白山山地:御前峰〜大汝峰〜別山〜御舎利山
(ごぜんがみね2702.2m〜おおなんじみね2684m〜べっさん2399m〜おしゃりやま)
深田百名山完登!百座目になりました。
素晴らしい好天に山頂に立つことが出来、感無量です。
 H17年10月8-10日(日−月)
  天気;快晴(8日だけ雨)
  Member.2人(夫婦)

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む) 
1日目:市ノ瀬(10:15発)=(バス約20分)=別当出合(1260m)10:35-11:05〜中飯場(なかはんば)11:55-12:00〜甚之助避難小屋13:35-40〜南竜山荘14:55(テント泊)

2日目:南竜山荘テン場7:05〜(トンビ岩コース)〜室堂8:50-9:00〜御前峰山頂9:45-10:30〜大汝峰11:25-12:15〜千蛇ヶ池(せんじゃがいけ)12:30〜室堂13:00-14:20〜(エコーライン)〜南竜山荘テン場15:20

3日目:南竜山荘テン場〜野営場5:50発〜御舎利山分岐8:35〜別山8:45-50〜休憩8:55-9:15〜御舎利山9:25-55〜チブリ尾根避難小屋11:05-12:25〜水飲場13:35-40〜猿壁登山口14:20〜市ノ瀬14:40

【青空の下、白山山頂で百名山完登達成!】

 全国に散らばっている深田百名山を全て歩けるとは、当初まったく思っていなかった。中には難しい山もいくつかあったし・・・。それらを夫と共に少しずつ歩き、今年になれば残りはあと七つ。しかし北は幌尻岳、南端に宮之浦岳と手強い。しかも西に遠い大山、荒島岳、白山、東北の朝日連峰と四方に散らばっていた。家計を預かる主婦としては、まだ数年はかかると暢気に構えていた。ところが夫の鶴の一声で、あれよあれよと次々にクリア。さすが大黒柱!「ヨッ!トシちゃん!」・・・といってもやりくりするのはコッチだけど。何てったって、我が家の決定権は大黒柱なのだ(何?トシちゃん、言いたいことある?)。

 最後の一座を白山にしようと言ったのも夫だった。とりあえず遠くて大変なところは早めに済ませ、陸でつながって車で行ける所は徐々に攻め、最後に楽しくゆっくり過ごせる山としてお花のきれいな白山を残しておきたかったらしい。そうなると朝日連峰でもよかったのだが、去年登山口で断念している朝日は気持ち的に先に登ることになり、最後は白山となった。しかし99座まで順調に進み、ここで白山ひとつとなったとき、早めに登ってしまいたいと思うのは人情。お花の時期となると来年の初夏。嫌なことは先延ばしにしても、楽しいことは先延ばししたくない私と、楽しみを先に残しておきたい夫トシちゃんとの意見は分かれた。でも自分たちを含め、家族が全員健康であればこそこうして出かけられるのだからということで、元気なうちに行ってしまおうということになった。こうなると、もう勢いが大事なのだ。

 白山ではゆっくりと過ごすのが目的。お花のシーズンではないが紅葉目的で二泊三日で行くことにした。今年は一週間ほど早いようだが来週は夫がツーリング(まったく!いっつもこうなんだから・・)だから仕方ない。もっとも来週になれば一泊二日になってしまうが。南竜山荘をBCにしての二泊、同じ場所での二泊は嬉しい。

 白山に行くときは同時に登りたい山があった。それは能郷白山。時間的に余裕がありそうなら登るつもりだったが生憎天気が不安定で、出発にはぎりぎりまで迷った。しかし、出かけると決まれば取り合えず登山口までは行く。北陸自動車道の福井ICから行くと思いきや、夫は美濃ICでおりてR157を北上すると言う。

 前夜19時過ぎに自宅を出発。高速道は順調に走った。ETC割引のため途中のSAで時間調整し、予定通り美濃ICでおりた。時間はこの時まだ0時40分。一路能郷白山登山口の温見峠へ。登山口で仮眠して早朝ピストンするつもりだった。今回は珍しく交代せずトシちゃん一人の運転だ。何しろ林道の運転大好きな人だから、眠気も吹っ飛び嬉々としている。一方荷物扱いのこちらはたまったものではない。幸い睡魔が襲ってくるものだから、隣でうつらうつらしていると、急に停車。なんと、R157下り本巣市根尾黒津付近は災害のため通行止め。事前に調べておかなかったのは迂闊だった。雨も降っていることだし、能郷白山は諦めてやむを得ず同ルートを戻る。再び美濃ICから白山へと向かうことにしたが、このタイムロスが後から体に響いた。

