教育山行:救助トレーニング
 雨のため室内での救助トレとなったが充実した内容 (場所:本厚木・神奈川県立清川青年の家にて)

 H14年5月11日(土)
  天気;雨のち曇り
  Member.7人:
     今井(講師)・柴田・川口・蒲原・本多
     山口(途中出席)・石原(記録)

  右【ログロール:三人で負傷者を運ぶ】


 当初実地訓練も予定されていたため、近くの屋外で行われるはずだった。しかし雨の予報で急遽室内での講習に変更された。それぞれの事情で参加者が減り、6名となった。途中で一時山口さんが参加。

左【講習風景】

 今回学習したことは、山岳事故に遭遇したときの対処、救急処置と安全な救助方法等、広い室内で机上と実技を交えて学んだ。雨が上がったため外での実地訓練も出来そうではあったが、移動の時間がかかるためそれは中止。講習は少人数だったため分かりやすく、納得のいくまで質問することができてよかった。

 救助トレーニングにはここ数回(01.6/30沢00.5/21山)参加している。私の場合、基本的に岩や沢登りをやらないので、どうしてもロープワークなどその場限りになってしまうからだ。一度で覚えられる内容でもなく、繰り返し練習を重ねることで身についていくものだとも思う。例え年に一回でも刺激になる。山には必要装備として持っていくが、いざというときに使えないのでは意味がない。山は危険の多い場所、何があるか分からない。街中のような便利な場所ではないし、事故があれば大変なことになる。安全登山を心がけ、万が一のための救助トレーニングは登山者の心得だろう。共に行く仲間が全員そういった知識を持っていれば、いくらかでも安心であり心強い。

 9時半、用意された資料にしたがって講習は始まった。 事故は難所に限らず、低山ハイクでも起こりうる。参加者で事故に遭遇した人は少なかったが、それはただ運が良かっただけという今井さんの言葉と体験談に、一同緊張。救助訓練は重要という認識をもって、真剣に耳を傾けた。

左【シュミレーション1】

 そして、二グループに分かれて遭難事故から救出までのシュミレーション(寸劇というか、学芸会というか・・)。それぞれに計画書を書くところから始め、実際に練習してみる。先ず丹沢の日帰りで足の骨折事故 を想定した柴田、本多、山口グループが実演。転倒の柴田さんの熱演が光った。と、そんなことを言っている場合ではない、救助をしなければ。救助法のフローチャートを見ながら順番にこなしていく。さすが!しかし現場にそんなフローチャートがあるのか?外野は笑いの中に遠慮のないチャチャをいれる。このグループの事故対応の問題点は何かと問われ、いくつか上がるが、今井さんの問題点の指摘は更にあった。添え木一つにしても模範解答を示されて、一同なるほど・・・と頷く。細かいことはおろか、案外重要なところも見落としている。

左【ストックで松葉杖】

 続いて八ヶ岳雪山テント泊山行で滑落を想定した蒲原、川口、石原グループのシュミレーション。蒲原さんの滑落、これも好演。しかし、事故者がザイルを持っている設定にしたため、自分達では救出不能。途中で設定を変えてザイルは持っていないことにした(おいおい、実際滑落してしまったら、変更など不可能ではないか・・)。改めてやり直し。滑落後、残ったメンバーが安全位置に移動。落石に気をつけながら一人(川口)が懸垂下降で事故者の無事を確認しに行く。事故者がそれ以上落ちないよう確保し、無事を確かめる。意識が無いが生存しているので事故者を保温。出来ることはそこまでで自力救助はできない。結局事故者をそこに残してひとまず上に上がり、一人はそこに残り、もう一人が近くの小屋に救助を要請しに行く。無線機があれば、そこで無線機を使うわけだ。携帯が通じればそれでも良い。と、まとめればこうなるが、そうはうまくはいかなかった。二番手のシュミレーションにも関わらず、問題点だらけ。冷静なこんな所ですら、頭も行動も思うように働かなかった。それにしても雪山で急斜面を滑落した場合、事故者に意識がなかったら少人数のパーティでの救出は難しい。しかも救出はそれなりの技術を持っている人に限られる。それぞれの安全を確保した上で、速やかに救助要請の手段をとることになる。

左【三角巾を使って】

 テーピングテープや三角巾、持っているものを使っての応急処置方法、事故者の搬出方法を実際に学び、重い傷病者の応急処置は資料を見ながらの学習だった。これも実践となるとかなり難しそうだ。いづれにしても私のようなその場限りの勉強ではなく、今井さんのように前向きな知識欲で繰り返し学習する必要性を痛感。継続は力なり。

 今回は室内だったため、実技の搬出トレーニングまでは出来なかった。支点確保は皆で問題を解きながら学んだが、岩トレに慣れた人でも思わぬミス、奥が深い。

 最後に基本的なロープワークを実習。実践がほとんどない万年新人の私には皆さんが先生(先生、ちょっと本多先生、そこで居眠りしないで教えてくださいよぉ〜、お疲れなんですね・・・)。

 ところで余談だが先日我が家で屋根のペンキ塗りをした。自分でやるという夫と仕方なく手伝う私のふたり。その時に役だったのがこのロープワーク。屋根全体を動き回るので支点を作り、確保をし、プルージックで移動できるようにした。かなり異様な光景である。とにかくこの命綱があるだけで、屋根の上での作業が安心してできた。ロープワークは思わぬ所で役だった(8の字結びを忘れていたのは講習でばれてしまったが・・・怖)。業者に頼めば費用の桁が違ってくる、さぁ浮いた分でヒマラヤやアルプスのトレッキングにでも行くか!といってもどこにも浮いてこない・・・泣。せめてペンキだらけのザイルを新しくしよう。

左【青年の家(青年は今井、蒲原、川口、本多、柴田)】

付記 ※神奈川県立清川青年の家(0462-88-2319) 料金無料、宿泊設備あり(三ヶ月前の一日から予約受付、料金シーツクリーニング代のみ、食事は自炊)、利用出来る団体は自主的な活動ができる青少年団体、サークル、青少年指導者・育成者団体等で10人以上のグループ。当日は始めに災害時の避難方法と、使用後の清掃の説明を全員が受ける。帰る前に清掃をしていく。