北八ヶ岳・縞枯山〜中山
(しまがれやま2403m〜なかやま2496m)
久々に小屋泊でのんびりスノーハイク

 H15年1/12-13(日月)
  天気;12日曇りのち晴、13日晴
  Member.8名(CL田中・SL海輪・清水・
     木村・高見沢・西山・石原夫婦)

  【出発前:ピラタス山頂駅で】右

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

一日目(1/12)
ピラタス山頂駅9:10〜縞枯山荘9:24〜雨池峠9:29〜縞枯山9:55-10:03〜展望台10:20〜五辻分岐(休憩)?〜茶臼山11:20-30〜中小場11:55〜大石峠12:10-30〜麦草峠12:45〜麦草ヒュッテ12:50-14:20〜丸山15:15-20〜麦草ヒュッテ16:00(泊)
(所要時間約6時間50分・・休憩含む)

二日目(1/13)
麦草ヒュッテ7:03〜白駒池7:45-8:00〜高見石8:40-9:10〜中山展望台10:08-10〜中山〜中山峠10:35〜黒百合平(黒百合ヒュッテ)10:40-11:10〜唐沢鉱泉分岐11:34〜分岐11:47〜渋温泉12:15
(所要時間約5時間10分・・休憩含む)


 会の仲間と北八へ。珍しいことに小屋泊山行、電車で行くのも久しぶりだった。それらすべてリーダーの田中さんが手配してくれてただただ感謝。

一日目(1/12)

 立川駅で皆と合流し、0:29発ムーンライト信州91号(全指定)で茅野駅下車3:35。ホームに降り立ったとき、既に一面雪景色で驚いた。始発(5:50)のピラタス行きバスを待つ間ステビ(ステーションビバーク)、これも久しぶりだった(夫は初めて)。ほとんど眠れないまま、5:50発のバスでピラタスへ。全て早め早めの行動だった。ピラタスで始発を待つ間、それぞれ自由。寝る人、食べる人、一服する人・・・。私は再びシュラフを出して休憩室の椅子の上に横になった。こうした細切れの睡眠をとって、8:50始発のロープウェーに乗り、この日の山行開始。

 その時点で山頂駅方面、周囲の山並みはガスがかかり、展望は望めなかった。上は雪かと思ったが、最初ほんのわずかパラパラと降っただけで、すぐに止んでしまった。山へは保険(安全)を持ち歩くというのが我らのポリシーだが、小屋泊まりなのにシュラフを持ち歩くという、ほぼテント泊装備と同じなのが憂鬱ではあった。

左【縞枯山頂から茶臼山へ】

 スキー客と登山者の入り交じったロープウェーを降り、そこでもう一回身支度を整えてから出発。ここは今回で3回目。いずれも積雪期に来ている。しっかりしたトレースを辿り窪地にある縞枯山荘前を通過し、雨池峠へ。ここから縞枯山に直登。けっこうきつい登りだが、辛抱して登っていく。期待した?ラッセルはなく、しっかりと踏み固められた登山道で、夏道よりも早いコースタイムで到着。その先にもトレースがしっかりついており、これでは早くにヒュッテに着きすぎてしまうと皆やや困惑気味。でもお陰でのんびりと休みながら進むことになった。

左【木を近くで見ればエビの尻尾が・・】

 山頂から十数分で展望台。ガスで展望は利かなかったが時間が余るので展望台には寄って、木にはりついたエビの尻尾を眺めたり、そんな中で写真を撮ったりした。

 展望台を下ると五辻への分岐でやや広く、風も避けられたのでゆっくり休憩。トレースがしっかりしていて物足りない海輪さんや西山さんはエネルギーを持て余し、しきりと積雪のあるところで雪遊び、ラッセルを楽しんでいた。

左【茶臼山頂、ここから1,2分の所に展望台】

 ゆっくり休んだあとはわずかな登りも辛い。しかし分岐から茶臼山までは近い。茶臼山も展望台に寄ってみたが、やはり展望は望めず。氷点下5度くらいだったが、吹き付ける風の冷たさはそれ以上低く感じられた。とても長居するような状況でなくそのまま先へ、一気にくだる。

 全体的に積雪は1m以上。しかし歩くところはどこもトレースがついており、わかんも要らない。さすがスノーハイクのメッカ北八ヶ岳、人がけっこう入っている。スノーシューの人も多く、トレースを外して深雪を楽しんでいる人がいた。しかし時々深みにはまって小柄な人などは首まで埋まって往生していた。スキーは五辻から出逢いの辻への捲き道を行く人の方が多いように思うが、中にはピークを通って来る人もいる。つぼ足とスキーと同じルートでは、雪道といえどもボコボコで滑りにくいのではないだろうかと思ってしまう。茶臼山の下りは急斜面なので、登ってくる人はアイゼンをつけている人が多かった。

