左【奥社】
休んでいる人の美味しそうな匂いに、急にお腹がすいてきた。この日は珍しく食べずに歩き出していたのだ。ゆっくり見学した後、混んでいるところを避けて上へと登り、奥社の静かな所で休憩。この辺りから大人数で下ってくる人たちが多くなった。
食事を済ませ、奥社を少し下ると目の前に急登コースがあった。しかしそこは危険なため通行禁止となっており、少し捲いてから登るルートになっていた。
登っていくと次々に下ってくる団体さんとのすれ違い。やはりお花の最盛期は賑わうものなのだ。いくつか鎖が取り付けられていたが、それは安全の為にあり、掴まらなければ登れないというものではなかった。しかし急登で、短足の一歩一歩は大変だった。奥社までのハイキング的な山歩き気分と比べ、奥社から山頂までは山登りといった感じだ。
山頂は狭かった。狭いながらも展望図があり、周囲の山の位置が確認出来るようになっていた。木々に視界が遮られているため、落葉している今の時期なればこその展望。両神山と二子山の姿が目を引く。
山頂の2メートルほど下に木のベンチが二つあったが既に先客あり。周囲の展望を見て一休みして下ろうと思っていたら、写真をお互いに撮りあったご夫婦が一緒にどうぞと言ってくれたので座らせていただいた。群馬の方で、やはりご夫婦でよく歩かれていると伺い、いろいろな山の話に花が咲いた。セツブンソウはどこに咲いているかと尋ねたら、丁寧に教えてくれた上に、ご主人が一緒に案内してくださるという。そして奥さんは車の方へもどり、そこまで迎えに来てくださることになった。場所だけ聞いて、後から車で回ろうと思っていたのだが、車はおそらく渋滞するだろうということで、ご好意に甘えることにした。
左【最後の鎖場】
下山しようとして驚いた。登ってくる人が数珠繋ぎだ。すれ違いに時間がかかったが、私たちは間もなく大堤方面へと進み、この山道での渋滞からは免れた。そのまま予定通り奥社方面へ行ったら登り優先なだけに下山にはかなり時間がかかったかもしれない。大堤方面は静かだった。それでも登ってくる人十数名とすれ違った。そのたびに話を交わすので、最後に歩いている私はついつい遅れ気味になる。途中鎖場がいくつか現れ、最後の鎖場は短いながら垂直でなかなか面白いコースだった。ここを登るのは大変そうだ。
その最後の難関を通過すると竹林の緑が陽の中に輝いてきれいだった。そして大堤と書かれた標識の指し示す方へと下る。ここは滑りやすい登山道でつい、腰が引き気味になる。雨が降ったらもっと滑りやすくなるだろう。
日溜まりには白いスミレが咲いて可愛かった。
左【セツブンソウ】
車道に出て、そのまま右へ行く。節分草園はそこから歩いて約10分。やはり車が多い。無料駐車場も用意されていたが、満車で道路上は渋滞。同行してくださったTさんは奥さんと携帯で連絡をとるがつながりにくいようだった。何回も来たことがあるということだったので、私たちだけとりあえず節分草園を見学。見学料300円。開園時間8:30-16:30。保護されているゆえだろう、見事に群生している。お花自体は白で小さく目立たない。初めて見る花だった。以前より実際に見てみたいと思っていたので、やっと出会えたという気持ちだった。マンサクが咲いているようだったが遠目に見ただけで早々に出てきた。道路沿いにはアズマイチゲの花も咲いていてこれも可愛かった。しかしどの花も、できればやはり自然の山中で見たいものだと思った。
左【親切なTご夫妻と】
急いで戻ると途中で、迎えに来てくれたTさんの奥さんに会った。ご主人が今度は車の方で待って下さっているという。駐車場まで戻り一緒に車の所まで送って戴くが、途中のふれあいセンターに寄り道。そこで花の木を切って束ねた生け花?の展覧会が開かれており、見学。珍しい展示にびっくりした。即売されているが展示品は16時以降の受け取りということなので、展示品ではない販売品の売り場で福寿草、トサミズキ、ウドを購入。ここでは温泉もあるが入ってこなかったので、詳細は不明。
この後薬師堂側に置いてある車の所まで送っていただいた。何から何までお世話になり、有り難かった。初めて出会った方なのに初めてではないような、そんな心安らぐ気持ちを感じさせるご夫婦だった。改めて、ありがとうございました。