越後 ;巻機山
 (まきはたやま1967m)
 ヌクビ沢は暑い夏には最高だと思いました。

 H11年8月29日(日)・ 天気; 晴のち雨時々曇りのち晴:Member.3人


【最後の急登】右

途中の休憩時間含む 。=は車の移動。〜は歩。
(前夜発)自宅9:55〜一人ピックアップ〜練馬IC0:20〜塩沢石打IC2:05〜桜坂駐車場2:40
(当日)桜坂P7:05〜 避難道分岐7:25〜割引沢徒渉点7:35〜ロスタイム8:05-9:45〜ヌクビ沢出合10:45〜行者の滝11:20〜分岐点14:10〜割引岳(われめきだけ1930.9m)14:15-23〜分岐点14:28〜御機屋(おはたや)14:45〜巻機山最高点(1967m)14:50-55〜御機屋15:00-15〜避難小屋15:30〜前巻機山(にせ巻機1861m九合目)15:40〜六合目(展望台)16:35-55〜五合目17:20〜四合目17:37〜三合目17:55〜登り口(林道)18:03〜桜坂P18:05=温泉へ=湯沢IC21:15=練馬IC23:20=同行者自宅=自宅到着1:00

(登山所要時間 11時間0分)


 29日(日)に予定していた巻機山だったが、土曜日に用事が入っているのを思い出し、取りやめにしていた。約束していた史さんとようやく連絡がとれたのは27日。そこで近場の日帰りに変更しようと考えていたら、土曜日夕方になって、夫が「やはり巻機山に行こうか?」と言う。さっそく史さんに連絡、OKがとれた。急遽決まったため、バタバタと支度をし、インターネットで天気やコース等を調べ出かけたのは夜10時少し前だった。夜中の運転で登山口到着後寝たのは3時。既に20台以上は停まっていたろうか?せめて3時間は寝ようと6時起床、7時出発とした。

 6時に起きると空は明るい。良い天気だ。早い到着であったならば5時には出発したかったと思いつつ、支度をする。桜坂駐車場に至る清水からの道幅は狭いが、駐車場は広い。一日500円だそうだが管理者がいなかったので支払っていない。駐車場の50M程清水寄りにトイレがある。しかも水洗できれい。

 米子沢(こめこさわ)からの入山は禁止と書かれているが、さしあたってこちらは私達に関係ない。登山口で登山カードに書き入れてから出発。ほとんどの人はもう出発しているようだった(当然か)。すぐ、井戸尾根コースと割引コースに別れ、私達は割引コースへと進む。

 20分で割引沢増水時の迂回路(避難道)との分岐になり、割引沢の方へ行く。10分ほどで出合、徒渉する。今回このコースは徒渉が多かったが、ゴア等の防水性のある登山靴で大丈夫だった。出来れば足首の部分が長いものが良いかも知れない。夏の暑いときならば濡れても構わない格好も良いと思う(沢登りは経験がないので無責任なことは言えないが、渓流シューズや地下足袋、草鞋などの沢登りスタイル。ただし山歩きには?)。登山道にはノコンギク、吾亦紅(ワレモコウ)、萩等、秋の花が咲き始めている。米子沢が通れないせいか、割引沢を沢登りしているグループがいた。しっかりした装備で丁寧に登っている。これが吹上の滝かなと思いつつ立ち止まってしばし眺める。私達が暑かったせいか、 とても気持ちよさそうに見える。

 アイガメの滝の所でミスをおかした。登山道を来た私達は黄色い矢印を追っていたが、アイガメの滝の右岸に赤いペンキマークがついていたにも関わらず、それは沢登り用と思いこんでしまった(沢登り用に付けるものか知らないが)。黄色い矢印は直進、つまり山側に向かってつけられている。そのまま直進していった。何人もの人が歩いているらしく踏み跡がつながっていたが、次第にルートがはっきりしなくなった。変だと思い地図を見るが、アイガメの滝の側の印はかなり大変そうで、正規の登山ルートと思えず、なおも巻道を捜してしまった。夫が先頭、私が最後尾でついには薮こぎとなり、何度か戻ろうかと思いつつも、戻るにも大変な場所に潜り込んでしまった。崖を心配して戻るよりは見通しが利くところまで登ろうと頑張る。「薮こぎだぁ」と面白がる私達夫婦に引き替え、こんな経験が初めての若い史さんはびっくりしたに違いない。

