朝日連峰・大朝日岳〜以東岳
(おおあさひだけ1870m〜いとうだけ1771m)
今年は雪が多かったため花の開花が遅れ、思いがけなくヒメサユリ、シラネアオイなどにも
出会うことが出来、素晴らしいお花見山行でした。
山頂は濃霧で展望は残念でしたが10年前の計画をやっと終えた感じです。
 H17年7月16-18日(土日月)
  天気;初日晴れ、二、三日目濃霧
  Member.3人(木村、石原夫婦)

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む) 
1日目:日暮沢(620m)5:30〜古寺鉱泉分岐8:13-20〜三沢清水9:00-10〜古寺山(こでらやま1501m)9:40-10:05〜小朝日山10:50-11:20〜銀玉水12:30-45〜大朝日小屋13:20−14:05(テント設営)〜大朝日岳山頂14:20-50〜大朝日小屋14:55(テント泊)

2日目:大朝日小屋5:20〜西朝日岳山頂6:50-7:00〜竜門山(日暮沢分岐)7:50〜竜門小屋8:05-25〜寒江山(かんこうざん1695m)〜北寒江山(きたかんこうざん1658m)〜三方境10:30〜狐穴(きつねあな)小屋10:40-11:25〜以東岳13:15-35〜中先峰14:35〜狐穴(きつねあな)小屋15:15(小屋泊)

3日目:狐穴小屋5:10〜三方境5:27〜北寒江山5:40〜寒江山(1695m)6:10〜竜門小屋7:15-35〜竜門山(日暮沢分岐)7:53〜ユウフン山(1565m)8:30〜清太岩山(1464m)9:00-15〜ゴロビツ水場10:00-10〜日暮沢(620m)11:35

【大朝日岳方面:小朝日岳より】

【ヒメサユリと小朝日岳:古寺山より】

【一日目】
 長年行きそびれていた山域、朝日連峰にやっと行ってきた。山行の最初の計画は10年前だった。総勢7名で集合した朝、諦めなかった天気がやはり好転せず南アの白峰三山に変更になったのだった。周囲の山域から何度か眺めた朝日連峰はその後機会が無く、昨年ようやく登山口まで行きながらまたしても集中豪雨で断念していた。

 ようやく訪れた朝日連峰。しかし天気が良かったのは初日だけ。というより天気は良かったらしいにも関わらず、山頂の稜線だけがガスっていた!のだった・・・・。それでも三度目にしてやっと登頂実現。

【日暮沢小屋】

 前夜泊まった日暮沢の小屋(三階建て。トイレが水洗できれい。ペーパー付き)を後にして先ずは林道を歩き出す。入りきれなかった車がその林道沿いにも停まっており、車で行ける所まで進む車もあった。

 大きな水音は竜門滝のようだったがそれより林道から登山道へ進むほうに気がとられ、しっかりとは眺めてこなかった。

 倒木があったがそこを通過すればそれほど荒れた登山道ではない。それでも登りにかかると重いザックがずっしりとくる。今回は食料を木村さんと分担しているが、夏の山行に備え意識して少し重くしてきているからだ。

【古寺鉱泉との分岐】

 ハナヌキ尾根に出るまでにダァーっと汗が吹き出す。風が無くさすがに蒸し暑かった。尾根に出ると爽やかな風が心地よかった。木の間から見える近くの山並みはややガスっている。この分だと視界は・・・と、やや心配しつつ、まだ朝だからと気を取り直して登っていった。足元には見事なイチヤクソウが咲いていた。

 古寺鉱泉からの登山道と合流したところで三度目の小休止。だいたい一時間で一本だが、最初は早めに休むことにする。休んでもせいぜい5分程度、飲み物を補給するくらいだ。

【三沢清水、ホースから水が出ている】

 再び気持ちの良い樹林帯をゆっくり登っていく。先頭を行く夫が突然「水場だ!」と嬉しそうな声を出した。三沢清水と書かれていた。インターネットでの情報どおり、引かれたホースからふんだんに水が流れている。汗をかいた顔を洗い、水を飲むと冷たくて美味しい。

 一休みした後さらに登っていく。この登りはツマトリソウやマイヅルソウ、コイワカガミ、ミツバオウレン?、ハクサンチドリ、アカモノなどいろいろなお花が咲いていて楽しい。ここでもしかしたら会えるかもと期待していたヒメサユリが咲いていて思わず歓喜の声。通常ならとっくに開花時期が過ぎているのだろうに、今年は雪が多かったため、全体に遅れているようだ。ここでひとまずひとつの目的が達せられた。