 途中のPAで2時間弱の仮眠をして再び走り出す。今度はガソリン補給をするため早めに郡上八幡でおり、朝7時の開店を15分ほど待って給油。そのまま一般道を進む。前回荒島岳の帰りに通った九頭竜湖の方から白山の市ノ瀬Pへ向かった。

【一日目:8日 登山口〜南竜山荘(テント泊)】

 ここでやっと本命の白山山行。ここまでが長かった。とにかく出発点の市ノ瀬P(無料)へ。私よりトシちゃんの方が殆ど寝ていない。しかしのんびり行ってテン場でゆっくりしようと支度してバス停へ。

【↑ 市ノ瀬P】
 市ノ瀬から別当出合まではマイカー規制のため登山バスに乗り換える(H17年の場合7/15-10/10まで)。市ノ瀬から別当まで約20分、一人400円。

 バス内は空席が少しあるくらい。
不安定な空模様でも皆さんいらっしゃる。

 室堂に向かう人が多いらしく、テント装備の人は少なかった。
【↑ バスに乗り換え】
 別当出合に着くと止んでいた雨がまた降り出していた。合羽を着て腹ごしらえをし、殆どの人が出発してから歩き出した。二泊分の荷物が重いからのんびり、ゆっくりといく。テン場では宴会(といっても下戸だから専ら食にはしる)予定。しかし・・・・
 
【↑ 別当出合から歩き出す】
 出合を出発するとすぐ立派な吊橋が架かっている。まだ新しい。たいていは一人ずつ渡るとか書かれているが、ここはその心配はなさそうだ。吊橋だから多少は揺れるが大勢で歩いていっても大丈夫そう。下を向いても恐怖感はなく、安心して歩いていける。

 雨は降ったり止んだり・・・。歩くと暑いので一度合羽を脱ぎかけたが、すぐまた降ってきた。結局は着たまま先を行く。とはいえ水分がたくさん欲しくなるほど熱いわけでもなく、最初のうちは寝不足の体をいたわりつつゆっくりと登っていった。

【↑ 別当の吊橋】
 意外にもトシちゃんはコンスタントに登っていく。むしろ私のほうが遅れ気味だった。

 中飯場に着くと立派な小屋があった。しかし小屋と思ったのはトイレ!水洗でペーパーつきの洋式トイレはきれいに使われていた。外側には水道まで付いており驚いた。

 今もこのあたりまで林道がつながっており、工事のトラックが近くまで入ってきていた。もちろん、登山道とは違う道になっている。ここは工事をする人用の設備だったらしい。
【↑ 中飯場のトイレ】
 中飯場を過ぎると周囲の木々は徐々に紅葉の気配を漂わせてきていた。

 小雨の続く中、「今日は2時間40分のコースを歩くだけだから・・・」と反芻しながら登っていく。そう思うとその短いコースタイムさえ長く感じる。8時間とか10時間とか歩いたりするのに、3、4時間でもいっぱいいっぱいの歩き・・・。人間の体って正直で、しょうもなく怠慢(私だけか・・・)。

 やはり寝不足がかなりこたえているようだ。それにしてもトシちゃんは元気がいい。今日はいったいどうしたの?
【↑ 登山道】
 甚之助ヒュッテの中は大勢休憩していた。そこでは前後して歩いていた人と少しだけ話し、私たちは先に進む。

 無理せず早めに休憩しながら尚も登っていく。黒ボコ岩への分岐で休憩。室堂に行く人はここがメインルートのようだ。ここまでくれば南竜山荘までは近い。ほぼ等高線に沿ったように進み、もう一度室堂分岐を通過。

 沢があったので、しっかり水補給していったら小屋までの間にまだいくつも沢がある。そして極めつけは・・・・・・小屋の側にも太いパイプからふんだんに流れてた!(> <)
【↑ やっと南竜山荘(テン場)に到着】