 ようやく見通しの利く場所で安全な下る道を見定める。正規のルートを見つけ、ひと休みしていると、 一般の登山者が歩いているのが見える。間違いない。注意深く下り、アイガメの滝よりやや上流のその地点にやっと到着。ひと休みした後改めて出発。しかしそこで雨が降り出してきた。天気が良かったのではじめはにわか雨かと思っていたらかなりまとまった雨になった。合羽を着る。道に迷っているときでなくて良かった。先程の沢登りの人たちが私達の側を通過し、少し上にテントを張った。そこがヌクビ沢出合だった。そのゴツゴツした二俣の合流点に幕営なんて!沢登りとはこうしたものかと驚いている場合ではない。時計を見れば、コースタイム1時間の所をロスタイムのため3時間20分もかかってしまった。ここで割引沢避難路と合流する。

 天狗尾根の方に行く予定だったが、さすがにもう分かりにくいと明記されているルートは避けたいと全員一致でヌクビ沢へ。このヌクビ沢は素晴らしい。夏に来たら最高だろう。しかし今回は余計な体力は使うは、天気は悪いはで、その急登に続く急登はますますペースダウンするばかり。若いと言えども山歩き経験の浅い史さんは脹ら脛がパンパンに張ってきたと言う。途中休憩したとき軽くマッサージをする。徒渉と急登の山肌を添って行くとリンドウやトリカブト、カラマツソウ、アキノキリンソウなどが咲いていてとてもきれいだった。いつまでも沢が続き、いつもなら嬉しい筈の水音もこの時ばかりは早くなくならないかと思った。沢がある内は山頂にいつまでもとどかない。  ようやく分岐点に到着。あの南雲さんを「うおーすげぇー」と言わしめた素晴らしい展望が目に飛び込んでくる場所だったろうに、残念ながらガスで何も見えない。雨はやんで、時折薄ぼんやりと、明るくなるのだが。足が上がらないと言いつつ登ってきた史さんがここで休んでいるというので一人残し、私達は割引岳(一等三角点あり)をピストンする。思ったより山頂は近かった。やはり何も見えない。小休止して再び分岐に戻ると、「少し寝てしまった」と彼女。頑張った彼女のためにも、素晴らしい展望を見せてあげたかった(昨夜の天気予報は晴マークだったのに・・・) 。夫が珍しく「(リンドウの)花に慰められる」とぽつり。

 御機屋への道筋は木道が敷かれている。かなり朽ちてはいるけれど、一帯の植物を保護する為なのだろう。もうあまりお花は咲いていなかったが、もうすこし早い時期にはきれいなお花畑だったはずだ。夫が「御機屋で待っているか、先に下山しているから最高点の方には一人で行って来るように」と言うので、途中から先に行く。「どうしてそんなに元気なんですか?」と彼女の声。「なぜだろう?」と私(きっと山に元気をもらっているのです)。

 御機屋(巻機山と標示)には若い人たちが沢山いた。後から知ったことだが、禿げ山になった山頂を復元する作業をするボランティアの人たちだそうだ。地道な活動に頭が下がる、感謝。水をまくためそれぞれの手に水の入ったペットボトルが握られていた(この日は雨が降ったから、こんど晴れた時に使うのだろう)。その間をぬけてもう一つのピークへ。ここも木道が敷かれ、両脇にロープが張られている。周りには池塘が点在している。5分ほど行った山のピークにやはり山頂の緑を回復させるための作業をしていた人たちがいた。そこが最高地点だった。同じく周りはガスで何も見えない。2年ほど前にはそこに巻機山と書かれた杭が打たれていたそうだが今は何もない。この時点でまだ元気なオバサンと見られたらしく、「まだなんともないようだから、牛ヶ岳まで行って来たら?」と言われ所要時間を尋ねるとやはり30分かかるという。当初みんなで牛ヶ岳まで行く予定だったが展望もないし、一人でそんなに時間を使うわけにもいかないのでとり止める。また展望の良い日に来れたら行くことにしよう。

