奥秩父; 大菩薩嶺
(だいぼさつれい)
お花畑の大菩薩嶺 へ(大菩薩嶺 は2回目)

 H6年5月23日(月)当日発 ;
 Member.計3名

 【コース】(=は乗り物、〜は歩き)
立川駅6:45発=塩山駅8:22=(タクシー6000円)=福ちゃん荘9:15〜大菩薩峠(1897m)10:20-30〜(食事11:10-50)〜雷岩12:00〜大菩薩嶺山頂(2056.9m)12:10-15〜丸川峠(1700m)14:15〜大菩薩登山口(900m)16:15着16:30発=(タクシー2400円)=塩山駅16:50発=(中央本線)=立川駅18:40発


 4時に起床すると、テーブルの上にメモがあった。昨夜11時頃メンバーの一人から電話があり、今回はパスすると連絡があったようだ。来客で睡眠不足になるため、皆に迷惑をかけたら悪いからということだった。落胆する思いを残しながら準備を始める。お昼は焼そばのつもりで用意をしていたが、三人では持て余すと思って、急遽普通のお弁当に変更。一人の車中で読もうと思い、リュックには本を一冊入れた。

 他のメンバーに連絡する間もなく、立川駅で合流。案の定、お二人ともがっかりされていた。一人でも欠ければそうなる雰囲気が、このグループの既に定着したまとまりを表わしている。しかし何はともあれお互いに無理はしないほうがよい。

 塩山迄の長い車中、目は一段と色濃くなった緑の山へといき、植物や野鳥、そして植物学者牧野先生の逸話など雑談に花を咲かせた。

 塩山駅では武田信玄の座像のある方へ降り立ち、待機しているタクシーに指示されるままに乗車。三ツ峠の時と打って変わってとても愛想の良い運転手さんだった。サービス精神旺盛で、行く道に咲く植物の名や食べれるもの、その食べ方(殆どが天ぷらだったが)など教えてくれたり、車を止めてガイド宜しく山並みの説明をしてくれたり、退屈させない面白い人だった。お陰で予定より時間がかかってしまったけれど。

 昨年来たときは登山口から歩いた。今回は上日川峠の先の福ちゃん荘迄タクシーでカットしたから時間的にも体力的にもかなりの余裕がある。こうして歩いた道をタクシーの窓からおさらいしてみると、よくぞこれだけの距離を歩いたと万感の思いがこみあげてくる。ここで休憩したとか、ここは覚えがあるとか、口々に言いながら、懐かしく思った。タクシーを降りるとそこにマユミが実をつけウグイスのさえずりが響いていた。 

 大菩薩は全山通して比較的歩き易い。秋とは植層も違うがそれでもマツムシソウ、シモツケなどもう準備を始めていた。ヒガラに混じってオオジュリンという鳥が鳴いた。初めて聞く名前だ。クマザサの多い緩やかな登りの途中でコミヤマカタバミの白い花が咲き並び、ミソサザイの鳴き声が冴え渡る。最も未だ自分では聞き分けることはできず、詳しいメンバーの正解を確かめているのだが。

 1時間ほどで大菩薩峠に着き、少し休憩してから賽の河原を経て山頂へと向かった。ここで、ホトトギスの声。秋よりはいささか寂しいお花畑だったが、見晴らしは良い。丁度よさそうな所で早めの昼食にした。前回登った三ツ峠は塔が見えて分かったが、富士山は今回も残念ながら隠れてしまっていた。先生のお話しでは、この時期はこういうものなのだそうな。今度は紅葉の秋にでも挑戦してみよう。

 平日にもかかわらず登っている人は割合多かった。中学一年生の遠足もあって雷岩の辺りは賑やかだった。コンニチワという子供たちの元気な声が清々しい。娘を思い出す。

 大菩薩嶺の山頂は展望がきかないが、やはり最高峰に立ったときはほっと嬉しくなる。立て札の向きが90度変わっていて思わず笑ってしまった。そこにいた二人連れの女性に記念写真を写してもらい、丸川峠方面へと向かった。

