、思わず嬉しく感じた。山の水場はエネルギーを与えてくれる。ガンバ、ガンバと登っていく。雷清水の水は冷たくて美味しかった。

 登山道脇には上記のような可愛い高山植物が咲き、美しい。

 神楽ヶ峰の三角点は紛失していたようだ。「ここはとても展望がいいんですけどねぇ」、雨男と自称の吉田さんはとても申し訳なさそうな顔をして言う(いえ、いえ、吉田さんのせいではありません)。 地形的に平標山や、谷川方面、白毛門から朝日岳、巻機山、越後三山も見渡せたのだろう。またいつか、機会があったらその展望を眺めに来てみたい。

 祓川の分岐まで来ると一家族が休憩していた。この日は苗場山の山開きだったそうで、和田小屋方面からは法螺貝を吹く音が響いてくる。山伏の格好をしている人たちが登ってくるそうだ。そこで子供が鼻をかんだ。「おっ、ここでも法螺貝が鳴っている」と誰かの声。以前(昨年)和田小屋から登ってきたことがある南雲さんは、その時と分岐の様子が違うと怪訝な顔をしていた。

 そこからはいよいよ今回のハイライト、小松原湿原へのルートへと進む。私はここを歩きたかったのだ。なだらかな小湿原で可愛い花達を見ながらの小休止、心が休まる。しかし倒木が多く、登山道は予想以上に荒れていた。このコースの読図は2万5千の地形図にするべきだった。アップダウンも思いの外多い。エアリア5万ではそのあたりの所が読みとりにくい。とにかく歩くしかないのだが・・・。倒木は新しいものばかりではなかった。このルートにまで整備が及ばないようだ。歩く人が少ないのだろう。

 やや急登を登って少し行くと、霧ノ塔に到着。霧ノ塔だなんて、素敵な名前だ。しかし標示もなければ、晴れていたとしても展望も良さそうでもない。三角点が辛うじてその所在を示しているが、私ではそのまま通過してしまいそうだ。まわりには樹林が広がって、視界を遮っている。余裕をもったコースタイムで来ていたものの、予想以上の倒木だったため、余剰タイムを使いきってしまった。しかし、ここで南雲さん提供、吉田さんが担ぎ上げた銘酒『霧ノ塔』を戴く。なかなか粋な演出だ(重いのにお疲れ様でした)。虫の多いのには閉口した。川田さんから借りた虫避けスプレーをもう一度借りて顔や手に噴きつける(ありがとうございました)。熊坂さんは用意がよく、虫避けネットを被った。雨上がりの蒸し暑さもあって、殆どの人は合羽上下を脱いでしまったが、泥だらけになるのは避けられないと思い、私は上だけを脱ぐ。案の定、倒木をまたいだり、滑ったり、どろんこ道を通ったりで、合羽は十二分に使命を果たす。

 釜ヶ峰を通過し、日陰山(三の山)で休憩。渡ってくる涼風が心地よい。何よりのご馳走だ。ここは主三角点で、三角点の上部が丸くなっている。三角点にそういうのもあったのだと岡本さんの説明で初めて知る。この時空が一時明るくなったのだが・・・。

 日陰山を下り始めてすぐ、登ってくる高橋喜美子さんと鈴木誠さんに出会う。高橋さんは一人コースを変えて風穴からのピストンだが偶然鈴木さんと会い、一緒に登ってきたのだと言う。それにしても早いペースだ。お二人が日陰山ピークを踏んで、再び私達と合流し、10人となって一緒に行動。一気に賑やかさが増した。下山途中再び細かい雨が降り始める。

 小松原避難小屋は沢山の人がいて驚いた。山開きのため物見尾根側の登山口のゲートが開き、湿原へのピストンで大勢の人が来たようだ。それまでの静かな山歩きが突然一変した。湿原の花を見ながらの食事は諦めて、そこで昼食。

 運悪く出発が団体より先行出来なかったため、上ノ代、中ノ代の湿原は渋滞にはまってしまった。ずっと木道だったため追い越すこともできず、たびたび立ち止まる。湿原は一面白いワタスゲが揺れていてきれいだった。ヒメシャクナゲやモウセンゴケも見られる。すり減った靴で、濡れた木道で滑らないよう、ここでも気を遣う。

 中ノ代で団体と分かれ、私達は見倉、風穴方面へ。またまたこの道の荒れていたこと・・・。既にこのルートを登ってきた喜美子さん達が赤テープをつけてきてくれたが、一人なら心細くなるようなジャングルもどきの登山道が随所に現れる。喜美子さんはこういう所が好きだと言って、嬉々としている。小さな沢を横切って、登山道が一段高くなっているところでヒョイと登る喜美子さんに倣って、登ろうとするが登れない。すかさず手を出してくれた熊坂さんの助けを借りてよじ登ったが、彼女はすごい人だと思ってしまった。

 金城山(かなしろやま1353.8m)のあたりに来て、三角点捜しの薮こぎ開始。面白そうなので私も入っていった。こんな時でもなければ私なら素通りしてしまう。がんがん突進していく男性連の様子を伺いながら足元を見るとそれまでにもあったギンリョウソウに混じって薄いピンクのランのような花が咲いていた。はじめギンリョウソウかと思ったが、後日喜美子さんの調べでショウキランと分かった。

 金城山の三角点は見つからなくて残念だったが、ひと休みした後出発。あと一息だ。下るには辛い、神経の遣う湿った急坂が続く。しかしブナ林の緑がとても美しい。下ばかり見て歩いていたら、後ろから「ヤマボウシ」という声がした。これも久々に見る白い花。この時期でもキノコがあり、食べられるものをあるそうだ。鈴木さんはキノコや山菜など食べられる植物に詳しいそうだ。生きていく知恵が備わっていて、羨ましい。

 最後の休憩をして下り始めたら、すぐ側に道路が見えた。もう、トンネルの上だった。風穴の所で隙間から出てくる涼風にあたる。気持ちがよい。中は見えないが、氷室のようになっているのだろうか?

 そして駐車場には予定の16時前に無事到着。お疲れ様でした。

  上記の他に見た花(今回は記録しなかったので覚えている名前だけ。順不同)
ハクサンチドリ、ツバメオモト、アカモノ、ミゾホオヅキ、ツマトリソウ、オオカメノキ(ムシカリ)、ミツバオウレン、ユキザサ、エンレイソウ、コヨウラクツツジ、サラサドウダン、ベニサラサドウダン、ウラジロヨウラク?、カラマツソウ、他に気がつかなかったもの、分からない花多数。

 《エピローグ》
 駐車場で鈴木さんと熊坂さん、喜美子さんは帰路につき、残りのメンバーはセットしてあった車に乗って、再び小赤沢三合目の登山口へ。それぞれの車に戻って全員で逆巻温泉に行く。しかしこの時浴槽は一つだったため、先に男性、続いて女性が入る。一人400円。シャンプーリンス、ボディシャンプーあり。ただしシャワーやお湯の蛇口はない。浴槽のお湯で頭も洗う。ドライヤーもなし。ここで全員解散となる。 私達は途中で食事を済ませ、関越石打塩沢ICへ。自宅には24時着。《end》