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この日は山頂散策だけ。同じテン場に二泊するから起床は遅めでよかった。二度寝して5時に再びアラームが鳴る。今度は昨夜設定した私のだ。20分ほどぐずぐずしてシュラフから出る。
外を覗くと昨日とは打って変わった天気。ガスで見えなかった別山方向がきれいに見える。ヤッホー!テントから出て見回すと明るくなり始めた空がすっきりしている。山の斜面の紅葉が目に入ってきた。この時になって初めて本来のテント場の位置が分かった。昨日のガスの中ではまったく分からなかったが、沢を挟んで対岸の高台にキャンプ場はあった。 |
【↑ 沢沿いの紅葉】 |
体調は悪くない。朝食は控えめにして温かいお茶をしっかり飲んでから、支度。ところが災難は今度はトシちゃんの身にふりかかる。私は胃だったが、時間差で腸まで達したトシちゃんはお腹に異変をきたした。慌てていずこへか駆け込む。下り超特急だ。出発したばかりのときで良かった・・・。二人ともどうしたことだろう。悪いものを食べたのだろうか?きっと寝不足で疲れた上に、雨と低温で体が冷えたからだろう。一見元気でも体が受け付けなかったのかもしれない(半世紀使っている体には堪える・・・!?)。
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ひとまず落ち着き、安心して?山頂めざし歩き出す。コースはとんび岩。岩の多いコースだった。避難小屋泊まりの人たちは早々に出かけたのか誰にも会わない。まもなく下りてくる人と数人出会っただけの静かなコースだった。
周囲は微妙な紅葉。朝日にあたって黄金色に輝いている。振り返れば一時ガスっていた別山方向(油坂の頭に続く稜線)がきれいに見える。雲海に浮かぶ右側の山は赤兎山になるのだろうか?先月歩いた荒島岳も見えるはずだが良くわからない。 |
【↑ トンビ岩コース】 |
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室堂に近づくと白山山頂が見えてくる。なだらかな優しい山頂だ。山頂直下の室堂平は広い。両脇には杭が打たれ、登山道は整備されている。春から夏にかけての見事なお花畑が見えるようだ。
今はわずかにシラタマノキがあった。
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【↑ 山頂が見えてきた】 |
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室堂センターは立派な建物が並んでいた。ただ一つ残る営業中の室堂は今月の15日まで。昨日の雨の中、ここまで来た人もかなりいたようだ。テン場があれば私たちもここまで来たのだが、残念ながらテントは禁止になっている。トイレは数が多く水洗(水洗でない建物もある)、トイレットペーパー付できれい。
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【↑ 室堂】 |
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御前峰まではコースタイム約40分。多少足元が病み上がりのような状態の私たちだったが周囲の景観を楽しみながらゆっくりと登っていった。室堂からは何も持たずに登っている人も多い。
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【↑ 別山と室堂:山頂へ向かう途中で】 |
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御前峰(白山山頂=最高峰)に到着。深田久弥百名山の百座目に到達した。「おめでとう!」と言ってくれるトシちゃんと握手(トシちゃんは86座目になる)。一つの区切りにホッとした気持ちが一番だった。知らずに登っていた山々を意識し始めたのはいつ頃からだったか?とにかく夫の後押しでここまで来れた。
人が多かったので写真だけ写し、標識から少し離れたピークでゆっくり山座同定と展望を楽しんだ。驚いたことに北アルプスが一望。槍ヶ岳の穂先がきれいに見えた。関東から見るのとは違う、反対側からの眺めに、新鮮な感動があった。乗鞍岳、御嶽山、そしてその空間を埋めている雲海。このシチュエーションを、今日という日にめぐり合わせてくれたことが嬉しく、感謝の気持ちでいっぱい。 |
【↑ 山頂から見えた北アルプス】 |
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【↑ 大汝峰と翠池:御前峰(白山山頂)より】 |
【↑ 御前峰(白山山頂)と翠池:大汝峰より】 |
このあと大汝峰に行ってまた大休憩。こちらまで来る人は少なく、御前峰よりは静かな山頂。「今度はトシちゃんの百名山が終わったら、お花のきれいな時期にまたここに来ようよ」と言うと「えぇ〜っ!もういいよ」とトシちゃん。決めた!そうしよう。
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私はゆっくり休んだおかげで体調も回復。山頂展望が何よりの薬だった。先に室堂のトイレへ急ぐトシちゃんを見送って(オォ〜!なんて速い!いつもああだったら私はついていけない・・)、私はあとからゆっくり下りていった。千蛇ヶ池にはまだ雪が残っていてびっくりした。
室堂で名物の「白山」と名の入ったビール一缶とタオルを購入。受付でマジックを借り、タオルにいたずら書き。それで記念写真を撮った(実は字を間違えている)。このアクションがトシちゃんには意外だったらしい。私の性格をよく知っている。良く言えば冷静沈着?カッコ良く言えばクール?つまり冷めた人間ということかな?
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【↑ 百座目登頂記念】 |
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室堂でもゆっくり休んだあとエコーライン(スキー場みたいなネーミング)から下っていった。
テン場が見えてくるとテントの数の増えているのがわかった。私たちのテントの周りにもいくつか張られていた。
賑やかになったテン場に戻り、私たちも夕飯の支度。今夜はおでんで乾杯。胃腸がやられなければ、もっとビールを買ったのだがこの日は一缶を分け合って。
その夜は周囲のテントからいつまでも話し声が聞こえてきて、なかなか寝付けなかった。
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【↑ エコーラインを下る】 |
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【↑ 南竜山荘(左)と野営場(右)が見える】 |
【↑ おでんと地ビール】 |