北ア;上高地トレッキング
(かみこうち)
   バックカントリースキー初体験!

 H12年2月19日(土)前日発・ 天気;快晴 :Member.2人(夫婦)& 上田

【北アルプスを望む】右

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)
釜トンネル入口8:55〜大正池10:15-?〜河童橋12:10-13:25〜大正池〜釜トンネル入口15:50
(所要時間約7時間・・休憩含む)

 上高地のスノートレッキングを楽しんできました。天気は快晴で北アルプスの眺めは最高でした。気温が高かったのでしょう、霧氷は残念ながら見られませんでした。スノーシューで歩いてみたかったのですが、勢いでバックカントリースキーとやらに変更してしまい、転んでばかりで大変でした。どちらもしたことはなかったのですが、終わってみれば面白かったです。スノーシューもしてみたかったなと思いました。でも歩くにはワカンの方が歩きやすいように思えたのですが、どうなのでしょうね。
 歩くスキー(orスノーシュー)は慣れてしまえば楽しいのかもしれません。きらめく雪原の上を歩く、これはステキです。私にはちょっと技術がともないませんでしたが。


 真っ白に冠雪した北アルプスを上高地から見てみたいと、6年前の9月に歩いて以来思っていた。上高地も雪が深く今の時期入るのは大変だろうと思っていたら、ペンションでトレッキングツアーをやっているという。MLの新鮮情報は有り難い。早速スノーシューで申し込んだがツアーは初めてだ。

 前夜のミーティングに合わせて金曜日に出発。夜移動の多い私達だが今回は珍しく、八ヶ岳や南アルプスを眺めながら中央道を走る。数日前にまとまった雪が降ったとのことだったが、松本ICをおりてからメーン道路に積雪はなかった。沢渡手前のペンション周辺にのみ少しあったが、ノーマルタイヤの乗用車も入っており、驚いた。

 早めに着いたのでコーヒーをいれていただき、一番下の小さな息子さんとオセロゲームをしながらオーナーや奥さんと歓談。HPで拝見していたオーナーは朴訥とした印象だった。山の話をする時の目元がとても優しい。山男っていう感じだった。

  夕食後のミーティングで説明を聞き、オーナーの「スキーの方が楽しいですよ」という一言でスキーに変更。ゲレンデスキー万年初心者でもいいのかな?と一抹の不安を抱きながら・・・。バックカントリーと言うそうだが、もちろん初体験。なんとかなるだろうと思いつつも、ツアーなので皆さんについていけなかったらどうしようと、やや心配だった。ザックの荷物は極力軽くした。

  当日は沢渡にペンション3軒の参加者全員集合。今回の参加者は34名と多かった。オーナー(山岳ガイド)を含め総勢37名だ。若い人が多く、たまたま別のペンションに山仲間(女性Uさん)が一人いて、一緒に行動する事にした。

 釜トンネルの入口までバスで移動し、スノーシェードの中で支度した後9時少し前に出発。ザックにスキー板を取り付けて歩くのは初めてだった。なんか、すごいことをする人みたいだ。バックカントリーの板は意外にも軽い。釜トンネルの中は暗く、ヘッデンをつけて歩くが、凍っているところがある上に工事用の車が数台通る。出口で休んだ後再び歩き出すと、やがて焼岳、穂高の山並みが見えてくる。「ワァー、きれい!来て良かった!」夏とはまた違った風景に少し面食らったが、天気は終始快晴で素晴らしい風景が広がっていた。岩肌が見えるのは風が強くて雪が飛ばされてしまうからだそうだ。

 何回か休みながら、大正池ホテルに着き、そこでスキーやスノーシューを履いた。トイレ休憩が長いのでその間に雪の上を歩いて試してみる。スノーシューはバックが出来ないそうだがそれを忘れたUさんはコテッと尻餅。フカフカ雪で気持ちよさそうだ。それからは「バックは駄目、バックは駄目」と呪文を唱えながら練習していた。しかし若い彼女は驚くほどバイタリティーがあり、常に新雪を目指していくフロンティア精神旺盛な人だった。しかも早い。

 いざ、歩き始めると私もドテッと倒れた。起きあがるのが大変だ。ゲレンデの斜面とは違って平坦だからだろう。近くの人に助けてもらって起きあがるが今度は細い橋、ウワー今度転んだら川の中だぁと思いつつ「転ばない、転ばない」と今度は私が呪文をつぶやく。澄んだ梓川の水が私を待ち受けているようでコワイ。

