南ア;  甲斐駒ヶ岳〜仙丈岳
(かいこまがたけ〜せんじょうだけ)

足慣らしの筈が・・・約4ヶ月振りの本格登山


 H9.11/1-2(土〜日)前夜発 ; Member.計2名

【一日目】
広河原6:50発バス〜北沢峠7:15着7:30出発〜
双子山(一つ目)9:5-20〜双子山(ピーク)9:30〜
駒津峰10:15-30〜甲斐駒ヶ岳12:15-1:10〜
駒津峰2:15-25〜双子山(ピーク)3:05-20〜
北沢峠4:40(長衛荘泊tel0265-78-4291)

【二日目】
北沢峠長衛荘(2030m)5:25〜五合目(2519m)7:10〜
小仙丈岳(2855m)8:15-25〜仙丈岳(3032.7m)9:45-10:10〜
小仙丈岳10:55〜五合目11:30〜北沢峠長衛荘12:35バス1:15発〜広河原


【一日目】
広河原6:50発バス〜北沢峠7:15着7:30出発〜
双子山(一つ目)9:5-20〜双子山(ピーク)9:30〜
駒津峰10:15-30〜甲斐駒ヶ岳12:15-1:10〜
駒津峰2:15-25〜双子山(ピーク)3:05-20〜
北沢峠4:40(長衛荘泊tel0265-78-4291)

 ゆっくり歩く暇の無かった私のために、夫が予定を組んでくれた。いきなり南アルプスというのも強気だが、今シーズンのラストチャンスとあらば是非登っておきたい。

 前日午後4時半頃出発し、甲斐昭和のICをおりた後、芦安村の温泉に入ってから広河原へと向かった。夜だったためかえってライトで走りやすいというが、私はこういう道はどうも苦手だ。

 広河原の駐車場はとりあえず空いていた。しゃぶしゃぶで乾杯し、山の支度をして就寝。

 朝は快晴だった。バス停の場所を勘違いしてまごまごしたが、何とか乗れて、快調な気分で出発。紅葉は既に終わって、早くも初冬の風情だ。今年は夏と初秋晩秋を通り過ぎてしまったと思いつつ、懐かしい南アルプスの山の景観を楽しむ。この南アルプス林道は、村営のバス以外通行できない。そしてこのバスも4日には終わってしまう。冬山を登る強者は延々とこの道を自分の足で歩くことになるのだ。その為今季ラストの山を楽しもうとハイカー達は押し寄せ、そのマイクロバスは3台も出ている。しかし、夏のシーズン中はもっと賑わっていたことだろう。

 北沢峠に到着し、今夜の宿、長衛荘に挨拶し、不用な荷物を預け、さて甲斐駒と仙丈のどちらを先にしようかと、小屋主さんに聞いてみる。甲斐駒の方が手強いというので明日の最終バスに乗り遅れないよう、仙丈を明日にすることにした。

 先を行く主人にゆっくり行ってと念を押し歩き出す。あんなにバスが混んでいたのにいろいろなコースに分散したせいか、静かな山歩きだ。寒波がやってきているという天気予報通り、空気がとても冷たい。普段登りで上着を着ることは殆どないのだが、冷たい風に体温をとられないように合羽を羽織った。その内ちらちらと小雪が舞い、とてもきれいだった。一週間程前に降った雪が足下にもうっすらと現れてきた。双子山のピークを踏んでいこうとちっちゃな小山にわざわざ登り、ひと息ついてきたが、コースに戻って先を行くと、双子山と大きな標識が立っていた。

 そのピークはそのまま通過し、次の駒津峰に向かった。

 双子山から駒津峰に至る稜線はハイマツの低木で寒風を遮るには程遠く、吹きさらしの中を歩くのは少々辛かったがガンバ!ガンバ!北側は既に雪景色が素晴らしく、南面は紅葉が終わり木々は冬支度を始めていた。季節、季節のうつろいを感じる度に新鮮な感動を覚えるのは何故だろう。人間故だろうか。

 駒津峰の山頂で少し休憩したが、相変わらず寒い。視界には仙丈岳・北岳・間ノ岳・鳳凰三山と入るが、これから行く甲斐駒山頂はガスにおおわれていた。ガレ場の白さが妙に目についた。始め雪なのかと思ったが、そうではなかった。

