北八ヶ岳・硫黄岳〜天狗岳
 (いおうだけ 2760m・てんぐだけ2645.8m))

高所温泉と好天に恵まれた残雪期の北ヤツを満喫!山頂は青空の下360度の好展望
夜中に降った新雪の上を誰よりも先に歩くのは新鮮な気持ち♪

 H17年3月20-21日(日ー月)
  天気;20日晴れ、21日快晴
  Member.2人(夫婦)

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む) 
一日目(20日)
稲子湯(1445m)9:00〜ミドリ池(2038m)10:45〜本沢温泉(2100m)11:55
(所要時間約3時間・・休憩含む
 標高差約655m)

二日目(21日)
本沢温泉(2100m)5:20〜夏沢峠(2430m)6:45-7:05〜硫黄岳(2760m)8:20-30〜夏沢峠9:10-30〜根石岳(2603m)10:35〜本沢温泉分岐(冬季通行不可)10:45〜東天狗岳(2640m)11:05-12〜西天狗岳(2645.8m)11:27-38〜東天狗岳11:52〜根石岳12:13〜夏沢峠12:52-13:08〜本沢温泉(テント撤収)13:40-14:25〜ミドリ池15:40-55〜稲子湯16:45
(所要時間約11時間25分くらい・・休憩含む
 登り最高標高差660m・下り標高差1315m)

【快晴だが強風で寒かった硫黄岳山頂】
参考:エアリアマップ夏道コースタイム
稲子湯ゲート〜2時間10分〜ミドリ池〜1時間10分〜本沢温泉〜1時間〜夏沢峠〜1時間〜硫黄岳〜40分〜夏沢峠〜1時間30分〜東天狗岳〜15分〜西天狗岳〜15分〜東天狗岳〜1時間5分〜夏沢峠〜40分〜本沢温泉〜1時間〜ミドリ池〜1時間20分〜稲子湯ゲート

 三連休の初日は墓参し、今回は日月の一泊二日。行き先は迷った結果、残雪を楽しもうと北八ヶ岳のまだ歩いていない稲子湯からのルートにした。このルートはその時の天気や体調によってコース変更を自在に出来るのが良い。

【一日目20日)】
 早朝発、約3時間ちょっとで稲子湯ゲート前に到着。既に約十数台停まっており、かろうじて何とか停められた。したくして9時出発。早々に下山してくる人はほとんどアイゼンをつけていたが、登りなので先ずはストックだけ出してそのまま登っていく。カラマツ林にはしっかりトレースがつき、雪質はしまって歩きやすい。二回ほど林道を通過、一部凍っているところもあった。30分ほどで熱くなり上着を脱ぐため小休止。私たち同様、本沢温泉まで行くという二人連れが他にも3組ほどいたが、それぞれのペースでいつしか離れ、静かな雪山ハイクとなった。予報どうり天気は良い。空は青空、足元は締まった白い残雪で「あぁ来て良かった〜!ここにして良かった〜!」と思わず声が出る。。

【木漏れ日が気持ちいい】


 歩き始めてから1時間ちょっとの所(水場の少し上)で休憩していると、何も持たず長靴を履いて下りて来た人に「しらびそ小屋まであと30分だよ」と教えられた。小屋の人かな?
 下山者数グループとすれ違ったが、相変わらず静かな山行で快適。シラビソ、白樺などの樹林へ射し込む木漏れ日が気持ちよい。
【ミドリ池と東天狗岳】


 しらびそ小屋前のミドリ池は本来もっと大きいのだろうが、周囲が凍って小さくなっていた。その小さくなった池の淵まで人の踏み跡が続いている。歩いていくのはちょっと怖そうだけど、暖かくなっていく春、いつごろまで歩けるのだろう。見上げると正面には東天狗岳が見える。こちらから見ると双耳峰ではないせいか最初天狗岳とは思えなかった。
 池の脇を通り抜ける時は南壁面を見せた稲子岳があり、その向こう側にはかつて行った事のあるニュウがある。少し先へ歩いて行くと、そのニュウや天狗岳方面に向かう中山峠への分岐があった。しらびそ小屋に泊まるのもいいなぁ・・・
。この日営業中。
【テント設営】


 しばらくは高低差の少ない登山道。下りになって、稲子湯登山口からの登山道と合流すると本沢温泉は近い。ミドリ池から1時間ちょっとで到着。キャンプ場は手前にあり、二張りほどしか無かった。。ちょうど良い場所があったので、先にテント設営。昼食を済ませてから本沢温泉小屋へ。この後の行程は決めていなかったが、とりあえずテン場代(一人520円)を支払いに行った。
 硫黄の匂いがしてきたと思ったら、小屋の手前左に石楠花風呂と書かれた小さな小屋がありそこが温泉だった。ここは時間制で男性、女性、フリーと分かれている。名物は上の方にある野天風呂。入浴代は一人520円(小屋泊まりの場合は入浴代込みなのかも知れないが未確認)。寒かったので入りたかったがテントなのでチョット躊躇。小屋泊まりならなぁ・・・。
【野天風呂】
【硫黄岳を眺めながら野天風呂】


