上越;火打山〜妙高山
(ひうちやま2462.0m〜みょうこうさん2445.9m)
   紅葉と秋の花

 H12年9月30日〜10月1日(土日)
  天気;30日晴のち雨、1日雨のち曇り時々晴:
  Member.2人(夫婦)

【火打山、天狗ノ庭より】右

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

【一日目:30日】
笹ヶ峰(1320m)7:10〜黒沢(1580m)7:55〜富士見平(2060m)9:30-45〜高谷池ヒュッテ(2110m)10:20-11:25〜火打山(2462.0m)12:40-13:00〜高谷池ヒュッテ13:55(幕営)
(所要時間約6時間45分・・休憩含む)

【二日目:1日】
高谷池ヒュッテ6:55〜茶臼山(2171m)〜黒沢池ヒュッテ(2000m)7:45-8:00〜大倉乗越(2100m)8:20〜燕新道分岐8:50〜妙高山(2445.9m)9:50-10:50〜分岐11:30〜長助池11:40-45〜分岐12:15-25〜神奈山分岐12:40-45〜黒沢池ヒュッテ13:35-14:15〜富士見平15:00〜十二曲がり15:40〜黒沢16:05〜笹ヶ峰16:45
(所要時間約9時間50分・・休憩含む)

 紅葉がもう始まっていました。今週から来週にかけて見頃ではないでしょうか。
 高谷池ヒュッテは要予約で、9/30(土)はいっぱいということでした。黒沢池ヒュッテは未確認ですが、定員60名の所に300人以上泊まったことがあるそうです(途中出会った地元の人に聞きました)。


 前夜8時半頃自宅を出発。中央道、長野道を経て笹ヶ峰には夜中の1時半過ぎに着。約5時間の道のりだった。外は満天の星、夜空いっぱいに無数の星が散らばっていた。明日の天気を期待して車中泊。その後も次々にやってくる車の音が聞こえていた。

 翌朝6時過ぎに起床。登山口の駐車場は既にいっぱいだった。奥にも駐車場があるようだが何台くらい置けるのかは未確認。

 天気は快晴、雲一つない素晴らしい青空だった。入口の登山者名簿に記帳して、ゆっくり歩き始める。緩やかな登りで、所々にある木道もしっかり設置され、登山道は整備されている。さすが人気の山だ。歩き始めのブナ林はまだ青く紅葉にはまだ早かったが、分岐の富士見平に着くと紅葉している木が現れてきた。富士見平というからには富士山が見えるのかと思ったが、樹林に阻まれ周囲の山すら見えにくい。ここで二本目の休憩をとる。花はこの辺りでアキノキリンソウ、リンドウが咲いていてきれいだった。そのリンドウは上に行くほどに枯れ始めていたり、葉が紫色に変色したりしていた。秋から冬へ駆け足のようだ。

 やがて高谷池ヒュッテの三角屋根が見えてくる。周囲も赤や黄色に色づいていた。所々で振り返ると高妻、戸隠方面、そしてその背後に早くも雪化粧しているらしい北アルプスの山並みが見える。とんがった槍がやはり印象的だ。

左【高谷池ヒュッテと草紅葉】

 高谷池ヒュッテの前に広がる湿原の草紅葉も美しかった。7月の花のきれいな時期にと考えていた予定が延び延びになって今日になったものだから、紅葉はまだ早いだろうと期待はしていなかった。それだけに、思いがけなかった。受付を済ませた後、テントを設営(二人で800円)。テン場は広く、水場も水量が豊富。ただし要煮沸。火打山山頂と焼山も一望でき、周囲は湿原で素敵なロケーションだ。夏は高山植物が豊富だというのも頷ける。

 テント設営後昼食をとって火打山に向かった。快晴で暑かったため合羽は不要に思えたが、飲み物、レーション、予備の長袖シャツ等と共にサブザックにつめて。ところがやはり山は分からないものである。あの好天だったにも関わらず、合羽が必要になったのだから・・・。

 天狗の庭から見える火打山は姿が良かった。その周辺の風景もまたナナカマドの赤やカエデなどの黄葉が散らばって素晴らしい。今週末にかけて日々見事に変貌していくことだろう。その初々しい紅葉を楽しみながら、目の前の山頂を目指すのはなかなか快適だった。

左【火打山頂、バックは焼山】

 山頂に着くとやや曇ってきて風も冷たくなってきた。それでも展望はすばらしい。焼山の煙がまず目に入る。向きを変えれば明日登る予定の妙高山も近くに見える。そしてその間には黒姫山方面、高妻・戸隠方面、その背後に雲がかかってきた北アルプスが・・・。日本海方面は残念ながら霞んでいた。妙高の左奥に見えるのは谷川方面だろう。なおも地図と見比べながら山座同定をしていると「ん?落ちてきた」と夫のセンサーが働いた。「あっ、ホント、降ってきた。さすが早い」というと「伊達に禿げちゃいない」と威張っている。急いで下山にかかる。しかし登ってくる人は絶えない。何回か立ち止まり、登りの人を待つ間も風景を楽しむ。近くに咲いているトリカブトを指さすと、「今夜のおかず?」と夫。「ご希望ならば、うどんの中にでも・・・」と妻は切り返す(トリカブトは全草毒です。良い子の皆さんはくれぐれも真似をしないように)。

 高谷池ヒュッテにもどり、先ずは小屋で買ったビール(¥500)で乾杯。そこで雨が強くなってきた。トイレを済ませ早々にテントに戻るが、ここのトイレはペーパー付きできれいに掃除されている。その上小さな額におさめられたお花や風景の写真がそれぞれにかけられている。山小屋でここまで行き届いている所は少ない。有り難いことだと思う。