左【中小場を過ぎ、もうすぐ大石峠】

 下る途中青空がひろがり、中小場の小ピークに着いたときは中央アルプスから南アルプス方面が見えてきた。しばし風景を楽しむ。振り返れば茶臼山もくっきり見え、下ってきた山道が一本まっすぐのびている。茶臼山頂にいれば視界を楽しめただろうかと思いつつ仰ぐが、1時間でも待つ間に体が硬直しちゃうよと、みんなで笑ってしまった。

左【大石峠:コース外でラッセル】

 中小場から少し下れば大石峠。目的地の麦草峠は近いため、ここで休憩しながら体力を持て余した面々は脇の深雪でラッセルを楽しんだり、スノーシューの試し履きをしたりして、時間を潰した。とにかく予想以上の整備された?登山道で早く着きすぎてしまったのだ。見上げると雲一つ無い青空が広がっていた。

左【麦草峠】

 平坦に近い下りをタラタラと行き、冬季は通行止めのメルヘン街道を横切ると麦草ヒュッテだ。メルヘン街道にはスキーの跡がいくつも見られた。

左【麦草峠ヒュッテ】

 麦草ヒュッテで宿泊の手続きをし、そこで休憩。木村さんが持ってきてくれたおでんやつまみをサカナに皆の手には早くもビール。結構のんびりし、このまま宴会モードかと思いきや、そうは甘くはなかった(^o^)

左【丸山でラッセルの練習】

 荷物は置いて、空身で丸山に行くことになった。こちらは人が入っていないだろうと期待して、ラッセルの練習とばかりにわかん装着でいざ出発。ところが、こちらもしっかりしたトレースがついていた。わかんなど不要だったが斜面が急で、つぼ足の人は滑るようだった。わかんには下にアイゼン効果のある歯があり、滑り止めにはなった。しかし田中さんのスノーシューにはそれが無い。滑りやすいようで、途中で外していた。空荷といえど、それぞれに少し飲んでいたので「体が重い」の連発。そんな中、海輪さんが木村さんご指名でラッセルの直々の実地講習。この時ばかりは私はカメラマンに転じる。

 丸山山頂に着いたときはホッとした。ヤレヤレ・・・。眼下に高見石、眼前に明日登る中山、その右向こうに西天狗が頭を覗かせている。彼方西方は中央アルプスの山並み・・・

左【左:茶臼山、右:縞枯山】

 丸山からの下りは早かった。わかんは外し、急な所はシリセードで滑り降りる。快適であった。アッという間に針葉樹林を抜け、麦草ヒュッテの見えるところまで着いた。夕日が茶臼山、縞枯山にあたってきれいだった。

 いったんヒュッテに入ったが、後から入ってきた夫が「浅間山が見えた」というので、もう一度見に行った。少し上に戻ると北東の方角に見えた!見えた!!いつも不思議に思うのだが、この周囲の山が見えたという感覚がとても嬉しい。

 ヒュッテに入り、夕飯前にまたもや宴会モード。メンバーが多いと、飲めなくてもこれがまた楽しい。持参の梅酒のお湯割り少々とワインを少々戴いて、次々に出る酒のつまみに「オイオイ、夕飯は大丈夫かな・・・」なんて皆で言いながら舌鼓。アルコールが入るとすぐに眠くなる私、夕飯までは何とか持ちこたえ、夕食後の続きでは疲れと共に早くも布団に潜り込んだ。小屋は宿泊者が多かったが、部屋のゆとりは充分あった。

二日目(1/13)

 夜中何度か目が覚めたが、比較的よく眠れた。5時頃起床。洗顔して戻ってくると、まだほとんどの人が寝ている。私もモソモソともう一度布団の中に入った。目をパチパチさせながら待つこと20分くらい。2番手の6時朝食(ヒュッテ側で決められる。昨夜の夕食は1番手だった)前に下準備を済ませた。

 朝食を済ませ、7時出発。この時先発の大パーティが、トレースが無さそうだから白駒池方向を目指すのをやめたというので、喜び勇んだ我らがサブリーダーは、わかん着用と指示。颯爽と?歩き出した。

 トレースはあるがなるほどわかんは必要だ、と最初は皆思っていた。後ろに回ったつぼ足の清水さん、高見沢さんはわかん組の後でもけっこう足を取られていた。しかし先行トレースは通常の登山道を外れ、メルヘン街道へと向かっていたため、つぼ足隊の難渋を見かねたSL海輪さんはラッセルを断念し、そのままメルヘン街道へ進んだ。そこからはむしろつぼ足の方が楽だった。私たちはわかんを外さないまま歩いたが、必要の無いところで歩き続けることは不自然な歩行になるだけに苦痛ではあった。

左【白駒池の分岐で】

 見覚えのある白駒池駐車場そばの入口から白駒池へ。緩やかな登りだが、それだけでも嫌になってしまった。朝一の行動はいつもかったるい。白駒池分岐で木村さんと高見沢さんだけが池まで空身でピストンし、他6名はその場でのんびり休んで待っていた。この間にわかんを外し、アイゼンに変えた。アイゼンは無くとも歩けそうだったが、少しでも傾斜がきつければ、アイゼンを着けていた方が楽だ。

