・・・主に山や歩きに関する本です。
タイトル(著者)【出版社】 感想・メモ
富士山頂
(新田次郎著)【文春文庫】
 富士山気象レーダーが建設された時の実話に基づいた作品。新田次郎は山岳小説で有名だが、気象庁に勤めその建設に携わっていた。今はその役目を終えたレーダーだが、当時の必要性と建設の苦労を知ることが出来る。
忘れないよ!ヴェトナム
(田口ランディ著)【幻冬舎】
 著者のヴェトナムに行くことになったきっかけはともかく、その個性的な行動は、旅行というよりは旅というニュアンスの方がぴったりくるような気がする。

 私も自由に旅をしたいと思うが、ヴェトナムという選択肢はまったくない。たまたまこの本を手にしたのは偶然で、「ひかりのあめふるしま屋久島」を読んで面白かったから、引き続き同じ著者のを読んでみたまでだ。山歩きとは関係ないが、私の中では旅であり、アウトドアライフである。

 見知らぬ土地で、見知らぬ人との出会いは、なぜか人との距離を近づける。なぜにこうも自然に人と打ち解けるものなのだろう。山でも同様だが、日常と非日常の違いがそこにはあるように思う。そこには柵がないからかもしれない。旅に出る目的は人様々だが、自由気ままに旅ができたらいいなぁと思う。私にとって、言葉の通じない国は勇気が要るけれど。

 なかなか体験できないことをこうしてバーチャル体験できるのは楽しい!
へなちょこ探検隊 屋久島へ行ってきました
(銀色夏生著)【幻冬舎
本屋さんでサブタイトルの屋久島・・・というのに目が止まり買ってしまった。写真も入っている文庫。

 読んでみて、これで一冊の本になってしまうんだ!とちょっと驚きの軽いエッセイだった。田口ランディの「ひかりのあめふるしま屋久島」を読んでいればそれで充分という感じ。でも人それぞれ見方、感じ方も違うからそれはそれで読み比べてみるのも良いかもしれない。

 最後の「私は旅が好きだけど、日常も、好きです。
     だから、たった今も、今日という旅の途上なのです。」

という言葉が印象に残った。
ひかりのあめふるしま屋久島
(田口ランディ著)【幻冬舎】
私が屋久島に行くと知って、親しいYさんが貸してくれた本。
行く前に読み始めてみたが、著者の思い入れの先入観を持ちたくないと思い、事前に読むのはやめたのだった。
帰宅して改めて読んでみたら面白い。やはり、帰ってからで良かった!
田口氏の引用した永瀬清子さんの詩集(『あけがたにくる人よ』の「苔について」より)
についてのコメントがその時の私の気持ちを丁度あらわしている(引用省略)。

