南ア前衛 ;  甘利山〜千頭星山
(あまりやま〜せんとうぼしやま)

平成九年歩き初め


 H9年1月4日(土)当日発 ; Member.計3名

1月4日(土) 天気;快晴
広河原駐車場10:15発〜甘利山10:35-45〜大西峰12:05〜
千頭星山12:40-2:15〜大西峰2:20〜甘利山3:20〜駐車場3:30


 お正月の家族旅行で歩き初めができて嬉しい。しかも申し分のない快晴だ。どうも陽子を連れて行くと、いつも天気に恵まれるようだ。太陽のように明るくみんなを照らして欲しいと命名した通り、お日様を連れ歩いているようなものなのだろうか。このまま内側から光輝く娘になってと願わずにいられない。

 親の心届いているのか、娘とおしゃべりしながらの山歩きはとても楽しい。4〜5センチ積もった雪の上を主人は自分のペースでゆっくり先を歩いている。若い娘は二番手でその歩調を少々持て余しながら、くっきり見える富士山に歓声を上げたり、振り向いて私に話しかけたりして間合いをとっていた。間隔が開けばペースを早めてアッという間に父親に追いつき、さすが若者と思ったが、ハイキング程度の山といってもやはり甘くはない。むらけのあるペース配分に音を上げだしたのが先ず娘だった。

 駐車場から20分ほどで甘利山山頂に着く。積雪はない。なだらかで、突出した山ではないが、展望は抜群だ。雲一つない青空の中に白い富士山、八ヶ岳、南アルプス、金峰や瑞牆など秩父の山陵が一望に見渡せる。そこからはこれから行く千頭星山も見えるが、そこまで行けばその向こうにどんな山が姿を見せてくれるのかと期待感を抱かせてくれる。冬の山は花一つないが、それもいい。ゆっくり休んで春にはいろいろなお花を咲かせておくれ。春には下草もさることながら、見事なツツジの山になるようだ。花芽をつけて、もうちゃんと出番を待っている。

 あれが千頭星山と、目標を追いながら再び3人で歩き始める。北斜面はまた雪が現れる。最近の雪ではないらしく、数人の歩いた跡も見られた。サングラスを持ってこなかったため目が眩しい。

 少し下って登りにかかったとき、うっかりアイスバーンに足をのせてしまい膝をついてしまった。それを見た陽子はビビっている。中程まで登って振り返ったとき、甘利山の山頂と遠くの富士山がとってもいいコントラストで配している。思わずシャッターをきったとき、予備のフィルムを車の中に置き忘れてきたのに気がついた。残りのフィルムはあと1枚…。

 二つほどピークを越えて、雪の平坦な道を歩いていると前方にハンターが二人、二匹の猟犬を従えて休んでいた。片方の犬の首には鈴がついている。鹿を追って逃げられたという。冬山を歩く私達は防弾チョッキも必要だとふと不安に思った。

 大西峰までの登りを越えれば平坦な道に出ると言われ、もうひとがんばり。下りの時こわいだろうなと言う主人と陽子。大西峰の分岐から千頭星に向かうと、人の足跡はなかった。代わりに出てきたのは獣の足跡。ウサギだタヌキだと当て推量しながら平坦な道に出ると、今度は大きく眼前に鳳凰三山が現れた。あれは1年ちょっと前にお母さんが歩いた山だと陽子達に言いながら懐かしいオベリスクからその山陵を追った。以前は目の前に見える山のほとんどが登ったことのない山で、次の目標が自ずからできたが、今は登った山だと振り返る事が多くなった。目標エリアは、自然と広がっていく。鳳凰三山と反対側にどこまでも美しい富士山がある。千頭星の山頂は見晴らしが良くなかったので、残りの1枚で記念撮影をしたあと、この両方の山が眺められる場所に下りてきた。風もなく穏やかな広々とした山上の雪原で昼食だ。

 温かいうどんを作っている間に私は淳へ、主人が携帯で鈴木さんに電話した。通じる通じる。淳は留守で留守電に入れておいたが、鈴木さんは関越道を走っていて、話せた。以前はこんな事できなかったのに、文明は素晴らしい。

 山頂でゆっくり楽しんだあと同じ道を下山。思ったほど歩きにくくはなかったが、下りが恐いと言っていた陽子はしゃがんで滑り降りていた。主人は相変わらずマイペースで先を歩いていく。登りとは反対に今度は前方に甲府盆地が広がっている。そして富士山が正面にくっきりと…。

 再び甘利山の山頂で最後の展望を堪能。3時を過ぎているというのに、下りるのが惜しいくらいだった。

”初夢は真白き富士と山山山ぐるりと雲のひとつなき空”