奥多摩; 棒ノ折山〜岩茸石山〜高水山
(ぼうのおれやま〜いわたけいしやま〜たかみずさん)
山頂で食べたお汁粉は美味しかった!

 H6年2月3日(木)当日発 ;
 Member.計5名

 コース
立川駅6:54発=軍畑駅(240m)7:35〜高源寺(300m)8:15〜常福院〜高水山(739m)9:55-10:00〜岩茸石山(793.3m)10:30-11:15〜雨山(749m)〜黒山(842.3)13:00-10〜棒ノ折山(969m)13:50-14:05〜上日向15:40バス15:58発=川井駅(270m)16:10着16:28発=立川駅17:43発南武線へ


       “月明り今日の登山の無事祈り夜明けの空に洗濯物干す”

 ベランダから見上げる星空に、今日の天気の良いことを確信して急いで洗濯物を干し、電車の時間に合わせて自転車で出発。それほど寒くは感じなかった。

 立川でいつもの青梅線1両目に乗り、座って待っていると、メンバーも皆同乗してきてほっと一安心。

 太陽が昇り始め、オレンジ色に染まった東の空と、次第に鮮明になっていく奥多摩の山並みを車窓から眺めながら、いつものように皆で明るく話を交わす。

 話に花が咲いてうっかり軍畑の駅を通過するところだった。無事下車できて、皆で大笑いしてしまった。

 私にとっては3回目の高水だったがメンバーの一人は何と6回目だという。

 駅から歩いていると顔が痛いくらいに冷たく感じた。

 登山口まで行く間の山里を鳥たちが気持ちよさそうに飛んでいた。わが家の周りではお目にかかれないような鳥たち、自然が残っていると思った。さえずり回っているシジューカラ、人のいない道にチョンチョン動き回っているセグロセキレイ、梢に止まっているホオジロ、どれも葉っぱの隠れ蓑を取り払われて、素通しの姿を見せてくれていた。いつもながら瞬時に見分けられる仲間を畏敬しつつ、私はビデオをまわす。

 高源寺を通りすぎて、なお舗装された道を行くと左手にオカメザサ、名前が面白い。沈丁花の仲間で毒性があるというミヤマシキミ、初めて見るイワガネゼンマイ、そしてお馴染みのリョウメンシダ、ミヤマフユイチゴ等、この寒さの中で、震えているようだった。きっと昼間の太陽のあたたかさの中で束の間の背伸びをしているかもしれない。

 山道の入り口に着くと足元の雪が凍てついていた。早速アイゼン着用。でも雪が無い所もあって、少々歩きにくかったが着けていたほうが安全だった。雪のあるところでは断然歩きやすい。安心していられる。

 高水不動尊(常福院)の鐘つき堂で鐘をそっと突いてみた。たちまち皆さんからブーニング!?もっと強く打ちなさいよと。柱に静かに1回だけにして下さいと書いてあったが、せっかくだからもう一度大きく打って見た。やはり気持ちいい。

 その辺りは雪がいくらか積もっていたが、裏手の緩やかな勾配を登っていくとそこはもう高水山直下の尾根で、南面に見事な視界が広がる。御嶽山、日の出山、大岳山、御前山と思われる山々に、目を細めて一息つく。

 そこから山頂までは近い。山頂は反対に視界はない。興の無い鉄塔が建っているだけ。大きなイヌブナの木があって、先生に特徴を教えていただく。枯れた葉の裏を見ると金色に光った毛が生えていて、犬の毛のようだからその名がついたそうだ。木のしたのほうにひこばえの出来るのも特徴だそうだ。

 さて、これからが一番の難所だ。距離は短いが、高水の下りはきつい。ワイヤーがあるもののとても急で、お尻をつけばそのまま滑り台になってしまう。一人のアイゼンが木の切り株に食い込んでしまい、ちょっと往生された。また一人は踏み跡の無い所をヒョイヒョイ行ってしまう。そこを通りすぎればもう岩茸石山は近い。