 下山に向かうと間もなく可憐な白い花が一つまた一つと表われた。葉のない姿に先生は首を傾げてらしたが、やがて葉がついたのがあって先生は大きく頷いた。バイカオウレンだった。初めて見る花、気がついたら足元にずーッと広がっていた。苔むしたひんやりした中になんて不似合いな花なのだろう。まるで森の妖精のようだ。ここならゴゼンタチバナもあるかもしれないと思っていたら、まだ花はないがやはりあった。タケシマラン、ミヤマエンレイソウ、そしてバイカオウレンに代わってコミヤマカタバミの群落がつづく。以前来たときはかなりハードなコースと思ったがそれはきっと序盤が長くて疲れていたからなのだろう。花崗岩がごろごろしてその粉砕した砂地が滑りやすかったがヨウラクツツジ?、ユキザサ、ウスバサイシン、オトコヨウゾメ、若いツクバネ等次々現われて飽きることがなかった。そして哀愁を帯びたツツドリの声に足を止めて聞き入った。

 木だけでは判別しにくいナツツバキとリョウブが比較できたのはよかった。なるほど葉の形が違う。でも木肌はそっくりだった。そしてオオカメノキとガマズミが分かりにくかったがそれも同時ではないが見比べられた。

 下山して再び山頂で出会った中学生と合流。元気のよい声に私たちの顔もついほころんでしまう。

 登山口バス停に着くと結構人がいた。ゆっくり歩いたため予定より少し遅くなったがバスの発車時間には間に合うように着いていた。それでもまだ時間があくのでタクシーを呼ぶ。これが正解で、プランに書き漏らしていた塩山発高尾行がちょうどよい具合に入ってくる。

 ビールは止めて、乗り込むとちょうどボックスも空いていた。とてもラッキーだった。
 今回21,500歩

     “新緑に大気の風のろ過されて甘き香りの大菩薩嶺”
     “迷いくる木々に名前の呼びかねて触る若葉に光かがよふ”
     “涼しげに凛とし咲けるヒメイチゲ水を湛えし暗き山地に”
     “ああ君に見せたき静寂(しじま)にコルリ鳴くバイカオウレン咲き揃ふれば”
     “荷を負ひて登る身置きし山懐に憂い晴らせど逃げざるもがな”

ビデオ収録
マイヅルソウ、オオカメノキ、ワチガイソウ、クリンユキフデ、ヤマタイミンガサ、クマザサ、コミヤマカタバミ、ツルアジサイ、ツリバナ、マツムシソウ、ミネザクラ、ヒメイチゲ(キンポウゲ科)、トウヒ、シラビソ、シモツケ、フデリンドウ、ウスユキソウ、ヤハズハハコ、リンドウ、コメツガの実)、バイカオウレン(薬草)、タケシマラン、シノブカグマ、オサシダ、ゴゼンタチバナ、ミヤマエンレイソウ、ズダヤクシの類、ヨウラクツツジ?、ユキザサ、ウスバサイシン(カンアオイ科、薬草)、ミツバツチグリ、オトコヨウゾメ、カシワ、ミズナラ、ツクバネ、ナツツバキとリョウブの比較、アワブキ、ホウ、イヌコオリヤナギ、フサザクラ(葉のみ)、ハリエンジュ(ニセアカシア)、アケビ、コデマリの様な花、ミツバウツギ、ツルニンジン、ガマズミ、レンゲツツジ、ノミノツヅリ(ハコベ科)、ヤマボウシ(日本産の花ミズキ)、ヤブレガサ(花)、ヒトリシズカ

野鳥
ヒガラ、コガラ、コマドリ、ホトトギス、ツツドリ、オオジュリン、コルリ、ウグイス、ミソサザ