 御機屋に戻ると、とうに下山していたと思っていた夫達が座っていた。ちょうどさっきの最高地点で写真を撮ってもらった若者が来たのでここでも3人の写真を撮ってもらう。ここで少し彼と話すがとても感じの良い男性だった。私達がアイガメの滝付近で迷ったと言ったら以前に遭難騒ぎがあり、ヘリコプターで救出されたことがある場所だったという。「そこはヘリコプター要請コースです」と笑いながら話してくれる。ヌクビ沢を上り詰めたところで落石による死亡事故や、立っている御機屋のその場所でも落雷で死亡事故があったという。そういえばヌクビ沢で石を落としたっけ。思わず「ラクー」と叫んだが、落ちるところに人がいなくて幸いだった。確かに落石しやすい場所だと思った。近くで休憩していた親子連れは少し離れていたところで休憩していたから良かったが、もし後ろにピタリとついていたら危なかった。その失礼を詫びてお先に登っていったのだった。そう思うと山は空いているときに歩きたい。

 3時間弱の井戸尾根下山コースを1時間半で下ってしまうと言うその男性の後から3人でゆっくり下っていく。階段がつけられとてもよく整備された道だった。丹沢の大倉尾根を思い出す。アキレス腱が痛いと言い出していた史さんと膝の弱い夫には辛い道だったようだ。間もなく避難小屋に到着。小屋の前はたくさんテントが張られていた。そのいくつかは、さきほどのボランティアの人たちのだろう。水場はそこから1分ほど下れば沢があるという。史さんが小屋の前で先程の男性からアキレス腱の薬をもらい、塗ってから再び下山に向かう、というより前巻機山に登る。10分ほどだ。展望もないのでそのまま通過。その後は下るだけ。雨で滑りやすい登山道にはじめは恐る恐るだった史さんも少しずつ歩き慣れ、足も元気になったのか、だんだんとペースが上がってきた。

 六合目(展望台)で先程の男性が追いついてきて、休憩中にいろいろな話を伺う。ここで互いにHPを公開していることが分かり、URLを交換。ちょっと嬉しい。先に下りていくその長谷川氏のあとから私達も下るが早くも姿は見えなくなってしまった。下は晴れ間がのぞいていた。何合目と書かれているのが目安となる。順調に下り、三合目のあと、思いがけなく桜坂駐車場に着いたのは嬉しい誤算だった。とするとこの合目の起点は清水辺りだろうか?

 今回いろいろな体験をし、失敗や反省することもたくさんあった。一歩間違えれば危険と思われることもあったが、とても充実した山行だった。

 下山カードをポストに投函し、汗かいた服をひとまず着替え、温泉へ。というものの近くに温泉がありそうもない・・・、ということで閃いたのが南雲青年。電話を入れて情報を聞き出そうとしたが、つながらない。何回目かにようやく連絡がとれておしえてもらったのが石打ユングパルナス(TEL0257-83-7888)。国道17号線を上り方面に行くと右側高台に、それと分かる大きな建物が見えてくる。しかし入り口は反対側。つまり上りならば左折なので要注意。温泉は一人900円。浴室は広く、露天風呂も広い。薬草風呂やサウナなどもあってVERY GOOD。夏休みの8月31日までは24時まで営業だが、その後は23時までだそうだ。もちろんシャンプーリンス、ボディシャンプー、ドライヤーあり。宿泊施設もあり、レストランも21時まで(ラストオーダー20:30)。