奥秩父 ;  笠取山
(かさとりやま)

初冬の静かな山歩き


 H7年12月5日(火)当日発 ;
 Member.計2名(青木、石原)

中島川橋8:25出発〜山頂11:00-25〜
笠取小屋12:00-13:00〜中島川橋14:25


 多摩川の源流、笠取山を楽しんできた。山容は遠くからは特定できず、いまいちぱっとしない地味な山だ。あまり人も入らない荒れた山だろうと、むしろその自然な味わいを期待していた。

 中島川橋に車を止めて辺りを見回したとき、青木さんが落葉した木々の間に紫の実をつけた木を見つけた。ムラサキシキブだ。支度を整え、橋の手前の登山口と思われた所から入っていくと踏み跡がしっかりしている。もう少し先にちゃんとした登山口があったのだがもちろんこの時はまだ知らない。川に氷が張っているのを見ては「わあ、きれい」、小川の石の上を踏んでは「沢登りみたい」、竹薮をかき分けては「やぶこぎだ」と一喜一憂しながら進んでいた。うっかり氷の張ってる石にのってツルン、ジャボンと川の中に落ちてしまい、初めて前途多難な先を思った。幸いたいして濡れず、再び前進。やっぱりおかしいと首を傾げつつ進む青木さんについていくと、登山道とは違う仕事道に合流。その道を少し戻ってようやく正規の登山道に行き当たった。ここでほっと喜ぶべきだが、思った以上に整備された標識を見て驚いた。歩き始めると登山道もきちんとしている。

 緩やかな登りをいくと南方向の山並みの合間に真っ白な富士山が顔をのぞかせていた。登るほどにその姿を現し、真っ青な空に一際映えてくる。山頂に近づく頃にはゆっくり動いていた雲に少し隠れてしまったが、陽が出ているにも関わらず今度は粉雪が舞ってきた。なんという幸運な素晴らしい情景、しばし立ち止まって眺めていた。尾根には前に降った雪がほんの少し残っていた。

 山頂は小さい双耳峰、手前は視界も悪く山頂の表示もない。もう一つ先に行くと狭い山頂ながら笠取山の名があった。男性一人と大学生6人のパーテイーの先客で満杯だったが大学生達が先に行った後、開けた南方を見るとまさに絶景。初日の出もさぞ素晴らしいのではないかと思われる。いつ見ても見飽きない富士。寄り添うように三ツ峠、手前に幾重にも重なる山々、そして大菩薩が大きく形の良い姿を見せていた。振り返って北方には上州の真っ白な山々が連なっていた。地図と見比べて確かめるのはとても楽しい。

 山頂辺りだけは急な登り下りだが後は比較的緩やかで歩きやすい。この急な下りで一面に木の焼け跡があるのに気がついた。登山者の火の不始末だとしたら問題だと思ったが、果たして?

 急な下りを下りきると登山道と平行して車の入れる道が現れた。登山者としてこれはがっかりだった。やがて小さな分水嶺の三角柱が立っている所に出る。多摩川、荒川、富士川と三方面に向けて書かれ、この山に降った雨はその三つの方向の川にそれぞれ注がれる事を表している。

 笠取小屋は無人だったがまわりは広々として、トイレもテーブルもきれいだった。太陽がさんさんと降り注ぐ中でラーメン、コーヒーをおいしく戴き、体も温まった。

 下るとすぐ水場がある。これが多摩川の源流かと思いつつ、その流れに沿って下りていった。やわらかいカラマツの落ち葉を踏みしめていくと、昭文社の地図(3年前発行)には載っていない長〜い散策登山道が出来ていた。地図上の林道よりはるかに魅力がある。広葉樹林の中、枯れ葉をカサカサいわせて歩くのはとても趣きがあって良かった。小屋から中島川橋までの下山はわずか1時間半。日帰りには丁度良い気楽な山歩きだった。

《おまけ》
 新しくできた小菅の湯はおすすめ。900円(3時間)だがタオルセット(部屋着付き)が付いて浴室にはもちろんシャンプー、ボディーシャンプーがセッテイング。サウナ、露天風呂もあり、脱衣室にはドラヤー、ブラシ(消毒済)、化粧水、綿棒まで至れり尽くせり。
 お風呂上がりには青木さんがコーヒーを入れて下さったが、時間のある方は喫茶室、レストランなどもあるので是非一度行かれてみては!