 山荘に着いた頃は結構寒かった。テン場はいずこ?と捜すがガスっていて全然分からない。避難小屋に行って見ると、既に満杯。20人くらいはいただろうか。空いていたら小屋にしようかと思っていたが、予定通りテント泊に。それでも中には場所をあけてくれる人がいて、お気持ちはありがたかった。

 閉鎖されている小屋の軒先を借りてテント設営。他には誰もいなかった。乾いたものに着替えて先ずは梅酒のお湯割で「おつかれさま〜」の乾杯。今夜は野菜ふんだんのキムチ鍋。体が温まった。酔いが回ったトシちゃんは珍しく猛烈な睡魔に引きずり込まれ、ちゃんと寝かせるのに手がかかる。介抱?するほどの酔っ払いトシちゃんは結婚以来初めてかも!梅酒のお湯割りをカップに2杯ほどなんだけどナ!顔に似合わずアルコールに弱い。

 ところが夜中に気持ち悪くて起きたのは私の方だった。急いでテントの外に出ようとしたらヘッデンが瞬間点いたあと消えた。それっきり・・・壊れた(トラブルその1)。何とかテントを開けて身を乗り出し・・・・・胃が空っぽになった(トラブルその2)。気分が落ち着いて再びシュラフに潜り込み朝までぐっすり。ところが翌日、トラブルその3がトシちゃんを待ち受けているのだった。


【二日目:9日 南竜山荘テン場〜御前峰〜大汝峰〜南竜山荘テン場】

 ぐっすり眠っていると4時にラジオの目覚ましコールが鳴る。(何々、そんなはずじゃ・・・まだ早いでしょ、ちょっとトシちゃん、止めてよ、まったっくぅ・・・・)またアラームを前の山行の時に設定したままだった(ラジオは夫の担当)。周囲に誰もいなくて静かだったのに。気持ちよく熟睡していたのに。目覚ましの音で寝ていられる夫がうらやましい。

 この日は山頂散策だけ。同じテン場に二泊するから起床は遅めでよかった。二度寝して5時に再びアラームが鳴る。今度は昨夜設定した私のだ。20分ほどぐずぐずしてシュラフから出る。

 外を覗くと昨日とは打って変わった天気。ガスで見えなかった別山方向がきれいに見える。ヤッホー!テントから出て見回すと明るくなり始めた空がすっきりしている。山の斜面の紅葉が目に入ってきた。この時になって初めて本来のテント場の位置が分かった。昨日のガスの中ではまったく分からなかったが、沢を挟んで対岸の高台にキャンプ場はあった。
【↑ 沢沿いの紅葉】

 体調は悪くない。朝食は控えめにして温かいお茶をしっかり飲んでから、支度。ところが災難は今度はトシちゃんの身にふりかかる。私は胃だったが、時間差で腸まで達したトシちゃんはお腹に異変をきたした。慌てていずこへか駆け込む。下り超特急だ。出発したばかりのときで良かった・・・。二人ともどうしたことだろう。悪いものを食べたのだろうか?きっと寝不足で疲れた上に、雨と低温で体が冷えたからだろう。一見元気でも体が受け付けなかったのかもしれない(半世紀使っている体には堪える・・・!?)。

 ひとまず落ち着き、安心して?山頂めざし歩き出す。コースはとんび岩。岩の多いコースだった。避難小屋泊まりの人たちは早々に出かけたのか誰にも会わない。まもなく下りてくる人と数人出会っただけの静かなコースだった。

 周囲は微妙な紅葉。朝日にあたって黄金色に輝いている。振り返れば一時ガスっていた別山方向(油坂の頭に続く稜線)がきれいに見える。雲海に浮かぶ右側の山は赤兎山になるのだろうか?先月歩いた荒島岳も見えるはずだが良くわからない。
【↑ トンビ岩コース】
 室堂に近づくと白山山頂が見えてくる。なだらかな優しい山頂だ。山頂直下の室堂平は広い。両脇には杭が打たれ、登山道は整備されている。春から夏にかけての見事なお花畑が見えるようだ。

