八ヶ岳;硫黄岳
(いおうだけ2760m)
   積雪は例年より少なく、赤岳鉱泉で約40cm。展望は最高でした。

 H12年1月22-23日(土-日)前夜発・ 天気;快晴-雪: Member.2人(夫婦)

【硫黄岳山頂で】

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)
一日目(22日)
美濃戸山荘(ゲート1680m)7:40〜堰堤広場8:30-40〜赤岳鉱泉(2215m)9:40-10:25テント設営〜赤岩の頭(2656m,20分くらい休憩)〜硫黄岳山頂(2760m)13:05-20〜昼食13:40-14:25〜赤岩の頭14:30〜赤岳鉱泉15:15
(所要時間約7時間35分・・休憩含む)

二日目(23日)
赤岳鉱泉2215m9:10〜中山乗越9:45〜行者小屋2345m9:50-10:10〜(休憩20分)〜美濃戸山荘(ゲート1680m)12:00
(所要時間約2時間50分・・休憩含む)


 【一日目(22日)】
 モノトーンの世界へ段々と引き込まれ、雪の八ヶ岳へ。蓼科から編笠まで八ヶ岳全域を含めるともう10回くらいは来ているが、振り返ればその半分は雪の時期に歩いている。我ながら意外だが、いまだ雪山に慣れていない。

 前夜発で、山荘の駐車場には深夜に到着したが、予想に反して駐車場はどこも空いていた。美濃戸口からの積雪量は少ない。四駆で車高の高い車ならまだ心配いらない(ハイエースok、ただしその後の天候に注意)。車中泊で6時頃起床、身支度と朝食を済ませ、山荘(赤岳山荘)で二日分の駐車料2000円を支払ってから出発。

 ゲートのある美濃戸山荘で登山計画書を出そうとしたが、ポストは美濃戸口にあるのだそうだ。しかし「代わりに出しておきます」と言われ、預けてから北沢のコース、赤岳鉱泉へと進む。堰堤広場までの道のりは山荘にゲートがあったにも関わらずずっと林道で轍の跡が続いている。轍の上を歩くにも、先頭の夫は滑るのを心配して慎重に歩を進めるのでのんびりペースだ。歩いていると1台ワゴン車が通過していった。数人乗っている。堰堤広場には川崎ナンバーのRV車も停まっていたが、赤岳鉱泉のボッカだろうか?

 堰堤広場で10分ほど休憩して再び歩き出す。登山道らしくなるが雪道にはしっかりと踏み跡が続き、ルートは終始はっきりしている。ここは大学生だった長男と5年前の夏道を歩いて以来だが、ラッセルを強いられない雪道で、でこぼこがなく、はるかに歩きやすく感じる。冬山装備で荷物が重かったが、エアリアマップの夏のコースタイム(休憩時間含む)で鉱泉に到着。積雪は約40cmほどという。あまりに恵まれたお天気に、ここで幕営ではもったいない、そのまま担いで横岳、赤岳、阿弥陀と縦走したい誘惑にかられるが、夫はさっさとテン場を捜し、荷物を下ろす。まだテントが数張りの中、場所を選んでテント設営。幕営料1000円を赤岳鉱泉に支払い、軽くレーションを食べてから硫黄岳へ出発。

 天気は快晴で樹林帯の中は汗ばむほどだった。この往復もコースがはっきりしており、既に踏み固められた雪道は全くラッセルを必要としなかった。途中大同心やジョウゴ沢などへ行くコースがあり、一度見学してみたいものだと思ったが、残念ながら今回その時間は無かった。

 横岳を眺めながら硫黄岳も視界に入ってくる頃には森林限界を抜け、赤岩ノ頭に出る。目の前に北アルプス、後ろ立山の山並みが限りなく続く姿があった。左(南)へ目を移せば乗鞍岳、御嶽山、中央アルプス、南アルプスと見える。山が重なった以外は遮るもののない素晴らしい展望だった。しばしそこに腰を下ろし、休みながら山座同定を楽しむ。風が冷たく感じ、ここでフリースを着る。