 駒津峰からいざ山頂へ。途中摩利支天へと進むコースと直登コースに分かれたが、先にピークを踏みたかった。迷わず直登コースを選んだが、これがきつかった。岩場だらけで両手両足総動員の四輪駆動。足はともかく途中から腕の力がなくなってしまった。主人に引き吊りあげてもらったり、しがみついたり、もう大変!摩利支天のコースをとった人たちを見ながら、羨ましいような誇らしいような、多少優越感の方が勝ったかなという思いだった。なんとか通過したと思ったら今度はガレ場。雪が混じっていたが凍結していなかったのは幸いだった。

 山頂の標識が目に入ったときはホントかなと半信半疑だったが、確認出来たときは嬉しかった。あいにくガスで展望はきかなかったが、瞬間の仙丈の山頂が現れたときシャッターを切って急いで昼食。大きな岩に囲まれた所でカレーうどんを食べたが、手袋をはめていなければかじかんでしまうほど寒かった。それでも1時間ほど居て、下山。

 摩利支天方面のコースをとったがとてもガレていて歩きにくかった。摩利支天もガスでおおわれていたので通過。登りと同じルートを下ったが、途中主人が足の膝を痛めて少し時間がかかってしまった。それでも暗くなる前には小屋に到着して一安心。私は下る途中とてもお腹がすいていたのに、いざ食事の時間になったら殆ど食べられなかった。相当こたえたらしい。こんな事は珍しい。

 長衛小屋は大きくて立派だった。小屋主さんは若かったがご夫婦共にとてもきさくで感じが良かった。

 膝が痛いので明日は登る自信がないからと主人が言うので、仙丈は私一人で行くことにした。行く人が大勢居るので不安はなかった。



【二日目】
北沢峠長衛荘(2030m)5:25〜五合目(2519m)7:10〜
小仙丈岳(2855m)8:15-25〜仙丈岳(3032.7m)9:45-10:10〜
小仙丈岳10:55〜五合目11:30〜北沢峠長衛荘12:35バス1:15発〜広河原

 昨夜6時半頃には寝てしまったので、夜中に目が覚めてしまった。そうなると、最終バスに間に合うように下山しなければいけないから、寝過ごしてはならないと気を張って、なかなか眠れない。明け方は出発する人の時間がまちまちでうるさかった。
 5時前には起きて支度し、お弁当の朝食を小屋で食べてから暗いうちに出発。一人で真っ暗な山を登るのは初めてだった。ヘッドライトをつけて歩き出すと、10分ほどでしらじらと夜が明けてきた。自然と顔がほころぶ。

 三合目の辺りで昨日知り合ったご夫婦と会い、挨拶。この後も前後して、時々話しながら進むことになった。気分的に随分違ったと思う。人も大勢いたし、一人で登る不安は全くなかった。私より年輩の女性が一人いたので挨拶したら、甲斐駒の絵を描くと言ってにこやかに話してくれた。甲斐駒の絵ばかり描いて、売れているそうだ。振り返れば昨日登った甲斐駒が今日は山頂まですっきりと姿を現して間近にそびえている。山肌をさらしたその姿は快晴の中、雄々しくもあり魅力に欠けるようでもあり…。

 遠く北アルプスも全体を望むことが出来、尾根を伝って進むそのコースは最高だった。主人も来れたら良かったのにと残念に思う。私も昨日の歩きの後遺症が無いではなかったが、まあまあ快調に自分のペースでゆっくりと歩いていった。

 歩きやすいコースをただひたすら登っていくと、やがて小仙丈岳に到着。眼前にたおやかな仙丈がある。駒ヶ岳と比べてとっても女性的だ。左に目をやれば北岳とそれに続く白根三山がハッキリと見渡せる。とても良い風景だ。少し休んで景観を楽しんだ後仙丈山頂へ。すぐ目の前のような気がしたが、そんな風に思った時は案外遠く感じるものだと痛感。それでもみんなが巻いている手前のピークを敢えて登り、一人の山頂を楽しむ。すぐそばに仙丈山頂が見え、そこには大勢の人人人…。

 やがて私もそこの一人となってゆっくりまわりを見回した。またしても、夫が来れたなら…と思う。まわりの人たちと気軽におしゃべりして、いつもより早めに下山。同じ道を下ることにした。下りは早い。二合目を過ぎた辺りで前方に人の気配を感じふと見ると夫だった。痛い足を引きづって足慣らしに途中まで登ったという。何やらほっとして一緒に下り、幸いにも、一本前のバスに乗れる。待つ間コーヒーを沸かして飲み、そのほんのひとときはせわしさと安堵と満足感があった。

”寒空に登る甲斐駒険し岩夫が引く手の温かくあり”
”吾ひとり仙丈岳に立ちてまたこの展望を夫にと思う”