東北;安達太良山・西吾妻山・東吾妻山・一切経山
(あだたらやま・にしあづまさん・ひがしあづまさん・いっさいきょうやま)

東北の残雪期をそれぞれのPHで楽しむ


 H9.5.3-5(土ー月)前日発 ; Member.計2名

【5月3日】
土湯温泉仁田沼散策6:45-7:30(この後車で移動)
ゴンドラ駅登山口7:45発〜安達太良山9:05-20〜
鉄山10:00-11:00〜峰ノ辻〜勢至平分岐11:55〜
あだたら渓谷〜富士急ホテル1:10

【5月4日】
スキーセンター9:00〜グランデコゴンドラ駅9:15〜西大巓11:35〜
西吾妻小屋12:20〜西吾妻山12:50〜西吾妻小屋1:10-2:10〜
西大巓2:45〜グランデコゴンドラ駅3:50〜スキーセンター4:05

【5月5日】浄土平8:55〜鎌沼〜姥ヶ原〜東吾妻山11:10-12:30〜姥ヶ原1:30〜
酸ヶ平避難小屋分岐1:50〜酸ヶ平避難小屋1:55〜一切経山2:20〜
浄土平3:20〜吾妻小富士〜浄土平


【5月3日】
土湯温泉仁田沼散策6:45-7:30(この後車で移動)
ゴンドラ駅登山口7:45発〜安達太良山9:05-20〜
鉄山10:00-11:00〜峰ノ辻〜勢至平分岐11:55〜
あだたら渓谷〜富士急ホテル1:10

 一日目の朝は仁田沼入口の登山口で迎えた。テレビで放映されたため混んでいると思いきや、目覚めてみれば我等だけ。安達太良山の方に早く行きたかったので早めに散策することにした。ウオーミングアップに丁度良いコースだった。水芭蕉はやや終わりかかっており、カタクリは終わっていた。少々期待はずれだったが静かな雰囲気と空気は満更でもない。

 すれ違いの嫌な細い道を主人の運転でくぐり抜け(一台もすれ違わなかった)、安達太良山へ。

 登山口の駐車場について驚いた。すごい車と人、人、人…。この日は山開きであると初めて知った。さては山歩きの渋滞に巻き込まれるかとがっかりしながらゴンドラに乗って登山口へ。並んで登山者名簿に記帳し、歩き出した。雪解けのどろんこ道を老いも若きも登っている。マナーを心得ていて、ゆっくり歩く人は道をあけてくれるので、わりあい自分のペースで歩けた。天気予報は崩れると言っていたが、晴れて良かった。暑くもなく寒くもなく、風が少しあったくらいだった。広い山頂直下も人でいっぱいだったが、写真を撮って山頂へ。ここまで歩く道には雪がなく、山間に雪渓が残っている程度だったが、山頂からはまだ雪の残っている吾妻山や磐梯山が間近に見える。鉄山(くろがねやま)に行く馬の背の尾根伝いにその風景を眺めながら歩いていくと、山開きのペナントを配っている人に出会い、今日は安達太良山頂でミス安達太良を選ぶコンテストがあると聞いた。そういえばきれいな若い女性が何人かいたっけ。番外の私は山頂に心残りな視線を送る主人を先に立てて、鉄山へ。鉄山山頂も広く、ここでゆっくり昼食をとった。

 再び馬の背に戻り、勢至平に向けて下山。遊歩道になっていたあだたら渓谷を楽しみながら駐車場へと下りた。

【5月4日】
スキーセンター9:00〜グランデコゴンドラ駅9:15〜西大巓11:35〜
西吾妻小屋12:20〜西吾妻山12:50〜西吾妻小屋1:10-2:10〜
西大巓2:45〜グランデコゴンドラ駅3:50〜スキーセンター4:05

 夜中、寝ている間も降っている雨が気になった。朝、やはり降っている。様子を見ていたが、スキーやスノボーに向かう人も少ない中に、大きなザックとスキーをもった3人が歩いていくのが見えて、私達も意を決した。

 ゴンドラを降りて辺りを見回すが、登山口がどっちかさっぱり分からない。しかもガスで辺りは真っ白だ。こんな中でも若い子達はスノボーをやっている。危なくないかと心配したが、今回は私達もかなり危険な山行だ。ゴンドラ駅の若い子に登山口を聞くが知らないと言う。地図で多分こっちだろうと言われ左に歩き始めた。視界がきかずどうなることかと思いながらそのゲレンデをゆっくり登っていると、先程の山スキー3人組が見えてほっとした。停止中のリフトの最上部に着くとその3人が休憩している。このコースは慣れていると言うので彼等の言うままに登り始めたが、誰の踏み跡も赤いテープもない。天気さえよければ山頂が見極められるのだろうが、数メートル先までしか視界がきかない中で、見当をつけながらひたすら上へ上へと登っていった。主人と一緒だから不安は無かった。でも途中で下山することになるかなと思い、下りればスキー場だしといった安心感もあった。

 ずっと続いている残雪は柔らかく、アイゼンを装着する必要は全くなかった。山スキーの3人の若者達の声と、かなり上に行ってようやく赤いテープが見つかったときにはさすがにほっとした。やがて西大巓の山頂。眺めの良さは味わえなかったが、先着の3人に写真を撮ってもらって少し休んだ後、西吾妻山へ。緩やかに、一旦下って登り直し、西吾妻小屋が見えたときは嬉しかった。まさかここまで来れるとは思っていなかった。小屋の周りに掘り上げられた積雪は2メートル近い。素通りして山頂に向かうが湿原になっていて登山道がひじょうに分かりづらい。結局上には登ってみたものの標識が見つからず、右往左往した後小屋へ戻った。小屋に停滞しているパーテイと話しながら温かいうどんを食べ、下山。再び西大巓を通り、迷いながら登ったのとは違い、気楽に足跡を辿った。何気なくついた登山口を見て「あれ?ちゃんとあったんだ」と気づくが、別に登山口と書いてあるわけではない。

