越後; 荒沢岳
(あらさわだけ)

荒天の為、山頂目前にやむなく撤退。ざんねん!


 H10年9月24日(木)前夜発・
  Member.3人(青木、村田、石原)

9月23日(水) 天気;曇り
 自宅を15:40頃出発。環八が込んでいて練馬ICに入る迄約2時間ちょっと(18:00頃)かかった。小出IC迄2時間20分(20:20)。コンビニに寄って、シルバーライン泣沢のテン場に着いたのは21:00を少し回っていた。もっと早い時間に出て、夕食はそこでゆっくりとる予定だった。遅くなってしまったが、テントを設営している間に食当の村田さんが手際よく食事の用意。トマト味のビーンズの煮込みとサラダ、フランスパン、チーズ、赤ワインとなかなかおしゃれ。若い人が食当だとメニューが楽しみだ。リーダーは新しい愛車(キャンピングカー)で、私達は二人用テントで就寝。夜中時々雨。明け方まで降っている。

9月24日(木) 天気;曇り後時々雨
荒沢岳登山口7:15〜前山7:55-8:05〜前くら下部9:00〜前くら上部10:15-35〜前山〜登山口13:45

 5時に起床。雨はとりあえず上がっていた。雲の様子、空模様を眺めつつラジオの情報に耳を傾ける。が、この辺りの状況がイマイチつかめない。中京、関西は大雨、北海道方面も低気圧の北上で崩れる、関東は高気圧が張り出して午後晴れという予報。朝食の雑炊を食べている間に空は明るくなってきた様にも見えるので登山決行。荒沢岳登山口へと移動する。

 荷物は軽量。途中の沢で水を補給。前山まではコンスタントに40分程で到着。前方に先週歩いた駒ヶ岳、中の岳がはっきり見える。天気の不安定な中、これだけ見られただけでも満足と顔をほころばせる。荒沢岳はまだ見えない。そこからなだらかな登山道が少し続く。久々に歩くと言う同行者と、どっぷりとその風景を堪能。振り返れば今回、当初の予定にあった未丈が岳が目の前に大きくあり、周りに会津の山並が広がっている。その景観を眺めているだけでとても気持ちがいい。途中単独行の若い男性(ザック25キロ)を抜く。

 村田さんが喜んでいたのも前くら下部まで。休憩をとっているところへ、とうとう雨が降り出した。合羽着用。その時彼女の視界に鎖とはしごが目に入り、突然大きな声をあげた。陽気な彼女の声に悲壮感は無いが、「えーっ!垂直ですよ〜、登れないっすよ。帰りましょうよ」と言い出した。口で言う程柔な女性では無いと見越しているリーダーは、「前くらの上迄行ってみよう、ここ迄来たらそこまで行って山ノ神様にちゃんと挨拶していかなくちゃ」とにべもない。一番大変な所だなと私はニヤニヤ、しかし登り際の造花の供花に皆、気を引き締める。

 距離にして長くは無いが、岩場に鎖場、はしごと続き、気が抜けない。「こんな所で落ちたら死んじゃいますよ。死んだら親に顔向け出来ないっすよ」と叫びつつ慎重に足を運ぶ村田女史。彼女は30代、まだ若いが嗜好はどちらかというと楽しいハイキング。「ここは楽しくないっすよ」と訴える。私はどちらかというと、緊張しつつも楽しんでいる。「えーっ!こんな所を登るの?」と思った目の前の岩壁をよじ登っていく時は、立山の剣はこれ以上すごいのだろうかと思ってしまった。しかし潅木やスタンスも結構あって、遠くから見た時程の恐怖感はなかった。でもこれは下山の方が大変だなと思った。

 時間はかかったが、ようやく前くら上部に出た。荒沢山頂は目の前に現れたが予想以上に風が強い。リーダーが山頂を眺めたまま思案している。そして「強風で山頂の上に黒い雲が出てきている。今登ってきた岩場を大雨の中下るのは危ないからここで下山にしていいだろうか?」と。村田女史はいち早く「下りましょう、下りましょう」。山頂にもガスがかかってきている。登っても展望は望めないだろう。いづれにせよやむを得ない。風を避けた場所で山頂を眺めながら休憩。その時さっき抜いた単独行の男性が追い付いてきた。兔岳の方に縦走するという。縦走経験のあるリーダーと情報を交わし、彼は前進していった。

 私達は残念ながら下山。連続の鎖場はリーダーが村田女史をサポートし、私は後から付いていった。彼女の言葉ではないけれど、こんな所で怪我などしたくない。私も注意して下っていく。それにしても村田女史、怖がる割りには元気がいい。「きゃー、サバイバルで〜す」「アドベンチャ〜」と大きな声を張り上げながら、言葉とは裏腹に楽しんでいる。どうやら面白くなったらしい。やっぱり若い、順応するのが早い子だと笑ってしまう。

 鎖場が終わってほっと一安心。山毛欅林を再び気持ちよく歩く。前山で後ろを振り返り駒ヶ岳の見納めと休憩。駒も少しガスがかかってきていた。下りはこんなにも急だったっけと思える程一気に下る。そして登山道迄の時間も長く感じた。一人滑る度に「怪我は(鎖場などではなく)案外こんな所でするもの」と言い合って、雨の中滑らないよう気を遣いながら下りた所為かも知れない。

 下山後は近くの野生味?ある無料の温泉に入ってきた。登山口から東側に少し行った所にある工事現場の小屋のような目立たない建物で、あまり綺麗ではないが、ふんだんに出てくるお湯に気持ちよくつかってきた。カギ付きの箱があったので、いちおうお礼に100円入れてきた。男女分かれている(男湯、女湯と大きく書かれている)が、トイレは設置されていないので注意。入り口を開けるとすぐ脱衣室なので、気をつけないと外から見られてしまう。私達がお風呂から上がって着替え終わった頃、男性がガラッと開けた一幕が。「あっ、間違えた」とすぐ閉めたけど?チト怪しい。それにしても着替えた後で残念でした!(見なくてヨカッタ?)

 “あの山が荒沢岳と眺めしを登り来てまた見ゆるのみなり”