 私は今回、意に添わない大きなおニューのザックで体に合っていなかった。馴染んでいない上に体調もイマイチ良くなかった。しかし何とかついていけるだろうと確信はしていたのでオーバーペースにならないよう、先頭の海輪さんにスローペースをお願いし、自分で調節しながらリズムをとっていった。

左【高見石で】

 昨日登った丸山への登山道(これもしっかりしたトレース)を右に見ながら少し行けば高見石小屋は近い。そこで休憩。そしてすぐ側の高見石に行った。以前、ここを天狗からニュウを回って来たとき、高見石の展望台には登らず、小屋の前を通過しただけだった。わずかな高さなのだが登ればそこは展望が良かった。茶臼山、縞枯山、蓼科山はもちろんよく見えたが、その背後に北アルプスが望めた。乗鞍や中央アルプスも見える。これから登る中山も目の前にあった。今回の山行で一番高い中山(2496m)だが、縞枯山(2403m)や丸山(2329.6m)より等高線は緩やかだったはずだと反芻・・・。

左【中山展望台より北アを望む】

 ゆっくりした小屋を後にして、いよいよ中山へ。これさえ登ればあとは楽勝。気温は氷点下12度くらいだったと記憶しているが、登っているとやたら熱く感じられた。思わず手袋を外す(なぜか私だけ)。いったん登り切った所で視界の開けるところがあり、双耳峰の天狗岳が見えてくる。ここが展望台かと思ったら、その先に広い展望台があった。西側が広く開け、それは素晴らしい眺めだった。何一つ遮るもの無く、北アルプス、中央アルプスが望める。この日は最初からすっきりした青空で、どこにいてもどこかしら眺められた。

 ここは吹き付ける風がとても冷たく、細身の清水さんや西山さんは早々に木陰の方に行っていたが、私はこの冷たさがむしろ心地よかった。しかしさすがにここで再び手袋をした。

 その先すすむとすぐ中山山頂標示があったようだが私は気づかぬままに通過してしまった。そしてすぐ、目の前にドーンと天狗岳が現れ一瞬足を止めてしまう。ここはそれほど風が強くなかったので、展望を楽しみながら休憩するかなと思っていたらそのまま下山。え〜っ・・・と思う気持ちは出さずにスゴスゴとついていった。

左【天狗岳】

 あとは緩やかに下るだけ。何度も天狗岳の好展望場があり、眺めつつシャッターを切る。ニュウへの分岐を通過し、中山峠まで来れば黒百合平は近い。登りの辛さがない分気も楽になって、ザックの重さもさほど気にならなくなった。

 黒百合ヒュッテで大休憩。またもや早く着きすぎたと口々に言葉が出る。トレースがしっかりしていると、雪山はむしろ夏道よりコースタイムが短縮する。そこで一休みするとまたもや体力を持て余した若い西山さんが目の前の小山をよじ登りザーッと滑り台のように滑って遊びだした。見ていると一緒になってやりたくなるが、さすがにその元気はない。

左【黒百合平からの下り】

 膝に故障を感じていた木村さんが高見沢さんと少し先に下りていった。続いて夫と私が下り、樹氷の中で写真を撮っている間に残りの全員が下りてきた。ひとたび雪が降ればラッセルが大変な雪道も、今回はどこも歩きやすかった。天気が良く針葉樹林帯にも陽が射し込んで、明るく気持の良い登山道だった。わざわざ積雪の中をつぼ足で歩いていく西山さんを見ていると、腰辺りまで雪に沈んでいた。その下に踏まれた雪もあるだろうし、積雪はゆうに1mは超えている。写真を撮りながら、あるいは枝を揺すって後ろの人に雪を落とす時間差攻撃でいたずらしながらのんびり歩いたにも関わらず、やがて木村さん達に追いつき、渋の湯にはかなり早い時間に着いてしまった。

左【渋の湯に到着】

 渋の湯(800円)で汗を流し、予定したバスはまだ間があったのでタクシーで茅野駅へ。駅前の蕎麦屋で乾杯と食事をし時間を潰したが、指定をとった特急電車(17:11発ーあずさー八王子18:59着)にはまだ1時間以上間があった。とりあえず乗車券を買いに行き、この時指定席を早めの電車に変えられるか聞いたところok!ラッキーと変更したのは良いが、発車まであと数分なのに、木村さんと高見沢さんは駅ロッカーに預けてあるシュラフを取りに行ってその場にいなかった。慌てて田中さんが呼びに行き、発車すれすれで全員セーフ。ヤレヤレ・・。最後はバタバタと慌ただしかったが、早めに帰路につけて良かった(茅野15:55発ーはまかいじ4号ー八王子17:53着)。