 今はわずかにシラタマノキがあった。

      
【↑ 山頂が見えてきた】

 室堂センターは立派な建物が並んでいた。ただ一つ残る営業中の室堂は今月の15日まで。昨日の雨の中、ここまで来た人もかなりいたようだ。テン場があれば私たちもここまで来たのだが、残念ながらテントは禁止になっている。トイレは数が多く水洗(水洗でない建物もある)、トイレットペーパー付できれい。

【↑ 室堂】
 御前峰まではコースタイム約40分。多少足元が病み上がりのような状態の私たちだったが周囲の景観を楽しみながらゆっくりと登っていった。室堂からは何も持たずに登っている人も多い。
【↑ 別山と室堂:山頂へ向かう途中で】
 御前峰(白山山頂=最高峰)に到着。深田久弥百名山の百座目に到達した。「おめでとう!」と言ってくれるトシちゃんと握手(トシちゃんは86座目になる)。一つの区切りにホッとした気持ちが一番だった。知らずに登っていた山々を意識し始めたのはいつ頃からだったか?とにかく夫の後押しでここまで来れた。

 人が多かったので写真だけ写し、標識から少し離れたピークでゆっくり山座同定と展望を楽しんだ。驚いたことに北アルプスが一望。槍ヶ岳の穂先がきれいに見えた。関東から見るのとは違う、反対側からの眺めに、新鮮な感動があった。乗鞍岳、御嶽山、そしてその空間を埋めている雲海。このシチュエーションを、今日という日にめぐり合わせてくれたことが嬉しく、感謝の気持ちでいっぱい。
【↑ 山頂から見えた北アルプス】
【↑ 大汝峰と翠池:御前峰(白山山頂)より】 【↑ 御前峰(白山山頂)と翠池:大汝峰より】

 このあと大汝峰に行ってまた大休憩。こちらまで来る人は少なく、御前峰よりは静かな山頂。「今度はトシちゃんの百名山が終わったら、お花のきれいな時期にまたここに来ようよ」と言うと「えぇ〜っ!もういいよ」とトシちゃん。決めた!そうしよう。

 私はゆっくり休んだおかげで体調も回復。山頂展望が何よりの薬だった。先に室堂のトイレへ急ぐトシちゃんを見送って(オォ〜!なんて速い!いつもああだったら私はついていけない・・)、私はあとからゆっくり下りていった。千蛇ヶ池にはまだ雪が残っていてびっくりした。

 室堂で名物の「白山」と名の入ったビール一缶とタオルを購入。受付でマジックを借り、タオルにいたずら書き。それで記念写真を撮った(実は字を間違えている)。このアクションがトシちゃんには意外だったらしい。私の性格をよく知っている。良く言えば冷静沈着?カッコ良く言えばクール?つまり冷めた人間ということかな?
【↑ 百座目登頂記念】

 室堂でもゆっくり休んだあとエコーライン(スキー場みたいなネーミング)から下っていった。

 テン場が見えてくるとテントの数の増えているのがわかった。私たちのテントの周りにもいくつか張られていた。

 賑やかになったテン場に戻り、私たちも夕飯の支度。今夜はおでんで乾杯。胃腸がやられなければ、もっとビールを買ったのだがこの日は一缶を分け合って。

 その夜は周囲のテントからいつまでも話し声が聞こえてきて、なかなか寝付けなかった。
【↑ エコーラインを下る】
【↑ 南竜山荘(左)と野営場(右)が見える】 【↑ おでんと地ビール】


【三日目:10日 南竜テン場〜別山〜御舎利山〜チブリ避難小屋〜市ノ瀬P】

 明け方は強い風が吹いていた。この日の天気は期待していなかったが、この日も晴天(予報では下り坂だった)。ラッキー!早々に食事を済ませ、テント撤収。この時、昨夜10時ごろまで話していた若いグループはもういなかった。やはり若さか!

