八ヶ岳; 赤岳
(あかだけ)

有雪期も登った!バンザイ!


 H10年4月11日(土)〜12日(日) 当日発 ;Member.3人(斉木,夫,私)

【赤岳山頂で】

 若いが経験豊富な斉木さんとの初めての山行。連日の睡眠不足と運動不足で迷惑をかけないよう頑張らなければと思いつつ、自宅を当日6時15分に出発した。土日とあって、行きの中央道は少々混雑。両日とも快晴で絶好の行楽日和だった為帰路は渋滞したが、車中から眺める満開の桃や桜はとても見事だった。予定のコースは断念したものの、期待にかなった有雪期赤岳登頂の満足度は充分。

11日
美濃戸山荘12:10〜(途中で昼食)〜行者小屋15:30

 行ける所まで行こうと美濃戸山荘まで車で入った。除雪はほとんどしてあったが、駐車場入り口の踏み固められた積雪で少々てこずる。主人の運転で何とか入り駐車。支度して山荘に行き一日500円(二日で千円)なりの料金を支払おうとしたら、倍とられた。雪掻き料だと言う。ならば入り口くらい入りやすくしといてよと、心の中でちょっぴり不満をもらす。美濃戸口は500円なので御心配なく。

 南沢を通り、行者小屋に向かう。主人の荷物は約18キロ、私は15キロくらい。斉木さんはザイル、登攀具一式、テント一式等入っているので相当の重量の筈だ。なのに軽快に歩いている。主人の後ろ姿からは早くも疲労困ぱいしている様子が伺える。

 私達は約1ヶ月振りの山行だ。私にしては珍しい。パソコンに夢中になっていたからあっという間に日日がたってしまったのだ。

 雪質はしまっていて歩きやすかった。滑りやすい所もあったが快晴で既に午後になっていた為アイゼンは必要無い。積雪はいったいどれほどだろう。多い所は1m以上あるようだが、数十歩に一歩足が潜るとしても、膝下の深さだ。歩き始めは所々地面が見えていたが、行者小屋に向かうにつれ深くなっていった。野鳥の鳴き声が聞こえて来る。ここにも春がきている。

 平坦な雪原を行くと八ヶ岳の岩肌がだんだん近付いて、行者小屋が見えてくる。快晴の中赤岳を中心に相変わらず雄大な眺め。この時期にここに来たのは初めてだが、テントが数張りで例年より少ないそうだ。最終的に10張りに満たなかった。夏のテン場は多かったのを覚えている。

 三人でテントを張り、水場を確認。ザイルワークの説明をしてもらい打ち合わせしてから夕食。すき焼きだ。きれいな星を魚に、先ずは斉木さんがかついできてくれたビールで乾杯。うまい!



12日
BC(行者小屋)6:30〜分岐(尾根)7:50〜赤岳山頂8:40-9:50〜分岐10:15〜行者小屋11:00-12:05〜美濃戸山荘13:55

 4時半起床。6時半出発。斉木さんが一緒で心強い限りだ。無理なら戻ってくればいいさと、ハーネスとアイゼン、ピッケルをしっかり身に着けて、気負わずに歩き始める。天気は今日も快晴。
いきなり文三郎の登り。斉木さんの快調なテンポに合わせて付いていく。ザクザクザク…???後ろを振り返る。誰もいない。ザクザクザク…???また後ろを振り返る。やはり誰もいない。そんな事を数回繰り返して気味が悪くなった。「後ろから歩調の合わない足音が付いて来るの」と主人に声をかける。自分の事で精一杯の主人は上の空で聞いているが、それからは音がしなくなった。後から分かった事だが斉木さんも聞こえたそうだ。これってチョット、ミステリー。

 左側の岩稜帯には若者数人が大声を掛け合いながら取り付いていた。地面の金網状の階段は雪の中から少し現れている。2回程立ち休みして文三郎の尾根上に出ると眼前に清里方面の町並みが広がっている。快晴で風もないが空気がひんやりと冷たい。半袖の上に合羽をはおって丁度良い。

 ここからが注意を要する登りだ。斉木さんとは初めての山行で、私達にどれだけの勇気と力量があるか分からない彼の方が、きっと緊張していた事だろう。ザイルを肩から掛けて用意万端、山頂を目指す。「ここで足を滑らせたら一気に落ちますよ」と注意を促されるが、気をつけて登れば危険ではない。有り難い事に何回も斉木さんが気づかってくれる。わざわざ大変そうな所で写真も写してくれるし、とても気持ちの優しい青年だ。

左【赤岳へ】

 難なくクリアして山頂へ。雪が結構残っている。素晴らしい好天で展望は抜群。息子と来た時はガスで風も強かったのを懐かしく思い出す。

 冷たい風を避け、山頂小屋の方へ移動。小屋の軒まで雪が積もっている。そこから見える小屋の屋根にはヘリポートのマークがついている。荷物を下ろす場所なのだろうか。玄関先を隠している雪の上に座ってコーヒーを入れ、サンドパンを作って食べた。ポカポカと暖かい。ついついのんびりしてしまう。

 私達がこれから下る地蔵の方から次々に人が登って来る。ザイルに繋いでいるグループ、爽やかな顔、疲れた顔と、表情、様子は様々だ。

 私達も下りにかかるが、慎重に降りる私に比べ若者は足運びが軽やかだ。地蔵尾根の分岐で登って来る人を待つ。下りにかかると痩せ尾根の上に雪がこんもりと残っていて注意が要る。斉木さんは私達が怖がると思ったらしく、「ふつうビビルんですがね」とボソリ。ヤバい、この感触を覚えてしまってはますます深みにはまると思いつつ、その緊張感を楽しむ私達夫婦だった。

 斉木さんにならってピッケルでカジをとりながら滑り降りる事も覚えた。でもここを逆に登る人は大変だ。

 下りは早い。あっという間に行者に着いた。ひと休みした後BCをたたんで下山。アイゼンは外してぐんぐん下る。美濃戸山荘で車に乗り込み美濃戸口へ。美濃戸口の小屋は昨年立て直してきれいになっていた。お風呂もあったので入る。そこで50代、60代を含む女性だけの7人グループと一緒になり、私達の当初の計画、御小屋尾根から阿弥陀、赤岳、地蔵のコースをやってのけた事を聞く。驚いた。こんなグループなら私も入りたい。でもついていけないかな?

 ともあれ八ヶ岳最高峰に無事登頂出来てヨカッタ。