八ヶ岳・赤岳敗退(中岳分岐まで)
(なかだけぶんき2730m)
晴天を狙っての赤岳だったが、中岳分岐で強風に煽られそれ以上は断念。
しかし展望は素晴らしかった!
 H18年04月08-09日(土日)
  天気;初日雪、二日目快晴
  Member.3人(木村・石原夫婦)

【コ ー ス】(〜は歩、休憩時間含む) 
1日目;赤岳山荘8:50〜美濃戸山荘8:57-9:12〜行者小屋13:22(テント泊)

2日目;行者小屋7:40〜(文三郎尾根)〜中岳分岐9:23-31〜(休憩10分)〜行者小屋10:48-12:22〜(休憩約10分)〜美濃戸山荘14:05

【赤岳に向かって文三郎尾根を登る】

 今回は別の雪山を予定していたが、一緒に行く予定だった人の都合が悪くなり、翌週に繰り延べとなった。このところ低山の春山歩きばかりしていたので、来週に備え足慣らしに八ヶ岳へ。行者小屋まででも足慣らしには充分。今週はボッカトレをすると言っていた木村さんも誘った。天気とコンディションがよければ赤岳山頂を目指そうと、自宅を朝出発。

 初日の予報は晴れのち雨。八ヶ岳は雪だろうか?はたして諏訪南ICをおりると小雨は小雪に変わった。

 美濃戸口から美濃戸まで道は整備されていた。それでも雪が残っているところがあるから四駆のスタッドレスは心強い。しかし乗用車で車高が低いため、時々車の底が擦る。

 赤岳山荘まで入り、駐車料金2日分2千円を払う。したくして出発する頃には雪はますます本降りになってきた。

 わずか数分の美濃戸山荘までの道のりで、早くもアイスバーンで滑る。早々にアイゼン(12爪)を装着。これが正解。

 アイスバーンの登山道はしばらく続き、その上にうっすらと積もり始めている。アイゼンを効かせてゆっくりと登っていく。

 頭上注意!こんな氷柱が・・・

 帽子の上にも雪が降り積もってきた。 

 それぞれが20キロ強のザック、さっさと歩けるわけも無く・・

 そのうちややラッセル状態となり歩みはのろい。

 今日は行者小屋までだからとそんな歩きを楽しみながら歩いていった。夏道ならば2時間だが、テント泊装備でだと夏でもそれではきつい。

 雪は絶え間なく降り積もり、次第にトレースが消えていく。

 それでも樹林帯の中はまだ歩きやすい。

 私の後に道があり・・・

 私の前に道がない・・・

 雪は降り続き、次第に雪道はラッセル状態。この時期にパウダーの新雪を歩けるなんてラッキー♪

 なんて、言ってられないくらい先頭の負担が増してきた。はい、ラッセル交代!

 何回かこうして雪原が広がる。晴れていれば、目の前に横岳など見えてくるはずだが何も見えない。

 この先にそろそろ小屋があるはずだが、静けさの中に答えがない。

 もうすぐ、もうすぐという期待が何回か裏切られ、たびたびの立ち休憩。疲労度を見て荷物の配分を変えようと思うが、「もうすぐだから・・」とそれぞれに頑張る。

 やっと着いた行者小屋は軒先まで雪に埋まっていた。この角度で見えるはずの硫黄岳は見えない。八ヶ岳の山々は当然見えず、一張りのテントも無く、誰一人居なかった。

 続いて「着いた〜!」とホッとした瞬間。

 凍えた手でテント設営。気温はマイナス5度だったが耐寒温度はもっと低い感覚だった。

 冬季はテントが伸びず、穴にポールを挿すのが大変。木村さんと私では歯が立たず、頼りになるトシちゃんだった。

 冬用フライは私たちも持ってこなかったが、人が多いほうが当然テント内は温かい。木村さんは雪上での一人テントは今回が初めてとのことだったがこの夜は寒く感じたそうだ。

 誰も居なかったテン場だが、夕暮れまでには約10張り近くに増えていた。

【二日目】
 朝起きると予想通りの晴天。赤岳に向かえそうだ。(写真バックは横岳)