 20分ほど休憩して硫黄岳山頂へ行こうとしたとき、大学生二人がオーレン小屋方面?からやってきた。踏み跡の無いところをラッセルして大変だったようだが、嬉々としていたように感じた。この日で四日目と言うが、昨日まで雪だったという。寒波で寒かったようだ。

 山頂近くの岩場はちょっと要注意だが、それを乗り越えると広い山頂。標識やケルンにはエビの尻尾がはりついている。ピッケルで突っつこうとしたら、見るのを楽しみにしている人もいるのだからと夫に注意される。真っ青な空に雲一つ無く、ぐるり360度の好展望だった。先程の風景に加え浅間山・篭ノ登山・四阿山方面、谷川方面、近くは霧ケ峰・美ケ原、金峰山等々。さすがに山頂は寒くて(氷点下5度くらい)15分ほどしかいられなかったが、充分満足だった。硫黄岳山頂に立つのは3回目だが、今回はラッキーだった。年に何回も見られる風景ではない。

 山頂を少し下ったところで大休憩。ちょっと下っただけで体感温度がかなり違う。コーヒーをいれて八ヶ岳を眺めていると横岳を3人歩いているのが見えた。明日は阿弥陀だと思いつつ眺めていると、またあれだけ登るのかと溜息が出そうになる。一度ならず二度、三度と登ろうとするなんて、と自分を笑ってしまう。その後一気に下山。アイゼンは結局使わなかった。

 赤岳鉱泉のテン場にもどり、食事の用意をしていると次々に沢山のパーティが登ってきた。ツアーが多いようだ。アイゼンをつけて歩き方の講習などしている人たちもいたが、ほとんど小屋泊りだった。夕方のテン場も賑やかだった。昼間の気温はどんどん下がり、寒くなった。体を温めるために飲んだ少量のアルコールも効いてきて、食事もそこそこに18時前にはシュラフに潜り込んでしまった。

 【二日目(23日)】
 夜中何回か起きたが足の裏にホカロンを張り付けたお陰でシュラフの中は快適だった。6時半起床。朝食の支度をしている間に外は雪が降り始めた。山にはガスがかかっている。昨日の展望に満足していた私達は、今日は無理に登ろうとは思わなくなっていた。登っていない山ならば心残りもあったろうが、視界のきかない山に登る魅力はもう無かった。のんびりと食事をし、お茶など飲んでからテントをたたんだ。とりあえずは行者小屋に行き、天気がパッと晴れるようなら登ろうということにし、状況が変わらないならば下山後ゆっくり温泉と決めた。

 雪の降る中歩くのも楽しく、写真を写しながら行者小屋へと行く。途中山行を諦めて引き返す人たちにも出会った。行者小屋に着いてもガスが山を覆い隠し、雪は相変わらず降り続いていた。そこで下山に決定、小休止した後は美濃戸へ向かう。しかしツアーの人たちをはじめ、昨日の夕方着いた人たちは気の毒だ。

 途中間違えてクライミングのゲレンデの方へ行ってしまったが、何カ所かそんな感じで脇道にそれるトレースがあるので気をつけた方がよい。昨日の好天のせいで、アイスバーンになっている場所もあった。残雪期もそこは同様だったのを思い出す。アイゼンを履けば良かったのだが短い距離だったので注意してそのまま通過。川の音が聞こえてきたところで休憩した後はそのまま下った。二つ目の堰堤が現れ、その階段を上って下りれば目の前に美濃戸山荘が見えてくる。

 山荘から美濃戸口まで、車とすれ違いが無いようにと願いながら無事美濃戸口へ。美濃戸口の山荘で温泉につかり、帰路についた(温泉一人500円。石鹸のみ。ドライヤー無し)。