中央線沿線; 岩殿山
(いわとのさん)

途中で目的の山を変更・・・九鬼山のはずが、岩殿山へ!


 H6年2月24日(木)当日発 ;
 Member.計4名

 【コース】(=は乗り物、〜は歩き)
立川駅6:45=猿橋駅(330m)7:36〜九鬼山の登山口を間違えたため、時間のロスで、急遽岩殿山に変更〜猿橋を見学10:15発バス=駒橋上宿バス停10:30〜登山口10:40〜岩殿城址公園〜山頂下11:30-12:30〜岩殿山山頂(634m)〜築坂峠(つくさかとうげ)〜兜岩〜稚児落とし〜浅利15:30〜大月駅16:15着16:31発=立川駅17:09着

 後から思い出してもおかしなおかしな珍登山であった。そもそも記録が岩殿山となるはずではなかった。九鬼山、これが当初の目的だった。なぜかと言えば、先月、扇山・百蔵山を登ったとき、目についた山で、その内にと機を伺っていたのが、今回決行の運びとなったからだ。その姿に魅力を感じ、私からのラブコールとなったのだが、ものの見事に振られてしまった。私を誘惑しておいて、それはないでしょうと、多少は恨めしく思いつつも、時間的に断行は無理と判断し、さっさと近くの岩殿山を次なるターゲットにと乗り換えてしまった。こんな事は初めてのことで残念だったが仕方がない。4人の善人?に9の鬼(九鬼山だから・・・?)では太刀打ちできまいと、神仏が門前払いを食わせたのかも知れない。それとも9の鬼にも恐れられたものか?とにかくこうなれば、自然のなりゆきに従うしかない。4人でいながら2度までも間違えたという事は、今日はお止しなさいということかも知れないが、どこで違ったのだろう、なぜだろうという思いは残る。この謎解き、いつかしたいものだ。失敗も又良し。良い経験をしたと思っている。

 そのおかげで、珍しくて商品価値があると言われるフユノハナワラビの群生している場所に出くわした。こういう余録もあるから危険な目にさえ遭わなければ、ちょっとした寄り道も悪くはないのだが。ただ、今回はビデオを持っていかなかったので、手軽だったが、これらを記録の一こまに加えられなかったのは、かえすがえすも残念だった。

 岩殿山に向かう前に猿橋を見に行った。偶然にもその近くまで足を延ばしていたので、せっかくだからと寄ってみたのだが、人工のものとはいえ、吊り橋とは又違った風情があった。紅葉の頃は綺麗だから観光客で賑わうだろうが、この日は静かだった。

 バスは間もなく来たので、そこから今度は岩殿山に向かった。途中通過する猿橋駅では、朝降りた駅だったので「決まり悪い」と言って、メンバーの一人がおどけて顔を隠す。朝早く歩き出した私達を知る人がいたらと思うとついおかしくて、みんなで笑い出してしまった。

 ここのバスの運転士さんも良い方で、下車停留所や、行き方を丁寧に教えて下さった。一目でその山容を見渡せる岩殿山、眼前に絶壁がそそり立っていた。本当に短時間で登れるのだろうかと不安に思うほどだ。地図や案内書での予備知識で、ここはショートコースで、一日使ってわざわざ登りに来るには物足りないと考えていた所だった。その山容に魅力を感じていたものの、まさかこんな形でこんなにも早くその機会が訪れるとは思いもしなかった。

 しかし予想に反して歩き甲斐のある山だった。岩殿山を登る道は整備され、普通の格好でも充分歩ける。公園もあり、お花見などの陽気の良い時期はきっと、観光客で賑わうのだろう。この日の天気は快晴だったこともあって、登りながら、大きく目の前に見える富士山に感嘆の声を上げた。真っ白な富士が、太陽の光の中で輝いていた。予定していなかった山で、こんなにも感激できるなんて・・・。

 山頂の手前で昼食をとった。1時間たっぷり休憩し、山頂へと登ったが、ここはテレビ塔があって興醒めだった。それでもアカマツ林に遊ぶコガラを眺めながらそのツツピーンというさえずりに耳を澄ませ、遠く富士に至る山々を地図で見比べた。いくつか登った山、いつか登りたい山の姿を認めつつ、胸が高鳴る。

 低山で無論物足りなさはあったが鎖場あり、見応えのある絶壁有りと、景観、手応えは満足のいくものだった。午前中、かなりの時間が削られていたにも関わらず、のんびりと歩けたし、その割にまずまずの時間で下山もできた。最後の方で学生らしき男性と会ったものの、他に人と会うこともなく、さんさんと射し込む穏やかな春の木洩れ陽を体いっぱいに浴びて、とても気持ちの良い山歩きだった。

        “岩殿や歩み違えし九鬼しずか富士の高嶺の光輝く”

        “招かれし岩殿山にコガラ鳴くアカマツの上ネズの上にも”