 ところが朝食のとき、木村さんは疲れと寒さからの寝不足のせいか頭痛がするという。山頂には行かないで、寝て待っていることになった。

 ともかく行けるところまで行ってみようと支度し、二人で出発。

 前日とは異なり天気は快晴。積雪は20センチ以上あったようだが、既にトレースがついていた。今日は有り難く使わせていただく。

 写真は左に赤岳、正面に中岳。その右手に阿弥陀岳を眺めながら行く。

 辺りは白銀の世界。素敵なホワイトツリーが続いている。

 バックに硫黄岳。青空が広がって気持ちいい。

 前方の赤岳を目指し、文三郎尾根へ。

 階段の手すりが少し覗いている。


 中岳分岐まであと少し。夏道の階段は雪に埋まり、かえって歩きやすい。

 赤岳山頂方向から朝日が輝く。

 朝一番手に登った人とすれ違ったとき、分岐に出ると風が強く、目出帽が必要と言われた。トレースのお礼も言って安全なところで被った。

 私たちを抜いて先に分岐に着いた人は山頂に行かず、間もなく下りてきた。

 中岳分岐に着くと、なるほどいきなりの強い風。立っていられない。もう一人いた人も低くなって風のおさまるのを待っている。吹き付ける風に雪粒が混じり、時折目を閉じるが、その合間に眺める展望は素晴らしかった。富士山は分からなかったが(そこから見えたかどうか?)、鳳凰、南ア、北アの山々が見えていた。しかしすっきりした山並みではなかったから天候はよくないのか・・・(その日下山すると白馬岳や笠ヶ岳などでまたもや山スキーの遭難者が出たそうだ)

下写真4枚は分岐からの眺め

【分岐から見上げた赤岳】

【硫黄岳と横岳:分岐より)】

【硫黄岳(右)から左へ奥に蓼科山:分岐より】

【北アルプス方面:分岐より】

 風がおさまるのを待って、側にいた男性は山頂に向かっていった。私たちは迷うことなく下山に決め、数分後、下った。分岐を少し下ると風は和らぐ。改めて八ヶ岳の山々、そして周囲の山を見回し眺望を楽しむ余裕が出てくる。

 山頂に向かった男性は間もなく下りて来た。やはり強風はおさまらなかったらしい。

 中岳と阿弥陀岳。こちらに挑戦する人の姿も見えたのだが・・・ 

 急斜面を下る、このときトシちゃんのウエストバックに入れていたオレンジジュースを落としてしまったらしい。自分でなくてよかったね〜!

 続いて私も下る。 

 鉄梯子はすっかり埋まり、わずかに手すりの鎖が見えている。

 後方の稜線にさっきまで立っていた分岐の標識が見える。

【北アルプス方面は霞んでいる】
 平らなところで一休み。展望を楽しみながら、ここでゆっくりホットコーヒーを飲み、写真を撮ってメールを送る。 

【中岳と阿弥陀岳】

【硫黄岳と横岳】

 再び下る。後に中岳分岐が見えるが、下りは早い。前方に広がる展望を眺めながらの下りは気持ちいい。快適だ。

 行者のテント場に到着。木村さんはまだ寝てるかな?起こさないようにすこし離れたところでランチ。

 しかし中でラジオを聞いていたようだった。ここで白馬岳の2回目の山スキーの遭難を知る。

 テント撤収してから最後に赤岳バックに記念写真。今回は登れなかったがまた来よう。

 心置きなく八ヶ岳を後にする。

 木村さんも気分が落ち着いたようで元気に下山。下りは昨日とは打って変わった好天でトレースもしっかりついており、気持ちよい。

 美濃戸山荘に到着。

 美濃戸山荘前で。バックは阿弥陀岳。