 テントに戻って座っていると眠くなってしまうので、まだ早いが夕食の支度を始めた。小降りだった雨が段々強くなってきた。天気予報を聞きたかったが夕食を済ませてひと息ついた後、暗くなる前(18時前)には寝てしまった。

 朝四時前に起床。夜中も降り続いていた雨はまだやんでいなかった。早めに出る予定だったが出足を挫かれた。ゆっくり下山しようかと相談していたが、天気予報を聞いていると、雨のち晴夕方雨らしい。明るくなるにつれ雨足も弱まってきたので、とりあえず黒沢池ヒュッテまで行くことにした。高谷池の湿原周辺の風景は見渡せるが火打山はガスで全く見えなかった。

 茶臼山への登りは雨水が流れ落ちてきてその合間をぬうように登っていった。白馬岳に行ったときはもっと激しかったっけ・・まるで沢登りのようだったとふと思い出す。木道を滑ることなくいつの間にか山頂を過ぎ、下りにかかるとそこもまた木道や小さな梯子、そして階段が続いていた。そして黒沢池ヒュッテの青いドーム型の屋根が見え、黒沢池周辺の風景が目に入ってくる。眼前の妙高山山頂にはガスがかかっていたが、その周辺もまたきれいに紅葉が始まっていた。大勢の人が下山路をとる一方で、山頂へ向かう団体もまたいくつかあった。

 私達が黒沢池ヒュッテに着いた頃は最後の団体が山頂に向かおうとしているところだった。空は明るくなって天気が回復しそうに思えたので私達も山頂に向かうことにした。ここでもサブザック一つに必要なものを詰め替え、ザックは木陰に置いた。ひと休みした後出発。

左【妙高山の黄葉】

 大倉乗越に着くまではひどいぬかるみの登山道だった。乗越から下り、燕新道への分岐になる窪地まで行った後、妙高山への登りとなる。空荷の私達は団体に追いついてしまい、その後ろをついていくとその都度道を譲られた。それが何回もあって、その団体の多さにも驚いたが、私達は休むに休めず、とうとう休憩無しで山頂まで行ってしまった。さすがに疲れた。登る途中の見事な黄葉がせめてもの慰めだった。燕温泉へと向かう人たちはザックを背負ったままだから、妙高への急登はさぞ大変だったことだろう。

 とっくに雨は止んでおり、頭の上だけぽっかりと青空が覗いていた。時折明るく日が射し、外輪山の山並みが見えた。ここでも紅葉を楽しめたが、来週あたりが見頃かも知れない。ガスがかかって遠くの景色が見えなかったのはやはり残念だった。静かな山頂はあっという間に次々とやってくる団体でいっぱいになった。岩場の高いところでお茶を飲みながらゆっくりした私達は、三角点のあるそこより少し高い隣のピークへと移動した。同じく遠望はきかなかったが近場周辺の眺めは良かった。霧が晴れてくれるのを待ちたい気分だったが諦めて再び三角点に戻った。ちょうど最後の団体が山頂に着いたばかりだった。すれ違いの気遣いがなくなったのでそのまま下山した。

 同ルートを下山の予定だったが、せっかくだから周回しようと夫が言うので長助池へと向かった。こちらは一組の夫婦の他には誰一人会うこともない、一転して静かな歩きだった。この辺りは水が豊かだから夏はたくさんの高山植物でさぞ美しいことだろう。この時はアザミとアキノキリンソウが目に付いたくらいだった。

 燕温泉への分岐を過ぎ、ふたたび外輪山へ向けて登る。この辺りには思いがけなくウメバチソウが沢山咲いていた。リンドウやトリカブトも所々にあった。神奈山、関温泉への分岐を分けて、黒沢池ヒュッテに向かう登山道は紅葉で彩られはじめていた。

 黒沢池ヒュッテにもどると案の定もう数人しかいなかった。小屋でトイレを借りたがここもペーパー付きできれいだった。小屋の側に水も引かれている。トイレ使用料はいらないと言われた。おでん(¥600)を頼み、コーヒーを沸かしてひと休みした後下山することにする。小屋にはスイスから贈られたというシェパードの救助犬(訓練中)がいた。活躍のほどは分からないが、心強いに違いない。

 紅葉を楽しみながらしばらくは平坦な道を行く。富士見平を通過してそろそろ休憩しようかと思っている頃、一人足の膝を痛めている3人連れに追いついた。湿布薬を持っていたので応急処置をし、痛み止めも念のため渡して先に下山したのだが、気配にふと後ろを振り向くと、その内の一人がついてきていた。仲間が先に下りているので知らせるという。成りゆきで一緒に下りることになった。聞くところによるとライトは持っていないようだった。あの歩きでは6時過ぎ、あるいはもっと時間がかかるかもしれない。不安になった。とりあえず仲間の人に連絡して迎えに行ってもらった方がよさそうだ。黒沢を過ぎ、しばらく歩いたところで仲間の一人が心配して登ってくるのに出会った。そこでひとまずホッとしたが、その人も飲み物くらいしか持っていないようだった。ひとまず別れ、私達はそのまま下山。私が下山ノートに記入している間に夫が仲間の人たちを見つけ、様子を知らせた。電灯などを持って一人がそちらへ向かうのを見届けて私達はその場を後にした。無事に下山できると良いのだが・・・。私達は結局この時も一度も休憩せず下りてきてしまっていた。

 笹ヶ峰から妙高高原ICに向かう途中(道路沿い)の杉野沢温泉、苗名の湯に寄った。AM10時〜PM9時、水曜休館、大人¥450、シャンプー、ボディシャンプーあり。ドライヤー無し。

 高速に入った後SAで夕食を済ませそのまま帰路についた。渋滞に巻き込まれることなくスムースに進み、夜11時15分頃自宅着。