自然との触れ合いはもとより、いろいろな人との触れ合いの場面も面白い。
歌うことを怖れていた女性が再び歌おうと思い始めた話、男から二股かけられていた女が自分を発見した話、三人の若い美女ライダーとの出会いとその内の一人が自分のすることを見つけた話・・・
どれも旅の良い出会いのエピソード。
空飛ぶ山岳救助隊
(羽根田治)【山と渓谷社】
ヘリコプターによる山岳救助のノンフィクション。
すぐ役立つ山のメモ帖
(岳人編集部)【東京新聞編集局】
タイトル通り。
みなみらんぼうの一歩二歩山歩
(みなみらんぼう)【中央公論新社】
らんぼうさんの山行記
アウトドアクッキング図鑑
(甲斐崎圭)【家の光協会】
実用書
山岳警備隊出動せよ
(富山県警察山岳警備隊編)【東京新聞出版局】
遭難を救助隊の立場から淡々と何のてらいもなく書かれている。人を助けることに情熱を傾け、好きな山で働けることを喜びと受け止めている。こういう人たちのおかげでとかく非難されがちな登山者の窮地が救われている。遊びで入っている山でも一歩誤れば死につながる。その救助は厳しい状況である事が多く、仕事とはいえ救助隊の人こそ死と隣り合わせの世界。大変なことだとつくづく思う。自分達もよく考えて行動しなければ。
アルプス交番勤務を命ず
(谷口凱夫=タニグチカツオ)【山と渓谷社】
30数年富山県警で山岳警備隊に従事していた元警備隊長の述懐。遭難救助する立場の切実な状況が伝わってくる。損得抜きの献身的な救助活動に頭が下がる。同時に登山者に対する苦言は身につまされる。安心して山を歩けるのはこうした組織があるおかげと感謝したい。できればお世話にはなりたくないものだが。
八甲田山死の彷徨
(新田次郎)【新潮文庫】
日露戦争前、ロシアとの戦争を想定して行った雪中行軍訓練での大量遭難を扱った実話を元に書かれた小説。旭川で?41度という記録的な厳寒下で行われ、その当時の装備や経験を思うと、信じられないくらい無茶をしている。今の時代のように趣味としてでなく、上下関係の厳しい軍隊での実施であるから有無を言わさぬ状況だった訳だから悲惨このうえない。
100歳、元気の秘密
(三浦敬三)【祥伝社黄金文庫】
プロスキーヤー三浦雄一郎氏の父。現役のスキーヤー、しかも100歳だ。その元気に圧倒される。何処に秘密があるのかとこの本を読んでみれば、たゆまぬ努力を継続的に楽しんで行っている。好きなスキーをしたいからだという。こうして人生の大半をスキーに没頭できるというのもスゴイが、その為の努力に費やすエネルギーもすごい。人生かけてできるもの、先ずはそれが欲しいものだ。それから、この本の前に新田次郎の「八甲田山死の彷徨」を読んだが、三浦敬三さんの故郷が青森で、八甲田はスキーの練習をよくした所なのだそうだ。大量遭難の数年後に生まれて、暗のイメージが全く感じられない人生だと思った。
天空への回廊
(笹本稜平)【光文社文庫】
長編冒険小説。
以前夢枕獏の「神々の山嶺(いただき)」を読んだことがある。これもエベレストを舞台にしたものでミステリー小説だった。読み応えがあり面白かったが、この作品もまた面白い。アメリカとロシアの冷戦時代に威嚇用で開発された核弾頭が、テロリストやアメリカに復讐したいと思っている人たちに利用されかかり、それはなんと世界の最高峰エベレストに一つを落下させたことから始まった。たまたま居合わせた日本人クライマーの真木郷司(まきさとし)がその回収作業をするための作業にかり出される。高度8000メートルを超える領域だけに、郷司の体力と精神力の限界を超える闘いが始まった。政治がらみの山岳小説であり、また人間愛の物語でもある。登場人物は国際色豊かでダイナミックである。
エベレストの登山は無理だが近くて眺めたいものだ。
ちなみに解説は夢枕獏だった。
ウォーキング・レッスン
(宮下充正)【講談社】
 生活の中で、自分の足で歩くことが減ったと常々思っている。山へ行くようになって少しは歩いているが、そうなると今度は日頃の運動不足を感じてきていた。生活の中で歩くことが大切だと思い、その効用などの裏付けを意識して読んでみた。