【古寺山より小朝日岳を望む】

 ヒメサユリが沢山咲いてとてもきれいだ。枯れかかっているのもあるがまだ充分楽しめる。ここまでくると古寺山山頂は近い。狭い山頂には数名の人が休憩していた。目の前に小朝日岳が見える。天気は良く青空が広がっていたが、大朝日岳山頂は残念ながらガスに包まれている。山頂に着くまでに晴れてくれればと思いつつ古寺山で大休憩。

 古寺山は素晴らしい展望台だ。ここまできて雄大な景色を眺めるだけでも楽しいだろう。この日、稜線はガスで覆われていたが、山肌にはまだ沢山の雪渓が残されていた。1900mに満たない山塊なのに。ここより南側にある飯豊連峰を思い出した。やはり夏歩いたにも関わらず雪がかなり残っていたっけ。
 ヒメサユリやハクサンシャクナゲ?を眺めながら古寺山を下りいよいよ小朝日岳へと登っていく。左側には鳥原山からの稜線が見え、右には以東岳方面へ延びる稜線の山肌だけが見えていた。

【前方に目指す大朝日岳】

 小朝日岳山頂は巻き道もあるがもちろん登る。足が攣ると言っていた夫は、梅干とアミノ酸で急場をしのぎ頑張った。何とか大丈夫そうだからこの応急処置は良いらしい。山頂は広くて居心地良かった。ここでも大休憩をとり、晴れるのを待ってみた。これですっきりと稜線が眺められれば申し分ないのだが、大朝日岳山頂が少し見えただけでも良しとしよう。

 またまたせっかく稼いだ標高を下げていく。大朝日岳方面へ向かう途中は見事なお花畑だった。有名なヒナウスユキソウをはじめ、ニッコウキスゲ、ウラジロヨウラク、ホツツジ、ウサギギク、ハクサンイチゲ・・等々、いろいろな高山植物がい〜っぱい!このコースは素晴らしい。

【大朝日小屋】

 気持ちの良い晴天の下、登りの区切りの良いところで小休止。大勢の人の声がするのでその少し手前で休んだが、出発しようとしたとき、そこが銀玉水の水場だと分かった。水場はすぐ側にあり、勢いよく流れている。各2Lくらいずつ補給。一気にずっしりとまた重くなった。しかし下から持ち上げることを思えばとても助かる。

 銀玉水から登ると周辺は植生保護の処置がされて登山道は石畳のように整っていた。雪渓がまだたっぷり残っているが登山道は問題ない。ここではまた思いがけなくシラネアオイにも出会えて感激。

 ガスが立ち込めた中に突然前方に小屋が現れてびっくり。テン場も小屋の中もまだ空いていた。一人500円也を支払ってテント設営。

 ここでちょっとしたアクシデント発覚!ザックを開けた途端に木村さんの表情が変わった。なんとビール一缶漏れてしまっていた。せっかく持ち上げたのに・・・。中は濡れてるしビールは無くなるしでさすがにショックを隠せない・・。でも大丈夫!私たちも二缶ずつ持ち上げたからねぇ〜!モチ!アサヒよ!ところがガ〜ン!発泡酒ではありませんか!こんな時くらいホンマモンのビールを飲みたかったのに、来る途中のコンビニで無意識の生活習慣病・・・もとい、日頃のつましい生活がこぼれ出てしまった。ビールより自家製の梅酒が嬉しいトシちゃんは気前良く「どうぞ!どうぞ!遠慮なく飲んで!」って勧めるけど、ビール党の木村さんの口には合わなかったかもしれんなぁ〜!私もあぁ〜、ショック!

 ガスがかかっていたがその後に大朝日岳山頂へ。展望は得られず残念。私は30分ほど居たが諦めてテン場へと戻った。その頃にはテン場も小屋も混み始めていた。

【朝日岳山頂】 【歩いてきた稜線を振り返る】

イチヤクソウ ショウキラン? ヒメサユリ シラネアオイ ヒナウスユキソウ
ヨツバシオガマ チシマギキョウ オノエラン ハクサンフウロ? ハクサンシャクナゲ?

【二日目】

【大朝日小屋の朝】

 賑やかだったテン場もいつしか静かになり風の音だけが鳴っていた。3時半に起床するとまずテントの外を見た。雨は降っていないが濃霧でがっかり。朝食を早々に済ませテント撤収。たちまち賑やかになった小屋を後に出発した。

 展望は無理だったがしっとりと濡れた花々が美しい。間もなく金玉水に着いたが、そこにいた若者4人の「ちょっと距離がありますよ」の一言であっさりと行くのはやめた(軟弱な私たち・・・)。飲み水は充分もっている。次の水場(竜門小屋)まで大丈夫だろう。