 とりあえずお風呂セットと山行セットを入れたザックを背負って登っていった。広い場所に出たところで夏沢峠と野天風呂の分岐があり、野天風呂の方に行ってみた。正面にダイナミックな硫黄岳と眼下には川、そして一面の雪景色!なんてワイルドなロケーション。ちょうどご夫婦らしき男女一組が一緒になった。自分で歩いてこなければ入れないお風呂に入るのが楽しみで混浴も気にしないからと、先ずは奥さんが目の前でさっさと入り、ご主人が一生懸命写真を撮っていた。私たち夫婦がいてもさほど気にする風でもない。脱衣室も無く、寒風の中での服の脱着は勇気がいるが、その奥さんのさっぱりとした潔さが私には羨ましくもあった。それならばと夫が震えながら入り、ご主人も続いて入った。桜の散り際の潔さが好きな私だが、それは私に無いものだから・・・結局私は足だけ入れて仲間に入れさせてもらった。寒かったのでそれだけでも温まる。
【本沢温泉】


 四人でそうしている間にも男性が一人、二人とやってきて、少々戸惑いつつも次々と入った。おせっかいにも私は皆さんのカメラマンを買って出る。オバサンだから出来るんだぁ・・!と皆さん思うでしょ?さにあらず、あとから小屋にお風呂代を支払いに行った時、話した若いお嬢さん方も野天風呂に入りに行くと言ってましたよ。どうやらオバサンだから入れなかったらしい・・・・デス!私はおとなしく石楠花風呂に入りました(^o^; 下界の温泉のようなきれいなつくりではないが、とっても良い湯加減でしっかり温まり極楽、極楽。

 15時半ごろテントに戻り、お湯割の梅酒(自家製)を二人で飲みながら夕飯の支度。メニューは餅入り寄せ鍋とミートボール、おつまみなど。16時ごろになると雪が舞ってきた。もし山の方に行っていたら今頃は下山している頃だなぁ・・・と思いながら少量の雪見酒で気分上々。温泉で体はぽかぽか、湯冷めもせずとっても良い気持ち。17時半ごろにはシュラフに入った。
 この夜に限って花粉症がひどかった。どうやら家で干してあったフリースやシュラフにごっそり花粉がついていたらしい。狭いテントで最悪!でもテントで良かった。小屋で鼻ジュルジュルでは鼻かみも気を遣っただろう。21時ごろ目覚めてからはあまり寝られず時々ウトウトする程度。辛かった。いつしかテントにあたる音は雨のよう・・・。しかし・・・

【二日目21日)】
 翌朝起きてみると雨ではなく雪の音だった。雪にしてはかなり強い降りだった。そして明け方の強い風。3時半に起床の予定だったが寝不足とこの音で気持ちが鈍る。結局花粉症で寝ていられず10分後くらいには起床。昨夜の残りと炒めたウィンナーで朝食を済ませ、飲み物など準備して外の様子を見る。風は相変わらず強い。気温はマイナス14度くらい。それでも支度だけはして、行けるところまで行くことにした。
【朝日を浴びて新雪の上を歩く】


 新たな積雪は5センチくらいだったろうか。まだ誰も歩いていない新雪を踏みしめながらまだ静かな小屋の前を通過し登っていく。野天風呂の分岐を夏沢峠方面へと進むがトレースはすっかり消えていた。広い場所で、前日の記憶を頼りに間違えないよう進んでいく。そこを通過するとかすかなトレース跡とテープがあった。見覚えのある硫黄岳の位置から野天風呂を眼下に認め、樹林帯へと入っていった。だんだんと明るくなり、目の前の硫黄岳に朝日があたって輝きだした。新雪をかぶった樹林帯も登山道も朝日でキラキラ輝いている。朝一番乗りって、なんて気分いいのだろう!
【東へ雪庇が張り出している】


 いきなり小屋が目に入ってびっくり。夏沢峠だ。どちらの小屋も閉まっていた。泊まったことのあるやまびこ荘でモモンガを見たのを思い出す。小屋の陰で小休止しながらどちらへ行こうかと相談。先ずは硫黄岳に行くことにする。風はいくらか弱くなったように思えた。森林限界を越えて間もなく、途中で硫黄岳からの下山者に出会った。赤岳鉱泉の方から登った人だ。山頂はとても風が強く「死ぬかと思った」と言った人がいた。ちょうど大変な時間帯だったようだ。今回は荷物が軽いので飛ばされそうなら早々に下山しよう。しかし風はだんだんと弱まっているようだったのでそのまま山頂へ向かう。
【硫黄岳山頂へ】
【後方の天狗岳と右手前のエビの尻尾】

