上州;  荒船山・表妙義山
上信越;  黒斑山

(あらふねやま・おもてみょうぎさん・くろふやま)

落葉と新雪を踏みしめて


 H9.11/22-24(土〜月)前夜発 ; Member.計2名

22日【一日目】
内山峠9:55〜小屋11:30-45〜行塚山(荒船ピーク)12:25-35〜
小屋1:10-2:20〜内山峠3:40

23日【二日目】
中ノ岳神社駐車場8:00〜中ノ岳神社〜見晴台8:25-35〜
大砲岩〜中ノ岳と自然歩道と相馬岳の分岐9:45-10:00〜
相馬岳11:45-12:55〜中間道(分岐)2:00〜
第2見晴台2:10-20〜妙義神社2:50〜中ノ岳駐車場4:05

24日【三日目】
車坂峠9:15〜トーミノ頭10:45〜黒斑山頂11:00-12:00〜車坂峠1:45


22日【一日目】
内山峠9:55〜小屋11:30-45〜行塚山(荒船ピーク)12:25-35〜
小屋1:10-2:20〜内山峠3:40

 キャンピングカーがあってつくづく便利だと思う。昨夜は自宅で夕食も入浴も済ませて来た。天気が下り坂なので当初の予定を変更し、コースタイムの短い荒船山の方を先にした。内山峠への道は思ったより良い。駐車場は20数台は止められそうだがこんな天気に無論1台もいない。

 夜中に降っていた雨は起きたとき止んでいたが、その内また降りそうな気がして、何となくのんびり寝ていた。外で車の音がしたので起きると4台、男性が数人いる。ここにも物好きがいたと思いつつ、ゆっくり起き、朝食も済ませて私達の出発は10時少し前。雨はその時も止んでいたので、合羽は着ないで行った。

 山道は緩やかで歩きやすい。紅葉は終わっているが落ち葉を踏みながら歩くのも風情があってなかなかいいもの。ムラサキシキブとマユミの実が目についたほかこれといって目立ったものもない。修験場所だったという岩場があり、通過するとまもなく尾根に出て、小屋のある所に出る。一応山頂となっているが、ピークはこの先の行塚山だ。ガスが出ていたが良く見ると足元の下の方は絶壁。ぞーっと足がすくんでくる。

 ひと息ついて行塚山へ。だらだらした道で飽きたなと思う頃、山頂直下の急登となる。しかしアッという間に山頂だ。山頂は狭く展望もない。空模様も怪しいのでさっきの小屋まで戻ることにした。

 途中で小屋の先客の団体と行き会った。もう小屋には誰もいないだろうと行ってみたら若い男女が3人、食事を作っていた。おじさん、おばさんはすぐ話したがり、何かと声をかけたが彼等には迷惑だったかな?私達はカレーうどんを作ったが寒かったので正解。その間に雨が降ってきた。

 食べ終わって出発する頃には又降り止み、ガスも少し晴れて低い山並みが見えてきた。ご褒美だと勝手に喜んで同じルートを下山する。いろいろおしゃべりしながら歩き、そろそろ駐車場に着くかなと思った頃急に携帯が鳴った。娘からのTELだった。他愛のない話だったが思いがけない呼び出しと、山奥なのにという思いでちょっとびっくり。

 この日は荒船の湯という温泉に入ったが、立派で500円という安価。気に入った。



23日【二日目】
中ノ岳神社駐車場8:00〜中ノ岳神社〜見晴台8:25-35〜
大砲岩〜中ノ岳と自然歩道と相馬岳の分岐9:45-10:00〜
相馬岳11:45-12:55〜中間道(分岐)2:00〜
第2見晴台2:10-20〜妙義神社2:50〜中ノ岳駐車場4:05

 昨夜早めに中ノ岳の県営駐車場に着いた。千台収容可能だそうだが夜9時には閉まるので注意。朝は7時にならないと開かない。広い中、駐車しているのは我が家の車一台だけ。夜中の強風に揺られながらの睡眠だった。

 コースは中間道の予定だったのでこの日もゆっくり出発。駐車場から既に威圧感を感じる妙義山の山容だ。先を行く人たちを見ていると石門入口の方に向かう人が多い。私達は中ノ岳神社から入っていった。階段を上りお参りを済ませて先に進むと早くも見晴台があり、早速休憩。妙義の山をまじまじと眺める。眺めるのには良い山だなとほれぼれする。

 ピークを行く上級者コースと中間道を行く健脚コースとの分かれ目で、未練を残しながら中間道へ。看板の注意書きを見ながらピークを行くのは多分大変なんだろうなと思いつつ、行かないとなると物足りなさを感じてしまう。過大評価できない実力とわきまえているから無理はしない、でも…と。

 第四石門は見応えがあるが、丁度その前で小屋を作っているらしく景観を台無しにしていたのが残念だった。大砲岩の手前で鎖場があり、真新しい鎖が2本下がっている。よじ登って大砲岩を眺め先に行こうとしてふと見ると、鎖など使わずとも来れる緩やかな道がついているではないか。これはサービス?と感謝して先へ。岩庇の下を歩くコースがあったりするが、危険な個所もないハイキングコースだ。登るどころか降りる一方の階段では、少々寂しくなってしまった。このままハイキングで終わってしまうのか…。山頂からの展望もちょっとは期待していただけに何となく寂しい。

 荒船よりは残っている紅葉を眺めながらトコトコ行くと、尾根に続く分岐があった。私の気持ちを察した夫が行ってみようかと言ってくれたので、少し緊張して登り始めた。「無理なら戻ってこよう、でも頑張っちゃうんだよね、私って」と思いつつ。あまり歩かれていないようだったが上に確か15分程で到着。

