富士; 大洞山〜三国山〜明神山
(おおぼらやま〜みくにやま〜みょうじんやま)

平成十年初登り、アイスバーンの路を行く


 H10年1月7日(水) ;   Member.2人 (夫婦で)

【富士山」明神岳より】

篭坂峠8:30〜アザミ平9:20〜1366米峰9:40〜大洞山10:00〜楢木山〜ヅナ坂峠〜三国山11:00-12:05〜(道を間違えてロスタイム〜12:20)〜三国峠12:40〜鉄砲木の頭(明神山)13:00-45〜切通峠14:20〜平野14:50(15:05発バス、旭日丘でタクシーに乗換篭坂峠にて下車15:20着)

 このお正月、主人は垣根作りにいそしんだ。今回山は無理かなと思っていたが、ようやく目処がつき、急に行くことになった。

 早朝6時半前に出発。予定より遅くなってしまった。いきなり遠くや高い山というのも無理がある。正月だから富士山が見れればいいと思い、近場のまだ歩いていない三国山を選んだ。

 2時間で篭坂峠に到着。平日のためかバス停前の店は閉まっている。登山口は公園墓地になったおり、そこの駐車場を使わせてもらった。とはいえ他に人がいるわけではない。墓地のトイレもこの時期閉鎖されている。

 携帯で入山連絡を済ませ、墓地の中を通って登山口へ。落葉した樹林帯が気持ちよく広がっている。今回のコースはずっとこんな調子で新緑や紅葉の時期はさぞや素晴らしいだろうと思われる。緩やかな山道を行くと次第に雪道に変わっていった。軽登山靴で進んで行くが今朝は冷え込んでいるせいか雪面がガリガリのツルツルだ。早々にアイゼン装着。安心感そして、ペースが全然違う。一日この凍てついた雪道が解けることはなく、尾根伝い、南面に雪のないところが少しあった他はずっとアイゼンの雪を噛む音が鳴り響く。今回持ってきたのは6爪。軽アイゼンよりははるかに歩きやすい。

 尾根に出て背面に富士山があるが、樹林で展望が良くない。右手には樹間に富士スピードウェイが見え、かつて通った主人はしきりと気にしている。が、平日のせいかあの爆音は轟いてこない。今や50にさしかかろうという主人に、若き日がこみ上げてくるのだろうか。それより今でも昨日のことのように思っているのかも知れない。

 いくつかの小さいピークを繰り返し、駿河(静岡)・武蔵(神奈川)・甲斐(山梨)を三分する三国山に到着。ここも展望はない。樹林の間から富士山が望めた程度だ。標識がパノラマ台と明神峠のそれぞれを指し示していたが、そこでお昼休憩にした。たぬきうどんに長ネギと生卵を入れて熱い内に食べる。ひと息ついてコーヒーを飲むともう1時間たってしまっている。既に朝の冷え込みはおさまって、風もなく穏やかだ。

 やがて3人の年輩女性がやってきた。足にアイゼンはない。

 入れ違いに私達は出発したが、下って間もなく主人が、コースがおかしいと気づいた。地図を見ると、道を間違えている。明神山に行くのだから三国峠に向かわなければならないのに、方向の違う明神峠に下ってしまっている。明神山と明神峠、同じ方向と思いこんだ先入観からくるミスだった。再び三国山山頂に戻るまでにかかったロスタイムは15分。その登り直しは今回の中では急坂だったが、軽いコースだからトレーニング、トレーニングと二人で慰め合ってやせがまん。3人の女性に再び挨拶して今度はパノラマ台と示している方向へ下る。思った通り北斜面で道は凍てついている。山頂でアイゼンを外さなくて良かった。ザクザクと気持ちよく下りていく。

 やがて三国峠。ここは林道が通っていて車も通れる。当初私のプランを無視して主人はここを車で乗り入れようとしたらしいが、途中工事の通行止めで断念、予定通りとなった。なんて横着なのだ。

 右神奈川、左山梨の県境を分けてそのまま明神山へ。南面で雪はない。アイゼンを外して登っていく。ここに来てやっと山に登っているという感じになってきた。左手に大きく富士山が見えてきて、しかし20分ほどで山頂に着く。眼前に特大の富士山だ。ここでゆっくり堪能して切通峠を経由、平野に向かうが途中まではやはりアイゼン使用。バスの時間に間に合わすべく急いで下山した。

“虎(寅)年に意気猛々と初歩き富士仰ぎ見る夫婦健やか”
“初春の雑木林にアイゼンの雪噛む音は山に響きて”
“束の間の山頂に立つ喜びはコーヒーの香り含み味わう”