 担いだザックは食料が減っているはずなのにいっこう軽く感じられない。避難小屋のトイレはきれいではないというので昨日に引き続き野営場の方へ向かった。そちらは男女別れて各4つくらいずつあり、ペーパーも用意されきれいに使われていた。営業期間中は水道も引かれているようだが閉鎖された今は止められている。

 そのまま先に行くと野営場を巻いて別山へ行く登山道に合流し、木道になっていた。湿原を通り抜けると一気に下り、油坂の頭へと登り返すようになる。「あそこまで下るのか〜」と思わずトシちゃんの失望の声。しかし朝日にあたるもみじ色の渓谷はきれいだった。下った沢で顔を洗い、しゃきっとして登り始める。

今日は二人とも本来の体調に戻って快適。それでも無理せず周囲の景色を楽しみながら登っていく。

 野営場、山荘、白山・・と自分の位置が高くなるにつれ視界が広がって気持ちよい。昨日歩いた白山、これから行く別山方面、すっきりと見渡せて嬉しい。2005年エアリアマップには危険マークが四つもついているが、ここで危険ならどの山も危険マークをつけなきゃならないじゃないと思えるほど普通の山道。そりゃ足を踏み外せば危ないけど・・。
【沢に下った後登り返す】
【↑ 池もある】 【↑ 後方に三方崩山】

 稜線の風は冷たくなってきた。気温6度。体感温度はもう少し低いだろう。六兵衛室跡と呼ばれる石垣は、一夜を過ごすには居心地悪そうだ。

 御舎利山分岐をそのまま通過して先に別山へ向かう。山頂は風が強かったので写真だけ写し、少し下った所へ移動。風をよけて一休み。
【↑ 別山山頂へ】
 最後のピーク、御舎利山で最後の展望を楽しむ。今まで携帯は圏外だったが、ここで初めて通信圏になった。ひさしぶりにメールを送信。それでも送信まで3回くらいやり直した。3本立っていてもスムーズにいかないのが山。

 あとはチブリ尾根を下るだけ。紅葉を楽しみながら下っていくと、ここを登ってくる人に次々出会う。市ノ瀬からは登り甲斐があることだろう。この頃になってようやく終わりかかったリンドウの花、ツルリンドウの赤い実が見られるようになった。
【↑ 白山:御舎利山より】
【チブリ尾根の紅葉】 【チブリ避難小屋に向かって】

 チブリ尾根避難小屋について振り返ると、そこは素晴らしい展望台だった。私達の歩いたコースが一望できる。しかも別山の斜面は一面の紅葉だ。でも、そこまで紅葉狩りに登ってきていた人たちの話では、まだ少し早いらしかった。もっと真っ赤に染まるそうだ。やはり来週の方が見ごろなのかもしれない。

 避難小屋は改装を終えたばかりで中はとてもきれいだった。中にはトイレもある。まだ新しい木の香りがしていた。
【チブリ避難小屋から別山を振り返る】
 今回はその都度大休憩のゆったり山行も、いよいよ終わりに近づく。私にとって百名山ラストの白山は大きく、その山懐に包まれて、じっくりと遊ばせてもらった。ありがとう、感謝の気持ちでいっぱいだ。

 その姿を後にして下り、途中で振り返ると驚いたことに山頂一面がガスで隠れていた。もう振り返らずに、足元に気をつけてお帰りと言われているような感じだった。この後もついに姿を現さなかった。この潔さ?気に入った。

 登りの人にとっては最後の水場で、私たち最後の休憩。一瞬雨音かと思われて急いで下山したが、幸い降られることなく無事に登山口到着。相変わらず空は青く明るかった。
【白山:チブリ避難小屋より

 下山後温泉で汗を流した後、白山スーパー林道(¥3,150)を通って帰路についた。こちらの紅葉はまだまだこれからだった。


後記;
 百名山完登に際し、たくさんの方からお祝いのメッセージをいただきました。ありがとうございます。山好きが高じて楽しんでいたことですが、こうして温かく関心を寄せていただいて、驚きと共に大変恐縮しております。同時にとても嬉しく、改めて皆様に感謝申し上げます。

 私の場合、初めから意識していたことではありませんでしたが、20年近くかかっての百名山達成は自分なりに満足感を味わっています。目標に向かって一歩一歩歩き、完登という一つの区切りを迎えたことは、これからの励みにもなることでしょう。

 少し以前には最年少(12歳)の女の子が百名山を達成したということで新聞に掲載されておりました。五歳の頃からだそうですが、自分の足で登りぬいたことにつくづく感心しています。

 淡々と歩き、淡々と迎えたこの日を振り返り、一歩の積み重ねの結果だと思うと、改めて感慨深いものがあります。