 30分程で岩茸石山山頂につき、そこで早い昼食。眼前の棒ノ折に目をやり、昨年の11月に友人と来たことを想い出す。あの時、こうして目の前に眺めてたまらない誘惑を感じたのだ。いつか此処から行ってみたい、そう想っていたのがこんなにも早く、しかもこの雪の時期に実現するなんて思ってもいなかった。山頂は風もなく、穏やかなお天気でなによりだった。そこで入れていただいたお茶の熱くて美味しかったこと。

 予定の時間に出発。再び下る。急勾配のようだったので珍しくビデオはリュックに入れた。リョウブやアセビ(もうつぼみをもっていた)の多い木立の中、ヒサカキを教えていただいた。榊の葉は丸く、ヒサカキは周りに鋸歯がある。神事に使うサカキはほとんどこのヒサカキなのだそうだ。

 いくつかアップダウンを繰り返し、木々の取り払われた尾根に出たとき、サアーッと左手(西側)に奥多摩の山並みが広がった。まだらに雪化粧して幾重にも。こうして眺める時の幸福感は人に説明しようがない。感嘆の一言で、共に登った人達と分かち合えるのが最上の喜びだ。後から地図を眺めれば、目の前には川乗山があったのだ。何時かまたここに来て地図を広げて眺めたいものだ。大きな木もなく足元に低木が続いてそこはまるで高山に居るようだった。

 長い道のりだったが、積もった雪の上をザクザクと踏みしめて歩くのは小気味良かった。五人の足音がとても心強く感じられた。途中出会ったのは若い男性一人。登山者は後にも先にもこの時だけで、他は鹿や兎などの足跡だけだった。 

 黒山まで来れば後一息。棒ノ折山頂までの道のりは階段だったものの、川井駅方面から登るよりずっと緩やかだった。山頂を目前に辺りはいっそう明るくなり、青い空のなかに太陽がさんさんと輝いて、私たちを大歓迎してくれているようだった。

 なつかしいマユミの木を愛おしく思いつつ、その広い山頂で、家から持って行ったお汁粉を皆で食べながら北面に開けた眺めを楽しんだ。

 川井へ抜ける道は前述したようにやや急勾配。暖かい木洩れ陽を楽しんでいると時折耳に小鳥のさえずりが聞こえて来る。道に雪もなくなってさっさとアイゼンを外したがこれは早計だった。舗装道路に出るまで油断できない状態で、再装着。麓近くになって、粉雪が舞い下りてきた。背景の常緑樹の中に映えてとても奇麗だったが、それも一瞬にして止んでしまった。沢に青色のルリビタキ(鳴き声はよくないらしい)の姿、奇麗だった。民家の庭の低木にも止まっていたのでビデオに収録。

 バス停に着いたら「乾杯しましょう」とメンバーがリュックから出したもの、それは驚いたことにビールだった。岩茸石山の手前で腰をひねったと言ってらしたので、荷物を持ちましょうと言ったのだが「大事な宝物が入っているから」と、最後までご自分で持っていたのはこのためだったのだ。日く「バス停にも駅についてもビールを売っていないから」と。(これは大ヒットです。年末にはヒット集も掲げなければなりませんね。最優秀はホームラン賞でしょうか)。

 バス停はそこではなくて、もう少し歩いたところだったのに気がついて、ビールを各自携えて移動したが、着いて皆で乾杯したそれは、格別の美味しさだった(どうもご馳走様でした。そしてご苦労様、本当にお疲れさまでした)。

 早めに着たバスの中で皆疲れも見せず、満ち足りた思いでいっぱいだった。積雪の中怪我もせず、予定通り楽しく下山出来て何よりだった。

 川井駅で電車を待つ間、先生は居合わせた中学生たちと歓談。ほんのひとときだったがきっと懐かしかったに違いない。

 そこでメンバーからチョコマンなるものをご馳走になった。ほかほかでおいしかった。シュークリーム等ご馳走になったり、その他色々、皆持ってくるものが重ならなかったことに感心してしまった。

 今回は21,000歩だったが、これは前回、前々回を思えば少な過ぎる。途中ウエストバックがあたってクリアしてしまったかもしれない。

    “冬枯れの尾根に出ずれば白雪の飛沫(しぶき)を見せて山波続く”