 風景が見えないので花ばかり撮りながらのんびりと歩いていく。それもまた良い・・・・でもフラッシュでデジカメのバッテリーが早くあがってしまう。お天気の方がやっぱりいいなぁ・・・。

 西朝日岳に着いたら三角点まで行ってみようと思っていたが、数メートル先も見えない状態では行ってもつまらないのでやめた。木村さんが知り合いに出会ったのはこの西朝日岳の登りだったろうか。お互いに事前に分かっていたそうだが、双方の笑顔が楽しく思われた。

 日暮沢の分岐(翌日はここから下山)を過ぎると間もなく竜門小屋が現れた。濃霧の中では「いつも小屋が突然出てくる」と言う木村さんの言葉が可笑しかった。小屋の外で軽く食べ、トイレだけ借りた。稜線に建っているにも関わらずトイレは水洗で清潔。きれいな小屋だった。水場は側にあり。

【北寒江山で遭遇】

 南寒江山、寒江山、とさらにアップダウンを繰り返し北寒江山に到着。ここからは相模山方面へのルートがある。新潟側からの登山口から登ってこれるルートだ。ここを通ることはないだろう。

 一休みしていると見覚えのある人が反対側から登ってきた。似ているとは思ったがまさかそのつむぎさん本人だとは思わなかった。メジャーな山ではあるけれど、こんな遠くで、こんなガスった日に鉢合わせするなんて!ただただ驚くばかりだった。互いに反対方向に行くので少し話して分かれたが、びっくりしたと同時に面白かった。

【展望はないけれど・・】

 今夜泊まる狐穴小屋ではテント泊は禁止なので小屋泊。宿泊代(1500円/1人)を払い、荷物を置いて少し休んだ後、身軽になって以東岳へと向かった。持ったものは飲み物とレーションと合羽とツエルトなど。

 軽くても登りはつらいなどと話しながら進んでいった。相変わらずガスの中だが熊笹?の中にニッコウキスゲやヨツバシオガマ、ハクサンイチゲなどが目を楽しませてくれた。

【以東岳から狐穴小屋へ戻る途中】


 以東岳からの展望も無論ない。でもここまで来たという安堵感があった。10年前は朝日鉱泉から大鳥池の方へ縦走するはずだった。その時の計画を今果たしたような気持ちだった。今回は日暮沢からの周回だからまた戻らねばならない。縦走より厳しい!まったくよくやるよ〜!と我ながら思う。

 心残りなく同ルートを狐穴小屋へと戻った。

 ガスが出ているとルートを誤りそうなところもいくつかあるので注意が必要だ。

【ちょっとだけ雪渓の上を】

 この小屋は木造できれい。5,6年前に建てかえられたらしい。トイレはここも水洗できれいだ。水場は小屋の前にありビールが冷やされていた。800円。ただし、いつもあるとは限らないようだ。

チングルマ アカモノ アオノツガザクラ コバイケイソウ ミヤマリンドウ?
ハクサンシャジン ヨツバシオガマ イブキジャコウソウ ハクサンイチゲ

【三日目】
 4時に起床。この日も風強くガスがかかっていた。それでも朝食と支度を済ませ5時過ぎに出発。竜門山の日暮沢分岐までは往路を戻る。この日狐穴小屋から以東岳に行くと言っていた人の何人かは止めて下山していた。

【ユウフン山から下山路に向かって】 【以東岳方面がやっと見えて】

 分岐からいよいよ下りだ。ユウフン山か清太岩山で何とかガスが晴れてくれればと思ったが、稜線はやはりガスがかかったまま。このとき頭の上は青空だったというのに。ゆっくり休憩していよいよ下りにかかった。木村さんが靴の中敷を自宅に忘れてきたため、その頃には足の裏が痛いと言っていた。多少ペースが落ちてもお昼ごろには下に着くだろうと言いながらのんびり下りていった。

 こちらのルートは多少登山道が歩きにくく、花も少なかった。かなり下に下りて樹間から以東岳が見えたのがせめてもの慰めだった。

 ゴロビツ水場は寄らなかったが丁度休憩で居合わせた人が「泥水で飲めたものではない」と言っていた。今回虫対策としてネットを持っていったが使わず、虫除けスプレーとニューグッズのフマキラー電池式ベープNo.1というのを併用。その結果かどうか完璧!刺されなかった。

 朝日連峰は水が豊富で冷たくて美味しい。小屋はきれいで管理人さんは親切丁寧。トイレは水洗で清潔。とにかく感じがいい。丁度登山道の下草を刈って整備しているおじいさんと会ったが、重い農具(工具?)を持って大変な作業だと思った。いろいろなひとのお陰で今回も気持ちの良い山行が出来た。

 帰りには途中で大井沢温泉「ゆったり館」で汗を流した。一人300円。昨年と変わらず。