 着いた尾根上には標識があり、中ノ岳へ3時間、相馬岳へ1時間30分とある。3時間というのには驚いたが、相馬岳なら時間的に大丈夫そうだ。果たしてコースやいかに。

 いやー、面白いの何のって。手足、全身使っての大変なコースだった。「これ、どうやって降りるんだー?」と言いつつ下る夫の後から、三点確保に頭を使い、しばしストップしたりして…。途中3人連れの中年の男女パーティと行き会ったとき、先頭はザイルを体に巻き付けていた。ギクッ!しかし、「途中使ったが、こちらからは登りだから大丈夫ですよ」の言葉に少しホッ。中ノ岳からのコースはすごいんだろうねと話しながら進んだが、岩屋さんにはお薦めだ。さすがにこの時期ここを歩く人は少ない。一人で歩いている人が二人いたが、それはちょっと危険な気がする。テープがついているので見落とさないように目を配ったが、それでもちょっとコースがずれるときがある。落ち葉で道が隠れてしまっているのだ。主人が少し足を滑らした。私の足の間を通り抜けようとしたときは驚いたが幸いすぐ止まった。その後、岩をよじ登った私が三点確保の最中、足をのせて確認している岩を落とした。幸い下には誰もいなかったがいたら大変だった。中間道を歩いていたら見えなかった裏妙義も見えたし、行って良かったが、夏場の混んでいる時にここは歩きたくない。この時期で良かった。しかし夏場はここをどれだけの人が通るのだろうか。

 足はどうという事はないが、普段使っていない腕を始め上半身もトレーニングが必要だとつくづく感じた。家に帰ったら恐らく忘れてしまうだろうが。

 次が山頂だろうと思いつつ、手前のピークの日溜まりで少し休んだ。落葉樹の中、新緑も紅葉もきれいだろうと思い描いてみる。でもこの落ち葉で木の根につまずき危うく滑り落ちそうにもなったのだ。

 ひと休みして下った後、登りついた所は予想通り山頂だった。嬉しかった。この感激はひとしおだ。山頂ではレトルトカレーとコーヒー。ここで逆コースから二組ほど登ってきた。

 この後はとりあえず下る。途中二人の慰霊碑が岩にはめこまれていた。手を合わせて尊い犠牲を悼む。

 自然歩道に戻ってそのままタルワキ沢コースを下ろうとしたが、時間を確認した上で、せっかくだから妙義神社にまわろうということになった。そこから神社に至る自然歩道は紅葉がまだ素晴らしかった。神社はこじんまりとして東照宮のようにきらびやかだった。

 そこから中ノ岳駐車場までまた戻らねばならない。車道をてくてく歩く。ヒッチハイクするほど若くもないが、それでも素通りする車へどうしても目が行く。しかし先は落石で通行止めの為、何台かは引き返してくる。

 途中車道から離れて再び山道を登る。次々下ってくるハイカーと行き会い、挨拶をするが、ここに来てまた登りとは…。

 再び車道に出て、今度こそそのまま駐車場だ。予定より早めについて良かった。

 この後妙義温泉で汗を流したが、旅館のお風呂だったので千円と高かった。

 そして次の目的地上信越へと向かう。



24日【三日目】
車坂峠9:15〜トーミノ頭10:45〜黒斑山頂11:00-12:00〜車坂峠1:45

 またしてもハプニング。昨夜遅くに高峰高原まで来たのは良かったが、その先の篭の登山・湯ノ丸山に行くので通過しようとした時のこと。地図の通り、標識の通り、行ったのに、私達は唖然としてしまった。公道をふさいでスキーのゲレンデになってしまっている。地図に巻き道は出ていない。そこから下って再び違う道を登って来るにはまた時間がかかる。びゅんびゅん吹き上げている数台のスノーガンはライトアップされて異様な光景だった。Uターンする場所もないので、仕方なくバックして戻る。車は既に四駆に切り替えてあるが、まさかここで使うとは思わなかった。とりあえず舗装道に戻って作戦会議!さてどうしたものかと車を脇に寄せるとそこはどこやらの登山口だった。寒い中電気を照らして見に行ってみると黒斑山とある。車に戻って地図を見る。あぁ、浅間山だ。活火山で入山禁止だが、この黒斑山は登れる。それならここにしようということになり、そばの無料駐車場でPキャンとなった。

 翌朝は快晴。外を見て驚いた。なんと登山客だらけだ。わずかの若者だけがスキー客のようだった。

 朝食後入山連絡をして、登山者カードも書いて登り始めた。登山者が多く、いつもよりペースが早い。しかし前後につながっているので少々辛いがそのままのペースで行く。積雪しているので滑りやすい。下りは停滞気味となった。少しずつそれぞれのペースでみんなの間隔が開いてきた。ようやく私達のペースを取り戻して進んで行く。うっすらと雪化粧した山はきれいだった。槍ヶ鞘というピークの手前で浅間山が目に映った。樹林はなく、縦に幾筋もひび割れた様な跡があり、老山といった感じだ。トーミノ頭から黒斑山頂に至る間も浅間山は威風堂々としていた。山頂で火口を眺めていると噴煙の火口側に数名の人が見えた。立入禁止のルールをわきまえない非常識な輩だが、事故に遭わないようにと思った(阿蘇では昨日、火山のガスで2名亡くなった)。木についた雪の花を愛でながら下山し、この日は早めに帰路についた。

”荒海に向かうが如く断崖は鋭く切り立ち足すくむ吾”
”天指して奇岩幾年表妙義尖峰白く丸みて並ぶ”
”足下のわが身預けし大石は音響かせて転がり落ちぬ”
”青空に白き煙をくゆらせて浅間静かに今休みおり”
”偶然に巡り会ったかのような黒斑山雪化粧しており”
”吾が深き内より熱く燃えいづるものあり生きている気がする”