【赤岳と阿弥陀岳、後方は南アルプス:硫黄岳山頂より】


 途中のケルンや標識にはしっかりエビの尻尾が張り付いていた。樹林帯の歩きやすい締まった雪質とは違い、ガラガラな石ばかりのところに氷が張り付いたような感じだ。12爪アイゼンが心強い。なだらかな傾斜は山頂を遠く感じさせる。しかし真っ青な空と、上へ上がるたびに広がる雄大な展望に歓喜の気持ちでいっぱいだ。見える、見える、全部見える!
 山頂へ着くと目の前に赤岳や先月登った阿弥陀岳などがあり、その向こうに南アルプスだ。360度の展望。ただやはり風が強く山頂に長くはいられなかった。赤岳鉱泉から登ってくる人のほうが大変そうだった。
【美ヶ原の後方に北アルプス】

【浅間山方面】


 再び同ルートを下山。前方に北八ヶ岳、その左に中信高原、右に浅間山方面、その周りには中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳、北アルプス、谷川岳、尾瀬方面などなど・・・素晴らしい展望じゃ〜!!しかし下りは早い。
 夏沢峠で一休み。この頃になるといくらか人が増えてきた。時間も早いし天気も良いので、私たちは天狗岳にも足を延ばすことにした。長い樹林帯も青空と新雪のおかげでとても明るい。途中から見える浅間山と周辺の山もきれいだ。でも夫はバテてきたらしい。登りきったところ、箕冠山(新潟の箕冠山は「みのかむりやま」と読むらしいがここはなんと読むのだろう?)山頂辺りで待っていると言う。ならば一緒に下りようと言えば「一人で行って来いよ」と言う。じゃあ行ってきま〜す(>.<) いつも思うのだけど、私一人で心配じゃないのかなぁ・・・。どうも夫は、自分は人間で私は人間じゃないと吹聴している節がある・・・<オイオイ(-.-;。

 根石山荘の前を通り、根石岳に向かう。コマクサ保護区でロープが張られているが、このロープは広い場所なので視界の悪いときなど安全かもしれない。根石岳に登ると双耳峰の天狗岳が目の前だ。途中本沢温泉への下山路があるが、積雪期は通行不可のようだ。本沢温泉小屋の人も通らないようにと言っていたらしい。もちろん踏み跡はなかった。通過して東天狗岳へ。人がいても夏山の喧騒とは程遠い。硫黄岳のような風はなく、穏やかな気持ちの良い山頂だった。素晴らしい展望につられ、またいつこれるか分からないので西天狗岳も行ってみた。夫を待たせているというのに。でも行かなかったらきっと怒るだろう「なぜ行かなかったんだ!」って。(笑)
【東天狗より南アルプス(右後方)、八ヶ岳主峰を望む】

【西天狗岳より東天狗岳を望む】
【後方は御嶽山と乗鞍岳:根石岳山頂より】



 西天狗岳の方が少し高く三角点もある。確認してこなかったが雪の下かな?ここで一休み。温かいカフェオレとパンで軽く食事しながら展望を楽しんだ。東と西とで似たようなものだが微妙に違う。西のほうが見晴らしが良い。やっぱり来てよかった。以前夏山で登ってはいるけれどトシちゃんも来れば良かったのに・・・と思いつつ東へと戻る。
 今度は誰もいない東天狗岳山頂でぐるり最後の展望を楽しんでから同ルートを下山。根石岳山頂で夫は待っていた。満足そうな顔をしていた私を見て夫の顔も嬉しそうだ。岩陰でトカゲを決め込んで元気を取り戻したことだろう。また夫の後をついて行く(^o^)。
【硫黄岳を眺めながら再び夏沢峠へ】

 三度夏沢峠に舞い戻り、ここでまた休憩。ちょうど男性が一人、硫黄山頂から赤岳鉱泉へのルートが風で消えて分からず下りて来ていた人がいた。確かにあの強風ではそうかもしれない。電話があって泊まれるところを捜しているということで、本沢温泉なら営業していると話す。野天風呂のことも話し、すぐ後を歩いてきていたのでその分岐で教えてあげた。暑かったので私たちも汗を流したかった。たぶん気持ちよかっただろうな・・・。私たちは帰るのでそのまま下る。
 テン場にもどりテント撤収。昨夜作っておいたプリンとドリップコーヒーで一息ついた後下山。団子になるので途中でアイゼンは外した。途中ミドリ池で最後の休憩。小さかった池に昨夜の白い雪が積もっていた。その後稲子湯へと向かい、ほぼ予定通りにゲートへ到着。稲子湯の日帰りは午後4時までという情報で既に入れず。そのまま帰路についた。