丹沢;檜洞丸
(ひのきぼらまる1600m)
 縦走の予定が、檜洞ピストンで撤退

 H13年2月24日-25(土日)
  天気;一日目雨ー曇り、二日目晴 :
  Member.2人(夫婦)

 【コ ー ス 】
(〜は歩、休憩時間含む)

一日目24日
西丹沢自然教室8:40〜ゴーラ沢出合9:40-50〜檜洞丸14:40(テント泊)
二日目25日
檜洞丸9:10〜西丹沢自然教室12:37
(所要時間登り約6時間、下り約3時間半・・休憩含む)

【檜洞丸山頂の霧氷】右


 西丹沢自然教室から、檜洞丸を一泊テント泊で行ってきた。蛭ヶ岳、焼山へと歩く予定だった。土曜日初日の天候は朝まで降っていた雨があがり、曇り時折雨。気温は5度から2ー3度あったが、空気は冷たく体感温度は氷点下に感じられた。それまでの連日の気温の高さと昨日より降った雨で、雪質は足がズボズボはまる最悪な状態だった。冬山一泊の縦走装備だったため、体は重く、足が沈むこと、沈むこと・・・

 天候は回復の予定だったが、コンディションによっては檜洞丸ピストンのつもりで出発。しかし、実際そうなってみると寂しいものである。

 縦走予定だったので交通手段は電車。新松田駅より始発のバスで行った。登山者は私達2人のみ。自宅を出るときに降っていた雨はやみ、西丹沢自然教室で身支度を整えて出発。ゴーラ沢出合までは一部に雪が残るのみでほとんどない。そこからしばらく雪が現れたり無かったりの状態が続く。山頂まで4.8キロの丁度中間点を過ぎた辺りからそろそろ雪道となる。ガスっていたため展望台は通過。水分を含んだ登山道の雪は柔らかく、足がはまる。

 先頭を交替しながら行くと、ガサガサっと音。鹿だろうと思いつつ進んで行くと、なんと、痩せ尾根の左側急斜面十数メートル下方に鹿が滑り落ちていた。自力で立てないのか横になったままだ。必死に立とうとしているが、斜面で思うようにならないようだ。「おーい、大丈夫かー」と夫が声をかけるが、私達にはどうしてあげることもできない。私達の物音に気付いて慌てて方向転換したための落下だろうか?しばらく様子を見ていたが、怯えさせるだけだと思い、先に行くことにした。ごめんね〜・・・

左【積雪約1メートル】

 高度を稼ぐ内に夫のペースが落ちてきた。私が前になり、踏み後をつけながらいくのだが、どうも遅れがちだ。途中、単独男性が抜いていき、今度はこちらがトレースを使わせてもらうことになった。この日出会ったのは、この男性だけだった。日帰り又は小屋泊りだろう。荷の重い私達の足はあいも変わらずズボズボと沈む。

 ますますペースの遅くなる夫を待つだけで寒くなるほど、空気も風も冷たくなってきた。ガスもかかって遠望はきかない。もうすぐ山頂なのに、なかなか着かない。木陰といってもたいして風よけにならない場所でひと息入れ、温かいものを飲み、食べてから再び山頂へ。ようやく着いた山頂はやはり見通しが利かなかった。予定した時間の2倍かかってしまったが、始めは雪が無く順調だったから、雪道ではそれ以上浪費したことになる。早々に檜洞山頂で天幕としてしまった。歩いていたとき膝上まで沈んだから、その下の分も含めれば、山頂周辺の積雪は1メートルくらいありそうだった。(下山して気付いたことだが、西丹沢教室の黒板にもそのように積雪情報が書かれていた)

 久々の雪上テント泊だった。いいなぁ〜・・。時間は早かったがホットワインで乾杯しながら、食事の支度を始めてしまった。メニューは鍋。残り物の野菜やらうどんやら入れてあったまる。ラジオで天気予報を聞いていると夜はとても冷え込みそうだ。翌日はお天気の模様。翌日の予定をどうしようかと考えたが、夫は足がつって、痛そうだ。明日になれば大丈夫だというので、それでは2時間を目処に先に行ってみよう、ということにした。しかし戻るときの登り返しは嫌だな・・・と思いつつ、6時頃には早々にシュラフに潜り込んでしまった。

 ちょこちょこ目が覚めて、明け方どうしようか迷ったが、どうも気が進まず、そのまま下山モード。結局ゆっくりして、6時に起きた。シュラフに12時間、よく眠れるものだ。山で日頃の寝不足を補っている(^-^)。外に出ると予報通り天気はよい。目の前に蛭ヶ岳が見えた。以前この山に来たときもガスっていたためここから眺めるのは初めてだ。山頂のすぐ下には青ヶ岳山荘が思ったより近くにあった。前日テントの中に入っていたとき、数人のグループが通過していったが、彼等は此処に泊まったようだ。この小屋は期間営業なので、今の時期は無人かも知れないが未確認。反対側に行くと富士山が見える。これもまた初めて見る。檜洞を一泊でピストンというのもお粗末だが、山頂でキラキラ輝く霧氷の下で、こうした風景を眺めるのもまた乙なものだった。

左【檜洞山頂で】

 幸い、夫の足の具合は良いようだ。先に行けばよかったかなとチラリと頭をかすめたが、今回はこうしてのんびりして良かったかも知れない。先に進んでも予備日がない今回は、無理はできない。山頂でゆっくり展望を楽しみ、テントをたたむ。昨夜は相当冷えたようで、雪質は前日と全く違う。固くしまっている。お陰で押さえにしたテントのまわりの雪が固まってしまって、片づけるのに時間がかかってしまった。ようやく片付けて同ルートを下山。大室山へ向かうルートも、テシロノ頭へ向かうルートも考えないではなかったが、テント泊の装備を担いだまま歩く気にはなれなかった。ここはまた日帰りでもよい。

 下りはガチガチだったのでアイゼンをはく。前日よりは沈まず、つけてきたトレースを辿る。何人もの登ってくる人と挨拶を交わし、道を譲る。あるグループと話していると「前日登られて大変でしたねぇ・・この足跡をみて思いました」と言われた。ウルウル・・(おぬし、やるな!)、思わずにっこり微笑む。

 前日鹿が落下していたところで下をのぞき込んでみた。姿は無かった。無事であると良いのだが。

 この日は展望場に寄ってみた。少し雪煙をあげていたが、富士山がきれいに見えた。こうして富士山が見えるだけで、この山の印象が全く違ったものになる。不思議なものだ。もう少し下り、雪が少なくなったところでアイゼンを外した。ちょうどテーブルがあったところで珈琲をいれ、パンを食べながらゆっくり休む。陽射しがやわらかかった。

 のんびり下って、西丹沢教室に着いたのはお昼過ぎ。次のバスの発車まで1時間あったので身支度を整えながら、フロアで休ませてもらっていた。するとそこへ管理人のおばさんが、お茶とお菓子やミカンをもってきてくれた。こんなことは初めてだったので、驚いたが有り難く戴く。おばさんとおしゃべりなどしていたお陰でバスの待ち時間は全く気にならず、アッという間にたってしまった。食べなかったレーションのチョコなどお礼に渡して、気持ちよくそこを後にした。帰りもまた私達二人だけの乗車。

 久々の夫婦二人の雪山テント一泊登山、これでよかったのだろう。