気持ちの切りかえの上手い人、下手な人
(大木幸介)【青春出版社】
 「なべて山嶺(いただき)にのみ安息(いこい)あり」(ゲーテ)
・山の中で気持ちの整理をつけ、下山の時には気持ちを切り替えている・・・なるほど。納得。
・一日が終わるときどんないいことがあったかと思い描く。・・・こうして一日に区切りをつける。
・まずは歩くことから。歩くことで脳の神経に伝わり脳を活性化する。等々、興味深い言葉がいくつかあった。
その山登り間違っていませんか
(上村信太郎=かみむらしんたろう)【山と渓谷社】
山でのルールやマナーを承知しているつもりでも、時にさらりと読んでみたくなる。もっともなことが書いてあるのだが、読みながら、いるいるこういう人・・・と思うところがけっこうある。もっといろいろな人に読んで欲しいと思いつつ、我が身の反省ともしている。
ダンプ山を行く
(高橋和之)【山と渓谷社】
著者はカモシカスポーツの経営者であり、登山家で医師でもある今井通子氏のご主人でもある。それだけでも充分インパクトのある本だった。しかしその人生もまた読んでいて面白かった。生い立ちも当時にしては少ない未婚の母の子であり、苦労もし、いじめにもあった。しかし、人との出会いには恵まれ、逞しく自分の人生を切り開いていっている。こんなにも、やりたいことを仕事と趣味にして成功しているなんて、なんと羨ましいことだろう。努力もあるだろうが、強運もあったと思う。何よりも、人との出会いを大切にし、好きな山を思う誠実な人柄ゆえなのだとも思う。
スルジェ
(平尾和雄)【旅行人】
日本人である著者のネパール人妻を中心に描かれたノンフィクション。ネパールの自然の中で、訪れる旅人を受け入れる宿を経営。その人柄から大勢の友人に恵まれる。ワイルドな生活を求め、あるいはヒマラヤ登山に行く日本人とのつながりも深い。智恵と工夫の生き方は、今の日本人に失われたものを思い出させてくれる。
空と山のあいだ 
岩木山遭難・大館鳳鳴高生の5日間
(田澤拓也)【TBSブリタニカ】
昭和39年1月に起きた、秋田県大館鳳鳴高校生の遭難記録。ノンフィクション。
遭難のしかた教えます
(丸山晴弘)【山と渓谷社】
もちろん遭難しないための心得の本
剱岳・点の記
(新田次郎)【文藝春秋】
地形図の三角点を観測する人の実在の物語。趣味の山歩きとはほど遠い厳しさがあり、当時の苦労がよく分かる。
彼方の山へ
(谷甲州)【中央公論新社】
若き日の自伝で、国内、海外の登山体験談が中心。羨ましいくらい好奇心とバイタリティーに溢れ、強運もともなっていろいろな体験をしている。
山頭火と歩く
(村上護・吉岡功治)【新潮社】
 定型俳句ではなく、自由律の俳句をつくった人の、足どりを辿っている。戦前の明治15年から昭和15年を生きた人で、当時の純文学の世界を思い起こした。枠にはまらない俳句、枠にはまらない生き方、自由とは?と一瞬考えるが、自由の中の不自由さ、窮屈さを感じた。姿を変えて、こんな生き方をしている人今でもきっといるような気がする。家族には迷惑な存在かもしれないが、気ままに旅したいと夢見る・・現代風に車で自由に行ってみたいな・・・温泉と読書三昧、いいだろうな・・
白き嶺の男
(谷甲州)【集英社文庫】
 これはよかった。厳しい山に入っていく山男の話。一話完結の短編の連なりで、最後の作品をのぞいては、主人公が同じ。それぞれ違う山での出来事、お話ということ。高度なテクニックが必要な雪山、岩山、海外遠征などが背景だが、山の情景描写が目に見えるようで素晴らしい。登場人物の心理描写も細やかで、さすが登山家経験豊富な作者ならではと感心する。真保祐一の『ホワイトアウト』や夢枕獏の『神々の山嶺(いただき)』もよかったけれど、はるかに現実味を帯びている。新田次郎の『孤高の人』や井上靖の『氷壁』に雰囲気が近いと思った。
山でピンチになったら