 てっきり登りで歩いたゲレンデだと思いながら行くと左に見える筈のゴンドラがなぜか右に見えて唖然。

 無事に着いた駐車場で晴れた西大巓・西吾妻を見て、ガスだった山頂を思い、2人で悔しがった。

【5月5日】浄土平8:55〜鎌沼〜姥ヶ原〜東吾妻山11:10-12:30〜姥ヶ原1:30〜
酸ヶ平避難小屋分岐1:50〜酸ヶ平避難小屋1:55〜一切経山2:20〜
浄土平3:20〜吾妻小富士〜浄土平

 猪苗代湖のそばの温泉に昨夜入り、そのまま帰宅する予定だったが、高速道が渋滞している様子が見えたので、もう一日延期した。

 ここまではなかなか来れないと思い、西に対して東と、東吾妻に登ることにした。夜中の風と雨の音で天気はまた駄目かなと思ったが、起きると晴。朝開いた磐梯吾妻スカイラインのゲートを通過し、浄土平へと移動した。私はやや風邪気味でこの日は一番調子が悪かった。

 風は相変わらず強く、朝食と支度を済ませて外に出ると帽子が飛ばされそう。天気は良く、人は多かった。もう少し時期が後なら目の前の湿原は見事な花園だったろう。湿原の中を通り過ぎると登山口が分かれるが、私達は鎌池方面に向かった。目の前に早速雪渓が現れ太陽の光があたって輝いている。振り返れば口を開いている吾妻小富士が見える。そちらはもっと観光客が多い。

 雪渓を登ると鎌池まで再び湿原が続いていて驚いた。もったいないなぁ、もっと良い時期にも来たいものだと思った。しかし鎌池が現れたときその素晴らしい情景に息を呑んだ。白い雪が輝き、青い池の中に続いている。東吾妻が優しく堂々と控え、背後は一切経山方面のガレた山肌が対比して、妙に印象的だ。池の中に延びている雪渓を眺めながらその上方を踏んで行くと、再び分岐点が現れ東吾妻へと足を向けた。その姥ヶ原もまた素晴らしく、用意された椅子に座って、しばしその残雪の山々を眺めて堪能した。二言目には「勇達(孫)を連れて来たいなぁ」と口をついて出る。本当に、2人だけで眺めるにはもったいないような素敵なところだ。今の時期だからこそステキなのだろう。

 いよいよ東吾妻へ。目の前のそれはいとも簡単に登れそうだ。豊かな水のせいで始めは沢登りかと思うような登山道だが、やがて雪道に代わった。歩きながらも昨日とはうって変わって周りが一望できて快適。山頂は広く積雪は無かった。昨日登った西吾妻からこちらを一望できて感無量だった。左に磐梯山、さらに左へと目をやれば一昨日登った安達太良山が見える。風が強かったがハイマツの合間に風をよけ、それらの風景を眺められる場所を主人が見つけてそこでお昼にした。あぁ、今日登って良かったと何度思い何度口にしたことか。それほどに感激した山頂だった。昨日悪天候の中登った西吾妻があったからこそかもしれない。その西吾妻も陽に輝いて美しかった。あの山スキーの若者3人も快適に滑っていることだろう。いつまでも見飽きなかったがゆっくり堪能した後今度は反対方向を眺めながら下山。快調に歩いてきたので一切経山も登っていこうと話す余裕があった。

 登ってきた道を辿って下りたがもうすぐ鎌池方面だと思ったころその出口が分からなくなってしまった。見当をつけて道を捜したが見つからない。そのうち人の声がしたのでいったん上に登っていった。やっと踏み跡を見つけやっと姥ヶ原へ。晴れていて良かったが、昨日のようなガスだったらパニックだろう。

 再び鎌池のほとりを歩き、下山のタイムロスもあったが一切経山は登ることにした。東吾妻より少し低いだけだ。登るほど風が強い。東吾妻とは、高度にたいした違いがないのに登山道にはまったく雪がない。これはどうしたことだろう。地形の妙だ。

 一切経山山頂から下を見ると、五色沼が見え、雪渓が流氷のように池に流れ込んでいる情景は素晴らしかった。五色沼と言ってももちろん磐梯山の近くのものとは全く異なる。山頂は更に風が強く、標識の陰でお茶を飲み、ひと息ついた後浄土平へと下山した。石がゴロゴロしていたので、私達の後から下りてくるカップルは歩きづらかったらしく、私達とは離れる一方だった。私達は気分良く下り、レストハウスに寄った。お汁粉を食べたかったが無かったので、アイスにし、その後お土産を買い、車へ戻った。主人は以前にもここに来て吾妻小富士には登ったというので私だけ登りに行って来た。充分満足した。

”目の前に吾妻磐梯安達太良の雄姿は吾の足跡もてり”
”人波に混じりて登る安達太良に陽はやわらかく迎えくれおり”
”幽玄の世界に吾は踏みこみて夫と二人行く西吾妻”
”強風に揺られし車中にまんじりとせず雨音に登山願って”
”山間の湖沼に忍ぶ山裾の雪静かなり東吾妻や”