上州赤城山(黒桧山)・鳴神山
(あかぎやま・なるかみやま)

残雪踏んで


 H10年3月14日(土)〜15日(日); Member.2人(夫婦)

【赤城山(黒桧山)山頂】

14日
大洞8:25〜登山口9:05〜黒桧山10:40-11:00〜分岐11:10-12:00〜駒ヶ岳13:00-10〜大洞登山口13:55

 夫が、せっかく買ったワカンを使いたくて、残雪の山を選んだ。赤城山はこういう時期でないと登らないような気がする。山域は赤城山と言うらしいが、山頂は黒桧山となっている事を今回初めて知った。

 前夜発。夜中に大洞の駐車場着。登山口を確認してから再び駐車場に戻り眠る。外はもちろん氷点下。

 明け方、どこやらの会社の研修ででもあるのだろう、大勢の男性の怒鳴る声で起こされた。時間を見ると6時15分。外を見れば軍隊のように整列して「お早うございます」「失礼します」などと大声で何回も叫んでいる。新入社員の研修か大学の合宿かも知れない。

 朝食、支度、入山連絡を済ませ、途中神社へ遠回りして詣でてから登山口へ。雪は凍っているのでアイゼンを着ける。トレースがついているので心配はないようだ。

 登り始めて間もなく別の登山者が二組やって来るのが見えた。山頂まで追い付かれる事もなく、又騒がしいという事もなく、静かで気持ちの良い山歩きだった。雪はしまっているのでワカンを使う必要がなく、夫はがっかりしている。天気は良く、大勢の人が大沼で穴釣りをしている様子が良く見える。

 山頂は眩しいくらい輝いていた。積雪はいったいどれほどなのだろう。黒桧山と書かれている標識がかろうじて顔を覗かせている。快晴のわりに、もやっていて遠望はきかなかったが、とても気持ちの良い山頂だ。

 少し風があったし、後から人が登って来るので我々の昼食はこの先ですることにした。黒桧山と書かれた大岩と祠の前で写真を撮って通過し、駒ヶ岳への分岐の陰になったところで昼食。メニューはかた焼そば、初めてだがなかなかグッドアイディアだった。傾斜で鍋のふたがずり落ちていき、慌てて夫がとろうとした時は、一緒に落ちそうな気がしてひやりとした。幸いどちらも無事だった。

 下る頃には雪が柔らかくなっていた。私はアイゼンを外していたが、下の方が凍っているのか滑るので再び装着。鞍部で振り返るとかなり急坂だった。逆コースを登っている人が辛そうに見える。

 駒ヶ岳にいたる稜線は歩きやすかった。駒ヶ岳山頂は何の標識もなかったが、行き会う人と確認してそうと知れた。明日行く鳴神山はどこかと捜したが、ちょっと見当がつかない。

 下りは順調。雪なので登山道を時々ショートカットして喋りながら1時間程で下山。



15日
高畑山林道登山口11:05〜稜線12:30〜昼食12:55-13:40〜鳴神神社14:30〜鳴神山西峰14:35-40〜鳴神山山頂(東峰)14:45-15:05〜大滝山荘登山口16:00〜車16:25

 昨夜の内に大滝山荘まで行ってみたが何となく暗い雰囲気で気分が今一つのらなかった。コースは予想以上に長い林道を歩く。別の山にしようかと調べたが、それから移動するには時間的に無理があった。とりあえずコースを逆にしてみようということで車の位置を決めた。

 朝、起きると雨。今日は止めようかと言いつつ、のんびりと起床。朝食を食べ終わった頃雨があがってきた。そしてその林道を登山者の乗る車やタクシーが数台登っていく。空模様が明るくなってきて、私達の気持ちもにわかに高まってきた。もしかしたらナルカミスミレが咲いているかも知れない。そう思ったら、行ってみようか、という事になった。

 当初の予定を変更して高畑山へ登るコースをとった。2回分岐がありはじめは左、次に右をとった。幅の広い林道でワサビ田があり、フキノトウを摘んだりして、思ったより歩きやすいコース…しかし、途中から赤いテープがあるものの急登となった。杉林の中を掴まりながらなんとか稜線へ。そこは上州の風が吹き荒れて無気味な音を響かせていた。高畑山山頂は左側のようだ。コースは右にとり、鳴神山方面へと歩をすすめる。途中昼食をとったが昨日の疲れか、さっきの急登の疲れか、かなり体にこたえている。

 しかしこの日の鳴神山は既に積雪はなく、稜線を歩くには気が楽だった。少しずつ降ってきた粉雪の中、鳴神山の山頂を踏む。ガスでここも展望がきかなかったが気分は清清しかった。

“雪山の夫がつけし踏み跡を辿れば安き心持ちにて”