 「ここは夏には入れない湿原の上です」と言われても、どこも同じに見える雪原。しかしそこは気象条件が良ければ霧氷のビューポイントなのだそうだ。今回は幸か不幸か気温が高いようで霧氷は見られなかった。

 梓川の左岸に添って行くと対岸に猿が4頭、私達と並行に歩いていた。雪国のせいか、関東で見かける猿より毛並みがフワフワしているように見える。川沿いの広々した、だれも踏んでいないところを歩いていくのはとても心地よかった。人数が多くて先頭と最後尾の間隔が広がるため立ち休みが多い。その都度風景を眺め、兎などの足跡を辿りながら新しいトレースを楽しんでみる。しかし凹凸のあるところは転んでばかりだった。夏に2回歩いているが冬の風景は一変している。これで天候が悪かったらもっと別天地かもしれない。

 新しい河童橋になってから初めて来たが、以前と雰囲気は変わっていなかった。河童橋の近くで工事をしていたが、この季節で?と驚く。認識不足であった。橋を渡った所でお昼休憩。明神まで行くのはとても無理そうだ。河原に座り、吸い込まれそうに美しい川面を見ていると、鴨がいた。樹林の上部がうっすらと赤く見える。あれがケショウヤナギとすぐ分かった(名前はすぐ思い出せなかった、「ホラ、あれ、あれ」である)。

 目の前に見える西穂、奥穂、前穂は静かで美しかった。しかし午前中に西穂で遭難があったことをこの時聞いた。ヘリが何回も飛んだそうだ。13日入山の韓国人12人パーティの唯一の女性(28歳)一人が16日に滑落して翌日救出、残りのメンバーもこの日全員救出されたと帰宅してから知った。骨折ですんだようで良かった。

 昼食後の出発は13時15分であったが一つしかないトイレは混んでいた。行って帰って来るまでに30分くらいかかり、皆さんを少し待たせてしまった。最後の方が到着して出発。今度は梓川右岸を行く。フカフカした新雪の上を歩くのは気持ちよかったが、車が通る林道になるとツルツルでスキーが思うようにならなかった。この頃になると若い人たちは皆歩き慣れてきたようで、すいすいと私達の横を通り過ぎていく。まるで私達は走行車線で皆さんは追越車線をいっているようだ。ついていくのに必死だった。転ぶ度に引き離される。それでもスノーシューの何人かははるか後ろだ(Uさんは常にめちゃくちゃ早かったが)。

 ウエストン碑や新しく出来た西穂登山口の門、大正池などでは人数が揃うまで数回立ち止まった。34名を引き連れるのは大変なようで最後尾のオーナーは辟易しているようだった。その都度段々と遠くなる穂高の山並みを眺める。

 ようやく歩き慣れてきた頃、大正池から再び車道に戻った。往路、「みんなの様子を見て、行けたら通る」とオーナーが言っていた下の道は今回行かないようだ。楽しみにしていたのに残念だった。もっとも慣れないスキーでは自信もなかったが。スキー板でガリガリの車道を行くのは嫌だったので私は早々に外してザックにくくりつけてしまった。しかし「あれ、これからがスノーシューの人に優越感を感じられるのに」と言われ、また履いた。ゆっくり行こう。でもなんでゲレンデスキーのようにエッジがきかないのだろう、上手な人はなんでも使いこなしてしまうのだろうけれど、私には思うようにならなかった。ストックは長い方が良いと言われたが思うほど沈まなかったのでかえって疲れた。

 釜トンネルが見えてほっとした。スノーシューを外して歩いていたUさんが先に待っていて「あれ!どうしてそこにいるの?」とびっくり。私が板を外している間に通り過ぎたという。また暗い釜トンネルを下っていく。スノーシェードの谷側に大きな氷壁ができていてグリーンに透けて見え、とてもきれいだ。

 バスの待つトンネル口には4時前に到着。歩いている間は必死だったが終わってみれば楽しかった。今度は少人数で気ままに歩いてみたい。

 帰りにオーナーからお風呂にどうぞと声をかけていただいて感謝感激。当日は忙しかったにも関わらず、気遣いが細やかだ。明るい奥さんの対応も清々しい。

 今回宿泊のペンションは パル  ツインルーム一人8000円。ツアー参加費3000円(弁当、保険料、バス代)。スキーレンタル3000円(スノーシュー1500円)。温泉は広く男女とも露天風呂付きでGood。トイレも広々している。
 上高地トレッキングツアー