(上村信太郎)【山と渓谷社】
題名通りの内容。シティボーイ&ガールには無縁のようだが、ハイキングやツアー、ドライブの時も役立つと思う。
単独行
(加藤文太郎)【二見書房】
この『単独行』は加藤氏の山への思いや考え方、アドバイスなどが綴られているほかに、山行記録が中心に入っており、地図と読み比べなければ分からないところもあるのでどうしても落ち着いた時間に限られてしまう。読み始めて気がついたが、以前(30年程前)新田次郎の『孤高の人』を読んだ後、この『単独行』を読んだ記憶がうっすらと蘇ってきた。その頃は多分読み終えるまでが苦痛だったと思う。でも縦走や単独行に惹かれて歩き始めたのはこの『孤高の人』の加藤氏にあこがれたのが発端だったと思い出した。山岳部に入っていたわけでもないのに女だてらに一人で歩き始めたものの、結婚やら育児やらで多忙な毎日をおくるうちに、その思いはすっかり忘れていた。忘れたままに山を歩き始めて8、9年になるが(2000.11.11記)、いま、若かった当時を思い出して、我ながら驚いている。こういうのをフラッシュバックというのだろうか?『単独行』にもどるが、加藤文太郎が山を歩いていたのは大正の終わり頃から昭和の11年まで。今の時代のような軽量装備ではなく、今ほど人が入っていない山々を、たった一人で、一週間とか10日以上入っているほどの山好き。今の常識を超えた行動時間の長さといい、並外れたタフさといい、ただただ驚嘆。誰もが真似の出来る山行スタイルでは決してないだけに、また魅力も感じる。深田百名山などない、おそらく本当の山を歩かれていたわけだが、万歳三唱や名刺投函などの習慣が今はあまりないと同時に、当時の自然もかなり失われているのだろう。脳裏に焼き付く風景のいくつかを加藤文太郎も眺めていたと思うと山は今もあり、と思ってしまった。『孤高の人』また読みたくなった(^-^)
山でウンコをする方法
(キャサリン・メイヤー著、近藤純夫訳)【日本テレビ】
何とも憚られる題だが、山に行く人やアウトドア派の人には避けて通れない問題でして・・。訳者のエッセイなども含め、笑うに笑えない話にやっぱり笑ってしまう。
いまだ下山せず!
(泉康子)【宝島社文庫】
 1987年に遭難した3人パーティの捜索のドキュメント。
 遭難を知らされた肉親や仲間が、その重い現実に直面したら、こんなにも必死になるものなのだ。
  誰だって、死にたいなんて思っていないし、こんな思いをさせたいなんて思わない。危険と隣り合わせなのも知っている。それでも行きたくなる魅力がそこにはあり、胸にそれぞれの思いを持って、出かけているのだと思う。
 でも元気だった人が遭難によって突然帰らぬ人となる、これは周辺の人にとってとても残酷なことだ。何故?どうして?と疑問を投げかけても、物言わぬ遭難者に届くわけがない。まずは遭難者の発見に力を注ぐのは当然の事ながら、このケースの場合、それがいかに大変なことだったかよく分かった。
 初めて知ったこと(知識)も数多くあった。今となっては3人に確かめようもないが、雪山で選んではならない一ノ沢下山を選択した訳を考えることも、彼等の死を無駄にしない事と思う。
 雪崩は自然の理で、無くなりはしない。山を目指す人も無くならないだろう。人間の知恵と体力でどこまで自然界の厳しさと共存できるか?そして一人のものだけでないたった一つの命の尊さ、この本はそれを考えさせてくれたように思う。山は優しさと厳しさを合わせ持っていることを、改めて痛感させられた。
神々の山嶺(上下)
(夢枕獏)【集英社文庫】
 一気に読みきってしまう本。ストーリーにもエベレストにもぐいぐいと引き込まれ、思わずその場にいるような錯覚すら覚える。
クルマを捨てて歩く
(杉田聡)【講談社新書】
 クルマに乗らない生活を実践推奨している。公共のバスやタクシーなどを使えばマイカーは必要ないのではないかと主張。今の便利な生活の中にあって、こう割り切るのは難しいが、頷くことはいくつかあった。